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「StrangeHighway」 第6章 後半 (緊迫感の伝わる読みが魅力ですよん by 永T) 「とにかく遺産はいりません。どうせあんな家に買 い手があるはずもないし。」 「家は大したものじゃない。銀行の預金が凄いんだ。 25万ドル以上はあるだろう。」 「そんなばかな。父はずっと貧乏だったはずだ。」 そのお金はここ14年の間兄のPJが仕送りしたもの だった。父は使わずに預金していたのだ。 「それならその金はPJのものだ。」 「だが、君の父上は全てを君に残した。遺言状は法律 的に確かなものだよ。どうしてもいらないというのな ら、相続権を放棄しなきゃ。」 「放棄します。もう放棄してます。そんなもの欲しく ない」 書類にサインしなければならないが、明日にならない と書類が揃わないという。そんな暇は無いから郵送し てくれと転がるように席を立ちドアに向かうジョーイ。 「どうしたんだ?ジョーイ!」とカディンスカ 「Stay away from me!」と叫びながら、ただ新鮮な ジョーイ。しかし、階段の所で急に立ち止まる。階段 の下には、ところどころに血のついたシートで覆われ ブロンドの死体があった。 |
![]() ISBN番号:1-57042-287-7 |
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片方の手がシートからはみだしている。手のひらにはnail hole。ジョーイが最も恐ろ しいと思ったことは、この死体が彼に知りたくないことを語りかけようとしているよう に見えたことだった。 その場から逃げようと、今来た方向に逃げようとすると、そこにはヘンリー・カディン スカが立っていた。進退窮まった。もしそこに死んだ女が本当にいるなら、飛び越すこ とができるはずだ。もし彼女が彼を捕まえようとしたら蹴飛ばせばいい。手すりも掴ま ずに、一段飛ばして階段を駆け下りるジョーイ。3分の1、2分の1、まだ彼女はそこ にいる。あと8段、あと6段、4段。彼女の手が彼に届きそうだ。赤い聖痕が手のひら の真ん中に見える。最後の階段に着くときには、彼は叫び声を上げた。その時、死んだ 女が消えた。 なんとか外に出て再びレンタカーに乗った。運転席の下からウイスキーの瓶を出し た。雨では洗い流せなかった彼の内面が清められる。 カディンスカは追ってこなかった。車を走らせるジョーイ。何かが邪魔をして街から外 に出さないのではないか?という彼の恐れにも関わらず、車は街の境界線を越えた。 何故25万ドルもの遺産を棒に振ったのか、何が恐ろしかったのかも分からずに彼は車 を走らせた。アッシュビルから3マイルほど離れたところで、ジョーイは三叉路に行き 着いた。このまままっすぐに伸びる田舎道。左に曲がるとやがてはCoal Vally町に行き 着くCoal Vally Roadだ。 20年前の日曜日の夜、大学に戻る途中、彼はこの道をとることにしたのだった。そ こで彼は事故を起こし、それ以来運勢は傾いたままだった。当時彼は65年製のフォー ド・ムスタングを運転していた。ジャンク屋で買ったやつを父の手を借りて修理したも のだ。どれだけこの車を慈しんだことか。その車を思い出しながら額に手をやる。髪の 生え際の下に、傷は1インチほどで、辛うじて見える程度だが触ればすぐわかる。雨で 滑ってサインポストに衝突してガラスが割れたのだ。血の海を思い出す。 今その三叉路を前にして左手のCoal Vally Roadを見下ろしている。この道を取るこ とは、彼のツキを呼び戻すチャンスにつながる、と彼は確信していた。それは異常な思 いこみだった。しかし彼は、何か人知を越えた力が、この暮れゆく10月のたそがれに はあるとわかるのだった。 何故かというと、19年以上前に廃棄されたはずのCoal Valley Roadが彼の左手に、 魔法のように修復されて確かに存在していたからだった。 つづく |