StrangeHighway16b

「StrangeHighway」 第16章 その2



画像 「兄さんはどうしてサタンと契約をしたんだ?」「持って生まれたものがあまりにも貧弱だったからさ。オヤジ達のようにはなりたくなかったからな。金も欲しいしクールな車も女も欲しい。あの契約をしてからはご覧の通りさ。」「でも、兄さんは子どもの頃からスポーツ万能で、みんなに好かれて、何でもできたじゃないか。」「何を言ってやがる!何にも無かったさ。神さまっていうのは、本物のサディストだぜ。契約するまではオレは本当に何も持ってなかったんだ。」
論理的に説得することは全く意味を為さなかった。
PJはあまりにも長く狂気に染まっていた。彼に対して優位に立つには、あくまでも彼の幻想に付き合うしかなかった。
「お前も試してみたらどうだ?仲間がやってくるぜ。オレがユダを地獄から呼び寄せたように。簡単なことだぜ。心から熱望すればいいんだ。彼は何でも教えてくれるし、オレを通してオレのすること全てを経験するんだ。」ジョーイは20年間のその種の本の研究が無かったら、PJの錯乱の状況を理解することはできなかっただろう。「お前はただ心から望みさえすればいいんだ。そして、一緒にこの女を殺そうぜ。ドーランの16になる息子を犯人に仕立てればいいんだ。兄弟の絆は最強になるぜ。」「兄さんは本当は僕に何をさせたいんだい?」「何を言ってる。オレはただお前を愛しているだけだ、信じられないのかい?」ジョーイの喉はカラカラに乾いていた。「本当は、僕に十字架を降ろして欲しいだけなんじゃないのか?降ろしてから逆さまにかけて欲しいんじゃないのか?」「お前達は何もやっちゃいないさ。」「十字架を降ろしてろうそくの火を消したら、僕たち二人を殺すつもりなんだろう?」「なあ坊や、お前は誰に話をしてるんだ?オレはお前の兄さんだぞ。今までお前のためにならないことをしたことがあったか?」
セレステがジョーイに寄り添うように立ち上がった。
「教会を恐れていないんだったら、どうして中に入ってこないんだい?」とジョーイが言った。「ここはやけに熱いな。しかし、ここにオレが怖がらなきゃならないものなんて無いさ」「だったら入ってこいよ。」「神聖なものなんか何も無い。」「証明してみろよ。聖水に手を入れてみろよ。」「お前が自分で水を入れたんだな。祝福された水じゃあ無い。ただの水だ。」「だったら手を入れてみろよ。」
ジョーイは、この手の妄想症状のある精神病患者が、聖水や十字架に手を触れると実際に火膨れを起こすことがあると、本で読んだことがあった。
「さあやってみろよ。それとも恐いのかい?」
PJはためらいがちに聖水盤に近づき指を広げたが、結局引っ込めた。
「あんたは僕たちに触れることはできない。僕らがここを聖域に戻したからな。あんたは逃げ出すことしかできない。朝になれば全て方がつく。誰かが探しに来るだろうから、僕らはここで待っていればいい。」



つづく