「StrangeHighway」 第15章 その1



教会のドアは開いたままだった。セレステに続いて中
に入り、ドアを閉めると、ドアの蝶番が大きくきしん
だ。これなら、PJも静かに入ってくることはできな
いだろう。訝るセレステに、持ってきた水を聖水盤に
あけさせた。水差しも片づけて、PJの目に触れない
ようにした。
祭壇にはベバリー・コーシャックの死体が厚いプラス
ティックに覆われて、まだそこに横たわっていた。ジ
ョーイは、荷物を降ろして死体を聖具室の隅にそっと
降ろした。もはや教会としての機能を無くしたこの場
所を、再度神聖な場所にしたてるためである。「PJ
の歪んだ幻想につきあうには、本職の司祭はいらない
だろう。ちょっとした設定ができればオーケーだ。」
聖具室の外へのドアはロックされていたが、もう一つ
の地下室への入り口は開いていた。地下に通じるドア
は他には無い。PJは、正面のドアからしか入ってく
ることはできないはずだ。セレステと一緒に教会の内
陣に戻り、ジョーイはシーツの包みを開いてハンマー
と釘の箱、赤と緑のろうそく、マッチ、十字架と、聖
母マリアの像を出した。セレステはジョーイの指示で
祭壇に白いシーツを敷いた。


ISBN番号:1-57042-287-7

 「おそらくPJは悪魔を崇拝しているのだろう。」「PJシャノン、フットボールの
ヒーロー、ミスターナイスガイが?まさか・・」「いや、ベバリーの死体が全てを物語
っている。」「でも彼はNotre Dame(カトリック系の大学)の奨学金をもらってるの
でしょう?サウスベンドで黒ミサができるとは思えないわ。」「だからたぶん、ここで
始めたんだ。」「そんなの信じられないわ。」「1975の現時点ではそうかも知れな
いけど、1995年になれば、高校生活でつまずいた少年が悪魔崇拝に走るなんて、そ
う珍しい事じゃなくなってるよ。」「わたし、1995年の世界は好きになれそうに無
いわ。」「君だけがそう思うわけじゃないさ。」「でも、PJが高校時代に何かトラブ
ルを起こしたように見えた?」「いいや。しかし人は最も深刻な問題を抱えた時は、し
ばしばそれを他人には悟らせないようにするものさ。」
ジョーイは祭壇のシーツのしわをピンと伸ばした。
「PJは、盲目的に何かを信じている。もし魂があるとしたら、PJはそれを売ったと
思ってることだろう。」彼は聖域の後ろに廻って、かつて十字架が架かっていた場所に
持ってきた十字架を据えた。ジョーイは雨が打ち付ける窓の外を見やりながら、PJは
この様子を見ているだろうか。もし見ていたら自分たちのやってることはどう思われる
のだろうか。と思った。笑うだろうか、それとも警戒するだろうか・・・

                                    つづく