抗
Jka抗体による遅延性輸血副作用<はじめに>
抗Kidd抗体は、抗体価が急速に低下するので、交差適合試験で検出できないことが多いが、対応するKidd抗原の再輸血によって抗体が早期に出現(二次免疫応答)して、遅延性輸血副作用の原因となることが知られている。今回抗Kidd抗体の一つである抗Jka抗体による遅延性輸血副作用と思われる症例を経験した。
<症例>
患者は
63才女性。血液型はO型、Rh型はDCcEe、Jk(a-b+)。既往歴はs48に卵巣嚢腫で右卵巣切除。s49腸閉塞にて腸切除。s55胆石手術。妊娠・出産歴1回。<経過>
高血圧、慢性膵炎で某内科医院通院中の所
H10年1月より全身倦怠感あり、貧血を呈した。T-Bil0.2mg/dl,LDH419IU/l。
・
3/30〜4/8の間に通院で10単位輸血施行。Hb8.8g/dlと回復。・
4/18にはHb5.7g/dl,RBC174×104/mm3と低下した。消化管検査するも異常なく、貧血の原因が不明で精査のため
4/23磐井病院に紹介された。RBC181×104/mm3, T-Bil0.8mg/dl
LDH483IU/l基礎疾患はMDSのRAタイプと診断。
・
4/27 赤十字血液センターでも抗Jka抗体同定。間接クームス
(+)。・
5/1・21 直接クームス(-)、間接クームス(+)。・
7/1 赤十字血液センターに抗体同定依頼するが抗Jka抗体を含め不規則抗体は検出されなかった。その後も、
MDS-RAによる貧血改善のためH11年7月までに、14回輸血(常にJka(-)のMAP)。そのつど輸血前、交差適合試験と同時に抗体スクリーニング検査を行っているが、陰性のままである。<考察>
この患者は、既往歴、手術歴が多く、輸血歴は不明。抗体産生されたのが妊娠・出産によるものか、輸血によるものか確認できなかった。
今回のケースでは輸血副作用がおきたと思われるときから約
1.5〜2ヶ月後に抗体検出不能となった。某内科医院での輸血前検査の段階でも検出レベル以下まで抗体価が下がっていたと思われる。
<今後の対策>
1.
今回のような低力価の抗体が存在することを考えて、ブロメリン/クームス法で疑わしい検体について、検出感度の高いPEG法での再検査をする。2.
量的効果・抗体の低力価の点から輸血前には、交差適合試験だけでなく不規則抗体スクリーニングをする必要がある。3.
経過観察のため、抗体価の測定をすることも有用である。4.
不規則抗体等を有する患者の転院の際には、再び輸血副作用を起こすことのないよう、十分な説明が必要だと思われる。