Pieces of Element

ふとした日常から 突然 ふっと 空いた 時と空間をつなげる 目の前に広がる迷路。
なんの疑問も 抱かず 一歩 一歩 踏み出す あなた。
そこで 巡り合う 数え切れない物語。

それが 何時の時代なのか どこの国なのか わからない。
中世英国での物語なのかもしれない。鎧を着せた馬に跨った 戦士たちの物語
遠い宇宙の見知らぬ星を渡り歩く とても彼方の物語
若いころの父 母とすれ違う とてもちかく そしてセピア色の物語

そんな 旅への イメージが作り上げた 曲たちです。


“Pieses Of Element”

そして そんな お話の一つが 今始まろうとしています。



広い 緑色の平原にふっとゆらぐ 一輪のスズラン 暖かい 色をおびた 朝日をあびて 風にゆれていた。



ケイコは目の前に 唐突のあらわれたもやに足を止めざるを得なかった。 そして その中から 歩いてきたものがある。 金色のボディの子供のようなロボット。
そして 「お迎えにあがりました。」
どうみても この 川沿い道には 不似合いな風貌である。
「どうやら お忘れですね。」 丁寧な はっきりした口調でその金属質感のこびとは 話しかけていた。
ケイコはこの奇妙な自分の置かれている風景に 何故かせつない 暖かさを感じていた。

「あなた自身の 細胞組織にはその今まで繰り返されてきた いろんな旅が記憶されているのです。 そして 時 場所をえらばず 時空のゆらぎから発生する 現象ずれを 修復するのが 代々 未来へと受け継がれている あなたがた 一族の役割なのです。そしてその 補佐にお供させていただくのがわたし E4-7形 アンドロイドでございます。」

夕方の赤い太陽と その赤色を反射している このこびとを しっかり 現実として受け入れている 自分に妙な落ち着きをケイコは認識していた。
「ごめん 塾があるし 今晩のビデオ録画してないから」 妙ないい訳をしている 自分に冷めたまま 出た言葉だった。「ご存じのはずですよね。」
「この時空のこの場所に戻ってこれるんでしょ。 はいはい。」
それがどんな旅になるのかなんて知る由も無かった。
「あなたももう 思い出されてることでしょうけど、その時代へのあなたの干渉が その時代の歪みを修正します。」 淡々のと語るアンドロイド。
「その干渉方法は?」 「わかりません 。 でも その 何らかの"かけら" それが 時代を変えていく 要素となるんです。
ではあなたの脳へ直接 歪んだ時空のイメージを送ります」
ふと 目に入ってた景色が 中世の英国であることがわかった。
現実の自分は いつもの学校の帰り道 妙に赤い夕焼けに照らされた川辺の道、 夕飯の買い物かごを抱えた エプロン姿のおかあさん。そして さっきまで泣いてたのに 解け始めたアイスクリームで 機嫌の直った 子供、なにも普段と変わらないのに 今自分のまぶたには みんなの見えない風景が 見えていた。 そして この懐かしい暖かさを守りたいと そして ずっとつづいてほしいと 願う気持ち。 そう思ったとき もう一つのまぶたに浮かんだ英国の風景、、、、、、
悲しそうに 牢獄につながれたままの父を涙ながらに見つづける 寒さのなかの 母子、 ずっと 親子2人暮らしだった 息子を牢獄につながれた 老婆、 いろんな 多くの人たちの悲しみの風景。 緑色が あざやかな草原につくられた不似合いの牢獄、そして柵ごしに悲しみの包まれた人たち、、、、
「どうして、、、、、」 そういったまま立ち尽くした ケイコだった。 あふれる涙はどうしようも無かった。
「それが歪みです。 よくわかっていないのですが 通常の認識では考えられない なんらかの時代干渉が あったようです。」
「私たち 以外にも時代干渉が可能なの?」
「おそらく なんらかの 偶然でしょう。でも その偶然を利用し 魔がさした人がいたのでしょう。」
「でもわたしが する何かが 悲しみを 増やすことにもなるんじゃないの??」 疑問は多くなる。 まったく 誤った 干渉を 行ったら????
「そう あなたの置く石一つでも 時代はあきらかにかわります。 もし その石に 後の大統領がつまづいて 当選しなかったら、、、、 つまり それほど おおきい要素であることを おぼえておいてください。」
「では あなたは さっきの老婆のもとへ 移動してもらいます。」
その言葉とともに ふわっと 気が遠くなり 不思議な風景のトンネルの中で 夢見ごこちの世界へ迷いこまされていた。


・・・・・・ たくさんの疑問はあった。ことばは? 着るものは? 食事は? いろいろかんがえているうちに 気を失っていた。・・・・・・・・・・・・・・

つぎに目覚めたときには 目の前を 英国宮殿で警備をやっているような兵隊の行進を遠くに ぼぉっと座っている 自分に気がついた。 案の定 学校帰りのセーラー服 まわりで話す声は 妙になまりがある英語だった。 唯一のすくいは学生鞄などいつ役に立つかわからない物も持っていた。 まわりの人たちは奇異の目でケイコを見ていた。 しかし不思議と その人の目をみると言いたいことがわかったことが唯一救いであった。

2080年 時間管理局が設定されていた。 ことの始まりは偶然からだった。 偶発的な細胞構成をもつ生物に限りワームホール内の移動が可能であることが発見された。 これは先天的なもので極希に人間にも存在することがわかった。 個人の意志で細胞内に一定の振動を発生させることが可能で その共振周波数が高域でワームホール内でも現意志を破壊せず 自らの意志で時空の選択ができることが発見された。 しかしその力を利用しタイムパラドクスを起こす者が現れた。 そこで 国連は時間管理局を急遽設立し 過去の管理を行った。 しかし 世論は それが時間的人類支配であると猛反対をおこし 大問題となった。 そこで 各事象に人類への影響を考え 事空異常の極度な歪みのある場合のみ 一定の細胞構成をもつ一族のみにその未来の変更を任せることにした。 しかしそれも その一族の判断 ゆらぎに任せる 偶発的な修正ということで 世論と合意した。 そして 人類はその一族に 未来の夢を託すことになった。

不思議そうにケイコを見下ろし 手をさし伸べてくれた 若者がいた。 すでに彼の名前が グラス・バークレーということ そして あの老婆の一人息子の親友であるということも 理解できていた。
グラスはこの不思議な少女になぜか妹のような せつない気持ちをおぼえ 先日 無実のいいがかりで投獄された、親友のさみしがっている 母のもとへ 連れて行こうと思っていた。
ケイコはふと微笑んで その手をとり 立ちあがった。 フリルスカートのほこりをはたき グラスの横に並んで歩き出した。



途中 一生懸命 てぶりで自分の名前くらいは 教えようとしていた。
「けぇいこぉ あんだすたん?」
「ケイコ??」
「おっけ!! マイネームイズ け い こ! 」
「ぐらぁす! Gulass OK?」
「OK!!」 午後の日差しが 緑の平原に 暖かさを たもちつづける、時間だった。
そして 見覚えのある あの牢獄のちかくまできたとき グラスの表情が 険しくなった。 グラスは手ぶりで この村に起きはじめた 不思議な出来事を 教えてくれた。
半年ほどまえである。 この町は 美しい金細工で生計をたてていた。 そこへ 素性のわからない 一人の若者が流れつき この町の 領主のもとに居候しはじめた。 その後 町の生産物は 金細工から別の物へと変わっていった。 まだ この時代に有る訳の無い 拳銃である。 領主はこれを近郊の国に売ることで巨万の富を得はじめていた。 そのことへ 異をとなえるものは 容赦なく投獄された。 工場への強制労働もはじめていた。

あきらかに時代異常である。

ほそい道が急に慌ただしくなってきた。

さきの騎馬兵隊のパレードが通りはじめたのだった。 そのなかでひときわ派手な服をまとい 馬上の冷たい目をした若者がいた。
かれは 制服姿のケイコを人目見て 一瞬驚いた後 悠長な日本語で・・・・・
「あなた タイムリーパですね」
「え?? あなたなぜ 日本語を???」
「わたしは 一度日本にすんでたことが有るのです。」
「なぜ この時代で こんなことを はじめたの?」
「わたしは 偶然 タイムリープしてしまっただけです。 だったら この偶然を利用させてもらいます。」
「あなたは人殺しの道具を 悲しみを作ってるんですよ!! なぜ?? やめてください!」
「人の業ですよ。 自分の欲望がかなうためなら 他人の生死は感じないのです。 ましてそれを司ることが 一番 富を得るとともに 楽しいゲームでもあるでしょう? もしわたしの邪魔をするなら わたしにも考えがあることを おわすれなく」
ケイコとその若者の会話をグラスは内容はわからないが はげしい嫌悪感をもって その馬の上の若者をにらみつづけていた。
そしてその後ろに でっぷりふとった 領主がいた。この男の欲望がこの歪みの原因になっていたのも事実である。 にやっとわらったその顔の欲望の深さは ケイコには悲しいものに思えた。
ふたたび 行進がはじまった。 さきの領主はわざと 道いっぱいに コースをひろげて走りだした。 そのとき グラスが急に 走りはじめた。 領主の馬の数歩さきに 白いスズランが 道ぞいにゆれていた。
なぜかグラスはこの花を急に かばった。 領主は容赦なく グラスを踏みつけ 通りすぎていった。
「グラス!」 ケイコはかけよっていた。 痛みを我慢して 微笑む うずくまったグラスの 両腕の中には 白いスズランが 揺れていた。
ケイコとグラスは その花を丁寧に 地面からほりだし すこしはなれた草原の上に植えた。 「きれいね・・・・」 「キ・レ・イ??」 「うん 日本語なの。」

その夜 領主の優雅な一部屋で 領主と 先の若者が 密談していた。 どうかんがえても あの娘は邪魔になるに違いない だから今のうちに手を打つ ということに 同意していた。 そして密偵を あの若者と娘のもとに送ることを命じた。
手当を老婆の家で行ったグラスとケイコも領主がだまっていないことは わかっていた。
ケイコは領主の家に忍び込み 銃の工場を破壊することを提案しグラスも同意し 密偵とすれちがいで すでにそのときケイコたちはその領主の家に忍び込んでいた。



「さすがに中世のお城ねぇ ・・・・この螺旋階段といい 昔の絵画みたいね。」 迷路のような広い城の中を 二人は走りつずけた。 そして 階段を上がりきった うすぐらい大広間の前むこうに鉄の扉が見えた。 グラスとケイコは そっと見つめ合い 静かに大広間にはいっていこうと 数歩 歩いたとき・・・

「自己紹介がまだでしたね。 もうにげられませんよ。」 ふりかえると あの若者とともに 密偵にとらえられた老婆が縄に縛られていた。
「わたしは 1999年のアメリカからある夜突然 めまいともに この世界へ来ていました。 アメリカでは拳銃の設計会社にいました。 D・S・ウインガーといいます。
いつの世も人の世は 欲に弱いのです。そして強いものが 法なのですよ。 わたしは 99年にはしがない設計屋でした。でも この時代では どうです。 すべてが思いのままの巨万の富が手に入ったのですよ。 起業力ですよ。企画力ですよ。」
「ちがうわ! ありえない偶然の間違いよ。 あなたなんか法のわけがないわ!」 腕を後ろで縛られて つらそうにしている 老婆に 涙を流しながら 見つめかけて 安心させたい ケイコだった。 「あなたみたいなひとが時空を なにもなくても歪ませるのよ! どうして 欲 以外がみえないの? あのスズランの白さも見えないの??」
「小賢しいことを。気が変わりました。 あなたは この新品の拳銃の試作品での テストになっていただこう。」
ただならぬ雰囲気をさっし グラスは 拳銃を構えた ウインガーをにらみ ケイコをかばった。 躊躇なく ウインガーは引き金を引いた。
しかしケイコはさらにグラスをかばい 前に出た。

拳銃の 発砲音は乾いてるな・・・・・
このまま 死んじゃうのかな・・・・・・・・・
おかあさん 今晩のおかずなにつくってたのかな・・・・・・・・・・・
なにも できなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
なにが 干渉なんだろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ごめんね おばあさん グラス なんにも やくに立てれなかったね。
ごめん。


チリン チリン・・・・・ 自転車のベルの音。
ケイコが回りを見渡すと 夕暮れの 帰り道だった。
「え??」
「御疲れ様でした。 とても大変でしたね。 でも あなたは とても暖かいきもちを あの時代に残してきましたね。 そして 時代が救われました・・・・・・・・・・・・」
「え? どうして?? グラスは? おばあさんは??」
「みんな無事ですよ。 あなたの あの勇気ある行動の前にはウインガーも 銃口の先をはずしたのです。 そのあと あなたは タイムリープしたんです。
グラスとおばあさんは捕らえられたのですが・・・・ あのスズランを掘り起こした 穴を おぼえていますか? 数日後 あの穴に領主の馬が 足をはめて 落馬して命を落とすのです。 そして 残りの村人が暴動をおこして みんなを無事 助けだし 普通の金細工つくりにもどったのです。」
「そうなの・・・・・ よかった。 」
数日の出来事が なにも 無かったかのように夕焼けが 赤い夕暮れだった。

「じゃ あたし 帰るね」

「そうそう あなたの 家にある 大英博物館の本 よく見てくださいね」
「? うん。」
本当に 何もなかったかのような 日々がまた ながれはじめた。


「おかあさん ごちそうさま」 「ケイコぉ 今日はよくたべたわね」 「うん 疲れたから! じゃ 今日もう寝るね!」

ケイコは自分の部屋で 大英博物館の写真集をぺらぺらめくっていた。
何枚かののち とてもきれいなスズランの古い金細工の写真があった。
それを 眺めていた ケイコは急に あふれてくる涙が 止められなくなっていた。


金細工には作者の名前と 一文が刻んであった。


" to keiko .....Gulass .B"



作曲、アレンジ:GINJIRA、R Harada