「StrangeHighway」 第10章 その2 



 彼は車を教会の前に停めた。ヘッドライトを消して
エンジンを止める。教会のドアは開いていた。
 「招待されてるようだな」と ジョーイは言った。
「彼はここにいると思う?」「きっといるさ。」
教会の中の明かりが消えた。
「何が起こるかわからないからここにいてくれ。」と
外で待つように言うジョーイ。
「いやよ。外にいても同じでしょう?」とセレステ。
雨はあの晩と同じようにみぞれ混じりになってきてい
た。車を降りて後ろを廻り、トランクを開ける時、彼
は半ばそこにブロンドの死体があるのでは無いかと思
ったが、そういうものは無かった。トランクの中から
バールとレンチを取り出した。セレステもドライバー
を引き抜いた。「ナイフじゃないけど何かの役には立
つでしょう。」ジョーイは本当はセレステに車の中に
いて欲しかった。しかし、知り合ってから1時間ほど
だが、彼女を思いとどまらせるのは無駄だということ
が分かっていた。繊細な美貌に似合わず、立ち直りが
速く驚くほど芯の強い女性である。


ISBN番号:1-57042-287-7

 開いたままの教会のドアは、彼をここに導いた人物は彼が追ってくることを期待して
いることを示していた。「側を離れないで。」「わかったわ。」
教会の庭には、太さ1フィートほどの通風パイプが地上から6フィートほどの高さまで
立っており、地下の火からの煙がそこから立ち上っていた。有害なガスが宅地に入り込
まないようにだが、このようなパイプは町中に約2000本ほど立てられていた。降り
続く雨にも関わらず、教会の入り口には硫黄の臭いが漂っていた。教会の前面に描いて
ある赤い数字は「13」だった。政府による取り壊しの順番を表したものだが、ジョー
イは奇妙にもユダを連想した。13番目の使徒。裏切り者。これは、裏切り者から身を
守るものへの警告に違い無い。しかし、一体何に対する裏切りなのだろうか?
 彼は今朝の父親の葬儀までの20年間、一度も教会のミサに出たことは無かったし、
自分は不可知論者、時には無神論者だと思っていた。しかし、この状況の中で彼は信仰
心を身近なものに感じていた。
                                    つづく