無駄か!? 家庭用コピー機をトレスマシンに

1998/4/30 By.ねこら
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目次
1.こんなことやってみた訳
えー、今回は動画をセル画にする所の話です。
それまで私はセル画の線を描くときはどうしていたか、というと0.3mmと0.1mmのロットリングにフィルム用のインクを詰めて、なぞっていました。そもそもロットリングというのは均一な線を引く為の道具ですから、これでなぞるとどうしても線の強弱が無くなります。もっともこんな腕前ですから、線の強弱なんか犬に食わせちまえ、というか均一な方が却ってキレイとゆー話もありましてそれは余り問題ではありませんでした。
取りあえず制作がスピードアップできればなぁーと思ってやってみた次第です。

2.機材
サンヨーのSFT-50って機種を使いました。いや、単に一番安かったからです。特にこれといって特殊な機能はありません。

3.問題その1-セルがヘロヘロに…-
取りあえず紙に鉛筆で絵を描いて、セルにコピーしてみました。すると…熱の為、セルがヘロヘロに波打ってしまいました。んーむ…この波打ったセルはカメラのフィルターに使うと面白いかも…ってそうじゃなくて…購入前、密かに会社のコピー機で験した時には上手く行ったんですが…。どうも、コピーに時間がかかる(A4を1枚コピー3〜4秒)のがいけないようです。会社の高性能マシンは熱を通すのは一瞬ですからOKだったんですね。これはいきなり困りました。

どう解決したか、というと、セルの代わりにOHPシートを使いました。OHPシートといってもペンで描いて使う薄いものでは無く(あ、ちなみにあれをコピー機に使うと融けてドラムに張り付いて悲惨な事になるので気を付けて下さい)、“熱転写プリンタ”用のものです。そのものずばり“コピー機用”というのもありますが、これはより高価で、しかも分厚いので重ねるとすごく暗くなってしまうのでよろしくありません。
OHPシートとセルの違いはだいたい以下の通りです。
  1. (長所)コピー機の熱にも耐えられる。
  2. (長所)入手し易い。買うのも恥ずかしくないし。
  3. (長所)大きさがA4である。コピー機がA4対応なので何かと便利です。私は半分に切って2枚にして使ってました。
  4. (短所)セルより薄い。ちょっと取り扱うとき手応えが無くてやり難いです。まーたいしたことではありませんが。
  5. (短所)カッター等で切り難い。セルはカッターで表面に切れ目を入れるとパキッと折れる感じで切れるのに対し、OHPシートは2重構造(素材の上に更に薄くコーティングされている)になっていまして、きちんと下まで切らないと切れないのでした。
  6. (短所)ロットリングのインクの乗りが悪い。あと、塗料も水で薄め過ぎると乗りが悪くなりました。
余りそう変わった点はありませんでした。

4.問題その2 色トレス線が写る
コピー機は人間のごとく黒い線だけを見分けて写し取ったりしませんから、動画に色トレス線を描いたものをコピーするとそのまま写ってしまうのでした。
とはいうものの、そんな事は始める前から分かっていましたので対処は考えてありました。

色トレス線は裏に描くってだけの事でした。うん、簡単ですね。

5.問題その3 タップ穴との対応
そろそろ割と深刻な問題です。
コピーした後でセルにタップ穴を開けなければなりません。
タップの穴はすべての基準ですから、ズレるとどうにもなりませんから、どうやって動画の穴と正確に一致する位置に穴を開けるか…。あれこれ試した結果、次の手順に落ち着きました。
  1. 動画を描く。
  2. セル(OHPシート)にコピーする前にタップ穴を黒マジックで縁取る。
  3. コピーする。マジックで縁取ら、タップ穴が見える。
  4. 穴を開けるパンチャーの裏蓋を取り、逆さに持つ。
  5. セルをパンチャーに差し込み、パンチャーの裏から覗きつつ、開ける穴とコピーされた穴を一致させて、穴を開ける。
  6. これを一枚一枚繰り返す。
手描きトレースに無かった「マジックで穴を縁取る」と「パンチャーで正確に穴を開ける」、という余計な2工程が増えてしまいました。気に入りません。「穴を縁取る」方は、コピー機に細工をして、大体穴のある位置に黒い紙を毎回乗せる、って方法も考えられますが…。もっとうまい方法は無い物か、と模索中なんですが、時代は既に2DCGな気もしてます。

6.作業時間短縮
最初に狙った効果なんですが、残念ながらいまいちでした。上記の問題点その3で余計な工程が増えたこともありますが、真の原因はまた別の所にありました。
作画してそれをセル画にするには、私の場合、
  1. 取りあえずアタリを取る。線がごしゃごしゃしていて、そもそも絵に見えない。
  2. 紙の裏にクリンナップして、同時に影を付ける。
  3. 裏に描いた絵をセルにトレスする。裏から行なうと、インクを塗料が保護してくれるので表を擦ってもOKになって何かと都合がいい。
  4. 色を塗る。
という手順を経ていました。アタリの後、一度クリンナップして一応絵としては完成に見えますが、実はこの時点でもかなりアバウトでして、線がつながっていなかったりしています。セルにトレスするときは下絵に忠実に行なうのでは無く、更にクリンナップしつつ行なっていました。まー全部自分の絵だから出来る、アマチュアならではの方法といえますね。
コピー機はクリンナップなんかしてくれませんから、その前にもう一度、別の紙に、それまでセルで行なっていた筈のクリンナップをする必要が出てきました。そうすると…そう、全然工程が減って無いっていうか、増えてるーっがーんっ。
1回目のクリンナップの完成度をそのままコピー出来る位に高めれば万事OKなのですが、そりゃ無理です。この辺は、誤算でした。トレスの隠れた効用?を見逃していました。自分の事なのに…。

7.線の表情
これは別に狙ってた訳ではありませんが、以外と効果がありました。鉛筆の線をそのままコピーしますから、アップの時など線を思い切り太くできますし、影や汚しをシャカシャカ入れられる(やりすぎると懐かしのTVアニメ調になってしまうけど)ので結構使えます。あと、コピーにしてから結構効果線を動画に描くようになりました。

8.ものさしが使える
これも別に狙ってた訳ではありませんが、なかなかの利点でした。
それまでのセルにロットリングで描く方法ですと、セルを少しでもこすると線が消えてしまいました。ですからものさしを使ってトレスをすると、無残な結果になります。ものさしの下にマッチ等貼り付けて表面から浮かせるという技もありますが、やはりやり難いものです。
コピーならば元は鉛筆ですからものさしも使い放題です。というわけでFinal Project 7ではここぞとばかりに使いまくって見ました。

9.結論
余りお勧めできません(おいおい)。
私の場合はあまり作業時間短縮には効果はありませんでした。一応、Final Project 7以降のセルアニメは全てこれで作ってますが、最近はCGに移行しつつありセル自体使用していません。
とゆー訳で、コピー機は去年から実家で年賀状関係に活躍しています…。考えてみるとこれこそメーカーの想定した本来の使い方な気もします。やっと更正して本業に励んでるとしておきましょうか(笑)。
コピー機買うならパソコン買おうってとこです。


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