直木賞のすべて
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第86回

=受賞者=
光岡 明
つかこうへい

=候補者=
古川 薫
西村 望
海老沢泰久
村松友視
深田祐介


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 昭和56年/1981年下半期
 (昭和57年/1982年1月18日決定発表/『オール讀物』昭和57年/1982年4月号選評掲載)
選考委員  城山三郎 池波正太郎 水上勉 源氏鶏太 阿川弘之 村上元三 山口瞳 五木寛之 今日出海
選評総行数  52 36 57 51 18 53 57 81  
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
光岡明 『機雷』 評言 14 21 21 12 7 12 6 10    
つかこうへい 『蒲田行進曲』 評言 14 10 25 8 6 5 10 37    
古川薫 『暗殺の森』 評言 7 0 0 7 0 14 6 8    
西村望 『丑三つの村』 評言 0 0 0 4 0 4 5 10    
海老沢泰久 『F2グランプリ』 評言 10 5 0 7 7 4 7 0    
村松友視 「泪橋」 評言 7 0 11 7 0 3 10 20    
深田祐介 「バンコク喪服支店」 評言 0 0 6 6 0 5 12 5    
                欠席
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和57年/1982年4月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員城山三郎×各候補作  見方・注意点
独特の破壊力 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 14 「戦争の非情さ、アメリカのこわさといったものも、にじみ出て、いろいろ教えられることが多い。」「やや観念的というか、ぐちや説教を感じさせるところがあり、リズムが生まれず、少々読みづらかった。」
つかこうへい 全委員 14 「テンポがよく、間がよく、イキがよく、いかにも人間が生きている感じがあった。」「だめな男対だめな男の関係が、お互いを生かし合っていて、おもしろく、その底にこの作者独特の破壊力を感じさせる。」
古川薫 全委員 7 「一本調子な小説ではなく、怨念を二重にだぶらせて進行させ、構成にも工夫があるように思われたが、それだけに、いまひとつすっきりしない仕立て上りになったことが惜しまれる。」
西村望 全委員 0  
海老沢泰久 全委員 10 「達者な作品である。」「緊迫感もあり、人生のにがみを感じさせるところもあるが、一方ではアメリカ映画のセリフのようなものもあって、鈴鹿の風のにおい土のにおいといったものが稀薄な気がした。」
村松友視 全委員 7 「小道具大道具を巧みに使いこなして、銅版画のような世界をつくり上げている。そのうまさが少し鼻につくような気がしたのは、どうしてであろうか。」
深田祐介 全委員 0  
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他の選考委員
池波正太郎
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選考委員池波正太郎×各候補作  見方・注意点
力作〔機雷〕 総行数36 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 21 「この小説がもつ力感を第一に買わざるを得なかった。」「構築のみごとさ。登場人物の描写もすぐれてい、戦争小説の範疇をこえた力作といえる。」
つかこうへい 全委員 10 「笑いながら読みすすみつつ、長年、芝居の世界にいた私は、むしろ鋭いリアリティに迫力を感じた。後半は、先を読まれてしまってペースが落ちる。」
古川薫 全委員 0  
西村望 全委員 0  
海老沢泰久 全委員 5 「いかにも若々しい精悍さでダイナミックなマシーン小説を書いた海老沢泰久氏へも今後に大きな期待がよせられたようである。」
村松友視 全委員 0  
深田祐介 全委員 0  
  「今回の候補作は、いずれも粒がそろっていたようにおもう。」
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他の選考委員
城山三郎
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選考委員水上勉×各候補作  見方・注意点
誠実とペーソス 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 21 「すぐれていた。文章もしっかりしていて重厚である。」「だが、おもしろい小説といえるかどうか。」「作者が創りだした人間世界を求めるものには、調査の重みだけでは退屈するのだった。誠実でいい仕事だな、と思うがちょっと首をひねった理由はそれである。」
つかこうへい 全委員 25 「私はさきに、「ひも」を強力に推して破れていたので、この作品が最後までのこったのはうれしかった。どちらかといえば、「ひも」の方が密度も濃かったと思う。「蒲田」は「ひも」のように会話が追いこまれてなくて改行の多いせいか、つかさんの語りのオリみたいなものが散ってしまう気分である。」
古川薫 全委員 0  
西村望 全委員 0  
海老沢泰久 全委員 0  
村松友視 全委員 11 「小説つくりの才は抜群でも、どこか弱い。」「いろいろ持ちこみすぎたためか、主題が散った。惜しい作品である。だがこの人はいつか申し分のない傑作を見せてくれよう。」
深田祐介 全委員 6 「深田さんのものとしては落ちた。「革命商人」の重厚な面白さに比して軽いのだった。深田さんもこんな作品が授賞では困られるだろう。」
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選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
感想 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 12 「海軍将校の花々しい死をのぞみながら機雷に取っ組み、その志を得ず、戦後まで生き延びて、甦る機雷に関係しなければならなかった男の生きざまが見事に描かれている。その死生観も十分に理解出来る。」
つかこうへい 全委員 8 「何んとも面白くてうら悲しい小説であった。」「作者の才能を感じさせる。難をいえば、すこし軽い。尤も、この軽さは、作者の狙いであったようにも思える。」
古川薫 全委員 7 「よく調べて書いてあるが、その描き方がすこし雑然としていて、途中から煩わしくなって来た。古川氏の過去の候補作品に比較してもやや落ちる。」
西村望 全委員 4 「まことに厭な話であるが、そこに不思議な魅力がある。文章もうまいと思った。」
海老沢泰久 全委員 7 「読んでいて愉しかったが、文学的香気がいささか欠けているように思った。」
村松友視 全委員 7 「うまい小説である。」「人生の一断面を見せられる思いで読んだが、推すには今一つ何かが不足しているような気がした。」
深田祐介 全委員 6 「ユウモア小説としてもあまり成功しているとは思われなかった。深田氏には他にもっといい作品がある筈である。」
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選考委員阿川弘之×各候補作  見方・注意点
一長一短 総行数18 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 7 「重厚だが専門用語その他海軍の描き方に首をかしげる箇所が多く、めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
つかこうへい 全委員 6 「軽妙だが読み了へての印象が薄く、(引用者中略)めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
古川薫 全委員 0  
西村望 全委員 0  
海老沢泰久 全委員 7 「素材にふさはしいスピード感あり、構成もがつしりしてゐて面白かつたけれど、要らざる洒落気があちこち眼につき、積極的には推しかねた。」
村松友視 全委員 0  
深田祐介 全委員 0  
  「今回は受賞作無しと思つてゐた。」
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選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
もっと短篇を 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 12 「第一章が不要で、第二章以下に盛りこむべきであったろう。」「無駄を書きすぎているし、この作品はもう一ぺん整理してまとめたほうがよかったと思う。」
つかこうへい 全委員 5 「前半の章だけが面白かった。会話はお手のものでうまいし、軽く読めるが、後半もヤスの話で進めるべきではなかったろうか。」
古川薫 全委員 14 「主人公の野見庄太郎がこれほど苦労をして取材をしたり、古文書を漁ってまとめた「中山忠光卿殺害顛末」が棺の中で灰になってしまった、となると、作者がこの一作の中で調べたことが、嘘になってしまう。」「高い広い視野から見てほしかった。」
西村望 全委員 4 「読後感も悪いし、主人公がよく描かれていない。ただ人を殺して廻る小説では、賞の対象にはならない。」
海老沢泰久 全委員 4 「レースの場面だけが面白くて、終末も予想した通りになったし、小説としての構成は月並であった。」
村松友視 全委員 3 「うまいが、小味で、読み終っても何も手応えはなかった。」
深田祐介 全委員 5 「当然もう受賞していい実力を持った人だが、今回この作品が候補になったのは作者にとって不運だった。」
  「わたしは今回、該当作なしのほうに票を入れた。」
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選考委員山口瞳×各候補作  見方・注意点
豊作貧乏 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
つかこうへい 全委員 10 「ともかく面白い作品で、何度も笑ったり唸ったりした。銀ちゃんがいい。」「いまの若者の受身の姿勢がマゾヒズムに拡大され、一種の恍惚境を造りだす作者の手腕に感動した。」
古川薫 全委員 6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
西村望 全委員 5 「私の好きな作家で、粘着力のある文章が光っているが、他の作家の書いている事件を扱ったので損をした。」
海老沢泰久 全委員 7 「彼はハードなタッチの翻訳調という独特の文体を持っていて、そのおおらかで決して小味にならない仕事ぶりとあわせて、常に大物感が漾っている。」
村松友視 全委員 10 「第一京浜国道立会川附近の埃っぽい感じと羽田埋立地水路の索漠とが完璧に描かれているうえに話の転結が面白く、上々の風俗小説となっている。」「前回と較べて格段の進歩があるところから将来性を買って、これを第一に推した。」
深田祐介 全委員 12 「毎回、これだけ大人の読者を堪能させる作品を書き続けうる力量を評価すべきで、ラグビーの認定トライのような受賞があってもいいのではないかと思ったが、この作品(引用者中略)で受賞するのは作者にとって名誉ではないという発言があり、それが大方の意見を代表する形になった。」
  「七篇の甲乙はつけ難く、豊作貧乏の感がある。」
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阿川弘之
村上元三
五木寛之
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選考委員五木寛之×各候補作  見方・注意点
つか氏を推す 総行数81 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
光岡明 全委員 10 「池波正太郎氏に強く推された。私は池波さんの真情あふるる推挙ぶりに感動し、最初は〈蒲田行進曲〉と〈泪橋〉の二作授賞を主張しながら、最後に変節した。池波さんの批評眼を私は信用しているし、そういう一途な推されかたをする作家には必ず何かがあると思えたからである。」
つかこうへい 全委員 37 「つか氏の作品は、私たちの無意識の世界の深いところに鋭く触れるものがある。」「私はこの物語りを遠い祭ばやしを聞くような気分で楽しみながら一気に読み通し、やがて数日たってからずしんと来るものを感じた。」「面白おかしく書きとばせば、それがおのずからなる批評の色合いをおびるという痛快な結果をもたらすので、そういう無意識の狩人を天才と呼んで不自然なわけがない。」
古川薫 全委員 8 「すでに直木賞など必要としない堂々たる一国一城の主である。既成作家としての安定した作風が、新人賞である直木賞にかえってそぐわない印象をあたえるあたりが、何度も惜しいところで受賞を逸する一因かもしれない。」
西村望 全委員 10 「前に候補作となった〈薄化粧〉が好きだったせいか、やや印象が薄かったように思う。」
海老沢泰久 全委員 0  
村松友視 全委員 20 「秀才の苦心作といった趣きだ。」「〈泪橋〉が〈蒲田行進曲〉より小説としていささかも劣るわけではない。私はこの作品の背景をなしている一帯に長く住んでいたことがあるためか、ことに興味ぶかく読んだ。」
深田祐介 全委員 5 「今度の作品で受賞は本人自身も望まれないだろう。この後いくらでも力作、快作が期待できる作家だからである。」
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光岡明『機雷』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 全候補 14 「戦争の非情さ、アメリカのこわさといったものも、にじみ出て、いろいろ教えられることが多い。」「やや観念的というか、ぐちや説教を感じさせるところがあり、リズムが生まれず、少々読みづらかった。」
池波正太郎 全候補 21 「この小説がもつ力感を第一に買わざるを得なかった。」「構築のみごとさ。登場人物の描写もすぐれてい、戦争小説の範疇をこえた力作といえる。」
水上勉 全候補 21 「すぐれていた。文章もしっかりしていて重厚である。」「だが、おもしろい小説といえるかどうか。」「作者が創りだした人間世界を求めるものには、調査の重みだけでは退屈するのだった。誠実でいい仕事だな、と思うがちょっと首をひねった理由はそれである。」
源氏鶏太 全候補 12 「海軍将校の花々しい死をのぞみながら機雷に取っ組み、その志を得ず、戦後まで生き延びて、甦る機雷に関係しなければならなかった男の生きざまが見事に描かれている。その死生観も十分に理解出来る。」
阿川弘之 全候補 7 「重厚だが専門用語その他海軍の描き方に首をかしげる箇所が多く、めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
村上元三 全候補 12 「第一章が不要で、第二章以下に盛りこむべきであったろう。」「無駄を書きすぎているし、この作品はもう一ぺん整理してまとめたほうがよかったと思う。」
山口瞳 全候補 6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
五木寛之 全候補 10 「池波正太郎氏に強く推された。私は池波さんの真情あふるる推挙ぶりに感動し、最初は〈蒲田行進曲〉と〈泪橋〉の二作授賞を主張しながら、最後に変節した。池波さんの批評眼を私は信用しているし、そういう一途な推されかたをする作家には必ず何かがあると思えたからである。」
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他の候補作
つかこうへい 『蒲田行進曲』
古川薫 『暗殺の森』
西村望 『丑三つの村』
海老沢泰久 『F2グランプリ』
村松友視 「泪橋」
深田祐介 「バンコク喪服支店」
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つかこうへい『蒲田行進曲』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 全候補 14 「テンポがよく、間がよく、イキがよく、いかにも人間が生きている感じがあった。」「だめな男対だめな男の関係が、お互いを生かし合っていて、おもしろく、その底にこの作者独特の破壊力を感じさせる。」
池波正太郎 全候補 10 「笑いながら読みすすみつつ、長年、芝居の世界にいた私は、むしろ鋭いリアリティに迫力を感じた。後半は、先を読まれてしまってペースが落ちる。」
水上勉 全候補 25 「私はさきに、「ひも」を強力に推して破れていたので、この作品が最後までのこったのはうれしかった。どちらかといえば、「ひも」の方が密度も濃かったと思う。「蒲田」は「ひも」のように会話が追いこまれてなくて改行の多いせいか、つかさんの語りのオリみたいなものが散ってしまう気分である。」
源氏鶏太 全候補 8 「何んとも面白くてうら悲しい小説であった。」「作者の才能を感じさせる。難をいえば、すこし軽い。尤も、この軽さは、作者の狙いであったようにも思える。」
阿川弘之 全候補 6 「軽妙だが読み了へての印象が薄く、(引用者中略)めでたく決定後も、すつきりしないものが残つた。」
村上元三 全候補 5 「前半の章だけが面白かった。会話はお手のものでうまいし、軽く読めるが、後半もヤスの話で進めるべきではなかったろうか。」
山口瞳 全候補 10 「ともかく面白い作品で、何度も笑ったり唸ったりした。銀ちゃんがいい。」「いまの若者の受身の姿勢がマゾヒズムに拡大され、一種の恍惚境を造りだす作者の手腕に感動した。」
五木寛之 全候補 37 「つか氏の作品は、私たちの無意識の世界の深いところに鋭く触れるものがある。」「私はこの物語りを遠い祭ばやしを聞くような気分で楽しみながら一気に読み通し、やがて数日たってからずしんと来るものを感じた。」「面白おかしく書きとばせば、それがおのずからなる批評の色合いをおびるという痛快な結果をもたらすので、そういう無意識の狩人を天才と呼んで不自然なわけがない。」
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他の候補作
光岡明 『機雷』
古川薫 『暗殺の森』
西村望 『丑三つの村』
海老沢泰久 『F2グランプリ』
村松友視 「泪橋」
深田祐介 「バンコク喪服支店」
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古川薫『暗殺の森』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 全候補 7 「一本調子な小説ではなく、怨念を二重にだぶらせて進行させ、構成にも工夫があるように思われたが、それだけに、いまひとつすっきりしない仕立て上りになったことが惜しまれる。」
池波正太郎 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 7 「よく調べて書いてあるが、その描き方がすこし雑然としていて、途中から煩わしくなって来た。古川氏の過去の候補作品に比較してもやや落ちる。」
阿川弘之 全候補 0  
村上元三 全候補 14 「主人公の野見庄太郎がこれほど苦労をして取材をしたり、古文書を漁ってまとめた「中山忠光卿殺害顛末」が棺の中で灰になってしまった、となると、作者がこの一作の中で調べたことが、嘘になってしまう。」「高い広い視野から見てほしかった。」
山口瞳 全候補 6 「長過ぎるし、固い。小説にするには、もっと語り口や筋立てに工夫があってしかるべきではないか。」
五木寛之 全候補 8 「すでに直木賞など必要としない堂々たる一国一城の主である。既成作家としての安定した作風が、新人賞である直木賞にかえってそぐわない印象をあたえるあたりが、何度も惜しいところで受賞を逸する一因かもしれない。」
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他の候補作
光岡明 『機雷』
つかこうへい 『蒲田行進曲』
西村望 『丑三つの村』
海老沢泰久 『F2グランプリ』
村松友視 「泪橋」
深田祐介 「バンコク喪服支店」
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西村望『丑三つの村』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 全候補 0  
池波正太郎 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 4 「まことに厭な話であるが、そこに不思議な魅力がある。文章もうまいと思った。」
阿川弘之 全候補 0  
村上元三 全候補 4 「読後感も悪いし、主人公がよく描かれていない。ただ人を殺して廻る小説では、賞の対象にはならない。」
山口瞳 全候補 5 「私の好きな作家で、粘着力のある文章が光っているが、他の作家の書いている事件を扱ったので損をした。」
五木寛之 全候補 10 「前に候補作となった〈薄化粧〉が好きだったせいか、やや印象が薄かったように思う。」
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他の候補作
光岡明 『機雷』
つかこうへい 『蒲田行進曲』
古川薫 『暗殺の森』
海老沢泰久 『F2グランプリ』
村松友視 「泪橋」
深田祐介 「バンコク喪服支店」
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海老沢泰久『F2グランプリ』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 全候補 10 「達者な作品である。」「緊迫感もあり、人生のにがみを感じさせるところもあるが、一方ではアメリカ映画のセリフのようなものもあって、鈴鹿の風のにおい土のにおいといったものが稀薄な気がした。」
池波正太郎 全候補 5 「いかにも若々しい精悍さでダイナミックなマシーン小説を書いた海老沢泰久氏へも今後に大きな期待がよせられたようである。」
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 7 「読んでいて愉しかったが、文学的香気がいささか欠けているように思った。」
阿川弘之 全候補 7 「素材にふさはしいスピード感あり、構成もがつしりしてゐて面白かつたけれど、要らざる洒落気があちこち眼につき、積極的には推しかねた。」
村上元三 全候補 4 「レースの場面だけが面白くて、終末も予想した通りになったし、小説としての構成は月並であった。」
山口瞳 全候補 7 「彼はハードなタッチの翻訳調という独特の文体を持っていて、そのおおらかで決して小味にならない仕事ぶりとあわせて、常に大物感が漾っている。」
五木寛之 全候補 0  
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他の候補作
光岡明 『機雷』
つかこうへい 『蒲田行進曲』
古川薫 『暗殺の森』
西村望 『丑三つの村』
村松友視 「泪橋」
深田祐介 「バンコク喪服支店」
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村松友視「泪橋」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 全候補 7 「小道具大道具を巧みに使いこなして、銅版画のような世界をつくり上げている。そのうまさが少し鼻につくような気がしたのは、どうしてであろうか。」
池波正太郎 全候補 0  
水上勉 全候補 11 「小説つくりの才は抜群でも、どこか弱い。」「いろいろ持ちこみすぎたためか、主題が散った。惜しい作品である。だがこの人はいつか申し分のない傑作を見せてくれよう。」
源氏鶏太 全候補 7 「うまい小説である。」「人生の一断面を見せられる思いで読んだが、推すには今一つ何かが不足しているような気がした。」
阿川弘之 全候補 0  
村上元三 全候補 3 「うまいが、小味で、読み終っても何も手応えはなかった。」
山口瞳 全候補 10 「第一京浜国道立会川附近の埃っぽい感じと羽田埋立地水路の索漠とが完璧に描かれているうえに話の転結が面白く、上々の風俗小説となっている。」「前回と較べて格段の進歩があるところから将来性を買って、これを第一に推した。」
五木寛之 全候補 20 「秀才の苦心作といった趣きだ。」「〈泪橋〉が〈蒲田行進曲〉より小説としていささかも劣るわけではない。私はこの作品の背景をなしている一帯に長く住んでいたことがあるためか、ことに興味ぶかく読んだ。」
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他の候補作
光岡明 『機雷』
つかこうへい 『蒲田行進曲』
古川薫 『暗殺の森』
西村望 『丑三つの村』
海老沢泰久 『F2グランプリ』
深田祐介 「バンコク喪服支店」
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深田祐介「バンコク喪服支店」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
城山三郎 全候補 0  
池波正太郎 全候補 0  
水上勉 全候補 6 「深田さんのものとしては落ちた。「革命商人」の重厚な面白さに比して軽いのだった。深田さんもこんな作品が授賞では困られるだろう。」
源氏鶏太 全候補 6 「ユウモア小説としてもあまり成功しているとは思われなかった。深田氏には他にもっといい作品がある筈である。」
阿川弘之 全候補 0  
村上元三 全候補 5 「当然もう受賞していい実力を持った人だが、今回この作品が候補になったのは作者にとって不運だった。」
山口瞳 全候補 12 「毎回、これだけ大人の読者を堪能させる作品を書き続けうる力量を評価すべきで、ラグビーの認定トライのような受賞があってもいいのではないかと思ったが、この作品(引用者中略)で受賞するのは作者にとって名誉ではないという発言があり、それが大方の意見を代表する形になった。」
五木寛之 全候補 5 「今度の作品で受賞は本人自身も望まれないだろう。この後いくらでも力作、快作が期待できる作家だからである。」
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他の候補作
光岡明 『機雷』
つかこうへい 『蒲田行進曲』
古川薫 『暗殺の森』
西村望 『丑三つの村』
海老沢泰久 『F2グランプリ』
村松友視 「泪橋」
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