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「StrangeHighway」 第10章 その1 それに気を取られて車は道を外れ、郵便受けを壊し てあわや玄関に突っ込みそうになった。ジョーイはす ぐに20年前のあの夜のことを思い出した。 みぞれ混じりの雨の中を、まるで悪魔から逃れるよ うにムスタングを無謀に運転していて、グローブボッ クスの中で何かごろごろ転がるものがあることに気づ いた。そこを開け、滑らかで冷たいそれ(ジャー)を 手に取り、対向車のライトで中のものをみた。 眼球が二つ。。。動転したジョーイは滑りやすい路面 でコントロールを失い、標識に激突し、窓に頭を突っ 込んで怪我をし、ガードレールにぶつかって車は止ま った。壊れたドアをこじあけて嵐の中に転がり出る。 誰かが来る前にジャーを始末しなければならない。 暗闇に向かって力一杯放り投げた。混乱してそこに立 ちつくす。今まで自分が何をしていたのかも定かでは 無い。頭が酷く痛む。医者の手当を受けなければなら ないようだ。縫うことになるだろう。車に戻るとまだ 動くことが分かった。 |
![]() ISBN番号:1-57042-287-7 |
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He's going to be all light. He's going to be all light. 壊れた郵便受けのかけらと共に家の前に座りながら、ジョーイは20年前の事故以 来、あのジャーと目玉のことを自分が忘れていたことに気が付いた。頭を打って記憶喪 失になったのか、あるいは彼が自分で忘れようとしたのか・・・。 草むらに投げたはずのそのジャーが、今はセレステの手の中にある。彼女は蓋が緩ん で中身が出ることを恐れてか、ジャーを元の場所に戻した。半分すすり泣きながらあえ ぎつつ、シートの中でうずくまった。「Oh, shit, oh, shit, oh, shit」 「僕がやったんじゃない。ジャーをそこへ入れたのは僕じゃない。ジャーに目玉を入 れたのも僕じゃない。」「わかってるわ。あなたにできるはずがないもの。」 「あれは、ブロンドのビニールに包まれていた女の目だ。彼女は幻覚じゃなくて、僕の 記憶の中にいたんだ。」あの時、車に鍵はかけてなかったから、誰でもその気になれば ジャーを入れることができたはずだった。 そこに座っていてもしょうがないので、ジョーイは車をバックさせて通りに出た。 「町の中を見渡しながら走ろう」「何のために?」 「何か普通で無いものを探すんだ。」「この町は、何もかもが普通じゃないわ。」 「みれば僕らにはわかるはずだ。」 最初の交差点でセレステが左側の細い道を指して言った。「私の家はあっちよ。」その 方面では一軒だけ、雨の向こうで明かりのともる家が見えた。「近所の人はみんな引っ 越して、父と母が二人きりよ。」「彼らは安全だろう。」とジョーイは言ってその交差 点を通り過ぎた。 車は誰ともすれ違うことは無かった。前方左手に「聖トーマス・カソリック教会」が 見えてきた。以前は、土曜と日曜にアッシュビルの「哀しみの聖母教会」から教区牧師 と助手がきていたところだ。 ジョーイの意識はそこの窓に引き寄せられた。中で懐中電灯の光が動くのが見えた。 つづく |