ACT.5 1986年〜1987年

  模索のハリウッド

86年はアンドリュー・マッカーシー主演の彼
女にふられっ放しで頭に来て意地悪になる男
を演じた「プリティ・イン・ピンク」1本だ
が、87年には「赤 ちゃんはトップレディがお
好き」でダイアン・キートン 扮するキャリア
ウーマンに敵対する青年、ゴマスリを得意とす
る主人公裏切るイヤミな会社員をオールバック
の髪で怪演した「マネキン」、主役チャーリー
・シーンの友人の弁護士に扮した「ウォール
街」 などで“ヤッピー時代”の幕を開ける。

スペイダーにとっては、映画の都ハリウッドで
有名になるより、いい映画に出演していきたい
と思っていた。

当時の様子を、友人エリック・ストルツが語っ
ている。
『ある時私達は映画の撮影にフロリダへ一緒に
行ったんだ 。我々二人は極度の神経質になって
しまったよ。なぜなら ジミーは、すごいスピー
ドを出して音楽をガンガンかけ制限速度55マ
イルの所を85マイルで走ったんだ、彼はまる
で「Apocalypse Now」の中のロバート・デュ
バルがやった役のようだったよ。』


87年は5本ものハリウッド作品に出演したが、
後半2作はスペイダーの資質を生かした作品に
ようやく恵まれた。
再びアンドリュー・マッカーシーと共演した
「レス・ザン・ゼロ」で、その友人役のロバー
ト・ダウニーを破滅させる麻役の売人を不気味
に演じた。

スペイダーはブラットパック仲間のアンドリュ
ー・マッカーシー、ロバート・ダウニーJr.など
と幾つかの青春映画にでたが、彼等と行動 を共
にする事は無かったらしい。若い俳優が行くこ
とで知られているクラブやハリウッド・パーテ
ィーに出没することはまず無い。『彼は一般に
男優や女優を好んでないように思える』と彼の
「レス・ザン・ゼロ」のシナリオを書いた 友人
のハーレイ・ペイトンは云う。
この頃、彼はハリウッド通りの大きなコロニア
ルハウスを転々としていたという。ロサンゼル
スで借りたアパートはディレクターのダミアン
・ハリスが所有していたものだが、そこでとて
も親しい友人グループを作り、 彼等は夕食を一
緒に作り、夜通し語り合 い、スペイダーの気晴
しの一つである音楽を思いきり聴いた…友人ス
トルツは云う。

そして、この年の最後を飾るサスペンス映画
「殺しのナイフ/ジャック・ザ・リッパー」で
は堂々たる主役に抜擢された。ロスアンゼルス
で起きた連続殺人事件で殺された双子の弟の嫌
疑を晴らそうとするワイルドな青年を好演。
ハリウッドのプロデューサーたちに注目され、
批評家からも絶賛を浴び認められたのである。