直木賞のすべて
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第70回

=候補者=
戸部新十郎
皆川博子
康 伸吉
滝口康彦
植草圭之助
安達征一郎
有明夏夫
古川 薫


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 昭和48年/1973年下半期
 (昭和49年/1974年1月16日決定発表/『オール讀物』昭和49年/1974年4月号選評掲載)
選考委員  水上勉 源氏鶏太 石坂洋次郎 司馬遼太郎 村上元三 今日出海 柴田錬三郎 川口松太郎 松本清張
選評総行数  54 50 58 55 53 54 49 49 55
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
戸部新十郎 『安見隠岐の罪状』 評言 0 7 11 11 7 0 0 16 12
皆川博子 「トマト・ゲーム」 評言 0 4 5 7 7 0 14 0 3
康伸吉 「闇の重さ」 評言 0 4 5 5 6 0 11 13 8
滝口康彦 「日向延岡のぼり猿」 評言 0 3 7 9 7 0 6 0 6
植草圭之助 『冬の花 悠子』 評言 48 18 7 6 15 42 14 12 25
安達征一郎 「怨の儀式」 評言 0 5 6 3 0 0 0 0 0
有明夏夫 「サムライの末裔」 評言 0 4 5 4 0 0 0 0 0
古川薫 「女体蔵志」 評言 6 5 7 8 11 0 8 0 0
              欠席
書面回答
 
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和49年/1974年4月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員水上勉×各候補作  見方・注意点
残念至極である 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 0  
皆川博子 全委員 0  
康伸吉 全委員 0  
滝口康彦 全委員 0  
植草圭之助 全委員 48 「近年にない心を打つ作品と思えた。」「内容のもつ美しいうねりが、最後まで私をひっぱった。土台、いまの世に、こんなに必死で、かなしい恋物語など書く作家はいまい。」「大事な新人の登用は反対者が多くてはばまれた。」「今回は若輩が一人角力をとってみごとに敗けた。」
安達征一郎 全委員 0  
有明夏夫 全委員 0  
古川薫 全委員 6 「独自な云いまわしは貴重である。参考作品の「積雲と昆虫」についていえば、昆虫辞典一冊であれだけの思いをはせられる、ユニークな才質をのばしてほしいと思う。」
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他の選考委員
源氏鶏太
石坂洋次郎
司馬遼太郎
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今日出海
柴田錬三郎
川口松太郎
松本清張
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選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
「冬の花」を推す 総行数50 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 7 「私は、高い点をつけた。が、他の人物が比較的よく描けているのに、肝腎の主人公は、頭の中ででっち上げた人物になっていて、終始、それに振りまわされている感じである。」
皆川博子 全委員 4 「実に達者である。今からこんなに達者過ぎてどうであろうかと思わせられた。」
康伸吉 全委員 4 「初めの手紙の部分が冗長に過ぎる。そのことが最後までひびいている。」
滝口康彦 全委員 3 「材料の目のつけどころに狂いがあったようだ。」
植草圭之助 全委員 18 「その後、選考委員会のあった夜のことを思い出して、どうしてもっと「冬の花」について強くいわなかったのだと残念に思っている。」「植草氏にとっての不幸は、第一作であること、一生に一度の大経験を書いたのだから、ということであったろう。私は、清冽な恋愛小説として読み、今もその印象が深く残っている。」
安達征一郎 全委員 5 「凄い小説だと思った。特にラストが凄い。あるいは芥川賞向きであったのだろうか。」
有明夏夫 全委員 4 「どこか混然としていて、それでちゃんと小説に仕上げている。新しい才能であろう。」
古川薫 全委員 5 「「女体蔵志」は、小説以前の作品で終っているが、参考作品として提出された「積雲と昆虫」には、独特の味と気楽さがあって面白かった。」
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水上勉
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司馬遼太郎
村上元三
今日出海
柴田錬三郎
川口松太郎
松本清張
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選考委員石坂洋次郎×各候補作  見方・注意点
佳作なし 総行数58 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 11 「何をどう考えて暮しているのか、いま一つはっきり浮き上ってこない。作者が題材に力まけした感じである。」
皆川博子 全委員 5 「文章も感覚も新鮮だが、生活そのものには本質的な新しみはない。」
康伸吉 全委員 5 「私はこの作品が一番好きだった。ただ暗すぎるかも知れない。」
滝口康彦 全委員 7 「少し暗い。人々の生活に合理性がまったくないのが、昔のことだが気にかかる。」
植草圭之助 全委員 7 「私はじめ支持者も多かったが、この一作はともかく次作が不安だというので、今回は見送られることになった。」
安達征一郎 全委員 6 「それなりの面白みが欲しかった。」
有明夏夫 全委員 5 「話にまとまりがない。」
古川薫 全委員 7 「考証も文章もしっかりしているが、面白みがたりない。」
  「抜群の佳作はなく、授賞は見送りということになったのは残念だった。」
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選考委員司馬遼太郎×各候補作  見方・注意点
“凄味”の欠如 総行数55 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 11 「一種の奇人物語である。」「豪傑意識による奇行がモザイクされていて絵画的風景になっているのだが、その奇行と、奇人にも当然あるところの人間の内部との関係が、うまく繋っていない感じがした。」
皆川博子 全委員 7 「候補作のなかで、作者の才能をもっとも感じさせるものだった。ただ素材が、ちょっと人目をひく現代風俗だけに、その報告記のにおいがしてしまうのが、惜しいように思える。」
康伸吉 全委員 5 「作品の出来が最も堅牢だった。ただ何かが欠けていたのは、誤解されやすい言葉だが“凄味”だろうか。」
滝口康彦 全委員 9 「いつも主題がおなじだけについ以前の作品と比較する気持が動くが、以前よりはやや見劣りがした。」
植草圭之助 全委員 6 「読者として最も面白かった。しかし作家としての資質はこの一作だけで理解することは困難である。」
安達征一郎 全委員 3 「(引用者注:「サムライの末裔」評、ケレン味がめだち、ケレンが凄味になるために必要な裏側の肉が薄いことが)共通している。」
有明夏夫 全委員 4 「ケレン味がめだち、ケレンが凄味になるために必要な裏側の肉が薄く、」
古川薫 全委員 8 「古川薫氏の文章は、(引用者中略)旧知に遭うような親しみと信頼感をもったが、この作品は創作がもたねばならない凄味(あいまいな言い方だが)に欠けていた。」
  「これはごく通常の周期なのだろうが、目をみはらされるような作品がない。」
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水上勉
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石坂洋次郎
村上元三
今日出海
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川口松太郎
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選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
読者と委員の立場 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 7 「書下しの欠点というべきか、起承転結がないし、ひとりで材料を面白がっている傾きがある。能登島へ流れてからの隠岐に、後半の筆を費すべきではなかったろうか。」
皆川博子 全委員 7 「票が集らなかったのは、選者がこういう若い作品について行けなかった、というのではない。題材がこの種のものでも、腰のすわった作品にしてもらいたかった。」
康伸吉 全委員 6 「少しずつ謎が解けて行って、最後に肩すかしを食わされた気がした。しかし、この作者の構成の巧みさと筆力は、大いに買いたい。」
滝口康彦 全委員 7 「どうして悲劇にしなくてはいけないのだろうか。武士の内職についての解釈が、この作者らしくもない不手際だし、今度の作品は不運であった、というよりほかはない。」
植草圭之助 全委員 15 「読者という立場から言えば、今回の候補作の中では一ばん面白かったが、さて直木賞には、と思うと迷いが出た。さすがに会話はうまいが、文章の練りが足りない。次作を待ってもいい、と考え直した。」
安達征一郎 全委員 0  
有明夏夫 全委員 0  
古川薫 全委員 11 「小説以前の素材だけで、消化されていない。」「一つ文学をやってやろう、と力みかえらずに、柔軟な筆力を生かしてほしい。」
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石坂洋次郎
司馬遼太郎
今日出海
柴田錬三郎
川口松太郎
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選考委員今日出海×各候補作  見方・注意点
「冬の花」に思う 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 0  
皆川博子 全委員 0  
康伸吉 全委員 0  
滝口康彦 全委員 0  
植草圭之助 全委員 42 「題材も変っているし、全篇を貫く作者の純情は特筆すべきものがある。」「私は「冬の花」が単純であることも、近代文学の傾向から見れば古風であることも認めぬではないが、それを補う素朴な人間感情の純粋さや美しさに打たれたことは事実である。」「私は今どき珍しいものを見るように評価したが、この小説が現代の稀少価値観にも触れなかったことを惜しく思う。」
安達征一郎 全委員 0  
有明夏夫 全委員 0  
古川薫 全委員 0  
  「今回の候補作品は平均化されていたともいえるし、特別目を引く作品がなかったともいえる。」
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水上勉
源氏鶏太
石坂洋次郎
司馬遼太郎
村上元三
柴田錬三郎
川口松太郎
松本清張
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選考委員柴田錬三郎×各候補作  見方・注意点
「トマト・ゲーム」を 総行数49 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 0  
皆川博子 全委員 14 「最も新しく、筆力もある、と思ったが、第一回の票決で、推したのは、私だけであった。」「現代の若者の風俗を描いて、すこしも退屈させない。いっそ悪達者といってもいい。」
康伸吉 全委員 11 「きれいな石を除くと、その下のしめった地面に、みにくい虫がうごめいている、といったあんばいの内容で、そのストーリイ・テラーぶりには、一応感心したが、題名とは逆に「作りかたの軽さ」があった。」
滝口康彦 全委員 6 「同作家のものとしては、いちばん出来ばえがわるかった。この作家は、壁をつき抜ける必要がある。」
植草圭之助 全委員 14 「筆者の人柄が、そのまま投影された、心のこもった佳作ではあるが、如何せん、「告白」は、自分自身の文章で描かれて居らず、女主人公悠子の姿は、すこしも印象にのこらなかった。」
安達征一郎 全委員 0  
有明夏夫 全委員 0  
古川薫 全委員 8 「ていねいに書いているが、その律儀さに、退屈させられた。」
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司馬遼太郎
村上元三
今日出海
川口松太郎
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選考委員川口松太郎×各候補作  見方・注意点
直木賞の権威 総行数49 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 16 「第一席に(引用者中略)推した。」「戦国古武士の面影が淡々と描かれていて、いや味なところのない素直な作品と思ったのに、賛成者が少ないのは残念だった。」
皆川博子 全委員 0  
康伸吉 全委員 13 「変った作品でもあり、推理小説的な興味もあり、然も一脈の詩情をたたえている。」「会話だけで事件を運んでいるところに安っぽさが付きまとって押しの強さがなかったのかも知れない。」
滝口康彦 全委員 0  
植草圭之助 全委員 12 「標準を越えた作品と思い第二席に置いた。」「やや古さはあるが、この作家は既にシナリオライターとして早くから名を成しているし、これ又十分将来を期待できる人だ。」
安達征一郎 全委員 0  
有明夏夫 全委員 0  
古川薫 全委員 0  
  「私は旅行中で書面回答をしたため委員会に居合せなかったので議論をつくす事も出来なかった。」
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他の選考委員
水上勉
源氏鶏太
石坂洋次郎
司馬遼太郎
村上元三
今日出海
柴田錬三郎
松本清張
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選考委員松本清張×各候補作  見方・注意点
次作を待つ 総行数55 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
戸部新十郎 全委員 12 「主人公の「豪快」ぶりが型にはまりすぎて抽象的なので、書きこめば書きこむほどその「豪快」な描写が空疎に浮き上っている。こういうのは新鮮な視点を求めなければならない。」
皆川博子 全委員 3 「達者な筆だし、現代の若者をある程度写しているが、訴求力に欠けている。」
康伸吉 全委員 8 「いわゆる推理小説的な構成だが、短いせいか効果が弱い。しかし、雰囲気は故大坪砂男作品にも通じるものがあって、相当な腕前のようである。」
滝口康彦 全委員 6 「氏のこれまでのなかでもっとも不出来である。ただの思いつきで話をつくったというにすぎなく、氏の特徴であった構成の堅実性が失われている。」
植草圭之助 全委員 25 「つくりものでない内容に、全候補作品中、これだけが印象に残ったといえる。しかし、弱点が多い。作者の情緒過多によって、単なる青春の思出話にとどまっている。」「文章は少々冗漫で、ありきたりの、使い古された形容が、平気でくりかえされているのがいけない。それが描写の的確を欠き、印象の稀薄、古めかしさとなる。」
安達征一郎 全委員 0  
有明夏夫 全委員 0  
古川薫 全委員 0  
  「今回はなべて低調であった。」
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他の選考委員
水上勉
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石坂洋次郎
司馬遼太郎
村上元三
今日出海
柴田錬三郎
川口松太郎
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戸部新十郎『安見隠岐の罪状』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 7 「私は、高い点をつけた。が、他の人物が比較的よく描けているのに、肝腎の主人公は、頭の中ででっち上げた人物になっていて、終始、それに振りまわされている感じである。」
石坂洋次郎 全候補 11 「何をどう考えて暮しているのか、いま一つはっきり浮き上ってこない。作者が題材に力まけした感じである。」
司馬遼太郎 全候補 11 「一種の奇人物語である。」「豪傑意識による奇行がモザイクされていて絵画的風景になっているのだが、その奇行と、奇人にも当然あるところの人間の内部との関係が、うまく繋っていない感じがした。」
村上元三 全候補 7 「書下しの欠点というべきか、起承転結がないし、ひとりで材料を面白がっている傾きがある。能登島へ流れてからの隠岐に、後半の筆を費すべきではなかったろうか。」
今日出海 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
川口松太郎 全候補 16 「第一席に(引用者中略)推した。」「戦国古武士の面影が淡々と描かれていて、いや味なところのない素直な作品と思ったのに、賛成者が少ないのは残念だった。」
松本清張 全候補 12 「主人公の「豪快」ぶりが型にはまりすぎて抽象的なので、書きこめば書きこむほどその「豪快」な描写が空疎に浮き上っている。こういうのは新鮮な視点を求めなければならない。」
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他の候補作
皆川博子 「トマト・ゲーム」
康伸吉 「闇の重さ」
滝口康彦 「日向延岡のぼり猿」
植草圭之助 『冬の花 悠子』
安達征一郎 「怨の儀式」
有明夏夫 「サムライの末裔」
古川薫 「女体蔵志」
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皆川博子「トマト・ゲーム」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 4 「実に達者である。今からこんなに達者過ぎてどうであろうかと思わせられた。」
石坂洋次郎 全候補 5 「文章も感覚も新鮮だが、生活そのものには本質的な新しみはない。」
司馬遼太郎 全候補 7 「候補作のなかで、作者の才能をもっとも感じさせるものだった。ただ素材が、ちょっと人目をひく現代風俗だけに、その報告記のにおいがしてしまうのが、惜しいように思える。」
村上元三 全候補 7 「票が集らなかったのは、選者がこういう若い作品について行けなかった、というのではない。題材がこの種のものでも、腰のすわった作品にしてもらいたかった。」
今日出海 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 14 「最も新しく、筆力もある、と思ったが、第一回の票決で、推したのは、私だけであった。」「現代の若者の風俗を描いて、すこしも退屈させない。いっそ悪達者といってもいい。」
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 3 「達者な筆だし、現代の若者をある程度写しているが、訴求力に欠けている。」
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他の候補作
戸部新十郎 『安見隠岐の罪状』
康伸吉 「闇の重さ」
滝口康彦 「日向延岡のぼり猿」
植草圭之助 『冬の花 悠子』
安達征一郎 「怨の儀式」
有明夏夫 「サムライの末裔」
古川薫 「女体蔵志」
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康伸吉「闇の重さ」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 4 「初めの手紙の部分が冗長に過ぎる。そのことが最後までひびいている。」
石坂洋次郎 全候補 5 「私はこの作品が一番好きだった。ただ暗すぎるかも知れない。」
司馬遼太郎 全候補 5 「作品の出来が最も堅牢だった。ただ何かが欠けていたのは、誤解されやすい言葉だが“凄味”だろうか。」
村上元三 全候補 6 「少しずつ謎が解けて行って、最後に肩すかしを食わされた気がした。しかし、この作者の構成の巧みさと筆力は、大いに買いたい。」
今日出海 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 11 「きれいな石を除くと、その下のしめった地面に、みにくい虫がうごめいている、といったあんばいの内容で、そのストーリイ・テラーぶりには、一応感心したが、題名とは逆に「作りかたの軽さ」があった。」
川口松太郎 全候補 13 「変った作品でもあり、推理小説的な興味もあり、然も一脈の詩情をたたえている。」「会話だけで事件を運んでいるところに安っぽさが付きまとって押しの強さがなかったのかも知れない。」
松本清張 全候補 8 「いわゆる推理小説的な構成だが、短いせいか効果が弱い。しかし、雰囲気は故大坪砂男作品にも通じるものがあって、相当な腕前のようである。」
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他の候補作
戸部新十郎 『安見隠岐の罪状』
皆川博子 「トマト・ゲーム」
滝口康彦 「日向延岡のぼり猿」
植草圭之助 『冬の花 悠子』
安達征一郎 「怨の儀式」
有明夏夫 「サムライの末裔」
古川薫 「女体蔵志」
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滝口康彦「日向延岡のぼり猿」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 3 「材料の目のつけどころに狂いがあったようだ。」
石坂洋次郎 全候補 7 「少し暗い。人々の生活に合理性がまったくないのが、昔のことだが気にかかる。」
司馬遼太郎 全候補 9 「いつも主題がおなじだけについ以前の作品と比較する気持が動くが、以前よりはやや見劣りがした。」
村上元三 全候補 7 「どうして悲劇にしなくてはいけないのだろうか。武士の内職についての解釈が、この作者らしくもない不手際だし、今度の作品は不運であった、というよりほかはない。」
今日出海 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 6 「同作家のものとしては、いちばん出来ばえがわるかった。この作家は、壁をつき抜ける必要がある。」
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 6 「氏のこれまでのなかでもっとも不出来である。ただの思いつきで話をつくったというにすぎなく、氏の特徴であった構成の堅実性が失われている。」
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他の候補作
戸部新十郎 『安見隠岐の罪状』
皆川博子 「トマト・ゲーム」
康伸吉 「闇の重さ」
植草圭之助 『冬の花 悠子』
安達征一郎 「怨の儀式」
有明夏夫 「サムライの末裔」
古川薫 「女体蔵志」
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植草圭之助『冬の花 悠子』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 48 「近年にない心を打つ作品と思えた。」「内容のもつ美しいうねりが、最後まで私をひっぱった。土台、いまの世に、こんなに必死で、かなしい恋物語など書く作家はいまい。」「大事な新人の登用は反対者が多くてはばまれた。」「今回は若輩が一人角力をとってみごとに敗けた。」
源氏鶏太 全候補 18 「その後、選考委員会のあった夜のことを思い出して、どうしてもっと「冬の花」について強くいわなかったのだと残念に思っている。」「植草氏にとっての不幸は、第一作であること、一生に一度の大経験を書いたのだから、ということであったろう。私は、清冽な恋愛小説として読み、今もその印象が深く残っている。」
石坂洋次郎 全候補 7 「私はじめ支持者も多かったが、この一作はともかく次作が不安だというので、今回は見送られることになった。」
司馬遼太郎 全候補 6 「読者として最も面白かった。しかし作家としての資質はこの一作だけで理解することは困難である。」
村上元三 全候補 15 「読者という立場から言えば、今回の候補作の中では一ばん面白かったが、さて直木賞には、と思うと迷いが出た。さすがに会話はうまいが、文章の練りが足りない。次作を待ってもいい、と考え直した。」
今日出海 全候補 42 「題材も変っているし、全篇を貫く作者の純情は特筆すべきものがある。」「私は「冬の花」が単純であることも、近代文学の傾向から見れば古風であることも認めぬではないが、それを補う素朴な人間感情の純粋さや美しさに打たれたことは事実である。」「私は今どき珍しいものを見るように評価したが、この小説が現代の稀少価値観にも触れなかったことを惜しく思う。」
柴田錬三郎 全候補 14 「筆者の人柄が、そのまま投影された、心のこもった佳作ではあるが、如何せん、「告白」は、自分自身の文章で描かれて居らず、女主人公悠子の姿は、すこしも印象にのこらなかった。」
川口松太郎 全候補 12 「標準を越えた作品と思い第二席に置いた。」「やや古さはあるが、この作家は既にシナリオライターとして早くから名を成しているし、これ又十分将来を期待できる人だ。」
松本清張 全候補 25 「つくりものでない内容に、全候補作品中、これだけが印象に残ったといえる。しかし、弱点が多い。作者の情緒過多によって、単なる青春の思出話にとどまっている。」「文章は少々冗漫で、ありきたりの、使い古された形容が、平気でくりかえされているのがいけない。それが描写の的確を欠き、印象の稀薄、古めかしさとなる。」
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他の候補作
戸部新十郎 『安見隠岐の罪状』
皆川博子 「トマト・ゲーム」
康伸吉 「闇の重さ」
滝口康彦 「日向延岡のぼり猿」
安達征一郎 「怨の儀式」
有明夏夫 「サムライの末裔」
古川薫 「女体蔵志」
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安達征一郎「怨の儀式」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 5 「凄い小説だと思った。特にラストが凄い。あるいは芥川賞向きであったのだろうか。」
石坂洋次郎 全候補 6 「それなりの面白みが欲しかった。」
司馬遼太郎 全候補 3 「(引用者注:「サムライの末裔」評、ケレン味がめだち、ケレンが凄味になるために必要な裏側の肉が薄いことが)共通している。」
村上元三 全候補 0  
今日出海 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
戸部新十郎 『安見隠岐の罪状』
皆川博子 「トマト・ゲーム」
康伸吉 「闇の重さ」
滝口康彦 「日向延岡のぼり猿」
植草圭之助 『冬の花 悠子』
有明夏夫 「サムライの末裔」
古川薫 「女体蔵志」
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有明夏夫「サムライの末裔」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 4 「どこか混然としていて、それでちゃんと小説に仕上げている。新しい才能であろう。」
石坂洋次郎 全候補 5 「話にまとまりがない。」
司馬遼太郎 全候補 4 「ケレン味がめだち、ケレンが凄味になるために必要な裏側の肉が薄く、」
村上元三 全候補 0  
今日出海 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
川口松太郎 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
戸部新十郎 『安見隠岐の罪状』
皆川博子 「トマト・ゲーム」
康伸吉 「闇の重さ」
滝口康彦 「日向延岡のぼり猿」
植草圭之助 『冬の花 悠子』
安達征一郎 「怨の儀式」
古川薫 「女体蔵志」
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古川薫「女体蔵志」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 全候補 6 「独自な云いまわしは貴重である。参考作品の「積雲と昆虫」についていえば、昆虫辞典一冊であれだけの思いをはせられる、ユニークな才質をのばしてほしいと思う。」
源氏鶏太 全候補 5 「「女体蔵志」は、小説以前の作品で終っているが、参考作品として提出された「積雲と昆虫」には、独特の味と気楽さがあって面白かった。」