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1.生

 在ることすら知らなかった。































2.食

 世の中は2つに分けられた。
 食べられるものと、食べられないものだ。































3.衣

 暖かいと感じた。
 柔らかいと感じた。
 世界はそれだけで良かった。































4.住

 進むことを覚えて旅立った。
 どこまでも行ける気がした。
 世界の果てに辿り着いた。
 思えば遠くまで来たものだ。































5.情

 驚いて泣いた。
 お腹が空いて泣いた。
 気持ち悪くて泣いた。
 眠くて泣いた。
 嬉しくて笑った。































6.欲

 眠りたい。
 食べたい。
 泣きたい。
 笑いたい。
 怒りたい。
 愛したい。































7.我

 自分ではない者がいた。
 思い通りにならなかった。
 苛立つ相手だった。
 思い通りにしたかった。
 そっぽを向かれた。
 謝った。
 ふり向いてくれた。































8.思

 色々と思い始める。
 なぜ人間なのだろうと思う。
 なぜ生きているのだろうと思う。
 なぜ、こんな人間なのだろうと思う。
 皆がうまく生きているように思う。
 沢山の人間と自分を比べて思う。
 けれど皆、思っていると思う。
 もう少し生きようかと思う。































9.恋

 その顔が忘れられなくなった。
 もう一度見たいと思うようになった。
 見るだけでなく会いたいと思うようになった。
 会うだけでなく話したいと思うようになった。
 話すだけでなく抱きしめたくなった。
 抱きしめたら離れられなくなった。
 自分から離れないで欲しくなった。
 他の誰もが不要になった。
 そしてすべて消えた。































10.理

 立腹を抑えた。
 嘲笑を堪えた。
 悲痛を殺した。
 自慢はしない。
 溺愛もしない。
 幸福は控えめに。
 怨恨は捨てて。
 熱意も程々に。
 すべてに注意して。
 平和な人生を。































11.力

 足りない時もある。
 まさるものもある。
 みんなが力を持つ。
 大なり小なりある。
 いろんな力がある。
 見えない力もある。
 名もない力もある。
 使えない力もある。
 それでも力である。
 誰もが持っている。
 だからここにいる。































12.愛

 本来ならば長々と語るものでなく、
 敢えて教えるようなものでなく、
 自然と元から持っていて、
 いつも感じているもので、
 誰もが持っているものなのに、
 日々の不満に押し流されて、
 いろんなものに潰されて、
 信じようともしなくなり、
 在ることすらも忘れてしまうけれど、
 信じるという類のものではなく、
 ただ、そこに在るものだから、
 今日は、一番いとおしい存在を思い浮かべて寝ることにしようと思う。



fin
2004.12.1

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