直木賞のすべて
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第12回

吉川英治文学新人賞

=受賞者=
伊集院 静
大沢在昌

=候補者=
綾辻行人
多島斗志之
永倉万治
樋口有介


吉川英治文学新人賞-選評の概要
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Last Update[H20]2008/1/5

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 平成2年/1990年度
 (平成3年/1991年3月6日決定発表)
選考委員  井上ひさし 尾崎秀樹 佐野洋 野坂昭如 半村良
選評総行数  28 30 32 40 26
評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
伊集院静 『乳房』 評言 13 14 13 10 10
大沢在昌 『新宿鮫』 評言 15 16 9 17 16
綾辻行人 『霧越邸殺人事件』 評言 0 0 8 9 0
多島斗志之 『クリスマス黙示録』 評言 0 2 0 6 0
永倉万治 『陽差しの関係』 評言 0 0 3 2 0
樋口有介 -- 評言 0 0 0 1 0
         
見方・注意点

このページの選評出典:『群像』平成3年/1991年5月号
1行当たりの文字数:20字


選考委員井上ひさし×各候補作  見方・注意点
常事ではない二作 総行数28 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊集院静 全委員 13 「多少の出来不出来の波はあっても、どれも読者の心をいきなりグイと掴んでくるような不思議な強さをもっている。」「同じ構造を何度突きつけられても鼻につくことがないのは、それだけ細部が豊かだからだ。」「この作者は、一管の筆で読者の心に波風を立てさせる力をもっているようだ。」
大沢在昌 全委員 15 「どこをどっても一級品である。わたしは、読者としては熱狂しつつ、同業としてはいくらかの妬ましさを覚えながら、この常事ではない傑作を読み終えた。読んで損はなく、かえってお釣りがくる小説である。ほんとうに立派な仕事だ。」
綾辻行人 全委員 0  
多島斗志之 全委員 0  
永倉万治 全委員 0  
樋口有介 全委員 0  
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他の選考委員
尾崎秀樹
佐野洋
野坂昭如
半村良
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選考委員尾崎秀樹×各候補作  見方・注意点
選評 総行数30 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊集院静 全委員 14 「印象にのこった。」「それぞれに人生のある種の屈折を照射した好短篇で、さりげない文体で人生の諸断面を描いており、しっとりとした味をもつものだった。」
大沢在昌 全委員 16 「印象にのこった。」「六本木を背景に鮮やかなハードボイルド物を書いてきた作者が、新たに新宿を舞台に話を展開した作品である。」「新宿という街を縦横に描いたハードボイルドの一収穫である。」
綾辻行人 全委員 0  
多島斗志之 全委員 2 「エンターテインメントの成果である多島斗志之『クリスマス黙示録』も興味があった。」
永倉万治 全委員 0  
樋口有介 全委員 0  
  「六篇の候補作」
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他の選考委員
井上ひさし
佐野洋
野坂昭如
半村良
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選考委員佐野洋×各候補作  見方・注意点
選考所感 総行数32 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊集院静 全委員 13 「いまだに疑問を持っている。『私』を主人公にした作品が四編あるが、この四人の『私』(あるいは一人なのか)について、どんな職業についているのか(引用者中略)など、小説を読んだだけでは、よくわからない。」「しかし、文章は優れているし、野坂委員が「受賞すれば、間違いなく伸びる」と保証したので、賛成に回った。」
大沢在昌 全委員 9 「最初の投票で満票を獲得した。新しい主人公の創造、警察機構に対する冷静な目、ときにはユーモアもあり、作者の飛躍が読み取れた。副主人公の女性は、六作品中の随一である。」
綾辻行人 全委員 8 「ある条件さえ容認すれば、力作と言えるのではないか、と弁護したが、他の四氏の拒絶は余りにも強かった。私自身も、古い皮袋に新しい酒を入れるという方法論には懐疑的である。」
多島斗志之 全委員 0  
永倉万治 全委員 3 「(引用者注:恋愛もの候補作グループから)『陽差しの関係』を選び出して選考会に臨んだ。」
樋口有介 全委員 0  
  「私は、今回の候補作を三つのグループにわけて考えてみた。ミステリー、スリラー関係では、『フーダニット』が二編、『ハードボイルド乃至アクション系』が二編、恋愛もの(あるいは普通の小説)が二編である。」
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他の選考委員
井上ひさし
尾崎秀樹
野坂昭如
半村良
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選考委員野坂昭如×各候補作  見方・注意点
選評 総行数40 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊集院静 全委員 10 「しみじみとしたナルシシズム小説、ここまで徹底されると、これは立派な伊集院静の世界、広い視野を有し、ただながめるだけじゃなく没入していればこそ、伊集院の今後を刮目して待つ。」
大沢在昌 全委員 17 「『新宿鮫』とは、またミもフタもない題名だが、読んでみれば、これすらもしごく妥当に思える、つまり大沢在昌はもはや、斯の道の商売人に違いない、選考委員すべてが推したのも当然。この水準を維持しつづければ、分野をこえて、小説業界に風穴を開けること請合い。」
綾辻行人 全委員 9 「大学の推理小説愛好会なら、こんな風な作品も通用するだろうけど、いや、無理じゃないか、ただ混乱してばかりのディテールを並べ立て、さて全体を見直せば、「密室」をオモチャにしただけのこと。」「これまでのウンチクをさらりと棄てて、あっけらかんと筆を執りなさるようおすすめする。」
多島斗志之 全委員 6 「まことに筆力があり、特に、風土の描写に優れている、ただし、設定に多少の難があるように思った、枯葉の舞い、谷あいの風の匂いと同じく、人物の体臭が伝われば良かった。」
永倉万治 全委員 2 「短篇に向いている、」
樋口有介 全委員 1 「チラチラおもしろかった。」
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他の選考委員
井上ひさし
尾崎秀樹
佐野洋
半村良
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選考委員半村良×各候補作  見方・注意点
選評 総行数26 (1行=20字)
候補 評価 行数 評言
伊集院静 全委員 10 「今回受賞しなくても今後毎回候補にあがってくるだろうと思っていた。」「おめでとうというより、遅かったねという人がいるかも知れないが、わたしは早く嫁づいてほっとした。」「この種の作品では旨さ抜群である。しかもいろいろに読めるところが癪なくらいだ。」
大沢在昌 全委員 16 「新宿の新しい風物(敢えて風俗とは言わない)がよく書けていたし、昔はいなかった種類の新しい人物もよく書けていた。」「今回はみごとに自分の型を作ったという感じである。型は人が作って見せれば途端に陳腐にも思えるものだが、『新宿鮫』を自分でやってみれば、もう大沢氏の新宿を抜けないことが判るだろう。化けた、という意味でも受賞は嬉しい。」
綾辻行人 全委員 0  
多島斗志之 全委員 0  
永倉万治 全委員 0  
樋口有介 全委員 0  
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他の選考委員
井上ひさし
尾崎秀樹
佐野洋
野坂昭如
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伊集院静『乳房』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 全候補 13 「多少の出来不出来の波はあっても、どれも読者の心をいきなりグイと掴んでくるような不思議な強さをもっている。」「同じ構造を何度突きつけられても鼻につくことがないのは、それだけ細部が豊かだからだ。」「この作者は、一管の筆で読者の心に波風を立てさせる力をもっているようだ。」
尾崎秀樹 全候補 14 「印象にのこった。」「それぞれに人生のある種の屈折を照射した好短篇で、さりげない文体で人生の諸断面を描いており、しっとりとした味をもつものだった。」
佐野洋 全候補 13 「いまだに疑問を持っている。『私』を主人公にした作品が四編あるが、この四人の『私』(あるいは一人なのか)について、どんな職業についているのか(引用者中略)など、小説を読んだだけでは、よくわからない。」「しかし、文章は優れているし、野坂委員が「受賞すれば、間違いなく伸びる」と保証したので、賛成に回った。」
野坂昭如 全候補 10 「しみじみとしたナルシシズム小説、ここまで徹底されると、これは立派な伊集院静の世界、広い視野を有し、ただながめるだけじゃなく没入していればこそ、伊集院の今後を刮目して待つ。」
半村良 全候補 10 「今回受賞しなくても今後毎回候補にあがってくるだろうと思っていた。」「おめでとうというより、遅かったねという人がいるかも知れないが、わたしは早く嫁づいてほっとした。」「この種の作品では旨さ抜群である。しかもいろいろに読めるところが癪なくらいだ。」
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他の候補作
大沢在昌 『新宿鮫』
綾辻行人 『霧越邸殺人事件』
多島斗志之 『クリスマス黙示録』
永倉万治 『陽差しの関係』
樋口有介 --
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大沢在昌『新宿鮫』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 全候補 15 「どこをどっても一級品である。わたしは、読者としては熱狂しつつ、同業としてはいくらかの妬ましさを覚えながら、この常事ではない傑作を読み終えた。読んで損はなく、かえってお釣りがくる小説である。ほんとうに立派な仕事だ。」
尾崎秀樹 全候補 16 「印象にのこった。」「六本木を背景に鮮やかなハードボイルド物を書いてきた作者が、新たに新宿を舞台に話を展開した作品である。」「新宿という街を縦横に描いたハードボイルドの一収穫である。」
佐野洋 全候補 9 「最初の投票で満票を獲得した。新しい主人公の創造、警察機構に対する冷静な目、ときにはユーモアもあり、作者の飛躍が読み取れた。副主人公の女性は、六作品中の随一である。」
野坂昭如 全候補 17 「『新宿鮫』とは、またミもフタもない題名だが、読んでみれば、これすらもしごく妥当に思える、つまり大沢在昌はもはや、斯の道の商売人に違いない、選考委員すべてが推したのも当然。この水準を維持しつづければ、分野をこえて、小説業界に風穴を開けること請合い。」
半村良 全候補 16 「新宿の新しい風物(敢えて風俗とは言わない)がよく書けていたし、昔はいなかった種類の新しい人物もよく書けていた。」「今回はみごとに自分の型を作ったという感じである。型は人が作って見せれば途端に陳腐にも思えるものだが、『新宿鮫』を自分でやってみれば、もう大沢氏の新宿を抜けないことが判るだろう。化けた、という意味でも受賞は嬉しい。」
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他の候補作
伊集院静 『乳房』
綾辻行人 『霧越邸殺人事件』
多島斗志之 『クリスマス黙示録』
永倉万治 『陽差しの関係』
樋口有介 --
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綾辻行人『霧越邸殺人事件』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 全候補 0  
尾崎秀樹 全候補 0  
佐野洋 全候補 8 「ある条件さえ容認すれば、力作と言えるのではないか、と弁護したが、他の四氏の拒絶は余りにも強かった。私自身も、古い皮袋に新しい酒を入れるという方法論には懐疑的である。」
野坂昭如 全候補 9 「大学の推理小説愛好会なら、こんな風な作品も通用するだろうけど、いや、無理じゃないか、ただ混乱してばかりのディテールを並べ立て、さて全体を見直せば、「密室」をオモチャにしただけのこと。」「これまでのウンチクをさらりと棄てて、あっけらかんと筆を執りなさるようおすすめする。」
半村良 全候補 0  
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他の候補作
伊集院静 『乳房』
大沢在昌 『新宿鮫』
多島斗志之 『クリスマス黙示録』
永倉万治 『陽差しの関係』
樋口有介 --
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多島斗志之『クリスマス黙示録』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 全候補 0  
尾崎秀樹 全候補 2 「エンターテインメントの成果である多島斗志之『クリスマス黙示録』も興味があった。」
佐野洋 全候補 0  
野坂昭如 全候補 6 「まことに筆力があり、特に、風土の描写に優れている、ただし、設定に多少の難があるように思った、枯葉の舞い、谷あいの風の匂いと同じく、人物の体臭が伝われば良かった。」
半村良 全候補 0  
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他の候補作
伊集院静 『乳房』
大沢在昌 『新宿鮫』
綾辻行人 『霧越邸殺人事件』
永倉万治 『陽差しの関係』
樋口有介 --
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永倉万治『陽差しの関係』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 全候補 0  
尾崎秀樹 全候補 0  
佐野洋 全候補 3 「(引用者注:恋愛もの候補作グループから)『陽差しの関係』を選び出して選考会に臨んだ。」
野坂昭如 全候補 2 「短篇に向いている、」
半村良 全候補 0  
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他の候補作
伊集院静 『乳房』
大沢在昌 『新宿鮫』
綾辻行人 『霧越邸殺人事件』
多島斗志之 『クリスマス黙示録』
樋口有介 --
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樋口有介--×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 全候補 0  
尾崎秀樹 全候補 0  
佐野洋 全候補 0  
野坂昭如 全候補 1 「チラチラおもしろかった。」
半村良 全候補 0  
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他の候補作
伊集院静 『乳房』
大沢在昌 『新宿鮫』
綾辻行人 『霧越邸殺人事件』
多島斗志之 『クリスマス黙示録』
永倉万治 『陽差しの関係』
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