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「StrangeHighway」 第16章 その1
扉が軋む音がして教会のドアが開き、夜の冷たい空気と風雨と共に、男が一人入ってきた。男には全く人目をはばかるそぶりはなく、ベントパイプから流れる腐った卵の臭いがまとわりついていた。PJだった。
服装はあの夜と全く同じものだった。これは、後に放浪の作家として名を為すPJ・シャノンではなく、大学を卒業して、ニューヨークで出版の仕事に就いたばかりのPJだ。彼はライフルを持っていなかったが、そんなものは必要無さそうに見えた。彼は非常に自信にあふれており、この時既に年に似合わぬカリスマが備わっていた。教会の端からジョーイと目が合うと「ジョーイ、驚かせるじゃないか。」と言った。「取引は済んでると思っていたけどな。お前は大学に戻って退屈な日常を過ごしていれば良かったんだ。だけどお前はこれにクビを突っ込まない訳にはいかなかった。」
「あんたがここに誘ったんだろう。」ジョーイが言った。「そうだ。その通りだよ弟よ。だが、まさか本当に来るとは思わなかった。善良で小心なお前に、こんな肝っ玉があったとはな。てっきりオレの作り話を信じて大学に帰ったと思っていたよ。」
「そうしたさ。一度ね。だけど、今じゃない。」二度目のチャンスをもらったのはジョーイだけなのだ。ジョーイは床から13ドルを拾ってPJに向かって投げた。「とっととけよ、あんたの金を。」PJは一瞬たじろいだ。
「いつ契約したんだ?」「契約?」「魂を売ったのはいつか、と聞いてるんだ。」セレステに注意を向けながらPJは言った。「大したもんだな。弟は2時間前にはそんな考えができる頭は無かった。面白い。あんたは一体誰だ?」セレステは答えなかった。PJは、その妄想の世界の中でセレステの意味づけを考えていたようだった。セレステは
黙って床のショットガンに手を伸ばした。ジョーイはセレステが早まらなければいいと思った。PJを銃の射程距離に引き寄せるこか、この聖なる空間ならば銃は必要無いということをPJに納得させる必要があった。
「この13ドルがどこから来たた教えてやるよ。ベバリー・コーシャックの財布さ。後でまた集めてお前のポケットに詰め込んでやるよ。証拠のためにな。」ジョーイはようやく、PJが自分に割り当てた役回りを理解した。今夜PJがやろうとしていることの真犯人だ。20年前は、コールバレーロードでPJを追うのに失敗したために避けることができた。だが、変わりにそれと大差ない人生を送ってしまった。今度はそのどちらからも逃げなければならない。
「オレいつ魂を売ったか尋ねたな。13才の時にサタニズムの本に出会ってからさ。始めは森の中で小さな動物を殺した。俺は必要ならお前の喉を裂いて、心臓を切り出すつもりになっていた。だが、もっと簡単な方法がみつかったのさ。必要なことは、儀式よりもどうしても欲しいと熱望することだった。全身全霊をかけて熱望することで、俺は扉を開き、彼を呼び込むことができた。」「彼?」「悪魔サタンさ。」ジョークめかした声でPJは言った。「彼は受け入れる者には実に優しいんだぜ。」セレステは手すりの陰にしゃがんだままだったが、ジョーイは思い切り立ち上がった。「そう、それでいい、ぼうず。怖がることは無い、お前の兄さんは鼻から緑の火も吐かないし翼を生やしたりもしないよ。」
つづく
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