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登る日 7. 盗んで来た衣服や馬具などを金に換えて、街の片隅でコルチェは何とか生き延びた。 剣はその時に手に入れたものだ。強度はさほど考えず、なるだけ軽い物を買い、自分で研いだ。速さを自分の武器にすることを、子供ながらに身に付けていた訳である。 名を変えたのは、そんなに深く考えてのことではなかった。単に領主の息子である、そして誰も守れなかったひ弱な名前を捨てたかっただけだった。 今、名を変えて強くなったかと問われれば、まだ分からないとしか彼は答えられない。自分が母やサーリャを守る為にどれだけの力が必要だったのか、学べば学ぶほど思い知らされるからである。自分がいかに無力であるかが、浮き彫りになるだけなのだ。 「試合に勝てば、騎士になれると信じていた。愚かでした」 ひとしきり話し終えたガルダンは自嘲気味に笑ったが、だが肩から重荷が取れたようなすがすがしさを感じていた。 試合で優勝すると言うことは、騎士として雇ってくれる諸侯が現れるかも知れないと言うだけの話で、子供では誰も使わないだろうし、よほどの下積みがなければ騎士になってみた所で、何の活躍も出来ず消えて行くはめになるのだ。 サーリャを迎えに行く、など、妄想とも言える遠い道だった。 それが遠い道であることに気付かせてくれたのは、ボーンだ。 そして遠い道である自覚をした時点から、ガルダンの一歩は始まっている。 サーリャの為にと言うよりはすでに、自分の為だった。自分がなりたいから、騎士を目指す。 その決意を見て取ったボーンが、ガルダンにかける言葉は何もない。ただ一層の助力をボーンもまた、決心するだけだった。信頼がさらに深くなった2人の間に、わざわざ言葉はない。 ◇ 14歳の朝から以後、彼はガルダン・マハと名を変えた。 |