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3(生還)
クリフはうっすら目を開け、ラウリーを見ていた。正確には、目に入る強い色を見ているだけだったが。まだ視点は定まっていない。
それからクリフは、徐々に目を開いていった。輝きが増す。その様子を、ラウリーと母親の2人は安堵の面もちで見つめた。
そんな2人の表情や見慣れた室内の様子が、じわじわとクリフの目から脳へと浸透した。丸太を組んで作られた、朴訥とした室内。最小限の家具しか置いていない、狭い部屋は長年見慣れたコマーラ家のものだ。開け放された木の窓は爽やかな風を通し、その向こうには春と見まごうほどの穏やかな日の光があった。
あの吹雪が夢だったように思える。
「俺」
「まだ起きては駄目よ、クリフ。ひどい凍傷だったんだから」
体を起こそうとしたクリフの肩を、母親がそっと押さえた。凍傷。ということは、やっぱり夢ではなかったらしい。
「良かった」
ラウリーがしんみりと呟いた。いつもの彼女らしくない。そう思って見あげると、ラウリーの瞳にはくっきりと深いクマが張りついていた。母親も同様だ。2人とも、自分が目覚めるまで一睡もしていなかったのではないかと想像できる疲労ぶりだった。
隣のベッドには父親が眠っていた。2人とも助かったのだ。しかし父親の方は、まだ目を覚ます気配がなかった。自分より容態がひどいのだろう。
「あなたを助けて下さった方がいるのよ」
母親がクリフらの助かった経緯を、かいつまんで説明した。
母親とラウリーが家でクリフと父親の帰りを待っていた時、不思議な男がクリフらを担いできてくれたのだと言うのだ。
二週間がたって絶望感が頭をもたげてきた頃、玄関の扉は開いた。
「父さん! クリフ!」
喜びいさんで玄関に駆けた2人が見たのは、黒いマントの者だった。
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