直木賞のすべて
直木賞のすべて

第69回

=受賞者=
長部日出雄
藤沢周平

=候補者=
加藤善也
仲谷和也
半村 良
武田八洲満
赤江 瀑


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 昭和48年/1973年上半期
 (昭和48年/1973年7月17日決定発表/『オール讀物』昭和48年/1973年10月号選評掲載)
選考委員  司馬遼太郎 柴田錬三郎 源氏鶏太 石坂洋次郎 水上勉 川口松太郎 村上元三 今日出海 松本清張
選評総行数  65 48 51 53 54 53 52 58 59
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
長部日出雄 「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」 評言 52 20 18 41 18 24 12 21 14
藤沢周平 「暗殺の年輪」 評言 18 16 19 6 15 18 10 7 19
加藤善也 「木煉瓦」 評言 0 0 0 0 0 0 8 0 0
仲谷和也 『妬刃』 評言 0 0 0 0 9 0 8 5 0
半村良 『黄金伝説』 評言 0 0 0 0 0 0 6 11 11
武田八洲満 『炎の旅路』 評言 0 0 4 0 6 0 8 5 15
赤江瀑 「罪喰い」 評言 0 0 10 0 0 0 0 0 0
                 
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和48年/1973年10月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員司馬遼太郎×各候補作  見方・注意点
必ずしも優れぬが 総行数65 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 52 「『もも』の天才がみごとに描写されていたし、その天才による昂揚と、その後にくるすさまじい失落が、いまも影絵のように私の心の中で動いている。ただ文章のキメの粗さが気になり、最初から推してはみたものの受賞まで漕ぎつけるかどうか、不安だった。」「かつて次点になった作品群よりこれらがすぐれているとは、かならずしもいえない。」
藤沢周平 全委員 18 「この作品は、いわばただの時代小説である。」「ただ端正につくった上手物の焼物という感じだが、ともかくも膚質のきれいさがすてがたいというところがあった。」「かつて次点になった作品群よりこれらがすぐれているとは、かならずしもいえない。」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 0  
半村良 全委員 0  
武田八洲満 全委員 0  
赤江瀑 全委員 0  
  「前回に受賞作がなかったことが、すこし標的を大きくする気分が働いたともいえるかもしれない。今回も、目を見はるような作品はなかった。」
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他の選考委員
柴田錬三郎
源氏鶏太
石坂洋次郎
水上勉
川口松太郎
村上元三
今日出海
松本清張
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選考委員柴田錬三郎×各候補作  見方・注意点
精進を祈る 総行数48 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 20 「材料の点からも、その材料を巧みに生かした語り口の点からも、満票となることは、目に見えていた。」「直木賞の候補になるのは、はじめてのようであったが、幸運なスタートと思われた。つまり、作家として、世間に問うに、恰好の材料を、長部日出雄氏は、つかんだのである。」
藤沢周平 全委員 16 「まだ、自信を持って世間に問う好材料をさがしあぐねている模様であった。」「直木賞受賞を契機として、飛躍できる人と、私は、みた。そこで、あえて、藤沢氏にも受賞を、と私は主張したのである。」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 0  
半村良 全委員 0  
武田八洲満 全委員 0  
赤江瀑 全委員 0  
  「他の候補作も、それぞれ一長一短があり、決して、水準以下ではなかった。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
源氏鶏太
石坂洋次郎
水上勉
川口松太郎
村上元三
今日出海
松本清張
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選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
幸運だった両氏 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 18 「近頃、こういうきっちりと、しかも、余分の物を省いて書いてある小説は珍しくなっている。この小説の成功は、津軽方言を見事に活かしたユウモアにあろう。そのくせ、題材は決して明るくはないのだが、ちゃんと「花」をそなえていた。」
藤沢周平 全委員 19 「この一作よりも過去の実績を買われたと見るべきであろう。藤沢氏の小説は、たいてい安心して読むことが出来る。しかし、その反面、どの作品も額縁にはまったような印象をあたえていた。」「今度は、もっと八方破れに書いて、新しい魅力を出して貰いたい」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 0  
半村良 全委員 0  
武田八洲満 全委員 4 「心からご苦労様といいたいほどの努力作であるが、この文体は、一考を要するようだ。」
赤江瀑 全委員 10 「二回読んで、二回目の方が面白かったという力作であった。」「私は、この作品を最有力候補の一つとして考えていたのだが、それを力説する前の段階で、他の委員にその気のないことを思い知らされてしまった。」
  「今回の選考委員会の雰囲気は、前回が授賞作無しであったせいか、始めから授賞作を出そうという気配が流れていたようだ。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
柴田錬三郎
石坂洋次郎
水上勉
川口松太郎
村上元三
今日出海
松本清張
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選考委員石坂洋次郎×各候補作  見方・注意点
よかった、よかった 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 41 「一番牽かれた。しかし私はそういう自分を警めもした。何故なら私は二篇の舞台になっている津軽の出身であり、(引用者中略)それやこれやで「世去れ節」的な理屈抜きの親近感を抱くおそれが大いにあったからである。」「この二作品では方言が見事に使いこなされているのに驚いた。」
藤沢周平 全委員 6 「達者な作品。危な気ないがその代り新鮮味に乏しいうらみがある。」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 0  
半村良 全委員 0  
武田八洲満 全委員 0  
赤江瀑 全委員 0  
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司馬遼太郎
柴田錬三郎
源氏鶏太
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川口松太郎
村上元三
今日出海
松本清張
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選考委員水上勉×各候補作  見方・注意点
感想 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 18 「好感をもたせ、借りものでないその人の存在をみた」「主人公桃の人生に、作者がそそいだ心のたしかさを見た」「独特の、悠長で、大人の語り口なのがよい。貴重な味だ。」
藤沢周平 全委員 15 「私はいい読者ではなかった。前作の方がいいと思った。」「しかし、この作家は、候補歴もあり、達者である。」「時代小説の軟派というか、そういう世界を耕してほしいと思った。したがって、授賞は将来へのおくり物として賛成である。」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 9 「大阪の「ねたば」に執心を示した仲谷和也氏に面白みを感じた。だが如何せん、ごたごたしている。」「迫ってくるものが弱い。もう二度の整理があれば、と思った。」
半村良 全委員 0  
武田八洲満 全委員 6 「力作ながら、前半に退屈をおぼえた。横浜に舞台を絞った方が成功したのではないか、と一委員がいったのに賛成だった。」
赤江瀑 全委員 0  
  「候補作みなみな、いささか低調だな、と思った。」
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司馬遼太郎
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源氏鶏太
石坂洋次郎
川口松太郎
村上元三
今日出海
松本清張
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選考委員川口松太郎×各候補作  見方・注意点
野に遺賢なしか 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 24 「小説といえるかどうかが議論の岐れ道になったが面白さでは随一であった。私も楽しく読んだし世去れ節の名人といわれる人たちの三味線や声の修練に必死の努力をする場面はよく描けていた。」「受賞に至るまでも作家としての辛酸をなめていて「津軽世去れ節」が僥倖的作品とは思わない。」
藤沢周平 全委員 18 「今回の「暗殺の年輪」も決定的傑作であるとは思えない。ただ過去の業績がものをいったのと委員諸君も好意的に見ていたようだ。」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 0  
半村良 全委員 0  
武田八洲満 全委員 0  
赤江瀑 全委員 0  
  「正直いってひと頃よりも候補作品の水準が低下している。若い作家たちはもっと苦しんで貰いたいし勉強もして貰いたい。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
柴田錬三郎
源氏鶏太
石坂洋次郎
水上勉
村上元三
今日出海
松本清張
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選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
二つの形 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 12 「受賞したのに、文句はないが、この一冊のすべての短篇を読んで、やはり「世去れ節」以外は、それほど買わない。詮衡委員の耳に、津軽じょんがらの三味線の音色があって、この作品は得をしていると思う。」
藤沢周平 全委員 10 「作品のねらいも古いし、こういうテーマの小説は、時代物畑の作家なら、たいていは書いている。」「この作者の実力と、これまでの実績を買って推した。これを契機に、自分のスタイルを確立してほしい。」
加藤善也 全委員 8 「読み終ってから背負い投げを食わされた感じがした。つまり、読後に何も残らない、と言おう。」
仲谷和也 全委員 8 「読み終ってから背負い投げを食わされた感じがした。つまり、読後に何も残らない、と言おう。」
半村良 全委員 6 「SFファンのわたしにも、やはりSFというのは難しいのだな、とつくづく思わされた。ことに後半は、極彩色の劇画を見るようであった。」
武田八洲満 全委員 8 「やはり横浜に舞台が移るまで、読んでいて食いつけないのが、大きな欠点になっている。」「文章は、もっと読みやすくなってほしい。」
赤江瀑 全委員 0  
  「こんども、ずば抜けた作品がない、というのが、わたしの考えであり、いまも変わっていない。」
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他の選考委員
司馬遼太郎
柴田錬三郎
源氏鶏太
石坂洋次郎
水上勉
川口松太郎
今日出海
松本清張
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選考委員今日出海×各候補作  見方・注意点
選評 総行数58 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 21 「筆致は淡白で、読み易い。しかし書かれている内容はなかなか淡白なものではない。」「こんな人物を素直な筆致で書いたのも成功だろう。他は、先ず先ず無難で風変りなストーリーだが、作品に立ち向かうとこの筆は軽きに失する恐れもある。」
藤沢周平 全委員 7 「前作も同じジャンルに属していたように思われる。同じような構成や設定は手堅いとも云えるし、平凡とも云える。この辺に作者の危機もあるかも知れない。」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 5 「宝飾術を丹念に書きすぎて、ために小説発展のテンポが鈍化している。描写力はあるが、その割に感銘が伝わらない。」
半村良 全委員 11 「荒唐無稽でごたごたした筋立てで、あれを「双生児伝説」にでもしぼったら、もっとすっきりとした物語になったかも知れない。」
武田八洲満 全委員 5 「様々な筋を無理に一篇にまとめたために散漫になり、興味の中心が絶えず移動して、平板な作品にしたのは惜しい。」
赤江瀑 全委員 0  
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他の選考委員
司馬遼太郎
柴田錬三郎
源氏鶏太
石坂洋次郎
水上勉
川口松太郎
村上元三
松本清張
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選考委員松本清張×各候補作  見方・注意点
今後を期待 総行数59 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
長部日出雄 全委員 14 「その土俗的な三味線弾きの迫力に感心した。」「描写が絃の音を耳や腹に響かせているようである。」「氏が三味線以外の世界に異った音色をひろげてゆくことを期待したい。」
藤沢周平 全委員 19 「あまりに細部描写に蔽われているために全体の迫力を弱めているのは氏の美的欠点であろうか。だが、今度の作品はよほど省略が効いている。」「しかし、氏の作品にはこれまでのところ惜しいことにかくべつ新しい発想も視野もみられない。」
加藤善也 全委員 0  
仲谷和也 全委員 0  
半村良 全委員 11 「着想は買うが、SFでもない推理小説でもないドタバタ劇に終わっている。部分的なことだが、ギリシャ語に関連があるといって、勝手に日本地名をつくるのは困る。」
武田八洲満 全委員 15 「女がまったく観念的にしかできていないので、外人技師との間が木に竹をついだようになっている(ここは作者も苦労している)。」「氏の本領が前作の武田信虎や本作品のようなものより江戸の商人ものにあると信じている」
赤江瀑 全委員 0  
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他の選考委員
司馬遼太郎
柴田錬三郎
源氏鶏太
石坂洋次郎
水上勉
川口松太郎
村上元三
今日出海
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長部日出雄「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 全候補 52 「『もも』の天才がみごとに描写されていたし、その天才による昂揚と、その後にくるすさまじい失落が、いまも影絵のように私の心の中で動いている。ただ文章のキメの粗さが気になり、最初から推してはみたものの受賞まで漕ぎつけるかどうか、不安だった。」「かつて次点になった作品群よりこれらがすぐれているとは、かならずしもいえない。」
柴田錬三郎 全候補 20 「材料の点からも、その材料を巧みに生かした語り口の点からも、満票となることは、目に見えていた。」「直木賞の候補になるのは、はじめてのようであったが、幸運なスタートと思われた。つまり、作家として、世間に問うに、恰好の材料を、長部日出雄氏は、つかんだのである。」
源氏鶏太 全候補 18 「近頃、こういうきっちりと、しかも、余分の物を省いて書いてある小説は珍しくなっている。この小説の成功は、津軽方言を見事に活かしたユウモアにあろう。そのくせ、題材は決して明るくはないのだが、ちゃんと「花」をそなえていた。」
石坂洋次郎 全候補 41 「一番牽かれた。しかし私はそういう自分を警めもした。何故なら私は二篇の舞台になっている津軽の出身であり、(引用者中略)それやこれやで「世去れ節」的な理屈抜きの親近感を抱くおそれが大いにあったからである。」「この二作品では方言が見事に使いこなされているのに驚いた。」
水上勉 全候補 18 「好感をもたせ、借りものでないその人の存在をみた」「主人公桃の人生に、作者がそそいだ心のたしかさを見た」「独特の、悠長で、大人の語り口なのがよい。貴重な味だ。」
川口松太郎 全候補 24 「小説といえるかどうかが議論の岐れ道になったが面白さでは随一であった。私も楽しく読んだし世去れ節の名人といわれる人たちの三味線や声の修練に必死の努力をする場面はよく描けていた。」「受賞に至るまでも作家としての辛酸をなめていて「津軽世去れ節」が僥倖的作品とは思わない。」
村上元三 全候補 12 「受賞したのに、文句はないが、この一冊のすべての短篇を読んで、やはり「世去れ節」以外は、それほど買わない。詮衡委員の耳に、津軽じょんがらの三味線の音色があって、この作品は得をしていると思う。」
今日出海 全候補 21 「筆致は淡白で、読み易い。しかし書かれている内容はなかなか淡白なものではない。」「こんな人物を素直な筆致で書いたのも成功だろう。他は、先ず先ず無難で風変りなストーリーだが、作品に立ち向かうとこの筆は軽きに失する恐れもある。」
松本清張 全候補 14 「その土俗的な三味線弾きの迫力に感心した。」「描写が絃の音を耳や腹に響かせているようである。」「氏が三味線以外の世界に異った音色をひろげてゆくことを期待したい。」
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他の候補作
藤沢周平 「暗殺の年輪」
加藤善也 「木煉瓦」
仲谷和也 『妬刃』
半村良 『黄金伝説』
武田八洲満 『炎の旅路』
赤江瀑 「罪喰い」
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藤沢周平「暗殺の年輪」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 全候補 18 「この作品は、いわばただの時代小説である。」「ただ端正につくった上手物の焼物という感じだが、ともかくも膚質のきれいさがすてがたいというところがあった。」「かつて次点になった作品群よりこれらがすぐれているとは、かならずしもいえない。」
柴田錬三郎 全候補 16 「まだ、自信を持って世間に問う好材料をさがしあぐねている模様であった。」「直木賞受賞を契機として、飛躍できる人と、私は、みた。そこで、あえて、藤沢氏にも受賞を、と私は主張したのである。」
源氏鶏太 全候補 19 「この一作よりも過去の実績を買われたと見るべきであろう。藤沢氏の小説は、たいてい安心して読むことが出来る。しかし、その反面、どの作品も額縁にはまったような印象をあたえていた。」「今度は、もっと八方破れに書いて、新しい魅力を出して貰いたい」
石坂洋次郎 全候補 6 「達者な作品。危な気ないがその代り新鮮味に乏しいうらみがある。」
水上勉 全候補 15 「私はいい読者ではなかった。前作の方がいいと思った。」「しかし、この作家は、候補歴もあり、達者である。」「時代小説の軟派というか、そういう世界を耕してほしいと思った。したがって、授賞は将来へのおくり物として賛成である。」
川口松太郎 全候補 18 「今回の「暗殺の年輪」も決定的傑作であるとは思えない。ただ過去の業績がものをいったのと委員諸君も好意的に見ていたようだ。」
村上元三 全候補 10 「作品のねらいも古いし、こういうテーマの小説は、時代物畑の作家なら、たいていは書いている。」「この作者の実力と、これまでの実績を買って推した。これを契機に、自分のスタイルを確立してほしい。」
今日出海 全候補 7 「前作も同じジャンルに属していたように思われる。同じような構成や設定は手堅いとも云えるし、平凡とも云える。この辺に作者の危機もあるかも知れない。」
松本清張 全候補 19 「あまりに細部描写に蔽われているために全体の迫力を弱めているのは氏の美的欠点であろうか。だが、今度の作品はよほど省略が効いている。」「しかし、氏の作品にはこれまでのところ惜しいことにかくべつ新しい発想も視野もみられない。」
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他の候補作
長部日出雄 「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」
加藤善也 「木煉瓦」
仲谷和也 『妬刃』
半村良 『黄金伝説』
武田八洲満 『炎の旅路』
赤江瀑 「罪喰い」
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加藤善也「木煉瓦」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
川口松太郎 全候補 0  
村上元三 全候補 8 「読み終ってから背負い投げを食わされた感じがした。つまり、読後に何も残らない、と言おう。」
今日出海 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
長部日出雄 「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」
藤沢周平 「暗殺の年輪」
仲谷和也 『妬刃』
半村良 『黄金伝説』
武田八洲満 『炎の旅路』
赤江瀑 「罪喰い」
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仲谷和也『妬刃』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 0  
水上勉 全候補 9 「大阪の「ねたば」に執心を示した仲谷和也氏に面白みを感じた。だが如何せん、ごたごたしている。」「迫ってくるものが弱い。もう二度の整理があれば、と思った。」
川口松太郎 全候補 0  
村上元三 全候補 8 「読み終ってから背負い投げを食わされた感じがした。つまり、読後に何も残らない、と言おう。」
今日出海 全候補 5 「宝飾術を丹念に書きすぎて、ために小説発展のテンポが鈍化している。描写力はあるが、その割に感銘が伝わらない。」
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
長部日出雄 「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」
藤沢周平 「暗殺の年輪」
加藤善也 「木煉瓦」
半村良 『黄金伝説』
武田八洲満 『炎の旅路』
赤江瀑 「罪喰い」
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半村良『黄金伝説』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
川口松太郎 全候補 0  
村上元三 全候補 6 「SFファンのわたしにも、やはりSFというのは難しいのだな、とつくづく思わされた。ことに後半は、極彩色の劇画を見るようであった。」
今日出海 全候補 11 「荒唐無稽でごたごたした筋立てで、あれを「双生児伝説」にでもしぼったら、もっとすっきりとした物語になったかも知れない。」
松本清張 全候補 11 「着想は買うが、SFでもない推理小説でもないドタバタ劇に終わっている。部分的なことだが、ギリシャ語に関連があるといって、勝手に日本地名をつくるのは困る。」
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他の候補作
長部日出雄 「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」
藤沢周平 「暗殺の年輪」
加藤善也 「木煉瓦」
仲谷和也 『妬刃』
武田八洲満 『炎の旅路』
赤江瀑 「罪喰い」
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武田八洲満『炎の旅路』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 4 「心からご苦労様といいたいほどの努力作であるが、この文体は、一考を要するようだ。」
石坂洋次郎 全候補 0  
水上勉 全候補 6 「力作ながら、前半に退屈をおぼえた。横浜に舞台を絞った方が成功したのではないか、と一委員がいったのに賛成だった。」
川口松太郎 全候補 0  
村上元三 全候補 8 「やはり横浜に舞台が移るまで、読んでいて食いつけないのが、大きな欠点になっている。」「文章は、もっと読みやすくなってほしい。」
今日出海 全候補 5 「様々な筋を無理に一篇にまとめたために散漫になり、興味の中心が絶えず移動して、平板な作品にしたのは惜しい。」
松本清張 全候補 15 「女がまったく観念的にしかできていないので、外人技師との間が木に竹をついだようになっている(ここは作者も苦労している)。」「氏の本領が前作の武田信虎や本作品のようなものより江戸の商人ものにあると信じている」
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他の候補作
長部日出雄 「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」
藤沢周平 「暗殺の年輪」
加藤善也 「木煉瓦」
仲谷和也 『妬刃』
半村良 『黄金伝説』
赤江瀑 「罪喰い」
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赤江瀑「罪喰い」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
司馬遼太郎 全候補 0  
柴田錬三郎 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 10 「二回読んで、二回目の方が面白かったという力作であった。」「私は、この作品を最有力候補の一つとして考えていたのだが、それを力説する前の段階で、他の委員にその気のないことを思い知らされてしまった。」
石坂洋次郎 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
川口松太郎 全候補 0  
村上元三 全候補 0  
今日出海 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
長部日出雄 「津軽世去れ節」「津軽じょんから節」
藤沢周平 「暗殺の年輪」
加藤善也 「木煉瓦」
仲谷和也 『妬刃』
半村良 『黄金伝説』
武田八洲満 『炎の旅路』
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