直木賞のすべて
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第79回

=受賞者=
色川武大
津本 陽

=候補者=
泡坂妻夫
深田祐介
小檜山 博
谷 恒生
小林信彦
若城希伊子


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 昭和53年/1978年上半期
 (昭和53年/1978年7月14日決定発表/『オール讀物』昭和53年/1978年10月号選評掲載)
選考委員  水上勉 村上元三 司馬遼太郎 城山三郎 川口松太郎 五木寛之 源氏鶏太 今日出海 松本清張
選評総行数  49 54 67 48 61 60 52 30  
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 選評なし
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
色川武大 「離婚」 評言 11 5 12 3 13 8 13 7    
津本陽 「深重の海」 評言 24 4 14 14 6 6 11 16    
泡坂妻夫 『乱れからくり』 評言 0 6 9 5 0 4 2 0    
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』 評言 19 9 6 12 16 4 6 9    
小檜山博 「イタチ捕り」 評言 0 4 8 0 0 5 4 0    
谷恒生 『ホーン岬』 評言 0 6 6 5 14 7 4 0    
小林信彦 『唐獅子株式会社』 評言 15 6 5 5 0 4 6 0    
若城希伊子 『ガラシャにつづく人々』 評言 0 5 10 4 13 2 3 0    
                欠席
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和53年/1978年10月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員水上勉×各候補作  見方・注意点
二作を選ぶ 総行数49 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 11 「手さばきのよい仕上げぶりに驚いた。人生のにがさが快くしみわたるのが小気味いい。参考作品「三文おけら」にもそれはあって、この作者はもう独壇場の道を歩みはじめている。授賞に賛成である。」
津本陽 全委員 24 「候補作品中群をぬく重さである。」「ずしりと持ち重りのする作品というものの少ない季節ゆえ、捨てがたく、最後までのこし、授賞二作を選ぶとなればこれだと、賛成にまわった。」
泡坂妻夫 全委員 0  
深田祐介 全委員 19 「もう少しいい作品があるのではないか。」「これは私の読みちがいかもしれぬが、形容に手なれすぎたところがあり、気になるのだった。どうせ小説は絵空事にしても、人物を思うままに動かしすぎたきらいはないか。」「損なものが候補になった感が深い。」
小檜山博 全委員 0  
谷恒生 全委員 0  
小林信彦 全委員 15 「もう少しいい作品があるのではないか。」「奇抜な思いつきだし、楽しく読ませるのだが、それだけでは、と思う。」「損なものが候補になった感が深い。」
若城希伊子 全委員 0  
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他の選考委員
村上元三
司馬遼太郎
城山三郎
川口松太郎
五木寛之
源氏鶏太
今日出海
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選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
ほっとした 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 5 「器用すぎる作品だが、そこに浅さを感じる。むしろ参考作品の「三文おけら」の方が、悲しくて、よく人間を描いていた。」
津本陽 全委員 4 「いささか長すぎるとも思うが、重量感はあった。器用な作品ではないものの、この生まじめさは買いたい。」
泡坂妻夫 全委員 6 「からくりの説明のところだけが面白かった。なまじ推理仕立てなどにしないで、この人が真向から大野弁吉を書いたら、きっと面白いだろうと思う。」
深田祐介 全委員 9 「最後まで残りながら、賛成者が二人きりで落ちたのは惜しい。この作者は、おそらく座談の名手だと思うが、それが作品にまでのさばり出すぎる。しかしこの小説は面白かったし、これからも押えるところは押えれば、いい作品が出て来るだろう。」
小檜山博 全委員 4 「こんどの候補作品の中で、一ばん素直な文章だったが、直木賞のものではない。」
谷恒生 全委員 6 「せっかく船乗りでなくては書けない材料を扱っているのに、安手なテレビ活劇映画のようで、それはそれなりで面白ければいいが、読み終ってがっかりした。」
小林信彦 全委員 6 「わたしには面白かった。ただ、この作者の才能が、あまり表面に出ないで、筆を押えれば、ギャグやパロディが、もっと生きてくるだろう。」
若城希伊子 全委員 5 「作者のセンチメンタリズムが拭い去られたとき、この人は本物の小説が書けるような気がする。」
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他の選考委員
水上勉
司馬遼太郎
城山三郎
川口松太郎
五木寛之
源氏鶏太
今日出海
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選考委員司馬遼太郎×各候補作  見方・注意点
ふしぎな精神 総行数67 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 12 「べつに生きたくて生きているわけでもない――といって格別な厭世観をもっているわけでもない――男女をさりげなく短編世界に生かしてしまっている。腕もさることながら、作者のふしぎな精神のほうにつよい傾斜を感じた。」
津本陽 全委員 14 「上手な小説でもないが、主題への骨太い実直さと、それと無縁ではない現実感のおびただしい累積が、ロシアの画家の不器用なデッサンを見るような迫力を感じさせた。」
泡坂妻夫 全委員 9 「宗教的幻想がほろびかけて、しかも科学への信仰がまだ十分に力を得ていない時代に奇術が華麗な分野を占めた。「探偵小説」と銘打ったこの作品にもそういう妖しさが感じられる。」
深田祐介 全委員 6 「登場人物を作者のすぐれた才気でてきぱきと造形化しつつ、ビジネスの社会を喜劇化してみせた手練は容易なものではない。」
小檜山博 全委員 8 「透明度の高い小品に仕上がっている。ただ少年という受動的な視点を設定したために、タコ部屋という醒惨な現実が風景化されてしまったうらみがある。」
谷恒生 全委員 6 「前回の候補作「喜望峰」のほうがおもしろかった。私はこの種の小説が好きなのだが、作品の中に入ってゆくのに難渋し、評価の自信がない。」
小林信彦 全委員 5 「なんともしゃれた感覚の作品である。」
若城希伊子 全委員 10 「あとがきにも書かれていることだが、ガラシャが若い頃の作者を、自意識過剰の暗い穴から救い出してくれたという。そういう目で読めばそうかとも思えるが、一面、路傍の読者としては唐突な感じもないではない。」
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他の選考委員
水上勉
村上元三
城山三郎
川口松太郎
五木寛之
源氏鶏太
今日出海
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選考委員城山三郎×各候補作  見方・注意点
深田氏の才能 総行数48 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 3 「いかにも当世風な男と女の関係を描いて、うまい。ただそれに尽きる。」
津本陽 全委員 14 「スケールもあり、時代のゆるやかなうねりを、細密画のようにていねいに描いている。」「ただし、これほどまで方言で塗りかためる必要があるかどうか、読みにくさが難。」
泡坂妻夫 全委員 5 「時間的なひろがりもあり、徹底してからくりを使う意欲作だが、いまひとつすっきりした仕上りになるとよかった。」
深田祐介 全委員 12 「現代的なおもしろさという点では、「日本悪妻に乾杯」がよかった。」「とにかく、おもしろく、その悪妻の健気さに、ほろりとさせられもした。才気がありすぎると見られた点を、作品的にもどう克服するかが、この作者の今後の課題であろう。」
小檜山博 全委員 0  
谷恒生 全委員 5 「逆転また逆転と展開はおもしろいが、文章に難があった。」
小林信彦 全委員 5 「発想は秀逸だが、少しおもしろがりすぎているのか、この作者にしては、ややパンチが不足。」
若城希伊子 全委員 4 「手の中を見せておいて小説を書く形。冒険だが、隙間風も。」
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他の選考委員
水上勉
村上元三
司馬遼太郎
川口松太郎
五木寛之
源氏鶏太
今日出海
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選考委員川口松太郎×各候補作  見方・注意点
性根と技と 総行数61 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 13 「私の最も楽しかったのは色川君の参考作品「三文おけら」であった。」「さりとて「三文おけら」だけが出て来ても入賞はしないだろう。「離婚」の参考でよかったが、私は「離婚」より「三文おけら」を高く買う。」
津本陽 全委員 6 「「深重の海」のように性根を据えて取り組むか(引用者中略)いずれにもせよ机の上で考えただけでは駄目だという事実は決定的である。」
泡坂妻夫 全委員 0  
深田祐介 全委員 16 「今回の作品が決定的でなかった点に弱さがあった。いい観点を持っているがやや軽い、軽すぎる。」「大変な才筆だし文明批評も立派だし、いい随筆作家だと思ったが、小説には別な筆力が要る。才気だけでは御し切れないがこの人のカンの鋭さは我れ我れの比ではないような気がする。」
小檜山博 全委員 0  
谷恒生 全委員 14 「前回の「喜望峰」につづいて「ホーン岬」を書いた努力には敬意を表するが、そして仲々面白いのだが、文学に昇華していないのが大欠点だ。」「先ず文学の勉強をしなければ、幾度書いても同じ結果に終るだろう。」
小林信彦 全委員 0  
若城希伊子 全委員 13 「全員否決なのに驚いた。そんなに悪い作品とも思わないし、ガラシャの周囲に対する目のくばり方も真面目だしもう少し関心を持たれるかと思ったが所詮は古いのだろう。」「この領域では卒業している委員たちだから魅力がないのだ。」
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他の選考委員
水上勉
村上元三
司馬遼太郎
城山三郎
五木寛之
源氏鶏太
今日出海
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選考委員五木寛之×各候補作  見方・注意点
プロの資質を 総行数60 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 8 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」「私は阿佐田哲也、仮の名を色川武大と考えて一票を投じた。」
津本陽 全委員 6 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
泡坂妻夫 全委員 4 「これからの作家だろう。」「「幻影城」の連載に注目したい。」
深田祐介 全委員 4 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
小檜山博 全委員 5 「メリメの「マテオ・ファルコーネ」をふと連想したために印象がいささか薄らいだが、メリメとくらべられれば大したものである。」
谷恒生 全委員 7 「その筆力には感心する。ただしこの人、いかにもプロっぽい作品の面構えで損をしていると思う。本当のプロは一見、堅気めいた物腰の連中が多いものだ。」
小林信彦 全委員 4 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
若城希伊子 全委員 2 「これからの作家だろう。」
  「この賞の選考委員の末席に連なることをお引き受けした時、私は二つの考えを述べた。一つは、直木賞作品は、芥川賞の作品とくっきりと異った質のものでありたいという考え方である。もう一つは、(引用者中略)その作家に真のプロフェッショナルの資質があるかどうかという点を見たいという考えである。」
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他の選考委員
水上勉
村上元三
司馬遼太郎
城山三郎
川口松太郎
源氏鶏太
今日出海
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選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
会心の授賞 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 13 「何んともおかしな小説であった。理屈に合わぬようなことを並べて、ちゃんと小説に仕上げているのは才能のたしかさであろう。が、前に候補になった「怪しい来客簿」の実績が大いに役立っていた。」
津本陽 全委員 11 「出色の作品であった。いってみれば地方在住の無名作家の授賞は、私にとっても会心のことであった。」
泡坂妻夫 全委員 2 「決して悪くなかった」
深田祐介 全委員 6 「城山委員の孤軍奮闘のかたちで見送られた。」
小檜山博 全委員 4 「読んでいて、これが小説だと感じた。私の好きな作品であったが大方の賛成が得られなかった。」
谷恒生 全委員 4 「どうして候補作品に選ばれたのかと思いたくなってくる。私の年齢のせいであろうか。」
小林信彦 全委員 6 「何度もふき出して読んだ。鮮度は十分であったが、読み終って、欲求不満が残った。もっとこの先がある筈だということかも知れない。」
若城希伊子 全委員 3 「全体的に女性の感傷が流れ過ぎているような気がした。」
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他の選考委員
水上勉
村上元三
司馬遼太郎
城山三郎
川口松太郎
五木寛之
今日出海
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選考委員今日出海×各候補作  見方・注意点
選後附言 総行数30 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
色川武大 全委員 7 「色川武大氏は、日本の小説及び小説家の伝統を身につけながら、氏の若い時代の空気を吸って自分の境地を固めている。」
津本陽 全委員 16 「一番読み応えがあった。ただ方言が多く、一般の読者には読みづらいのではないか。」「作者の迫力と重厚な熱意とが、作品の重力となり、この作品を推す人が多かった。当然のことである。」
泡坂妻夫 全委員 0  
深田祐介 全委員 9 「筆も渋滞するところなく、恐ろしく筆達者な人である。それが「日本悪妻に乾杯」を面白い読みものにしているが、作品の重味を損っているように思えた。」
小檜山博 全委員 0  
谷恒生 全委員 0  
小林信彦 全委員 0  
若城希伊子 全委員 0  
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他の選考委員
水上勉
村上元三
司馬遼太郎
城山三郎
川口松太郎
五木寛之
源氏鶏太
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色川武大「離婚」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 11 「手さばきのよい仕上げぶりに驚いた。人生のにがさが快くしみわたるのが小気味いい。参考作品「三文おけら」にもそれはあって、この作者はもう独壇場の道を歩みはじめている。授賞に賛成である。」
村上元三 全候補 5 「器用すぎる作品だが、そこに浅さを感じる。むしろ参考作品の「三文おけら」の方が、悲しくて、よく人間を描いていた。」
司馬遼太郎 全候補 12 「べつに生きたくて生きているわけでもない――といって格別な厭世観をもっているわけでもない――男女をさりげなく短編世界に生かしてしまっている。腕もさることながら、作者のふしぎな精神のほうにつよい傾斜を感じた。」
城山三郎 全候補 3 「いかにも当世風な男と女の関係を描いて、うまい。ただそれに尽きる。」
川口松太郎 全候補 13 「私の最も楽しかったのは色川君の参考作品「三文おけら」であった。」「さりとて「三文おけら」だけが出て来ても入賞はしないだろう。「離婚」の参考でよかったが、私は「離婚」より「三文おけら」を高く買う。」
五木寛之 全候補 8 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」「私は阿佐田哲也、仮の名を色川武大と考えて一票を投じた。」
源氏鶏太 全候補 13 「何んともおかしな小説であった。理屈に合わぬようなことを並べて、ちゃんと小説に仕上げているのは才能のたしかさであろう。が、前に候補になった「怪しい来客簿」の実績が大いに役立っていた。」
今日出海 全候補 7 「色川武大氏は、日本の小説及び小説家の伝統を身につけながら、氏の若い時代の空気を吸って自分の境地を固めている。」
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他の候補作
津本陽 「深重の海」
泡坂妻夫 『乱れからくり』
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』
小檜山博 「イタチ捕り」
谷恒生 『ホーン岬』
小林信彦 『唐獅子株式会社』
若城希伊子 『ガラシャにつづく人々』
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津本陽「深重の海」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 24 「候補作品中群をぬく重さである。」「ずしりと持ち重りのする作品というものの少ない季節ゆえ、捨てがたく、最後までのこし、授賞二作を選ぶとなればこれだと、賛成にまわった。」
村上元三 全候補 4 「いささか長すぎるとも思うが、重量感はあった。器用な作品ではないものの、この生まじめさは買いたい。」
司馬遼太郎 全候補 14 「上手な小説でもないが、主題への骨太い実直さと、それと無縁ではない現実感のおびただしい累積が、ロシアの画家の不器用なデッサンを見るような迫力を感じさせた。」
城山三郎 全候補 14 「スケールもあり、時代のゆるやかなうねりを、細密画のようにていねいに描いている。」「ただし、これほどまで方言で塗りかためる必要があるかどうか、読みにくさが難。」
川口松太郎 全候補 6 「「深重の海」のように性根を据えて取り組むか(引用者中略)いずれにもせよ机の上で考えただけでは駄目だという事実は決定的である。」
五木寛之 全候補 6 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
源氏鶏太 全候補 11 「出色の作品であった。いってみれば地方在住の無名作家の授賞は、私にとっても会心のことであった。」
今日出海 全候補 16 「一番読み応えがあった。ただ方言が多く、一般の読者には読みづらいのではないか。」「作者の迫力と重厚な熱意とが、作品の重力となり、この作品を推す人が多かった。当然のことである。」
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他の候補作
色川武大 「離婚」
泡坂妻夫 『乱れからくり』
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』
小檜山博 「イタチ捕り」
谷恒生 『ホーン岬』
小林信彦 『唐獅子株式会社』
若城希伊子 『ガラシャにつづく人々』
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泡坂妻夫『乱れからくり』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
村上元三 全候補 6 「からくりの説明のところだけが面白かった。なまじ推理仕立てなどにしないで、この人が真向から大野弁吉を書いたら、きっと面白いだろうと思う。」
司馬遼太郎 全候補 9 「宗教的幻想がほろびかけて、しかも科学への信仰がまだ十分に力を得ていない時代に奇術が華麗な分野を占めた。「探偵小説」と銘打ったこの作品にもそういう妖しさが感じられる。」
城山三郎 全候補 5 「時間的なひろがりもあり、徹底してからくりを使う意欲作だが、いまひとつすっきりした仕上りになるとよかった。」
川口松太郎 全候補 0  
五木寛之 全候補 4 「これからの作家だろう。」「「幻影城」の連載に注目したい。」
源氏鶏太 全候補 2 「決して悪くなかった」
今日出海 全候補 0  
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他の候補作
色川武大 「離婚」
津本陽 「深重の海」
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』
小檜山博 「イタチ捕り」
谷恒生 『ホーン岬』
小林信彦 『唐獅子株式会社』
若城希伊子 『ガラシャにつづく人々』
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深田祐介『日本悪妻に乾杯』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 19 「もう少しいい作品があるのではないか。」「これは私の読みちがいかもしれぬが、形容に手なれすぎたところがあり、気になるのだった。どうせ小説は絵空事にしても、人物を思うままに動かしすぎたきらいはないか。」「損なものが候補になった感が深い。」
村上元三 全候補 9 「最後まで残りながら、賛成者が二人きりで落ちたのは惜しい。この作者は、おそらく座談の名手だと思うが、それが作品にまでのさばり出すぎる。しかしこの小説は面白かったし、これからも押えるところは押えれば、いい作品が出て来るだろう。」
司馬遼太郎 全候補 6 「登場人物を作者のすぐれた才気でてきぱきと造形化しつつ、ビジネスの社会を喜劇化してみせた手練は容易なものではない。」
城山三郎 全候補 12 「現代的なおもしろさという点では、「日本悪妻に乾杯」がよかった。」「とにかく、おもしろく、その悪妻の健気さに、ほろりとさせられもした。才気がありすぎると見られた点を、作品的にもどう克服するかが、この作者の今後の課題であろう。」
川口松太郎 全候補 16 「今回の作品が決定的でなかった点に弱さがあった。いい観点を持っているがやや軽い、軽すぎる。」「大変な才筆だし文明批評も立派だし、いい随筆作家だと思ったが、小説には別な筆力が要る。才気だけでは御し切れないがこの人のカンの鋭さは我れ我れの比ではないような気がする。」
五木寛之 全候補 4 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
源氏鶏太 全候補 6 「城山委員の孤軍奮闘のかたちで見送られた。」
今日出海 全候補 9 「筆も渋滞するところなく、恐ろしく筆達者な人である。それが「日本悪妻に乾杯」を面白い読みものにしているが、作品の重味を損っているように思えた。」
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他の候補作
色川武大 「離婚」
津本陽 「深重の海」
泡坂妻夫 『乱れからくり』
小檜山博 「イタチ捕り」
谷恒生 『ホーン岬』
小林信彦 『唐獅子株式会社』
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小檜山博「イタチ捕り」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
村上元三 全候補 4 「こんどの候補作品の中で、一ばん素直な文章だったが、直木賞のものではない。」
司馬遼太郎 全候補 8 「透明度の高い小品に仕上がっている。ただ少年という受動的な視点を設定したために、タコ部屋という醒惨な現実が風景化されてしまったうらみがある。」
城山三郎 全候補 0  
川口松太郎 全候補 0  
五木寛之 全候補 5 「メリメの「マテオ・ファルコーネ」をふと連想したために印象がいささか薄らいだが、メリメとくらべられれば大したものである。」
源氏鶏太 全候補 4 「読んでいて、これが小説だと感じた。私の好きな作品であったが大方の賛成が得られなかった。」
今日出海 全候補 0  
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他の候補作
色川武大 「離婚」
津本陽 「深重の海」
泡坂妻夫 『乱れからくり』
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』
谷恒生 『ホーン岬』
小林信彦 『唐獅子株式会社』
若城希伊子 『ガラシャにつづく人々』
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谷恒生『ホーン岬』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
村上元三 全候補 6 「せっかく船乗りでなくては書けない材料を扱っているのに、安手なテレビ活劇映画のようで、それはそれなりで面白ければいいが、読み終ってがっかりした。」
司馬遼太郎 全候補 6 「前回の候補作「喜望峰」のほうがおもしろかった。私はこの種の小説が好きなのだが、作品の中に入ってゆくのに難渋し、評価の自信がない。」
城山三郎 全候補 5 「逆転また逆転と展開はおもしろいが、文章に難があった。」
川口松太郎 全候補 14 「前回の「喜望峰」につづいて「ホーン岬」を書いた努力には敬意を表するが、そして仲々面白いのだが、文学に昇華していないのが大欠点だ。」「先ず文学の勉強をしなければ、幾度書いても同じ結果に終るだろう。」
五木寛之 全候補 7 「その筆力には感心する。ただしこの人、いかにもプロっぽい作品の面構えで損をしていると思う。本当のプロは一見、堅気めいた物腰の連中が多いものだ。」
源氏鶏太 全候補 4 「どうして候補作品に選ばれたのかと思いたくなってくる。私の年齢のせいであろうか。」
今日出海 全候補 0  
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他の候補作
色川武大 「離婚」
津本陽 「深重の海」
泡坂妻夫 『乱れからくり』
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』
小檜山博 「イタチ捕り」
小林信彦 『唐獅子株式会社』
若城希伊子 『ガラシャにつづく人々』
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小林信彦『唐獅子株式会社』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 15 「もう少しいい作品があるのではないか。」「奇抜な思いつきだし、楽しく読ませるのだが、それだけでは、と思う。」「損なものが候補になった感が深い。」
村上元三 全候補 6 「わたしには面白かった。ただ、この作者の才能が、あまり表面に出ないで、筆を押えれば、ギャグやパロディが、もっと生きてくるだろう。」
司馬遼太郎 全候補 5 「なんともしゃれた感覚の作品である。」
城山三郎 全候補 5 「発想は秀逸だが、少しおもしろがりすぎているのか、この作者にしては、ややパンチが不足。」
川口松太郎 全候補 0  
五木寛之 全候補 4 「私の中では、色川武大、小林信彦、深田祐介、津本陽、の四氏が残った。」
源氏鶏太 全候補 6 「何度もふき出して読んだ。鮮度は十分であったが、読み終って、欲求不満が残った。もっとこの先がある筈だということかも知れない。」
今日出海 全候補 0  
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他の候補作
色川武大 「離婚」
津本陽 「深重の海」
泡坂妻夫 『乱れからくり』
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』
小檜山博 「イタチ捕り」
谷恒生 『ホーン岬』
若城希伊子 『ガラシャにつづく人々』
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若城希伊子『ガラシャにつづく人々』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
村上元三 全候補 5 「作者のセンチメンタリズムが拭い去られたとき、この人は本物の小説が書けるような気がする。」
司馬遼太郎 全候補 10 「あとがきにも書かれていることだが、ガラシャが若い頃の作者を、自意識過剰の暗い穴から救い出してくれたという。そういう目で読めばそうかとも思えるが、一面、路傍の読者としては唐突な感じもないではない。」
城山三郎 全候補 4 「手の中を見せておいて小説を書く形。冒険だが、隙間風も。」
川口松太郎 全候補 13 「全員否決なのに驚いた。そんなに悪い作品とも思わないし、ガラシャの周囲に対する目のくばり方も真面目だしもう少し関心を持たれるかと思ったが所詮は古いのだろう。」「この領域では卒業している委員たちだから魅力がないのだ。」
五木寛之 全候補 2 「これからの作家だろう。」
源氏鶏太 全候補 3 「全体的に女性の感傷が流れ過ぎているような気がした。」
今日出海 全候補 0  
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他の候補作
色川武大 「離婚」
津本陽 「深重の海」
泡坂妻夫 『乱れからくり』
深田祐介 『日本悪妻に乾杯』
小檜山博 「イタチ捕り」
谷恒生 『ホーン岬』
小林信彦 『唐獅子株式会社』
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