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「StrangeHighway」 第17章 その1
教会には冷たい風が吹き込んでいた。ジョーイは崩れた壁や砕けた椅子の破片の下敷きになってはいたが、幸いどこにも怪我はなかった。残骸が崩れ落ちる狭く曲がりくねった通路で、風が不吉な音楽を奏でていた。しかし、車のエンジンは止まっていた。ジョーイは、狭い通路をムスタングの前輪の所まで腹這いになって進んだ。タイヤはパンクしており、フェンダーは紙のようにひしゃげていた。車体からは、緑の不凍液がまるでドラゴンの血のように滴り落ちていた。ジョーイは、運転席のドアを過ぎたあたりでようやく立ち上がることができる場所に辿り着いた。兄が車の中で死んでいることを期待したが、ドアは開いており、PJはそこにいなかった。
「セレステ!」ジョーイは叫んだが、返事は無かった。PJは彼女を探しているだろう。ガソリンの臭いがした、燃料タンクが破裂したのだろう。
壁や椅子の残骸が車の上に積もっており、教会の中を良く見渡すことはできなかったので、ジョーイは車の屋根によじ登り、立ち上がった。
車の乱入の衝撃でろうそくが倒れ、祭壇のシーツに火が燃え移っていた。混乱した教会を見渡していると、向こうから近づいてくるものに気が付いた。PJだった。その腕には、意識の無いセレステを抱いている。首がのけぞり、長い黒髪は床に届きそうだった。
何ということだ! その瞬間、ジョーイの呼吸は止まった。そして喘いだ。
ジョーイは車の屋根から飛び降りた。足場は不安定だったが、丸太乗りのようにしてバランスを取りながら進んだ。
PJは祭壇の三段目の階段に登った。
ジョーイはなんとか聖域の前の開けた場所に飛び降りた。
PJは祭壇の燃えているシーツの上に、まるでゴミのように、セレステを置いた。
「やめろー!」ジョーイは、聖域の手すりを飛び越しながら叫んだ。
彼女のレインコートに火が燃え移った。髪にも火がついた。炎の気配でセレステが意識を取り戻し、叫び声を上げた。PJは、足下の火にも頓着せず、ハンマーを片手にセレステの上に背中を丸めて立っていた。ジョーイの心臓はこれ以上無いほど激しく脈打った。祭壇に駆け寄った。
ハンマーがうち下ろされた。
彼女の魂を切り裂くような叫びは、頭蓋骨を砕くハンマーの音に掻き消された。ジョーイのほほに無念の涙が流れた。
「可愛い弟よ〜〜」PJはジョーイに、にやりと笑いかけた。「さあ、この女を釘で打ち付けようぜ」
「やめろ〜〜〜〜〜〜〜!!!」
その時、ジョーイのビジョンが揺らいだ。それは現実の教会での揺らぎではなく、ジョーイの目の裏側でのさざなみのようなものだった。
つづく
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