「StrangeHighway」 第13章



外に出ると、ムスタングのボンネットが上がっていて、
デストリビュータのキャップが抜かれていた。
「PJだ。ヤツは楽しんでる。」「今も見られてるよ
うね。近くにいるようだわ。」「歩こう。大した距離
じゃない。ドーランとビマーとどっちが近い?」
「ビマーよ。」PJが先回りできたとも思えなかった
が、急ぎ足で二人は向かった。半ブロックも行かない
うちに、地下で爆発する音が聞こえた。さっきのより
も大きな音だった。
ビマー一家は北通りに住んでいた。狭い路地にくすん
だ黄色の壁が見えてきた。一階に灯りが見える。中か
らはテレビの音楽と笑い声が聞こえた。ドアをノック
した。返事がないのでもう一度ジョーイは長めにドア
をノックした。中から声がした「そんなにあわてなさ
んな。」安心するセレステ。「彼らは大丈夫だわ」ド
アを開けたのはジョン・ビマーに違いない。55才く
らいで、ツルぴかの頭で、太った気の良さそうな男だ。
「お若いの、堪え性が無いなぁ。お嬢ちゃんそのレモ
ン・メレンゲパイは素晴らしかったよ。」・・・


ISBN番号:1-57042-287-7

風が木の大枝を折るような音がして、ジョンのTシャツに血のしみが広がり、体が後ろ
にふっとんだ。ジョーイはセレステを押して玄関のドアから居間に転がり込み、ドアを
蹴って閉めた。テレビの前の肘掛け椅子から、ビマーの奥さんが立ち上がった。夫の血
塗れの胸と、ジョーイ達の持つショットガンを見て、叫びながらその場から逃げ出そう
とした。「伏せて!」ジョーイが叫び、「ベス 座っていて!」セレステが叫んだが、
慌てたベス・ビマーは、裏口に向かって窓の前を通った。ガラスが砕ける音がして、こ
めかみに弾丸を受け、彼女は居間の床に倒れ込んだ。二人が叫ぶ間もなく、ハンナ・ビ
マーも座ったままで弾丸を受け、息子と嫁の死を悲しむ間もなく死んだ。
ジョーイは狙い撃ちされないように、部屋の灯りを次々とショットガンで消していっ
た。セレステもテレビの画面を撃って消した。恐怖に震えながら二人は外から見えない
位置を移動した。「大丈夫かい?」台所の真ん中でセレステに尋ねる。「3人とも死ん
だのね?」「ああ」「生きてる可能性は?」「無い」「ベスは私の子守りをしてくれた
のに・・」
ポケットからスペアの弾を出そうとして床に落としながら、ジョーイは言った。「オレ
のせいだ。」「違うわ。彼は誰が町に残っているか知っていたし、私たちが道案内をし
た訳じゃない。」「トランクの中で死体を見つけた時に、家に戻ってシェリフを呼べば
よかったんだ。」なお自分を責めるジョーイに、「それは違うわ。今夜の”二度目のチ
ャンス”は、トランクの中のボディを見つけた時から始まったんじゃなくて、コールバ
レーロードに入ってから始まったんだから。全てはこれからなのよ。とにかくこの先P
Jが20年にわたって続ける殺人を止めることが、きっと今夜のあなたの仕事なのよ。」
などと励ますセレステ。
「PJが私たちを追って家の中に入ってくるとは思えないわ。」確かに、PJは”今”
二人を殺そうとはしないだろう。とジョーイも思った。殺すつもりならば、ジョン・ビ
マーを撃つときにできたはずだ。
PJは、この町の住人全てを殺そうとしている。セレステはおそらく最後の犠牲者にす
るつもりだろう。
 そして僕? 僕のことはどうしようと思ってるんだい?兄さん。


                                    つづく