StrangeHighway17f

「StrangeHighway」 第17章 その6



画像 ジョーイは痛みをこらえなめらかな動作で起きあがり、ショットガンを構え背中を壁につけて座った。その気配にPJが振り向く。
 直撃。激しい音が床や天井に反響した。体中を襲う反動で、銃を投げ出してしまうジョーイ。PJは強烈な一撃を腹と胸に受け、ふっとばされていた。PJはジョーイの方を向いたまま、膝立ちの姿勢であたかも腸のはみ出しを防ぐかのように、上半身を両手で抱いていた。もしジョーイが腕を上げることができたら、もう一度銃をとり薬莢が空になるまで打ち込むところだが、もはやその力は残されていなかった。
 地下のうなりが大きくなってきた。床の隙間から硫黄を含んだ蒸気が立ち上がってくる。PJはショックと苦痛に歪んだ、ぞっとするような顔を上げた。激しくむせぶと、喉の奥から上がってきたのは、血ではなくグロテスクな銀色のものだった。小さな輝くコインが次から次へと床の上に流れ落ちた。まるで人間スロットルマシンのように。
恐怖に震えながらジョーイは、PJが最後のコインを吐いた後に、死に神のようにニヤニヤ笑うのを見た。鹿皮のジャケットが破れているだけで、彼が怪我をしているようには見えなかった。
 ジョーイは自分の死を観念した。なんとかしてセレステを起こそうとしたが、彼の叫びは声にならなかった。
揺れる、蒸気で煙る床に、突然、以前からのヒビに沿って大きく裂け目が入った。地下からすさまじいオレンジ色の光芒が突き上げてきた。モルタルが燃えさかる鉱坑にバラバラと崩れ落ちる。床の石も落ちていった。頭上の梁にも裂け目が入り、壁も揺れていた。床の裂け目はすぐに広がり、瞬く間に1、2、6インチ1フィート、2フィートとなって、部屋を分割していった。ジョーイはPJとセレステから隔てられてしまった。
激しく揺れる教会と、荒れ狂う地下からの轟音を越えて、PJが「このアマにお別れをするんだな、ぼうや」と言った。そして彼はセレステを燃えさかる床の裂け目に投げ込んだ。
 ああ、どうして お願いだからやめてくれ!どうして僕じゃないんだ。情けないのは僕なのに、彼女には何の責任も無い。美しくて優しい彼女のせいじゃないのに。
 ジョーイの目の奥で光りが揺らいだ。

つづく