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秘薬1.
凄く怪しい研究所に、凄く怪しい博士と、その助手がいた。
と書けば、わざわざ描写しなくとも想像できる、昨今の小説事情に感謝しつつ──。
「ふははははは! ついにできたぞ!」
「今度は何ができたんですか?」
助手をしているはずなのに研究内容が分からないという状況は改善すべきじゃないのか? と、不毛なことを思いつつ、助手はうんざりした調子で尋ねる。別に何ができたのかどうでもいいと言えばどうでも良かったのだが、聞かないと博士がスネるのだ。
博士はエッヘンと胸を張った。
「何と、惚れ薬なのだ!!」
「はぁ」
「わしはこれをセリーヌ=○ィオンに飲ませて、わしの嫁さんにするのじゃっ!!」
大層な野望である。
「どうやって飲ませるんです?」
秘薬2.
凄く怪しい研究所と、凄く怪しい博士に助手。
「ふはははははは! ついにできたぞ!」
「次は何ができたんですか……」
もう聞きたくもなかったのだが、取りあえず今はここが彼の職場だ。次の職を見つけるまでは耐えねばならない。彼は会社の面接で”得意は忍耐です”と答えられるほど、自分の我慢強さを自負していたのだが、
「これはな、若返り薬だっ!!」
と来た日には、頭の毛細血管が10本ほど束になってぶち切れる音が聞こえたような気がしてしまった。
「セオリー踏むのも、大概にして下さいよ」
しかも前回の薬をマウスに投与したら、口から泡吹いて顔真っ黄色やら真っ青やらに染めまくった挙げ句、ぽっくり死んじゃったじゃないですか。……と言いたかったのだが、その前に助手の口は博士の手の平に、ふんがと押さえられてしまったのだった。
「万人が求めてやまない物を、作り上げる。これが科学者の使命じゃ……」
自分の台詞に酔っているらしい。
だが、
「これ飲んで若返ったらカワイコちゃん(死語)に囲まれて、ウハウハな人生(死語2)を送るのじゃっ!!」
5秒で本音が出た。
だが助手の一言は冷たかった。
「短足直す薬が要ります」
秘薬3.
凄く怪しい研究所〜以下略〜。
「ふははははははは! できたぞ!」
「何がです……」
あ、とうとう“ついに”とは言わなくなったなと思いつつ、今日もまだ助手は博士の相手をしていた。不況とは悲しいものである。
「時間を止める薬じゃ!!」
助手は、目の前にゴキブリが大量にうごめいてるのを見たような、物凄く嫌な顔をした。
オチが見える。
だが、研究所を閉めましょうよ、とは言えなかった。
まだ転職先が決まっていない。
そして助手は、知らない。
助手に“人から嫌われる薬”が投与されていることを。
博士も嫌われ者だから、彼は平気なのだ。
FIN
2000.12.18
この作品は、Creator's Synopsis様に投稿させて頂いた物を若干修正した物です。
頂き物
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