日本映画4



大停電の夜に

クリスマスイブの夜、突然見舞われた大停電で光を失った東京。この中で12人の男女が織りなす様々なドラマが展開します。 12人の中で、ほとんどの登場人物が絡み合っていくというのは「ラブ・アクチュアリー」で使われた手法ですが、こちらもなかなか良く整理されています。
暗闇の中で、相手に、自分の心に、そして運命に向き合う勇気を持つことができるまでのそれぞれのドラマも、丁寧に描かれています。
路地裏のジャズバーのマスター豊川悦司と、向かいのキャンドルショップのオーナー田畑智子のやりとりが笑いを含んでいて楽しいですね。
2人の美女原田知世と井川遥の間で悩む田ロトモロヲ、見る者の意表をついた珍しい役どころですが、なかなかいい味出していました。
ヤクザな吉川晃司と平凡な主婦寺島しのぶのパートも、それぞれの資質と演技力で見せますし、淡島千景と宇津井健という熟年夫婦の機微はさすが。若手チームの本郷奏多と香椎由宇は、まあほどほど。中国名の本名が役名になっている阿部力は、物語のスタートになる重要な中国語の一言を、きっちり伝えていました。
かなり泣けるシーンも多いですが、笑いもあり、心暖まる一編です。

11月19日より丸の内ピカデリー2 ほか松竹・東急系にてロードショー  配給:アスミック・エース
ギミー・ヘブン

人間の五感のうち、複数の感覚が連動して働いてしまう「共感覚」を題材にしたサスペンス・スリラー。
ある豪邸で起きた殺人事件で、その血痕が不気味な模様を描いていました。その家の養女は幼くして親を亡くし、施設で育てられましたが、これまで3度、豊かな家に引き取られていたものの、その受け入れ先の家族はすべて謎めいた死を遂げていたのでした。
互いに理解し合える運命の相手を必死に求め、その出会いがもたらす、悲劇… というお話なのですが、その世界になじめないと、すっかりおいてけぼりにされますね。
サスペンスとしては、どんな人も一応ついて行かれる作りにして欲しかったなぁ。
相変わらずの松田龍平の不気味さも、やや食傷気味。 しかし、売れっ子宮崎あおいがこなす主人公のキャラは勢いだけではなさそう。この子、天才かも。

1月14日よりユーロスペースほかにてロードショー  配給:アートポート
THE有頂天ホテル

アメリカ映画「グランド・ホテル」から70余年、今回、三谷幸喜監督のもとに、役所広司 松たか子 佐藤浩市 香取慎吾 原田美枝子 唐沢寿明 津川雅彦 伊東四朗 西田敏行ほか正真正銘、夢のような豪華キャストが集結しました。
都内の高級ホテルを舞台に、ホテルで働く働く沢山の従業員達、ショーに出演するためにやって来る芸人達、そして様々な「訳あり」の宿泊客たちが、大晦日の年をまたいだ2時間、リアルタイムのドラマが展開します。
その夜、彼らに降りかかった信じられないような災難。そして奇跡。
迷路のようなホテルの中で、それぞれの物語は同時進行で進んでいきます。
これだけの面々を整理してうまく使う監督の手腕、さすがですね。唐沢寿明や津川雅彦のぶっ飛びキャラ作り、プロ魂というより、ご本人が一番楽しんでやっているよう。
舞台劇のような1シーン1カットで綴る三谷ワールド、文句なしに楽しめます。

1月14日より全国東宝洋画系にてロードショー  配給:東宝
天使

恋に悩むコンビニ店員、恋人と子供との間で揺れ動くシングルファーザー、学校でいじめにあっている女子中学生、様々な悩みをかかえながら暮らしている彼らのところに、ある日、自由気ままな天使が舞い降りて来ました。
天使は、様々な想いを抱えた人々にそっと寄り添い、見守りながら、勇気をあたえ、心をあたためていきます。
「下妻物語」以来の映画出演となる深田恭子が、ちょっぴりいたずら好きでキュートな天使を、魅力的に演じています。
共演には、永瀬正敏をはじめ永作博美、内田朝陽、、西田尚美、泉谷しげるら、多彩な出演者が揃っています。
天使の羽根や動きに使われているCGも素敵で、大きな愛を感じ、素直な気持ちになれる、心あたたまるラブ・ファンタジーです。

1月21日より渋谷アミューズCQN,シネ・リ一ブル池袋他 にてロードショー  配給:松竹
好きだ

17年に及ぶ想いを描いた映画です。
高校生の時に、近くにいながら、お互いに気になりながら口に出せなかった言葉。
二人はある事をきっかけに会わなくなり、17年後にばったり再会します。
17年間、ずうっと思い続けてきた訳ではないけれど、忘れることのできなかった相手に、ようやく伝える今も変わらぬ気持ち。
西島秀俊と永作博美が、この微妙な時間と気持ちをとってもうまく表現しています。高校生時代を演じる宮崎あおいと暎太もいかにも“そうそう、こんな感じ”という自然体が好感持てます。
ただ、重要なきっかけとなるのが、あまりに唐突な通り魔事件というのはどうだろうか…もうちょっと善意の流れの中で違和感のない、日常の中の出来事にしても良かったのでは、と想いました。

2006年初春、渋谷アミューズCQN ほか全国ロードショー  配給:ビターズ・エンド