○月×日

静かな昼下がり。ふたつの教室では授業。文書書きをしている私の横では、ショーンが『ジャイアント台風』を読んでいる。

授業中のジョンが、教室から頭だけ出して聞く。

「セイコ、“あんけえとぉ”ってナニ?」

アンケート?“survey”」

「アリガト」

授業を終えて戻ってきたジョン。

“‘あんけえとぉ’って何語だろう。フランス語でもドイツ語でもない。日本語でもないのなら、中国語かな”

“フランス語じゃなかったかな”と答えると、自信満々で“ボクはフランス語がしゃべれるんだ。そんな言葉はない。きっと中国語だ”

“日本語にはたくさんの中国からきた言葉があるよね”

とショーンも加わる。

広辞苑には『enquete(フランス語)』

そこへショーンのクラスの女の子が

「My ハートフル present」

と紙包みを手渡し。オッオー。私達の視線にショーンは照れ隠しか

“‘はーとふる’って何だろう。そんな英語はないよ”

“日本人はheartが好きだからな。‘ろーま字’だよ”

とジョン。私が

“ランダムハウスで見た。heartilyとだいたい同じ意味”と言って辞書を開くと、ちゃんとheartfulは載っていた。

そのとき教室からゲイリーが

「セイコ、choreographのニホンゴは?」

振り付け

即答する私に、ショーンは

「セイコはホント walking-dictionary歩く辞書)だねぇ」と感心してくれる。

そこへ入会希望者。書類を作りながら

「のりこ、はどういう字ですか」と聞いたら

「辞典の典です」

漢字が出てこない!焦りまくる私に、ショーンがうれしそうな顔で

「ボクが書いてあげようか」

「ハート」というと心を連想するけれど、heartの第一義は「心臓」です。だから「あなたのハートにアタック」なんていう文章は、英米人から見ると変なんです。heart attackは「心臓麻痺」だから。heartfulは日本での方が有名な単語です。『フランダースの犬』みたいね) 


☆☆ 今日のOne Point Lesson:
“How do you spell your name? ”
「お名前はどう綴るのでしょうか」

海外で名前を聞かれます。

May I have your name?

これは What's your name?の公式形です。

名前を答えると、たいてい冒頭の質問がきます(ちなみに外国人はローマ字をその通りには読めません。この前、「ゴーシミーアイってなに?」と聞かれて悩んだ挙げ句、『ご氏名』とわかってすっかり力が抜けました。このローマ字というのは外国人にとってひどく奇妙なものらしく、和製英語や変な使い方の英語を見ると「ろーまじね」とよく言っています)

それに対する返事は

I spell my name N-A-K-A-T-A.(= My name is spelt N-A-K-A-T-A.)

日本語では「スペル」みたいに名詞として使いますが、名詞として使うときは必ずspellingにしてください。“spell”だと「呪文・魔法」です。

What is the spelling of “McVay”?

「マクベイ」はどう綴りますか。