ACT.7 1990年-1

  受賞後、そして結婚

カンヌ映画祭の主演男優賞を獲得した「セック
スと嘘とビデオテープ」で一躍時の人となり、
映画業界はようやくスペイダーの個性と演技力
に注目し始めた。そして、彼の受賞後第一作は
ロブ・ロウとの共演で、善良な心を持つ男と邪
悪な心を持つ男がお互いに興味を持ち、危険な
友情が事件を呼ぶサイコ・サスペンスだ。

ロブ・ロウが例の事件を思い出させるような役
を演じているのは、見上げた役者根性。

共演した女優リサ・ゼーンは言う。

ロブ・ロウは、いかにもハリウッドスターらし
く、待ち時間も陽気で賑やかだけど、ジェーム
ズは神経質になってピリピリしている。


スペイダーらしいエピソード、「演技の虫」と
言われたのもこの時だ。
しかし、そういう真摯な姿勢がこの作品の成功
の要因である。
ヒッチコック的な心理劇を脚本のデビッド・コ
ープがうまく書いていて、美しい画面と凝った
カメラワークで最後まで楽しませてくれる。
特に、殺人ビデオが映し出される部屋の美術は
素晴らしく、スペイダーの緻密な演技との相乗
効果でサスペンスを盛り上げているのである。




年代が前後しますが、この辺でスペイダーの結婚について触れておきます。

ある日彼は姉とヘルスクラブへ行った。実はヨガの教師のように円錐形のポーズを
とれるようになったので、もっと練習するためにスーパーマーケットのスタンドで
ヨガの本を買い、そこのクラブで未来の妻ヴィクトリアと出会った。
彼女はそのクラブのインストラクターだったのだ。
「自分はよくクラスで寝ていたよ」とスペイダーは思い出す。
そして、「いつか夕食を作ってあげたい」と彼女に言い続けていたというから、彼
の一目惚れかもしれない。そして、ある日彼女が言う。
「仕事のあとマリファナを吸いたくない?」
「もちろん」
そうして二人はは彼女の家まで歩いて行った。

それから毎晩彼女の家に行くようになり、話をし、時々マリファナを吸い、ニュー
ヨークの町をただブラブラした。彼はグローサリーストアに寄って彼女に夕食を作
ってあげ、後片付けをして家に帰った。
そして一緒に住むようになった。
「いつもあちこちで寝ていたよ。」(ゴロゴロした生活)二人は最もハリウッドら
しくない関係である。

1987年に結婚し、彼は妻を熱愛している。
彼等が西と東海岸に離れている時ひっきりなしに電話をしていたことが知られてい
るし、彼等を知っている人達は、彼等は正反対のものを補っている組み合わせだ…
と、そのベストカップルぶりを讃えている。
妻ヴィクトリアはハリウッドのセットデコレーターとして働き、静かで落ち着いて
いて、とても腰の低い人だそうだ。