塚本晋也 【音楽】 石川忠 【出演】 塚本晋也(ヤツ)/ 田口トモロヲ(金属に憑かれる男)/石橋蓮司(謎を知る男)/藤原京(男の恋人)/ 叶岡伸(ヤツに操られ金属に憑かれる女) 【物語】 鉄に取り憑かれ、鉄と己の肉体を融合させ、NEWWORLDを作ろうとしている<ヤツ>は、融合実験に失敗、発狂し、外に飛びだしたところを、男の車にはねられてしまう。 男と同乗していた恋人は、<ヤツ>をスクラップ場へ捨て逃げ出す。 そんなある日、異変が男を襲う。頬に金属の刺のようなものがはえてきたのだ。男はおののきながらも日常生活を続けようとするが、駅のホームで金属に浸食された女に襲われる。その場はなんとか逃げ延びたが、男の肉体は徐々に金属に冒され始める。 <ヤツ>の呪い。 恐怖に怯える男の肉体は加速度的に金属へと置きかわっていく。そして、ついに、心配する恋人をドリルと化したペニスで刺し殺してしまう。半狂乱になった男のもとへ<ヤツ>からメッセージが届く。「今から行く」と 。 瀕死の状態でスクラップ場の中へ放り込まれた<ヤツ>はついに金属と融合することに成功し、その影響は男にも及んでいたのである。 鉄と肉を融合させた、二人の「鉄男」は激しく戦い、混じりあい、やがて一つの大きな塊となる。 NEW WORLD 塊は、世界を破壊し尽くすために、疾走する。 【ここがシビレた】 しょっぱなから、もう、なにもかもがカッコよい! 灰色がかったモノクロオムの世界。肉体の一部しか映らない男。石川忠の緊張感ある音。己の太股にナイ フを突き立てる! あふれる黒い血(モノクロだから)、荒く早い呼吸音。肉の中に金属の棒を埋めこむ震える指。「鉄男」がダメな人はここで、すでに挫折するそうなので、この場面をカッコいいと思えるかどうかで、塚本信者になれるかどうかの、踏み絵になってる気がする。 わたしはここでファンになった。 【感想】 今も多くのファンを魅了し続けている「鉄男」。 塚本監督の原点であり、最終到達点でもあると思う。いや、ここから進んでないということじゃなく、ぐるりと回ってやがて、戻ってくるというか。そういう感じ。全面的に暴力が押し出されているので、ダメな人はダメだと思うが、これも一つのNEWWORLD-パラダイスだと思うが、いかが? 主演の田口トモロヲ氏の演技ももちろん、素晴らしい! 田口氏あっての「鉄男」であると言っても、バチは当たらんだろう。個人的には、オープニングの痙攣ダンスが好き。ばちかぶりを思い出す(笑) 石川氏の音楽も素晴らしい。もともと、インダストリアル系の音楽は好きなのだが、好みは横においておいても、映像にぴったりとあっている。 ざらついた、悪夢のような質感の映像。狂気をうちに孕んだ役者。猛々しくもストイックな音楽。これが、映画というものかと、ウロコがぼろぼろ落ちた気がした。 ところで、何回見てもわかんないのだが、石橋氏の役割っていったいなんなの? <ヤツ>が破壊の権化だとしたら、その破壊を止めた石橋氏は、神の代理人としてのシャーマンなのだろうか。ま、いいけどね。どうでも。 【ビデオ】 ジャパンホームビデオより発売。14523円 。 まだ売ってるかどうかは不明。高くて泣いたが、買っといてよかった。 【DVD】 ビームエンタテインメントより発売中。5800円。ビデオの半額か……。 1989年7/1から中野武蔵野ホールにてレイトで公開開始 先行公開として「プレミアム・メタル・ナイト」と称して「ばちかぶり」サイキックライブ+「鉄男」の上映。司会にいとうせいこう氏。ゲストに伊藤与太郎(メトロファルス)、ケラ(有頂天)、大槻ケンヂ(筋肉少女隊)、泯比沙子 |