直木賞のすべて
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第61回

=受賞者=
佐藤愛子

=候補者=
阿部牧郎
藤本義一
勝目 梓
利根川 裕
黒部 亨
渡辺淳一


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 昭和44年/1969年上半期
 (昭和44年/1969年7月18日決定発表/『オール讀物』昭和44年/1969年10月号選評掲載)
選考委員  松本清張 大佛次郎 海音寺潮五郎 川口松太郎 石坂洋次郎 今日出海 源氏鶏太 村上元三 柴田錬三郎 中山義秀 水上勉
選評総行数  53 47 52 27 62 51 52 52 45 9 47
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
佐藤愛子 『戦いすんで日が暮れて』 評言 38 30 18 8 26 20 10 9 20 0 29
阿部牧郎 「袋叩きの土地」 評言 0 17 3 0 2 0 8 5 0 0 0
藤本義一 『ちりめんじゃこ』 評言 3 0 6 0 10 13 10 13 15 4 9
勝目梓 「花を掲げて」 評言 0 0 11 0 2 0 6 2 0 0 0
利根川裕 「B少年の弁明」 評言 4 0 5 4 9 0 6 7 0 0 0
黒部亨 「島のファンタジア」 評言 0 0 5 0 2 11 10 4 0 5 0
渡辺淳一 『小説 心臓移植』 評言 8 0 6 0 10 0 10 7 0 4 5
      欠席
書面回答
          欠席
書面回答
 
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和44年/1969年10月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員松本清張×各候補作  見方・注意点
安定感 総行数53 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 38 「おさめられた諸短篇をよみ、すでにでき上っている実力の安定を感じた。」「近ごろ珍しいドライなユーモアで、塩からいペーソスがある。これが作者の技巧でなく体質から出ているところに信頼がもてる。」「私も一、二篇を読んだだけだったら推薦をためらったかもしれないが、作品集の全部をよみ、大丈夫と思ったのである。直木賞にはそういう意味がある」
阿部牧郎 全委員 0  
藤本義一 全委員 3 「それなりに面白いが内容も文章も少々軽すぎる。」
勝目梓 全委員 0  
利根川裕 全委員 4 「少年犯罪の動機になっている疎外感を衝いているが少しく常套に陥っている。」
黒部亨 全委員 0  
渡辺淳一 全委員 8 「あまりに正面から書きすぎて「小説」としては中途半端な感がまぬがれない。新聞記者と看護婦との安手な恋愛を挿入したのもよくない。」
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選考委員大佛次郎×各候補作  見方・注意点
悠々閑々たる 総行数47 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 30 「無神経なほどに大々としていて、所謂「文学」の埒を越えて、いのちのある文章、――あるいは文学に成っている。」「見ように依っては大ざっぱで浅いとも言えよう。」「ふとい奴と云うよりほかない。それで、書いた人が女性だと知るに及んで、私は生きていることが甚だ愉快になった。」「とにかく地平線に穴をあけて明るい眺望をあけて見せてくれた。」
阿部牧郎 全委員 17 「話の筋はやや取ってつけたようで、(引用者中略)奇妙な隙があったが、(引用者中略)スキーをこう清新にたくましく描けるものかと、つくづく感心した。」「直木賞の候補作品として見ると、これが文学的過ぎて障礙になるようである。」
藤本義一 全委員 0  
勝目梓 全委員 0  
利根川裕 全委員 0  
黒部亨 全委員 0  
渡辺淳一 全委員 0  
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選考委員海音寺潮五郎×各候補作  見方・注意点
滑稽の才を珍重す 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 18 「受賞者をつくるなら、「戦いすんで日が暮れて」の作者にしたいと思って出席した。」「この作品がとくによいとは思わなかったが、日本の作家にはめずらしくすぐれた滑稽の才能がうかがわれたからである。」「こんな才能は見つけ出して世間に紹介すべきであると思った。」
阿部牧郎 全委員 3 「前のタコ売りの話の方がよい。」
藤本義一 全委員 6 「大へんおもしろく読んだ。ねばっこくテーマを追求して行くところ、いい素質である。この人はきっとまたよいものを書くであろう。」
勝目梓 全委員 11 「なぜこんな無理な文体を使うのであろう。」「読者に抵抗を感じさせるだけで、逆効果だ。」「せっかくのユーモアの才能が、この文体でまるで効果を殺している。」
利根川裕 全委員 5 「おもしろく読んだが、あと味にのこるところがない。何かが足りないのである。」
黒部亨 全委員 5 「おもしろく読んだが、あと味にのこるところがない。何かが足りないのである。」
渡辺淳一 全委員 6 「すぐれた素質と才能を持っている人であるが、いわばキワモノを書いたのが損になった。もっとも、キワモノでなければ出版されもしなかったろうが。」
  「こんどの候補作品には悪いと思うものはなかったが、きわ立つものがなかった。こんどはなしになりそうだと思った。」
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選考委員川口松太郎×各候補作  見方・注意点
佐藤君に期待する 総行数27 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 8 「やや将来に見込みある作家は佐藤愛子であるが、それも今度の作品の「戦いすんで日が暮れて」は彼女としても会心の作ではあるまい。」
阿部牧郎 全委員 0  
藤本義一 全委員 0  
勝目梓 全委員 0  
利根川裕 全委員 4 「既に数回候補に上りながら今度の作品が最も悪かったのではないか。」
黒部亨 全委員 0  
渡辺淳一 全委員 0  
  「今度ほど候補作品の貧弱な事は珍しい。」「委員諸氏が受賞なしというのだったら自分も賛成するつもりでいた。」
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選考委員石坂洋次郎×各候補作  見方・注意点
津軽の血 総行数62 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 26 「「戦いすんで日が暮れて」が好きだった。小説ずれがしてない率直でユーモラスな文体が、暗くなる筈の題材を、陰翳に富んだ明るい作品に仕上げているのだ。」
阿部牧郎 全委員 2  
藤本義一 全委員 10 「達文で精細によく描かれてあるが、題材が特殊なものなので見送られてしまった。」「一本立ちが出来る力を備えていることはたしかだ。」
勝目梓 全委員 2  
利根川裕 全委員 9 「私の好みでは、(引用者中略)「異邦人」の主人公ムルソーを少年にしたような「B少年の弁明」に心をひかれたが、賛成者は少なかった。」
黒部亨 全委員 2  
渡辺淳一 全委員 10 「達文で精細によく描かれてあるが、題材が特殊なものなので見送られてしまった。」「一本立ちが出来る力を備えていることはたしかだ。」
  「どの作品もそれぞれに面白く、私は入賞作品を決めかねて審査会に出席した。ただ、私の本心は、せっかく直木賞というものが存在するのだから、毎回ぜひ当選作品を出して、新人作家たちを励ます機会をつくるべきだということだった。」
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選考委員今日出海×各候補作  見方・注意点
行き届いた眼 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 20 「小説歴もあり、当然何賞かを得ていい人だ。」「心憎いほど行き届いた眼で二人の夫婦を描いているが、まだこの作家はもっと力作の書ける人なのにという感を深くした。」「余力を残して淡々と書く年齢でもあるまい。そんな物足りなさがあった。」
阿部牧郎 全委員 0  
藤本義一 全委員 13 「大衆小説として充分通用する作品であることに間違いはないが、ベテランのすり(原文傍点)と刑事との物語を綿々と語って、人間の味わいがその割に滲み出ない。」「新人だけに職業化するよりももっと冒険をしてもいいのではないかとも思われる。」
勝目梓 全委員 0  
利根川裕 全委員 0  
黒部亨 全委員 11 「冒険的だった。」「二部に到ってペースが崩れ、印象も鮮明を欠いたのは何とも遺憾である。イマージュを定着させる前に筆が走るのだろうが、走った筆のために作品があのように崩れるとは重大なことである。」
渡辺淳一 全委員 0  
  「今回の候補作品の読後感は低調であったということに尽きる。」「何を言いたいのか、何を訴えようというのか、そのような働きかけに迫力を欠いているように思われた。」
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選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
上質のユウモア 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 10 「上質のユウモア(引用者中略)を高く評価していたので、そのことを主張した。」「もう一人前の作家になっているという感じで、これを機に一段の飛躍が期待される。」
阿部牧郎 全委員 8 「感心して読んだ。殊に前半がよかった。」「元海軍兵学校生徒の戦死を狙って果さぬ幕切れのあたりが爽やかである。」
藤本義一 全委員 10 「構成力を高く評価していたので、そのことを主張した。」「描写が柔軟なのがいい。力まないで全力投球をしているといった感じである。今も授賞に値いするのではなかったのか、と思っている。」
勝目梓 全委員 6 「直木賞向きでなかったようだ。といって、芥川賞の候補になり得たかというと疑問がある。」
利根川裕 全委員 6 「直木賞向きでなかったようだ。といって、芥川賞の候補になり得たかというと疑問がある。」
黒部亨 全委員 10 「終始興味を持って読んだ。朝鮮人を父に持つ思春期の少年の歪んだ心が納得のゆくように描かれていたし、預けられた寺の娘も印象に残る。」「やや未熟という感じが残った。」
渡辺淳一 全委員 10 「冷静に描いてあり、スリルも感じさせられる。しかし、読了後の感動がそれほどでなかったのは、すでに私たちが週刊誌やなんかで知っていることが多かったからであろうか。そこを突き抜けていないようである。」
  「こんどはずば抜けた作品がなく、そのために授賞作なしという話も出たほどであった。」
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選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
新鮮な作品を 総行数52 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 9 「「戦いすんで日が暮れて」よりも、同じ候補作の「佐倉夫人の憂愁」のほうが、わたしには面白かった。」「いまさら直木賞でも、という気もするが、作品が安定している点では無難であろう。」
阿部牧郎 全委員 5 「最後まで読んで、背負い投げを食わされた気がした。しっかりした文章なのに、この作品は構成を誤っていると思う。」
藤本義一 全委員 13 「わたしには一ばん面白かった。八篇の中で、これだけが大衆文学であり、刑事と掏摸との関係も、戦前によく読んだマッカレーの「地下鉄サム」よりも人間くさい。しかし、これを推したのは源氏鶏太氏とわたしだけなので、多勢に無勢という形になった。」
勝目梓 全委員 2 「直木賞のものではない。」
利根川裕 全委員 7 「「オール讀物」に書くときは違って、どうしてこう読みづらい文章で書くのだろうか。弁明そのものが、少年ではなく大人の心理で書いてあるのも、疑問に思う。」
黒部亨 全委員 4 「密航者が出てくるあたりから、前半の詩情も失せて、つまらなくなった。」
渡辺淳一 全委員 7 「まだ小説にするには時機が早かったのではなかろうか。読んでいると、やはり生々しい事実に対する関心が先に立つし、最後が煮え切らないのも、仕方がないだろう。」
  「総じて、こんどは、それほどずば抜けた作品がなかった。」
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選考委員柴田錬三郎×各候補作  見方・注意点
受賞作ナシ 総行数45 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 20 「この作品は、決していいものではない。これは、作者自身もみとめるところであろう。」「「ソクラテスの妻」の作者としては、不満だらけの作品である。いわば、これまでの実績を買われたわけである。私は、最後まで、授賞に反対であった。」
阿部牧郎 全委員 0  
藤本義一 全委員 15 「かなり買ったが、直木賞としては、どうか、と思われたので、つよくは推しかねた。」「佐藤愛子がこん後大いに書ける作家というならば、藤本義一もこん後期待できる作家というべきである。」
勝目梓 全委員 0  
利根川裕 全委員 0  
黒部亨 全委員 0  
渡辺淳一 全委員 0  
  「私は、今回は、ナシ、ときめて選考委員会に出席した。」「候補作八篇いずれも、それぞれの力量をしめしているが、直木賞受賞にはあたいしないと思われた。」
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他の選考委員
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石坂洋次郎
今日出海
源氏鶏太
村上元三
中山義秀
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選考委員中山義秀×各候補作  見方・注意点
選評 総行数9 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 0  
阿部牧郎 全委員 0  
藤本義一 全委員 4 「すでにプロとして充分なものがあり、賞を与えるまでもないように思われます。」
勝目梓 全委員 0  
利根川裕 全委員 0  
黒部亨 全委員 5 「「島のファンタジア」を推します。」「尻すぼみの感がありますが、この作者の才能には未発掘の豊かなものが感じられます。」
渡辺淳一 全委員 4 「すでにプロとして充分なものがあり、賞を与えるまでもないように思われます。」
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選考委員水上勉×各候補作  見方・注意点
佐藤愛子さんを 総行数47 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
佐藤愛子 全委員 29 「私はこの二作(引用者注:最後に残った「戦いすんで……」と「ちりめんじゃこ」)のどちらを取るといわれれば、むろん佐藤さんだった。」「佐藤さんのユーモアは、この人の心田のものであった。」「いわゆるありきたりの貧乏物とちがって、胸のすくような、作者独得の痛快な味が文体にある。」「私は、この作家をあくまで推した。」
阿部牧郎 全委員 0  
藤本義一 全委員 9 「達者である。村上さんが推された大衆小説の面白さもある。だが、「戦いすんで……」と比べた場合、ユーモアの質もちがう」
勝目梓 全委員 0  
利根川裕 全委員 0  
黒部亨 全委員 0  
渡辺淳一 全委員 5 「面白くよんだ。が、事実とつくり話とがしっくりいっていない。もっといい物が書ける人だろう。」
  「今回は、候補作全体にこれといったきわだったものがない。ひょっとしたら受賞作なしということになるか、といった気持もあった。」
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今日出海
源氏鶏太
村上元三
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佐藤愛子『戦いすんで日が暮れて』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 全候補 38 「おさめられた諸短篇をよみ、すでにでき上っている実力の安定を感じた。」「近ごろ珍しいドライなユーモアで、塩からいペーソスがある。これが作者の技巧でなく体質から出ているところに信頼がもてる。」「私も一、二篇を読んだだけだったら推薦をためらったかもしれないが、作品集の全部をよみ、大丈夫と思ったのである。直木賞にはそういう意味がある」
大佛次郎 全候補 30 「無神経なほどに大々としていて、所謂「文学」の埒を越えて、いのちのある文章、――あるいは文学に成っている。」「見ように依っては大ざっぱで浅いとも言えよう。」「ふとい奴と云うよりほかない。それで、書いた人が女性だと知るに及んで、私は生きていることが甚だ愉快になった。」「とにかく地平線に穴をあけて明るい眺望をあけて見せてくれた。」
海音寺潮五郎 全候補 18 「受賞者をつくるなら、「戦いすんで日が暮れて」の作者にしたいと思って出席した。」「この作品がとくによいとは思わなかったが、日本の作家にはめずらしくすぐれた滑稽の才能がうかがわれたからである。」「こんな才能は見つけ出して世間に紹介すべきであると思った。」
川口松太郎 全候補 8 「やや将来に見込みある作家は佐藤愛子であるが、それも今度の作品の「戦いすんで日が暮れて」は彼女としても会心の作ではあるまい。」
石坂洋次郎 全候補 26 「「戦いすんで日が暮れて」が好きだった。小説ずれがしてない率直でユーモラスな文体が、暗くなる筈の題材を、陰翳に富んだ明るい作品に仕上げているのだ。」
今日出海 全候補 20 「小説歴もあり、当然何賞かを得ていい人だ。」「心憎いほど行き届いた眼で二人の夫婦を描いているが、まだこの作家はもっと力作の書ける人なのにという感を深くした。」「余力を残して淡々と書く年齢でもあるまい。そんな物足りなさがあった。」
源氏鶏太 全候補 10 「上質のユウモア(引用者中略)を高く評価していたので、そのことを主張した。」「もう一人前の作家になっているという感じで、これを機に一段の飛躍が期待される。」
村上元三 全候補 9 「「戦いすんで日が暮れて」よりも、同じ候補作の「佐倉夫人の憂愁」のほうが、わたしには面白かった。」「いまさら直木賞でも、という気もするが、作品が安定している点では無難であろう。」
柴田錬三郎 全候補 20 「この作品は、決していいものではない。これは、作者自身もみとめるところであろう。」「「ソクラテスの妻」の作者としては、不満だらけの作品である。いわば、これまでの実績を買われたわけである。私は、最後まで、授賞に反対であった。」
中山義秀 全候補 0  
水上勉 全候補 29 「私はこの二作(引用者注:最後に残った「戦いすんで……」と「ちりめんじゃこ」)のどちらを取るといわれれば、むろん佐藤さんだった。」「佐藤さんのユーモアは、この人の心田のものであった。」「いわゆるありきたりの貧乏物とちがって、胸のすくような、作者独得の痛快な味が文体にある。」「私は、この作家をあくまで推した。」
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他の候補作
阿部牧郎 「袋叩きの土地」
藤本義一 『ちりめんじゃこ』
勝目梓 「花を掲げて」
利根川裕 「B少年の弁明」
黒部亨 「島のファンタジア」
渡辺淳一 『小説 心臓移植』
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阿部牧郎「袋叩きの土地」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 全候補 0  
大佛次郎 全候補 17 「話の筋はやや取ってつけたようで、(引用者中略)奇妙な隙があったが、(引用者中略)スキーをこう清新にたくましく描けるものかと、つくづく感心した。」「直木賞の候補作品として見ると、これが文学的過ぎて障礙になるようである。」
海音寺潮五郎 全候補 3 「前のタコ売りの話の方がよい。」
川口松太郎 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 2  
今日出海 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 8 「感心して読んだ。殊に前半がよかった。」「元海軍兵学校生徒の戦死を狙って果さぬ幕切れのあたりが爽やかである。」
村上元三 全候補 5 「最後まで読んで、背負い投げを食わされた気がした。しっかりした文章なのに、この作品は構成を誤っていると思う。」
柴田錬三郎 全候補 0  
中山義秀 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
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他の候補作
佐藤愛子 『戦いすんで日が暮れて』
藤本義一 『ちりめんじゃこ』
勝目梓 「花を掲げて」
利根川裕 「B少年の弁明」
黒部亨 「島のファンタジア」
渡辺淳一 『小説 心臓移植』
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藤本義一『ちりめんじゃこ』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 全候補 3 「それなりに面白いが内容も文章も少々軽すぎる。」
大佛次郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 6 「大へんおもしろく読んだ。ねばっこくテーマを追求して行くところ、いい素質である。この人はきっとまたよいものを書くであろう。」
川口松太郎 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 10 「達文で精細によく描かれてあるが、題材が特殊なものなので見送られてしまった。」「一本立ちが出来る力を備えていることはたしかだ。」
今日出海 全候補 13 「大衆小説として充分通用する作品であることに間違いはないが、ベテランのすり(原文傍点)と刑事との物語を綿々と語って、人間の味わいがその割に滲み出ない。」「新人だけに職業化するよりももっと冒険をしてもいいのではないかとも思われる。」
源氏鶏太 全候補 10 「構成力を高く評価していたので、そのことを主張した。」「描写が柔軟なのがいい。力まないで全力投球をしているといった感じである。今も授賞に値いするのではなかったのか、と思っている。」
村上元三 全候補 13 「わたしには一ばん面白かった。八篇の中で、これだけが大衆文学であり、刑事と掏摸との関係も、戦前によく読んだマッカレーの「地下鉄サム」よりも人間くさい。しかし、これを推したのは源氏鶏太氏とわたしだけなので、多勢に無勢という形になった。」
柴田錬三郎 全候補 15 「かなり買ったが、直木賞としては、どうか、と思われたので、つよくは推しかねた。」「佐藤愛子がこん後大いに書ける作家というならば、藤本義一もこん後期待できる作家というべきである。」
中山義秀 全候補 4 「すでにプロとして充分なものがあり、賞を与えるまでもないように思われます。」
水上勉 全候補 9 「達者である。村上さんが推された大衆小説の面白さもある。だが、「戦いすんで……」と比べた場合、ユーモアの質もちがう」
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他の候補作
佐藤愛子 『戦いすんで日が暮れて』
阿部牧郎 「袋叩きの土地」
勝目梓 「花を掲げて」
利根川裕 「B少年の弁明」
黒部亨 「島のファンタジア」
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勝目梓「花を掲げて」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 全候補 0  
大佛次郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 11 「なぜこんな無理な文体を使うのであろう。」「読者に抵抗を感じさせるだけで、逆効果だ。」「せっかくのユーモアの才能が、この文体でまるで効果を殺している。」
川口松太郎 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 2  
今日出海 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 6 「直木賞向きでなかったようだ。といって、芥川賞の候補になり得たかというと疑問がある。」
村上元三 全候補 2 「直木賞のものではない。」
柴田錬三郎 全候補 0  
中山義秀 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
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他の候補作
佐藤愛子 『戦いすんで日が暮れて』
阿部牧郎 「袋叩きの土地」
藤本義一 『ちりめんじゃこ』
利根川裕 「B少年の弁明」
黒部亨 「島のファンタジア」
渡辺淳一 『小説 心臓移植』
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利根川裕「B少年の弁明」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 全候補 4 「少年犯罪の動機になっている疎外感を衝いているが少しく常套に陥っている。」
大佛次郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 5 「おもしろく読んだが、あと味にのこるところがない。何かが足りないのである。」
川口松太郎 全候補 4 「既に数回候補に上りながら今度の作品が最も悪かったのではないか。」
石坂洋次郎 全候補 9 「私の好みでは、(引用者中略)「異邦人」の主人公ムルソーを少年にしたような「B少年の弁明」に心をひかれたが、賛成者は少なかった。」
今日出海 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 6 「直木賞向きでなかったようだ。といって、芥川賞の候補になり得たかというと疑問がある。」
村上元三 全候補 7 「「オール讀物」に書くときは違って、どうしてこう読みづらい文章で書くのだろうか。弁明そのものが、少年ではなく大人の心理で書いてあるのも、疑問に思う。」
柴田錬三郎 全候補 0  
中山義秀 全候補 0  
水上勉 全候補 0  
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他の候補作
佐藤愛子 『戦いすんで日が暮れて』
阿部牧郎 「袋叩きの土地」
藤本義一 『ちりめんじゃこ』
勝目梓 「花を掲げて」
黒部亨 「島のファンタジア」
渡辺淳一 『小説 心臓移植』
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黒部亨「島のファンタジア」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 全候補 0  
大佛次郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 5 「おもしろく読んだが、あと味にのこるところがない。何かが足りないのである。」
川口松太郎 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 2  
今日出海 全候補 11 「冒険的だった。」「二部に到ってペースが崩れ、印象も鮮明を欠いたのは何とも遺憾である。イマージュを定着させる前に筆が走るのだろうが、走った筆のために作品があのように崩れるとは重大なことである。」
源氏鶏太 全候補 10 「終始興味を持って読んだ。朝鮮人を父に持つ思春期の少年の歪んだ心が納得のゆくように描かれていたし、預けられた寺の娘も印象に残る。」「やや未熟という感じが残った。」
村上元三 全候補 4 「密航者が出てくるあたりから、前半の詩情も失せて、つまらなくなった。」
柴田錬三郎 全候補 0  
中山義秀 全候補 5 「「島のファンタジア」を推します。」「尻すぼみの感がありますが、この作者の才能には未発掘の豊かなものが感じられます。」
水上勉 全候補 0  
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他の候補作
佐藤愛子 『戦いすんで日が暮れて』
阿部牧郎 「袋叩きの土地」
藤本義一 『ちりめんじゃこ』
勝目梓 「花を掲げて」
利根川裕 「B少年の弁明」
渡辺淳一 『小説 心臓移植』
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渡辺淳一『小説 心臓移植』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
松本清張 全候補 8 「あまりに正面から書きすぎて「小説」としては中途半端な感がまぬがれない。新聞記者と看護婦との安手な恋愛を挿入したのもよくない。」
大佛次郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 6 「すぐれた素質と才能を持っている人であるが、いわばキワモノを書いたのが損になった。もっとも、キワモノでなければ出版されもしなかったろうが。」
川口松太郎 全候補 0  
石坂洋次郎 全候補 10 「達文で精細によく描かれてあるが、題材が特殊なものなので見送られてしまった。」「一本立ちが出来る力を備えていることはたしかだ。」
今日出海 全候補 0  
源氏鶏太 全候補 10 「冷静に描いてあり、スリルも感じさせられる。しかし、読了後の感動がそれほどでなかったのは、すでに私たちが週刊誌やなんかで知っていることが多かったからであろうか。そこを突き抜けていないようである。」
村上元三 全候補 7 「まだ小説にするには時機が早かったのではなかろうか。読んでいると、やはり生々しい事実に対する関心が先に立つし、最後が煮え切らないのも、仕方がないだろう。」
柴田錬三郎 全候補 0  
中山義秀 全候補 4 「すでにプロとして充分なものがあり、賞を与えるまでもないように思われます。」
水上勉 全候補 5 「面白くよんだ。が、事実とつくり話とがしっくりいっていない。もっといい物が書ける人だろう。」
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他の候補作
佐藤愛子 『戦いすんで日が暮れて』
阿部牧郎 「袋叩きの土地」
藤本義一 『ちりめんじゃこ』
勝目梓 「花を掲げて」
利根川裕 「B少年の弁明」
黒部亨 「島のファンタジア」
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