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Canon F−1  (Japan 1971) 

 

1960年代半ばから5年の歳月をかけて開発されたキヤノン一眼レフのフラッグシップとなったF−1は、当時プロフェッショナルな機種のなかったキヤノンがニコンFに対抗して自信を持って送り出した一品だった。
その開発コンセプトの第一義は「悪条件下での酷使に耐え抜く信頼性」。通常のカメラの開発10台分のエネルギーを費やしたといわれ、その結果得られた連続レリーズ10万回の耐久性能、−30℃〜+60℃、湿度90%に耐える環境性能などが、絶対の信頼を勝ち得ていたニコンの独占市場へ切り込む事を可能にし、「重戦車」のニックネームでプロ市場に受け容れられた。
キヤノンF−1発売の半年後、ニコンはF2を世に送り出し、2社のプロユース一眼レフ戦国時代は続いた。ニコンF2は、F−1に比べてメカニカルな作動がスムーズで、ノーブルなイメージがある。F−1は野生児の趣き。プロがガンガン使うのには、F−1の方が逞しく感じられる。もちろんニコンFシリーズも機械カメラとしてF−1に劣らない 堅牢さを備えてはいるのだが、ニコンのフォトミックファインダーが武骨なデザインで、かつ衝撃に対して弱いことに関してはキヤノンに軍配があがる。TTL露出計をボディに収め、ファインダー部分はニコンのアイレベルと同等の大きさの金属で覆われたペンタプリズムのみにしている分、より頑丈になっている。内蔵露出計を必要としないのならどちらでも良いことではあるが。
アマチュアの愛好家にとってF−1は、当時は高くて買えなかった。今は状態の悪いものなら手頃な価格で手に入る。状態が悪くて良いのだ。強堅な金属の塊は、外見が悪くても中は故障していることが少ない。しかも精悍なブラックボディに見られる擦れから覗いた真鍮の色こそが、このカメラがくぐり抜けて来た最前線を彷彿とさせる勲章なのである。

ここまでの名機を作り上げたが故とも言える欠点がある。ぎりぎりまで切り詰めたミラー幅は、普通の使用には問題ないのだが300mmを超える望遠レンズ使用時にミラー切れという現象を起こし、ファインダーの像よりも上に少し余計に写りこんでしまうのだ。特に600mm以上を常用するプロスポーツカメラマンにとっては致命的とも言える。
もうひとつ、これも欠点といえば欠点なのだが、これがF−1の特質、なにしろ重い。あの巨大なファインダーを持つニコンFフォトミック(820g)より重く、ボディだけで845g、50mmf1.4のレンズをつけると、1160gに達する。しかしその重さが、しっかり脇をしめて構えることにより手ぶれの起きない完全なホールディングを実現してくれる。

実は私はニコン贔屓なのであるが、限界の環境下で何事もなかったように作動するキヤノンF−1については「最強の信頼性」という称号を進呈したい。

 

 

巻き上げ角はこの前期型(1971〜1976)の180度から後期型(1976〜1981)では139度に改良されているが、その分、巻き上げ感覚は前期型の方が格段にスムーズ。 セルフタイマーレバーの下のノブでミラーアップや絞込測光が簡単にできるのは非常に便利。

 

 
ニコンの押し込み式よりスムーズで使いやすいレールスライド式脱着のファインダー。(ブースターTファインダー、ウエストレベルファインダー、スピードファインダー、サーボEEファインダーの4種が供給された。)   極薄のチタン幕横走シャッターが高速走行と高い耐久性を実現している。 1981年登場のNew F-1の縮緬塗装に比して美しく滑らかな黒塗り。
F−1にシルバーボディは存在しない。

 

 

 
フィルムがしっかり押さえられるように有効長63mmもの長い圧板。   総点数1348にも及ぶパーツで構成されている。

 

 

 

Canon
24x36mm on 35mm film
ex. Canon FD f1.4 50mm
B,1-1/2000

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