直木賞のすべて
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第71回

=受賞者=
藤本義一

=候補者=
白石一郎
河野典生
阿部牧郎
素 九鬼子
榊原直人
半村 良


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 昭和49年/1974年上半期
 (昭和49年/1974年7月17日決定発表/『オール讀物』昭和49年/1974年10月号選評掲載)
選考委員  柴田錬三郎 源氏鶏太 今日出海 石坂洋次郎 村上元三 川口松太郎 松本清張 水上勉 司馬遼太郎
選評総行数  52 56 55 57 56 46 54 48 54
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
藤本義一 「鬼の詩」 評言 13 19 20 12 24 39 19 22 35
白石一郎 『火炎城』 評言 9 6 18 7 4 0 15 0 3
河野典生 『ペインティング・ナイフの群像』 評言 0 3 0 4 5 0 0 0 8
阿部牧郎 「失われた球譜」 評言 8 9 0 7 5 14 4 10 5
素九鬼子 『パーマネントブルー』 評言 9 5 0 5 3 0 0 5 8
榊原直人 「仏の城」 評言 0 5 0 6 4 0 3 0 3
半村良 「不可触領域」 評言 13 10 10 6 11 13 14 10 3
          欠席
書面回答
     
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和49年/1974年10月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員柴田錬三郎×各候補作  見方・注意点
独特な鉱脈 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 13 「努力すれば努力するほど、生きることの惨めさを露呈する人間の哀しさが、まことに巧妙に、描かれている。作者は、ようやく器用貧乏を脱して、自分独特の鉱脈を掘りあてたようである。」
白石一郎 全委員 9 「力作だが、いかんせん、大友宗麟の人物像が、歴史学者の書いたものを抜け出ていなかった。」「読後の印象は、ただ、せい一杯書いたのだな、という平凡な評価しかできなかった。」
河野典生 全委員 0  
阿部牧郎 全委員 8 「材料そのものが小さすぎる。」「思いきって、大きな材料と取組むことができないものか、といつも考えさせられる。」
素九鬼子 全委員 9 「平がなばかり使う読みにくさを、教えられた。」「平がなばかり使わなければならぬ必然性を、全く感じなかった。」
榊原直人 全委員 0  
半村良 全委員 13 「当選作にしてもいい、見事なSF小説だ、と考えて、選考会にのぞんだが、意外に、票が集まらなかった。」「候補作品中、面白さに於て、随一であった。この作家は、こん後、異常に巧くなる人のような気がする。」
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他の選考委員
源氏鶏太
今日出海
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
松本清張
水上勉
司馬遼太郎
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選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
読み返す毎に高点に 総行数56 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 19 「ちょっと達者過ぎないかと思われるほど、世にも凄じい落語家の話が次から次へと描かれていて、強いての欲をいえば、多少の余裕がほしかった。」「明治の末頃の大阪での「芸」の意味について司馬遼太郎氏からの詳しい説明があって、私は、更に「鬼の詩」を高く評価する気になった。」
白石一郎 全委員 6 「私には面白かった。大友宗麟について、よくここまでまとめて描いたと思ったのだが、それについての反対意見がすくなくなかった。」
河野典生 全委員 3 「うまいだけに終っている」
阿部牧郎 全委員 9 「実にキメこまかく書いてあるのだが、蓋をあけてみたら、なんだこんなことであったかとの印象が残る。阿部氏は、テーマの選び方で、いつも、損をしている。」
素九鬼子 全委員 5 「私の好きな作品であった。このままで忘れ去られるには惜しい作品と、今でも思っている。」
榊原直人 全委員 5 「一応、書けているが、まだどこか調子の低いところがある。」
半村良 全委員 10 「一時は授賞の対象になったのだが、結局、見送られたのは、前の部分の凄さに比較して、SFの世界に入ってからはどうもついていけないとの説が出たからである。しかし、大変な才能の持主であることは間違いなかろう。」
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他の選考委員
柴田錬三郎
今日出海
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
松本清張
水上勉
司馬遼太郎
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選考委員今日出海×各候補作  見方・注意点
手練の作品 総行数55 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 20 「東京では芸と趣向を殊更に区別する。こんな風習の相違は一般読者にはわかってみればまた興味もあるが、説明が必要であろう。しかし手練の作品として推すことにやぶさかではない。」
白石一郎 全委員 18 「書き出しの宗麟の若き時代、その天衣無縫な性格の芽生えはなかなか人を惹きつけるが、(引用者中略)大名になると、あとはその事績、歴史を追うことに忠実であり、つまり歴史を語ることに急で、小説家の眼が鈍くなるのは惜しい。」
河野典生 全委員 0  
阿部牧郎 全委員 0  
素九鬼子 全委員 0  
榊原直人 全委員 0  
半村良 全委員 10 「書き出しは、選者の意識が消え、一読者として面白く読んだ。」「描写力もあり、筆力もある作者が、科学を道具に使い、結局、科学自体を扱いかねた形なのはこれ亦惜しい。」
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柴田錬三郎
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石坂洋次郎
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川口松太郎
松本清張
水上勉
司馬遼太郎
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選考委員石坂洋次郎×各候補作  見方・注意点
直木賞所感 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 12 「芸能人であれ、作家であれ、私は破滅型の生活には共感がもてない。」「藤本氏よ、作品には破滅型の人物を描いても、貴方自身の私生活を崩すことがないように……。」
白石一郎 全委員 7 「惨虐、淫乱のかぎりをつくした宗麟がキリスト教に開眼する過程に合理性、必然性が感じられない。一番大切なものが描けてないと思う。」
河野典生 全委員 4 「感覚の閃きがあり、才筆だが、何が主題なのかよく分らない。」
阿部牧郎 全委員 7 「野球好きな人には面白い話だが、女性の読者にはどんなものだろう。」
素九鬼子 全委員 5 「ある程度面白かったが、レアリテーに乏しいのが残念だった。」
榊原直人 全委員 6 「話は一応うまく出来てるが、どうしても元気に乏しい。」
半村良 全委員 6 「よく勉強しており、達筆でもあるが、テレパシーで人間の心を統一するという着想は、超能力少年の話のようにもう一つ真実性に欠けているような気がした。」
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柴田錬三郎
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川口松太郎
松本清張
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選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
藤本氏に望む 総行数56 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 24 「こんどは藤本義一氏以外にはない、と思って銓衡会場へ行った。」「人間をつきつめて行って、えげつない、きたなさを描く最近のこの作者の傾向に反対はしないが、「ちりめんじゃこ」のような大阪特有の明るさ、のんきさを描くことも忘れないでほしい。わたしの入れた点は、「鬼の詩」プラス従来の実績、ということであった。」
白石一郎 全委員 4 「時代小説としては平均点を入れられるが、直木賞となると、やはりこの線を乗り越えてほしい。」
河野典生 全委員 5 「メルヘンの世界を描いて面白い小品は数篇あったが、あとは習作にすぎない。」
阿部牧郎 全委員 5 「もう七回も候補になっているのに、どうも決定打がない。こんどの作品は、ことにおとる。」
素九鬼子 全委員 3 「候補になったのが不幸であった。」
榊原直人 全委員 4 「大そう達者だが、ここで小ぢんまりとまとまりそうな危懼を感じさせる。」
半村良 全委員 11 「SFファンの一人としても、わたしには不満であった。フィクションがあって、サイエンスがない、といつも言ってることを、また書かせてもらう。参考作品の「新宿の男」は、(引用者中略)芝居の一幕物に似て、よくまとまっていた。」
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他の選考委員
柴田錬三郎
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今日出海
石坂洋次郎
川口松太郎
松本清張
水上勉
司馬遼太郎
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選考委員川口松太郎×各候補作  見方・注意点
ほっとした思い 総行数46 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 39 「藤本義一君は既に作家として名を成していて直木賞に入らなくともさほどの失望はあるまいと思い、阿部、半村の二作を推薦して決定は委員諸氏の判断に任せた。」「人気作家になってからも生活を変えず、社会との接触面を大事にして頂きたいと思う。」
白石一郎 全委員 0  
河野典生 全委員 0  
阿部牧郎 全委員 14 「(引用者注:「失われた球譜」「鬼の詩」「不可触領域」は)どれも一流作品と称してさしつかえないほどの筆力を持ち、どれも面白く読める。」「十分筆力を持っているのだから力を落す事なく、次回の作品に努力して欲しい。」
素九鬼子 全委員 0  
榊原直人 全委員 0  
半村良 全委員 13 「(引用者注:「失われた球譜」「鬼の詩」「不可触領域」は)どれも一流作品と称してさしつかえないほどの筆力を持ち、どれも面白く読める。」「十分筆力を持っているのだから力を落す事なく、次回の作品に努力して欲しい。」
  「私は入院加療中で委員会へ出席出来なかった」
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柴田錬三郎
源氏鶏太
今日出海
石坂洋次郎
村上元三
松本清張
水上勉
司馬遼太郎
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選考委員松本清張×各候補作  見方・注意点
積極的に推す 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 19 「曾つては長谷川幸延氏の世界でもあったが、藤本氏のは芸人の怨念といったものがこもっている。」「藤本氏はようやく腰がきまり、しかもこれに脂が乗った感じである。積極的に推すことができた。」
白石一郎 全委員 15 「前半と後半の構成のバランスが崩れている。」「宗麟の視点からはなれたところで手をひろげすぎ、説明に堕して魅力を欠くことになった。」
河野典生 全委員 0  
阿部牧郎 全委員 4 「小さな主題を一応きれいにふくらました感じだが、フクラマシ粉が利きすぎて内容空疎。」
素九鬼子 全委員 0  
榊原直人 全委員 3 「「仏の城」に注目。次作を見たい。」
半村良 全委員 14 「半村良氏の進捗に接することができた。「黄金伝説」にみるようなドタバタがとれ、文章も練れたものになった。」「かんじんのテレパシイの細部道具立てが粗雑なので、フィクションとしてのリアリティ(E・A・ポーや上田秋成などの小説構成を言う)に欠く。」
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他の選考委員
柴田錬三郎
源氏鶏太
今日出海
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
水上勉
司馬遼太郎
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選考委員水上勉×各候補作  見方・注意点
「鬼の詩」讃 総行数48 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 22 「候補作品のどれよりもぬきん出て個性的な光りがあった。」「藤本さんの世界が腰をすえて、確りと打ち出された感じで、しかもその出来に妙があった。妙は藤本さんの心田の所産である。」
白石一郎 全委員 0  
河野典生 全委員 0  
阿部牧郎 全委員 10 「如何せんこの材料にこれだけの枚数は長すぎた。惜しい。」「器用さがいけないのか。そこのところが、阿部さんの今日の壁のように思う。」
素九鬼子 全委員 5 「素九鬼子さんの世界も楽しいが、しかし、これはこれだけのことといった感じがしたのは私だけであるか。」
榊原直人 全委員 0  
半村良 全委員 10 「私は参考作品の「新宿の男」の方に作家の力量をみている。といっても、授賞作とするには弱かった。「不可触領域」については、現世の神秘も感じられず、私は何も云えなかった。しかし、この人の領域には注目している。」
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他の選考委員
柴田錬三郎
源氏鶏太
今日出海
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
松本清張
司馬遼太郎
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選考委員司馬遼太郎×各候補作  見方・注意点
「鬼の詩」を 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
藤本義一 全委員 35 「候補七編のうち、(引用者中略)ぬきん出た作品だった。」「初代春団治もまかりまちがえばこの作品の主人公のようなバケモノになりかねない所があったが、春団治の天才性がそれを救った。この主人公には十分な才能がなかったために、春団治にはなれずにバケモノになってしまった。その人間の問題のきわどさが、この作品によってよくわかるような気がした。」
白石一郎 全委員 3 「平凡でありすぎて感想をのべにくい。」
河野典生 全委員 8 「(引用者注:小説)とは別の分野のもののように思われた。」
阿部牧郎 全委員 5 「相変らず達者な作品だが、小説の主題としては人間の問題が小さすぎないだろうか。」
素九鬼子 全委員 8 「(引用者注:小説)とは別の分野のもののように思われた。」
榊原直人 全委員 3 「平凡でありすぎて感想をのべにくい。」
半村良 全委員 3 「おもしろかったし、作者の才能の豊かさを感じさせた。」
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他の選考委員
柴田錬三郎
源氏鶏太
今日出海
石坂洋次郎
村上元三
川口松太郎
松本清張
水上勉
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藤本義一「鬼の詩」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎 全候補 13 「努力すれば努力するほど、生きることの惨めさを露呈する人間の哀しさが、まことに巧妙に、描かれている。作者は、ようやく器用貧乏を脱して、自分独特の鉱脈を掘りあてたようである。」
源氏鶏太 全候補 19 「ちょっと達者過ぎないかと思われるほど、世にも凄じい落語家の話が次から次へと描かれていて、強いての欲をいえば、多少の余裕がほしかった。」「明治の末頃の大阪での「芸」の意味について司馬遼太郎氏からの詳しい説明があって、私は、更に「鬼の詩」を高く評価する気になった。」
今日出海 全候補 20 「東京では芸と趣向を殊更に区別する。こんな風習の相違は一般読者にはわかってみればまた興味もあるが、説明が必要であろう。しかし手練の作品として推すことにやぶさかではない。」
石坂洋次郎 全候補 12 「芸能人であれ、作家であれ、私は破滅型の生活には共感がもてない。」「藤本氏よ、作品には破滅型の人物を描いても、貴方自身の私生活を崩すことがないように……。」
村上元三 全候補 24 「こんどは藤本義一氏以外にはない、と思って銓衡会場へ行った。」「人間をつきつめて行って、えげつない、きたなさを描く最近のこの作者の傾向に反対はしないが、「ちりめんじゃこ」のような大阪特有の明るさ、のんきさを描くことも忘れないでほしい。わたしの入れた点は、「鬼の詩」プラス従来の実績、ということであった。」
川口松太郎 全候補 39 「藤本義一君は既に作家として名を成していて直木賞に入らなくともさほどの失望はあるまいと思い、阿部、半村の二作を推薦して決定は委員諸氏の判断に任せた。」「人気作家になってからも生活を変えず、社会との接触面を大事にして頂きたいと思う。」
松本清張 全候補 19 「曾つては長谷川幸延氏の世界でもあったが、藤本氏のは芸人の怨念といったものがこもっている。」「藤本氏はようやく腰がきまり、しかもこれに脂が乗った感じである。積極的に推すことができた。」
水上勉 全候補 22 「候補作品のどれよりもぬきん出て個性的な光りがあった。」「藤本さんの世界が腰をすえて、確りと打ち出された感じで、しかもその出来に妙があった。妙は藤本さんの心田の所産である。」
司馬遼太郎 全候補 35 「候補七編のうち、(引用者中略)ぬきん出た作品だった。」「初代春団治もまかりまちがえばこの作品の主人公のようなバケモノになりかねない所があったが、春団治の天才性がそれを救った。この主人公には十分な才能がなかったために、春団治にはなれずにバケモノになってしまった。その人間の問題のきわどさが、この作品によってよくわかるような気がした。」
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他の候補作
白石一郎 『火炎城』
河野典生 『ペインティング・ナイフの群像』
阿部牧郎 「失われた球譜」
素九鬼子 『パーマネントブルー』
榊原直人 「仏の城」
半村良 「不可触領域」
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白石一郎『火炎城』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎 全候補 9 「力作だが、いかんせん、大友宗麟の人物像が、歴史学者の書いたものを抜け出ていなかった。」「読後の印象は、ただ、せい一杯書いたのだな、という平凡な評価しかできなかった。」
源氏鶏太 全候補 6 「私には面白かった。大友宗麟について、よくここまでまとめて描いたと思ったのだが、それについての反対意見がすくなくなかった。」
今日出海 全候補 18 「書き出しの宗麟の若き時代、その天衣無縫な性格の芽生えはなかなか人を惹きつけるが、(引用者中略)大名になると、あとはその事績、歴史を追うことに忠実であり、つまり歴史を語ることに急で、小説家の眼が鈍くなるのは惜しい。」
石坂洋次郎 全候補 7 「惨虐、淫乱のかぎりをつくした宗麟がキリスト教に開眼する過程に合理性、必然性が感じられない。一番大切なものが描けてないと思う。」
村上元三 全候補 4 「時代小説としては平均点を入れられるが、直木賞となると、やはりこの線を乗り越えてほしい。」
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 15 「前半と後半の構成のバランスが崩れている。」「宗麟の視点からはなれたところで手をひろげすぎ、説明に堕して魅力を欠くことになった。」
水上勉 全候補 0  
司馬遼太郎 全候補 3 「平凡でありすぎて感想をのべにくい。」
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他の候補作
藤本義一 「鬼の詩」
河野典生 『ペインティング・ナイフの群像』
阿部牧郎 「失われた球譜」
素九鬼子 『パーマネントブルー』
榊原直人 「仏の城」
半村良 「不可触領域」
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河野典生『ペインティング・ナイフの群像』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 3 「うまいだけに終っている」
今日出海 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 4 「感覚の閃きがあり、才筆だが、何が主題なのかよく分らない。」
村上元三 全候補 5 「メルヘンの世界を描いて面白い小品は数篇あったが、あとは習作にすぎない。」
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
司馬遼太郎 全候補 8 「(引用者注:小説)とは別の分野のもののように思われた。」
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他の候補作
藤本義一 「鬼の詩」
白石一郎 『火炎城』
阿部牧郎 「失われた球譜」
素九鬼子 『パーマネントブルー』
榊原直人 「仏の城」
半村良 「不可触領域」
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阿部牧郎「失われた球譜」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎 全候補 8 「材料そのものが小さすぎる。」「思いきって、大きな材料と取組むことができないものか、といつも考えさせられる。」
源氏鶏太 全候補 9 「実にキメこまかく書いてあるのだが、蓋をあけてみたら、なんだこんなことであったかとの印象が残る。阿部氏は、テーマの選び方で、いつも、損をしている。」
今日出海 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 7 「野球好きな人には面白い話だが、女性の読者にはどんなものだろう。」
村上元三 全候補 5 「もう七回も候補になっているのに、どうも決定打がない。こんどの作品は、ことにおとる。」
川口松太郎 全候補 14 「(引用者注:「失われた球譜」「鬼の詩」「不可触領域」は)どれも一流作品と称してさしつかえないほどの筆力を持ち、どれも面白く読める。」「十分筆力を持っているのだから力を落す事なく、次回の作品に努力して欲しい。」
松本清張 全候補 4 「小さな主題を一応きれいにふくらました感じだが、フクラマシ粉が利きすぎて内容空疎。」
水上勉 全候補 10 「如何せんこの材料にこれだけの枚数は長すぎた。惜しい。」「器用さがいけないのか。そこのところが、阿部さんの今日の壁のように思う。」
司馬遼太郎 全候補 5 「相変らず達者な作品だが、小説の主題としては人間の問題が小さすぎないだろうか。」
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他の候補作
藤本義一 「鬼の詩」
白石一郎 『火炎城』
河野典生 『ペインティング・ナイフの群像』
素九鬼子 『パーマネントブルー』
榊原直人 「仏の城」
半村良 「不可触領域」
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素九鬼子『パーマネントブルー』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎 全候補 9 「平がなばかり使う読みにくさを、教えられた。」「平がなばかり使わなければならぬ必然性を、全く感じなかった。」
源氏鶏太 全候補 5 「私の好きな作品であった。このままで忘れ去られるには惜しい作品と、今でも思っている。」
今日出海 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 5 「ある程度面白かったが、レアリテーに乏しいのが残念だった。」
村上元三 全候補 3 「候補になったのが不幸であった。」
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
水上勉 全候補 5 「素九鬼子さんの世界も楽しいが、しかし、これはこれだけのことといった感じがしたのは私だけであるか。」
司馬遼太郎 全候補 8 「(引用者注:小説)とは別の分野のもののように思われた。」
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他の候補作
藤本義一 「鬼の詩」
白石一郎 『火炎城』
河野典生 『ペインティング・ナイフの群像』
阿部牧郎 「失われた球譜」
榊原直人 「仏の城」
半村良 「不可触領域」
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榊原直人「仏の城」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 5 「一応、書けているが、まだどこか調子の低いところがある。」
今日出海 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 6 「話は一応うまく出来てるが、どうしても元気に乏しい。」
村上元三 全候補 4 「大そう達者だが、ここで小ぢんまりとまとまりそうな危懼を感じさせる。」
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 3 「「仏の城」に注目。次作を見たい。」
水上勉 全候補 0  
司馬遼太郎 全候補 3 「平凡でありすぎて感想をのべにくい。」
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他の候補作
藤本義一 「鬼の詩」
白石一郎 『火炎城』
河野典生 『ペインティング・ナイフの群像』
阿部牧郎 「失われた球譜」
素九鬼子 『パーマネントブルー』
半村良 「不可触領域」
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半村良「不可触領域」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
柴田錬三郎 全候補 13 「当選作にしてもいい、見事なSF小説だ、と考えて、選考会にのぞんだが、意外に、票が集まらなかった。」「候補作品中、面白さに於て、随一であった。この作家は、こん後、異常に巧くなる人のような気がする。」
源氏鶏太 全候補 10 「一時は授賞の対象になったのだが、結局、見送られたのは、前の部分の凄さに比較して、SFの世界に入ってからはどうもついていけないとの説が出たからである。しかし、大変な才能の持主であることは間違いなかろう。」
今日出海 全候補 10 「書き出しは、選者の意識が消え、一読者として面白く読んだ。」「描写力もあり、筆力もある作者が、科学を道具に使い、結局、科学自体を扱いかねた形なのはこれ亦惜しい。」
石坂洋次郎 全候補 6 「よく勉強しており、達筆でもあるが、テレパシーで人間の心を統一するという着想は、超能力少年の話のようにもう一つ真実性に欠けているような気がした。」
村上元三 全候補 11 「SFファンの一人としても、わたしには不満であった。フィクションがあって、サイエンスがない、といつも言ってることを、また書かせてもらう。参考作品の「新宿の男」は、(引用者中略)芝居の一幕物に似て、よくまとまっていた。」
川口松太郎 全候補 13 「(引用者注:「失われた球譜」「鬼の詩」「不可触領域」は)どれも一流作品と称してさしつかえないほどの筆力を持ち、どれも面白く読める。」「十分筆力を持っているのだから力を落す事なく、次回の作品に努力して欲しい。」
松本清張 全候補 14 「半村良氏の進捗に接することができた。「黄金伝説」にみるようなドタバタがとれ、文章も練れたものになった。」「かんじんのテレパシイの細部道具立てが粗雑なので、フィクションとしてのリアリティ(E・A・ポーや上田秋成などの小説構成を言う)に欠く。」
水上勉 全候補 10 「私は参考作品の「新宿の男」の方に作家の力量をみている。といっても、授賞作とするには弱かった。「不可触領域」については、現世の神秘も感じられず、私は何も云えなかった。しかし、この人の領域には注目している。」
司馬遼太郎 全候補 3 「おもしろかったし、作者の才能の豊かさを感じさせた。」
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他の候補作
藤本義一 「鬼の詩」
白石一郎 『火炎城』
河野典生 『ペインティング・ナイフの群像』
阿部牧郎 「失われた球譜」
素九鬼子 『パーマネントブルー』
榊原直人 「仏の城」
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