「StrangeHighway」 第11章 その5



「もちろん」死んだ女の傍らに跪いたままでジョーイ
は言った。「僕は全然大丈夫なんかじゃなかった。仕
事も住処も転々として、誰ともうまくつきあえず・・
記憶を無くした振りをして自分を騙して」
「わからないことが二つあるわ。PJと一緒に車に乗
たんだとしたら、あの晩(それは今晩でもある)・・
彼はあなたを納得させたと思ったはずでしょう?それ
なのにどうして、彼女を知ってるなんて言ったのかし
ら。」「PJっていうのはそういうヤツなんだ。状況
を不利にして逆転して見せるのが好きなのさ。」「そ
れで、もう一つの謎が解けたと思うわ。」「グローブ
ボックスのジャーのことだね。僕が荷造りをしている
間に、それを仕込んだんだろう。兄弟の絆の強さを試
すために。」「一度自分を信用させたと確信してから
また疑わせるなんて・・。」「PJはスリルに逆らえ
ないのさ。」「彼女の顔を見たいわ。コールバレーの
子なら多分私には分かるわ。」「でも、君は見ない方
が・・・。」「見るしか無いのよ。彼女が誰か分かれ
ば、PJが何をしにどこに向かったのか分かるんじゃ
ない?」


ISBN番号:1-57042-287-7

注意深くシートをめくり、顔を確かめる。
「確かに、彼女は山で男に追われたんじゃないわね。足首を縛られた後があるわ。この
人はベバリー・コーシャックよ。家族は昔からの知り合いだけど、ショックでしょう
ね。本当にお気の毒だわ。」「PJは今朝アッシュビルで彼女を見かけて誘ったんだろ
うな。彼女にとってはPJは知らない男じゃなかったから気安く車に乗ったんだろう
。」
「覆いをかけましょう。」「君の強さには驚かされるよ。」「私は、あなたを助けるた
めにここにいるのよ。それだけのことよ。」「僕は君を救うためにここにいるんだと思
ってたけど。」「多分両方ね。」
 その時改めて床を見ると、今まで血のシミだと思っていたものが、スプレーで書かれ
た数字だということがわかった。円の中に1の数字。中央の通路の左側の座席にほぼ人
が座る間隔で、赤い円の中に一連の番号が書いてあった。向こう端が2で、最も近いの
が6。背筋を蜘蛛がはう感覚がした。右側には通路の近くから7、8、9、10、1
1、12の数字があった。「祭壇の上の女・・・。彼はベバリーを1番の数字の場所に
置いた。」「PJが?何のために?」「ベバリーは12人のうちの一人なんだ。君の家
族が3人で2、3、4。他にコールバレーにまだ住んでる人は?」「ドーランズの家族
が5人。そしてジョンとベス・ビマー、それとジョンのお母さんの3人よ。」「祭壇の
上の彼女を入れると12人だ。」ジョーイは座席の数字を指さした。「なんてこと・・
・。」「廃屋になった教会に並べた12の死体は12人の使徒を表す。そしてこれは神
へではなく13番目の使徒への敬意を表してるんだ。PJは自分をユダになぞらえてい
る。裏切り者。家族も信仰も裏切り、何者も恐れず敬わず、最も危険な賭に魂を賭け
る。ヤツは今夜中にコールバレーに住む人全員を殺そうとしている。」青ざめたセレス
テが尋ねた。「それは成功したの?あなたのいた20年後の世界では。」「いや、あの
晩以降新聞を読むのもニュースを見るのもやめていたから、僕にはわからない。無意識
のうちに、自分をそういう事件から遠ざけていたんだろう。」「おそらく事件は起きた
のね。翌日11人が最前列に並び、一人は祭壇で見つかった。」「そして誰もPJを疑
うものはいなかった。その証拠に僕のいた未来では彼は自由だったから。」
「お母さん!お父さん!」セレステは血相を変えて外に向かって駆け出した。ジョーイ
も慌てて後を追った。車にたどり着くと、地下で雷のような音がした。「どこだ?」
「町のどこかでしょう。とにかく急いで!」「地下かな」「こんなに酷いのは聞いたこ
とが無いわ。多分私たちの真下ね。でもかなり深いから大丈夫よ。」「まだね。」

                                    つづく