今年のツール・ド・フランスも終わり,中島らもも死んでしまい,なんともショボーンとした気分の今日この頃,しかし,われ等のフジロックフェスはやってきた。

500円貯金に使ったキノコの貯金箱。
19枚貯まった。
会社を定時で上がり,まずはお金を下ろす。チケット代,宿泊費,交通費込みで予算10万円。フジロックはなんともお金がかかる。それから持ち物をまとめ,11:30pmに家を出発。往路のCDは,アトミックスウィングのファースト。最近,というか今ごろになって,これがお気に入り。関越道で前を走る車のナンバーが黒に黄色。黒に黄色のナンバーって何の意味だったかな,などということをクヨクヨ考えながら走る外の天気は雨。台風の雨。眠い。それでも上信越道に入り碓氷峠を越え平野部に差し掛かると,空は天気。星がきれい。眠気が覚めた。午前4時頃,実家に到着。仮眠。

湯沢からの上り口に横断幕が。
5:30am出発。hは今年は2日目からの参加なので,Kの赤のjeepで先遣隊の2名が出発。湯沢からの上り口まではとてもいい天気。くねくね坂を登り,トンネルの辺りから雨。宿泊をお願いしてあるヒュッテSに7:30am頃到着。荷物を置いて,朝ごはんを戴く。おかわり2回。
雨はなんとか小康状態に入り,雨具が無くてもギリギリ大丈夫な状況。駐車場は今年は白樺。

白樺駐車場
クルマをとめ,荷物を持って会場に向かう。距離的には昨年のプリンスの駐車場よりは近いようだ。オフィシャルショップの横にある総合受付でチケットとリストバンドを交換。並ばずに済んだ。今年からICチップを採用した新しいシステムになったのが奏功したのか,入場ゲートでも非常にスムーズ。カイゼン。

「晴れてよかったね」
雨が降っていたので足場が心配だったがグリーステージ周辺はかなり水はけがいいらしく,また初日ということもあって,コンディションはまったく問題無し。というか,日が照ると日差しが結構きつい。Kに借りた携帯式空気膨張型クッション一人用を敷いてその辺に座り,ハイネケン。太陽に備えて,日焼け止めクリームを塗布。耳無し方一の物語を思い出す一瞬だ。キヨシローの「田舎へ行こう」が流れてくると,嗚呼フジロック。雨でもいいかって気分になる。
そのままグリーンステージで座ってまったりしながらBRITISH SEA POWER,PE`Zを観たあと,オアシスで昼飯タイム。もう一回グリーンステージに戻ってHAVENを観た。そのあと,日高の大将による感極まり気味の紹介を受けて,ルースターズが登場。20年ぶりの復活なんだそうだ。

ZUTONSに向かうK
ルースターズを途中で抜け,我々はレッドマーキーのZUTONSに向かう。hが気になるバンドだというので,先遣隊としては調査する必要があるためだ。レッドマーキーでは既に演奏が始まり人があふれていた。一発聴いただけで気に入った。自分はGomezのステージを何年か前にこの苗場で観てたいそう気に入ってそのまま聴きつづけているのだが,このZUTONSはちょっとそのGomezの楽しさ,アイディアあふれる感と似たものを感じて好きだな。

Zutonsいっぱいで入れなかった
その後グリーンに戻り,PJハーヴェイ。赤い服。ギターはトロージャンズのギャズ?

マタネ
そしていよいよ,Pixies。今日初めてステージ前に移動。いい位置をキープ。メンバーが登場するとあちこちから「わー,太ってる」「太ってるよ〜」という愛情こもったため息が。ブラック・フランシスは,まるでアーミテージ米国務副長官のような,いや,というよりむしろ,バンバンビガロのような,あるいはドラえもんのような素敵な体格に成長していた。そして頭はスキンヘッド。そのルックスに癒される暇も無く,いきなりBone Machine。すごい。カッコいい。カッコよすぎる。凶暴で疾走感あふれる演奏が終わると,ブラック・フランシスは「マタネ」とひとこと言い,仁王立ちのままなにやら飲み物をごくごくラッパ飲みしたあと,それで気が済んだように帰っていった。「ロック音楽はデブでメガネで,学校でも友達がいない奴のためにある音楽だ」という彼のかつての発言を思い出した。ブラック・フランシスはデブを救済した。
その後,ルーリードを見て大笑いしたあと,我々は早めに宿に戻り,テレビで明日を読み,Kが早速購入したZUTONSのCDを聴きながら就寝した。
翌朝は熟睡した後の心地よい目覚め。苗場の夜は涼しくて久々に熟睡した。それからきちんとした朝ごはんも久々に食べたと言える。今日もおかわり込みでごはん3杯。山菜のおひたしとみそ汁がうまかった。朝ごはんの時にhが宿に到着し,合流。やっとこれでいつもの3人が揃った。服装,装備を充分に検討し会場に向かう。

会場に向かう
雨が時々降ってきたかと思えば,強烈な日差しが照るといった,昨日と同様の天気。雨に備えてボンチョを持参。

スズキ待ち
今日はまずホワイトステージに直行。ムーニー・スズキが目的だ。実は昨年のリキッドルーム,カトー・サルサ・エクスピリエンスとのジョイントライブの際,このムーニー・スズキのベースが私を指差した後ギターのピックを投げてよこした,という重大事件があり,投げてよこされた側としては,日本人の礼節を示す意味でも駆けつけねば,という気持ちだった。実は私はそのリキッドルームでの印象から,このバンドはキャラクターはともかく,音楽的にはあまり面白みは無いかなという,とても礼節をわきまえた日本人とは思えない感想を持っていたのだが,この日のステージはすごく良かった。彼らのお馬鹿で明るい個性が,開放的なフェスの雰囲気にマッチしたのかもしれない。もしかすると新しいアルバムがいいのかもしれない。そういえばリキッドでも「新曲」と言って演奏した曲が一番よかったし。
そして,オレンジコートに移動。オレンジコートは昨年の夜の雨でドロドロな記憶しか無かったせいか,比較的天気で昼間のオレンジコートは,見違えるような快適なスペースになっていた。実際スペースも昨年より広がっていたと思われる。サッカーゴールが並べてある小さな土手の上でひと休み。

hをさがせ
LOS AGUJETASを観るというKをオレンジコートに残し,私とhはレッドマーキーに向かい,22-20sをチェック。2曲ほど聞き,あまりパッとしなかったので,早めにグリーンステージに行ってフランツ・フェルディナンドを前のほうで観ることにする。フランツ・フェルディナンドはなかなか良かった。曲がいいし,サービス精神も良好でフレンドリーなところがいい。楽しいステージだった。
これが終わった後の時間を利用して,オアシスで昼飯。このあと去年見逃したベンハーパーを観るつもりだったが考えが変わって,BEN KWELLERを一番前で見るため,レッドで待つことにする。

sha sha♪
フジロックで「太ってる」と言えばピクシーズ,大相撲で「イクナイ」といえば朝青龍(好きだけどね),
そして「かわいい」と言えば,このBEN KWELLERである。音合わせの時早く出てきて自分で楽器の調整をしていたがあちこちで「かわいい」という声が。ほっぺの赤くないベック,といったルックスで,観ていると「はつらつ」−魚が元気よくとびはねるさま−,という国語辞典の単語が連想される。ステージは元気いっぱいというか,元気が有り余っているというか,とても良かった。

いつもの集合場所,エジプト
静かな曲調の前半から絶叫+ギターギュンギュンの後半という曲調が,単純だといえば単純だけど見事にはまっていて,ハーパーは観れなかったけどクエラーが前で観れたので充分満足。CD買おうと思った。
この後,集合場所のエジプトでK,hと一旦集合。
忙しい忙しい。次はフィールド・オブ・ヘブンでベル・アンド・セバスチャンだ。Kはコートニー・ラブがちゃんと登場するのかチェックすると言うので,hと私はヘブンに急ぐ。途中のボードウォークを歩いているときにホワイトから聞えてきたドロップキックマーフィーのバグパイプの音がなかなか気になったが,そのまま歩く。

フィールド・オブ・ヘブンにて
ヘブンではもうベルセバが始まっていた。ロック的でない感じ。手拍子がしながら踊るのが似合う感じ。熱いというよりは温かい感じ...こう書くとどうもダメな感じが高まってしまう自分の表現力の無さが残念だが,スチュワートのひねくれた性格とか歌詞なんかの予備知識が多少あったことも助けになったのか,正直私はハマッタ。
CDは持っていたし,好きな曲もいくつもあるけど,でもフェスにはどうなんだろう,ってのが事前の印象。でもこれはまさにフェスに似合う楽しいステージ。ポーリー・ウィークエンダーを主催していたのは伊達ではなかったというか,私の耳が節穴だった。明日も観ようと思った。
ひと休みして夏野菜カレーを喰う。刻んだオクラが申し訳程度に2,3欠けのっているだけのカレー。他よりも100円高い600円のカレー。でも,確かにカレー自体の味は良かった。
次はDONAVON そしてJack Johnsonという,昨年の朝霧の連続技,苗場のフィールド・オブ・ヘブンで再び。まずはDONAVON。朝霧では2人でのアコースティックセットで澄んだギターが心地よかったが,今日は4人でのバンドセット。ちょっとあれだった。
DONAVONはまだ途中だったが,ホワイトのゆらゆら帝国が始まりそうなので移動。前回は確かグリーンの朝でやって,ちょっと今ひとつだったが,今回は夜。いつもの調子が出たようだ。発光体の演奏中,片手にビール,女性に支えられながらよろよろと人並みを分けて前に進んでいく50代と思しき男性が。一瞬中島らもの亡霊かと思ったが,よく見ると顔はいしいひさいちに似ていた。
ゆらゆら帝国が終わったので,再びヘブンに戻り,ジャックジョンソン。
フジロックでは「太ってる」といえばピクシーズのブラック・フランシス,「かわいい」といえばベン・クエラー,「イクナイ」と言えば朝青龍(ほんと好きなんだけど)と相場がきまっているが,「カッコいい」といえばこの人,ジャックジョンソン。あちこちで「かっこいいなー」という声が漏れていたし「カッコいい!」という掛け声も跳んでいた。実際かっこいいんだ,これが。顔はちょっとゴリラ系だし,丸坊主,服装もラフでじゃあどこがカッコいいの?と問われたなら,人となりとかたたずまいって答えたらいいだろうか。音楽のセンス,控えめで誠実そうな性格,スローライフを実践するスタンス。朝霧のときはまだピンと来てなかった自分だけど,今回は来た。メンバー紹介「こちらが,〜です。こちらが〜です。わたしがジャックです」が良かった。ゲストにDONAVON,それから黒人のパーカッションの人,そしてやっぱり来た,ベンハーパー!アンコールでもベンハーパーが出てきて二人で演奏。しびれた。

なんば歩きで駐車場の坂を登る
ジャックジョンソンの余韻に浸りながら非常に充実した今日を振り返りつつ,グリーンに向かう途中でTシャツ売り場に寄ってみると,Kとhが居た。ベンハーパーが出てきたことをhに話悔しがらせ,宿へ帰った。我々とほぼ同時に沢村さん母娘も帰宅。2人でケミカルブラザーズで踊ってきたそうだ。いいよいいよー。
シャワーをもらい,カメラのデータをノートPCに落とし,ついでにたまたま持っていたジャックジョンソン+ベンハーパーのビデオクリップを再生。まさに今日の場面はこれだったと確認。最後に,帰りに買ったジャック・ジョンソンのCDを聴き,2:30頃就寝。
最終日,今日もおいしい朝ごはん。おかわり3回。準備をしてから,外に出て沢村さんたちと記念撮影。今日は天気が良さそうだ。

ビール運び中
今日前半は特に目をつけたバンドは無かったので,グリーンでまったり過ごす。
最初に登場したのはTHE SOUNDTRACK OF OUR LIVES。ロニーホーキンスみたいなボーカルがモッシュピットに下りてきて,皆を座らせ説教。そして「みんな立ちあがれ」の合図で大盛り上がり。
次に出てきたのがJAMIE CULLUM。ジャズをベースにしたサウンド。ピアノを弾きながら歌うボーカル,ちょっと原田真二を彷彿させるものがあったが,とても良かった。最後にRadioheadのHighAndDryをカバー。寝転んで目をつぶりながら聴いた。気持ちよかった。
次,COSMIC ROUGH RIDERS。まさにティーンエイジ・ファンクラブ。曲はなかなかいいので,ライブ演奏がもう少し良くなるといいかも。

エジプトで集合。hをさがせ
レッドマーキーから流れてくるサンボマスターを脇に聞きながら,オアシスでめし。
レッドマーキーでTHE STILLSを少し聴いたあと,グリーンに移動し,JET。盛り上げ上手。よかった。
このあと,レッドマーキーのKEANEが少し気になっていたが,疲れたのでグリーンの芝生で座って,ホワイトストライプスを待つ。人の中で動いているときは気にならないけど,こうして座っていると結構風が寒い。
そして,ホワイトストライプス。自分は一昨年のレッドマーキーで何も知らずに初めてみて,そのかっこよさにぶちのめされた口だが,そのときに比べて狂った部分が少なくなったのがちょっとだけ物足りなかった。まあグリーンステージのトリだし,しょうがないか。なんて感想はもったいなさすぎ。充分よかった。

問題の写真
ホワイトに移動。GRAHAM COXON。決めのジャンプの後でよろめいてみたり,決めの掛け声のあと恥ずかしそうに後ろを向いちゃったり,頭を掻いたり,でも全体に元気だった。もっとうつむいて歌うのかと思ってた。終わった後メガネを忘れて取りに戻ってきたトホホ感がよし。
ビールを買って,今年も大活躍の携帯式空気膨張型クッションに座り,ベルセバを待つ。続々と人が集まってきて,気づけば後ろはすごい人の数。こんなに人気があるんだ,すごいなーと思ったら,後から聞くとグリーンのモリシーキャンセルの穴埋め,スミストリビュートバンドが登場するや否や一斉に観客がホワイトに流れたらしい。
開始予定時刻の10分前。それまで座っていた民が,前の方からまるでウェーブのように続々と立ち上がって前方に異動をはじめた。いよいよ始まる。なんだか見ていてゾクゾクするものがあった。
スチュワートがまずMCでグレアムコクソンにthanksと言い,スミス・トリビュートバンドがなんとかかんとかと言ったかと思うと,ギターでスミスの曲を歌い出す。これには盛り上がった。一瞬だったのが残念,もう少し聴きたかったな。しかし,ベルセバ,良かったな。スチュワートは機嫌良さそうで,下に降りてまできちゃったし,演奏も曲も良かったし,客の声を女性メンバーが適当に訳してその都度スチュワートに伝えるのも良かったし,観客もなんかみんな善人,前のグレアムコクソンのときにカメラをステージに向けたのを見つかって黒人セキュリティの人に叱られた程の悪人>自分も感傷的な切ない気分でアンコールの拍手を送った。アンコールは無しで締め役のブライアンが「あーあ,ブライアンが出てきちゃったよー」と自分で言いながら出てきたときにも,ブライアンってなんていい人なんだ,と思った。
ベルセバの余韻にもうすこし浸っていたかったので,グリーンのクロージングの渋さへは直行せず,しばらく芝生に座ってぼうと月を見ていた。満月らしかった。左足を虫に刺されたようなので立ち上がり,待ち合わせ場所のグリーンのPA脇に行くと,Kとhが居た。少し渋さを見た後,会場を後にした。
もう一度宿に戻ると,沢村さんが「遅かったので心配した」と迎えてくれた。娘さんは目当てのグレアムコクソンを見に会場に行って待っていたら,偽モリシーが出てきてびっくり。グリーンとホワイトを間違えたらしい。あちゃー。急いでホワイトに向かって何とか終わりのほうは見れたそうで,かろうじてよかったよかった。
精算を済ませ,荷物を運び,お土産のおにぎりまで貰っちゃって,本当に世話になりました。

外し完了
ホワイトストライプス的りストバンド
2時半頃にヒュッテSを出発し,眠さでクラクラしながら家に着いたのが午前4時。Kは朝から会社。hは半休みを取ったので午後から会社だということ。自分は一眠りしてから朝飯を実家で食べ,家族とお茶飲みをした後,10時頃に出発。ジャックジョンソン2枚とベンクエラー2枚をちょうど聴き終えた頃,無事千葉の家に到着,今年のフジロックが終了した。
<追記>
虫刺されのあと,水泡が3つ5mm間隔で並んでいる。家に帰って調べたところどうも「カミキリモドキ」のシワザらしい。そういや去年も同じのにやられてた。痛くも痒くも無いんだけど,モドキの分際で刺さないで頂きたい,と思った。