「StrangeHighway」 第12章



セレステの家。もうPJは来ているかもしれないから
注意して入る必要があったが、セレステは、いきなり
「ママ、お父さん。どこなの!」と叫びながら中に入
っていった。ジョーイはバールを構えながらすぐ後に
続いた。至る所本だらけで、ジョーイが見た中では最
も立派な家だった。両親はどこにもいないので心配す
るセレステに「ここで争った様子は無いから大丈夫だ
よ。何か君への書き置きはないかな。」とジョーイは
言った。冷蔵庫の横に伝言があった。
 セレステへ
 ベバリーが今朝のミサから帰ってこないので、みん
 なで探しに行きます。
 遅くなっても真夜中までには帰ります。ドアに鍵を
 かけてね。
 大丈夫ベバリーはきっと帰ってくるわ。
時計を見ると、まだ9:02だった。「ああ良かった
・・・。彼はまだ手を出して無かった。」「手?そう
いえば手を見せて」セレステの手の傷は消えかけてい
た。「僕たちは正しかったようだ。少なくとも君の運
命を変えることができている。」「シェリフに電話を
かけましょう。ベバリーの居場所も教えられるわ。」
電話をかけるセレステ。


ISBN番号:1-57042-287-7

「通じないわ。」「この風と雨で電話線が切れたんだろう。」「違うわ。彼が切ったの
よ。こっちに来て、バールよりも良いものがあるわ。」彼女は書斎から鍵を取り出し
た。そこは二つの壁一面が本棚になっていた。「今夜はっきりわかった。PJが僕を騙
して仲間にした時、あいつは僕の未来を盗んだんだ。僕は本当は作家になりたかった。
ずっとそれだけが望みだった。でも、物書きは真実を追求しなければならない。僕は自
分の兄の真実にすら向き合うことができなかったから・・・。そしてあいつが作家にな
った。」彼女はキャビネットからショットガンを取り出して机の上に置いた。「レミン
トン20ゲージ、ポンプアクション。良い銃よ。で、彼は良い作家になったの?真実の
代わりにウソとごまかしで?」「みんな彼が良い作家だと言うよ。」彼女はもう一つ銃
を出してまた机の上に置いた。「これもレミントンよ。12ゲージ。みんなじゃなく
て、あなたはどう思うの?」「彼は成功してる。」「だからどうしたのよ。成功したか
ら良い作家だとは言えないわ。」「賞をたくさんとってるけど、でも、僕は本当は全然
良いとは思えなかった。」「そう。それじゃ今夜あなたは自分の未来を取り戻すのね。
そして良い作家になるのよ。」
部屋の隅に一酸化炭素の検知器があった。コールバレーにはどの家にも備え付けてある
そうだ。「爆弾の上に住んでるみたいだな。どうしてもっと早くここを出ないかった
の?」「お役所仕事だから遅れてるのよ。」「銃は使えるのかい?」「13の時から父
のお供をしてるわ。でも、生き物に当たったことは無いわ。父もそうよ。ただ森の中を
私と一緒に歩きたかっただけだと思う。父はたぶん息子が欲しかったのよ。わたしは男
の子のつもりでつき合ってたのよ。」「君って面白い子だね。」「I'm only what I'm
here tobe.」そう言ったセレステは年齢に似合わないほど謎めいて見え、ジョーイは彼
女に非常に魅力を感じていることを、気づいて欲しいと思った。
 「ベバリーが最初の犠牲者だと思う?わたしはこれまでもやってると思うわ。」「あ
の晩(今夜)以降は確実に続けたということはわかるけど・・・。だからPJはジプシ
ーみたいに放浪して生活していたんだ。常に移動していれば警察につかまりにくい。そ
して富と名声も彼の行状をカバーする絶好の隠れ蓑になっていた。実にうまいやり方
さ。」「でも、その未来はきっと、私たちのものだったはずの未来だったのよ。いくつ
かある可能性の一つか、確定されたたった一つの未来かは分からないけれど・・。」厳
しい現実をつきつけられて、ジョーイは苦い思いを噛みしめた。「どっちにしろ、僕に
もその責任の一端はあるんだ。あの晩彼を止めることができなかったんだから。」「そ
れが、あなたが今夜私と一緒にいる理由ね。彼を止めて、みんなと自分を救うのよ。」
12ゲージの弾を込めながらセレステは言った。
 「ところでわたしは、ベバリーが最初じゃなかったと思うわ。あなたに見つかった時
のPJの対処のしかたがあまりにも冷静だもの。きっと誰かに見つかった時の言い訳も
考えていたのよ。」確かにそうだとジョーイは思った。
 カディンスカのオフィスで遺産をもらいそうになった時、パニックを起こした理由も
分かった。金の出所がPJなのは明白だったし、その金が汚れていない訳が無いから
だ。
 ショットガンに弾をこめた。「さあ行こう。」


                                    つづく