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アマチュアの愛好家にとってF−1は、当時は高くて買えなかった。今は状態の悪いものなら手頃な価格で手に入る。状態が悪くて良いのだ。強堅な金属の塊は、外見が悪くても中は故障していることが少ない。しかも精悍なブラックボディに見られる擦れから覗いた真鍮の色こそが、このカメラがくぐり抜けて来た最前線を彷彿とさせる勲章なのである。
ここまでの名機を作り上げたが故とも言える欠点がある。ぎりぎりまで切り詰めたミラー幅は、普通の使用には問題ないのだが300mmを超える望遠レンズ使用時にミラー切れという現象を起こし、ファインダーの像よりも上に少し余計に写りこんでしまうのだ。特に600mm以上を常用するプロスポーツカメラマンにとっては致命的とも言える。
もうひとつ、これも欠点といえば欠点なのだが、これがF−1の特質、なにしろ重い。あの巨大なファインダーを持つニコンFフォトミック(820g)より重く、ボディだけで845g、50mmf1.4のレンズをつけると、1160gに達する。しかしその重さが、しっかり脇をしめて構えることにより手ぶれの起きない完全なホールディングを実現してくれる。
実は私はニコン贔屓なのであるが、限界の環境下で何事もなかったように作動するキヤノンF−1については「最強の信頼性」という称号を進呈したい。 |