「StrangeHighway」 第11章 その4



「オレだけでなく父さんと母さんの人生もお前が握っ
てるんだぞ。」「でもその死体はどうするつもりなん
だい?」その質問をするということは、ジョーイが
PJの主張を認めることだった。「大丈夫だ。誰にも
みつからない場所に捨ててやるさ。」「ダメだよ家族
はずっと探し続けるよ。きっと。」「分かった。オレ
が悪かった。見つかりそうな場所に捨ててくるよ。」
「でも、PJの指紋とか証拠が見つかったらどうする
つもり?」「そんな証拠は一切残して無いから心配す
るな。でも、実はオレは彼女を知っているんだ。デー
トしたことがある。高校3年の時だ。」「彼女の名前
は?」「コールバレーの子だ。お前は知らないよ。デ
ートしたのは二回だけだが、このことを警官が知った
らどうなると思う?オレの微妙な立場を分かってくれ
るな。」「ああ分かったよ」「本当だな」「本当さ」
灰色のもやがジョーイの心を包み込んだ。「オレとお
前の絆は世界で一番強い。どんなものより固く結びつ
いているんだ。わかってるな。兄弟だからな。」


ISBN番号:1-57042-287-7

「お前はもう大学に帰った方がいい。今夜は疲れただろう。ニューヨークに遊びにくる
といい。面白いぞ。」「ああ」「こいつをお前にやろう。」PJはジョーイの手に何か
を押しつけた。「何これ?」「小遣いさ」「いらないよ」ジョーイは返そうとしたが、
PJは無理矢理コートのポケットに押し込んだ。「たったの13ドルだ。取っておけ
よ。オレの気持ちさ。」とうとうジョーイはそれを受け取ってしまった。
「そろそろ中に入ろう。荷造りもしないとな。」ジョーイの肩を叩きながらPJは言っ
た。
 「一体何をやってたんだい?」と父が言った。「人生についての兄弟の深い話しさ。」
微笑みながら母親が言った。「Deep, dark secrets.」
 ジョーイは急いで荷造りすると、PJより2〜3分早く家を出た。アッシュビルから
出て2マイルほど走ると、ぴったりつけて来る車があることに気が付いた。ほどなくカ
ントリールートとコールバレーロードの分かれ目に出た。後ろの車は止まれの標識を無
視して、泥水を盛大に跳ね上げながらジョーイの車を追い越し、猛スピードでコールバ
レーロードに向かって行った。その車が100ヤードほど走って停まったのが見えた。
PJだ。彼を待っている。まだやり直す時間はある。予定通りに左に曲がればいい。赤
いテールランプが光っている。しかしジョーイは、曲がらずにまっすぐのカントリール
ートを選んだ。
 PJの言ったことは本当だろうか?本当にそんな男はいたのか?動転してる時にどう
して指紋を拭き取ったりできたんだろう?彼女をはねたなら車はどうして無傷だったん
だろうか?考える程にわからなくなり、ジョーイはどんどんスピードをあげていった。
恐ろしい想像から逃げ出そうとするかのように。そして、あのジャーを見つけ、コント
ロールを誤り事故を起こした。
 気が付いた時にはガードレールの側に立っており、自分が今まで何をしていたのか覚
えていなかった。みぞれが傷に沁みる。右目の上が切れて血が流れている。傷が酷く痛
んだ。記憶喪失になっても不思議では無い。記憶が無い方が幸せな場合もある。彼は車
に戻り、傷の手当のために最寄りの病院に向かった。彼は大丈夫。きっと大丈夫。
 大学に戻り、二日ほど授業を受けたが、自分の求めるものはここには無いと思い荷物
をまとめて大学を去った。二日後、壊れたムスタングをオハイオで売り払い、ヒッチハ
イクで西に向かった。大学を出てから10日後、ユタ州から両親に絵はがきを出した。
物書きになるために、現実生活での体験を積みたいから自分のことは心配してくれる
な。と。彼は大丈夫。きっと大丈夫・・・。

                                    つづく