『金色のりんごの落しもの』 
            
ある、お月さまのきれいな晩、森のはずれにある野原で2匹のウサギが遊んでしました。
この2匹のウサギは仲のいい兄妹です。
とても月がきれいだったからでしょうか?青白い月明かりの中、
2匹のウサギはびょんぴょんはねまわったり、
草のかげに隠れてかくれんぼをしたり、とても楽しそうです。
お月さまが雲に隠れてあたりが暗くなった時、小さい方のウサギがすこし離れたところの草むらが
ボーっと金色に光っているのに気が付きました。

「ねぇお兄ちゃん、ほら、あそこ、何かあるのかな?光っているよ」
「本当だ、なんだろう? 何かあるみたいだ、ようし行ってみよう」

2匹はおそるおそるその光に近づきました。そ〜っと近づいてのぞいてみると、それは、金色に
光るりんごでした。お月さまが雲に隠れて暗くなった草むらで、
そのりんごはお月さまにも負けないくらいキラキラひかり輝いていました。
「きれいねぇ。。まるでさっき夜空で光っていたお月さまがここに落ちてきたみたい」
いったい誰が落としていったのでしょう・・

「お兄ちゃん、これ、だれかのおとしものかしら?こんなきれいなりんご、きっと大切に
していたに違いないわ。きっと今ごろ困って、探し回っているでしょうね」
「あ!お月さまのかしら」そう言うと、小さいウサギは空を見上げました。
けれど、お月さまは雲に隠されてしまっています。
「お月さまに話がしたくても、雲が邪魔でできないなぁ」お兄さんウサギも空を見上げて言いました。

「そうだ!お兄ちゃん、ふくろうじいさんに聞いてみようよ。きっと誰の落し物かわかるわ」

ふくろうじいさんは、この森のはずれにある大きな古木に住んでいる、なんでも知っている
おじいさんふくろうです。もう。。何年も何年も昔からこの森に住んでいるのですから、物知りです。
だから、この森のみんなは、わからないことがあると何でも知っている
ふくろうじいさんのところに行くのでした。

2匹はそ〜っと金色に光るりんごを拾い上げると、ふくろうじんさんのところへ急ぎました。


「ふくろうじいさん、この落し物、誰のだかわかりますか?」妹のウサギが聞きました。
「おや?仲の良いウサギの兄弟、何かな。」
「この、きれいなりんごの落し主を探しています。これは、いったい誰のでしょう
お月さまのではありませんか?」
兄のウサギが言いました。
ふくろうじいさんは、そのりんごを見て言いました。
「この森では、そのようなものを持っておるものはおらんよ。さっきまで、お月さまとも話をしとったが、
落し物があるとは言っていなかったなぁ。」
2匹は顔を見合わせていいました。
「ふくろうじいさんが知らないなんて、いったい誰のなのかしら。。」


トボトボと2匹のウサギは、りんごの落ちていた野原まで戻りました。
「もしかしたら、落し主がさがしにきているかもしれない。」そう思ったからでした。

お月様は、雲に隠されてしまったまま、野原には、すすきが揺れているだけでした。

ふっと見ると、小さな明かりがゆらゆら向こうの森のほうから近づいてきます。

「お兄ちゃん、あれ。。りんごの持ち主かしら?」
「誰だろう。。」

その光は、野原の中を何かを探しまわるように近づいてきます。
「きっとこのりんごの持ち主だわ!」

それは、この森に住む山の神様の使いでした。
ウサギの持っているりんごを見ると一目散で近ずいてきます。

「あーよかった!見つかった!」
「このりんごの持ち主さん?」

「はい、そうです。落してしまって探していました。ありがとう、
よかった、北の森の悪い神様の手に渡らなくて。」
「大切なりんごだったのですね、ふくろうじいさんに聞いても誰のかわからなくて。。
でも、よかった見つかって。」


この森の神様の使いの妖精は、とても大切なこのりんごを、西の森の神様に届けるところでした。
途中、意地悪なキツネに追いかけられて、りんごを落してしまったのです。
不思議な力をもつ、この金色のりんごを。

使いの妖精は、何度もお礼を言うと、りんごを大事そうにかかえて、西の森の方へ消えて行きました。

「よかったね、お兄ちゃん落し主が見つかって」「うん!!」

やがて、雲に隠れていたお月様も顔をだし、野原一面青白い光に包まれます。
すすきの穂も輝き、2匹のウサギは、またぴょんぴょん野原を駆け回ります。


何日かしてから、2匹にこんな手紙が届きました。
『あなたたちのおかげで、この森を守る事ができました。ありがとう。
                                    森の神 』

きれいな月夜の晩に、2匹のウサギを見かけたら、このウサギの兄弟かもしれません。
平和な森のウサギたち。


ほら。。きれいな音楽が聞こえてきそう。。。。