直木賞のすべて
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第52回

=受賞者=
永井路子
安西篤子

=候補者=
佐藤愛子
斎藤鈴子
富士正晴
江夏美好
津田 信
中原弓彦
中川静子


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 昭和39年/1964年下半期
 (昭和40年/1965年1月19日決定発表/『オール讀物』昭和40年/1965年4月号選評掲載)
選考委員  川口松太郎 海音寺潮五郎 木々高太郎 源氏鶏太 大佛次郎 村上元三 今日出海 小島政二郎 中山義秀 松本清張
選評総行数  39 64 76 55 51 61 46 48 34 48
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
永井路子 『炎環』 評言 21 15 5 16 12 8 20 4 7 32
安西篤子 「張少子の話」 評言 7 7 6 12 10 10 18 5 6 16
佐藤愛子 「加納大尉夫人」 評言 0 0 17 16 17 5 0 15 0 0
斎藤鈴子 『刀工源清麿』 評言 0 0 14 4 0 8 0 6 7 0
富士正晴 『帝国軍隊に於ける学習・序』 評言 0 0 18 4 12 5 8 3 6 0
江夏美好 「流離の記」 評言 5 0 9 4 0 7 0 6 8 0
津田信 「破れ暦」 評言 0 0 10 0 0 4 0 4 0 0
中原弓彦 「衰亡記」 評言 0 0 6 0 0 3 0 1 0 0
中川静子 「幽囚転転」 評言 0 0 6 0 0 0 0 2 0 0
欠席
書面回答
                 
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和40年/1965年4月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員川口松太郎×各候補作  見方・注意点
作家の死命 総行数39 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 21 「直木賞作家として伸びて行くのはこの人だと思った。」「私は今後も、直木賞作家として大成する文体を持つかどうか、其処に重点を置いて選考の標準にしようと思っている。」
安西篤子 全委員 7 「好く整った好短篇」「直木賞作家として大成するかどうか一脈の危惧はある。」
佐藤愛子 全委員 0  
斎藤鈴子 全委員 0  
富士正晴 全委員 0  
江夏美好 全委員 5 「前回の候補作品と大差ない。この作家も従来の自分を棄てて出直す覚悟を持たなければならぬ時だ。」
津田信 全委員 0  
中原弓彦 全委員 0  
中川静子 全委員 0  
  「直木賞の候補作家に、年年女性の目立った事は如何なる理由によるものか。(引用者中略)何となく奇妙な気がする。」
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選考委員海音寺潮五郎×各候補作  見方・注意点
なぜ小説を書くか 総行数64 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 15 「歴史小説の正統派がはじめて直木賞を得たことを一きわよろこびとしたい。」「この作者としては、ここからどう突きぬけるかが一大課題であろう。小説は事実の再現、または解釈だけではないはずである。」
安西篤子 全委員 7 「可憐なおもしろさがある。文章に澄んだ詩情がある。月下に人間が虎に化しているところの描写など、なんとも言えずよい。」
佐藤愛子 全委員 0  
斎藤鈴子 全委員 0  
富士正晴 全委員 0  
江夏美好 全委員 0  
津田信 全委員 0  
中原弓彦 全委員 0  
中川静子 全委員 0  
  「出色のものがないと、二人えらぶことになるとは、奇妙なことだが、推す者に強い自信がなく、反対側では、「それがよいなら、これだってよいぞ。おとりはしない」ということになるからであろう。」
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選考委員木々高太郎×各候補作  見方・注意点
変種が欲しい 総行数76 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 5 「私ははじめにおとしたが多数の委員がこれにいつまでも点を与えていたのは意外であった。」
安西篤子 全委員 6 「私はひょっとしてとるなら安西篤子「張少子の話」の変り種がよいと思っていたので、二人に出すならば、という条件をつけて、結論は永井、安西の二人にきまった。」
佐藤愛子 全委員 17 「依然として戦争私小説がある。僕は好かない。」
斎藤鈴子 全委員 14 「小説としては、同じ心理のくりかえしが二十も三十も出てきて、よみづらい以上のものとなって了った。然し、この人はこれからもっと修業すると、刀の話だけで優秀な小説家にもなれよう、と考えるほど熱心である。」
富士正晴 全委員 18 「依然として戦争私小説がある。僕は好かない。」
江夏美好 全委員 9 「この長いくりかえしはどうであろう。長い同じような物語はよいが、同じもののくりかえしは小説ではいけない。」
津田信 全委員 10 「よみやすく、イメージもはっきりしている。然しこれはまた、如何にも小説らしくして了っているところに、私の不満はあった。なかんずく津田信の如きは極めて達者である。」
中原弓彦 全委員 6 「よみやすく、イメージもはっきりしている。然しこれはまた、如何にも小説らしくして了っているところに、私の不満はあった。」
中川静子 全委員 6 「よみやすく、イメージもはっきりしている。然しこれはまた、如何にも小説らしくして了っているところに、私の不満はあった。」
  「今回の直木賞は、私はナシと考えていた。」
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選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
気力充実 総行数55 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 16 「作者の気力が充実している。授賞の時期があるとすれば、今だと思った。」「面白さにも申し分がなかった。が、この作者は、次にどこへ行くか、であろう。」
安西篤子 全委員 12 「これは一種独特の香気に満ちたロマンで、読者を夢幻の世界に遊ばせてくれる。才能を感じさせる。最後を失敗とする意見も出たが、私は、逆であった。」
佐藤愛子 全委員 16 「授賞に値いするくらいに感じた。しかし、授賞作とするには、何かが欠けている。そこで私は、ためらった。」
斎藤鈴子 全委員 4 「面白さでは申し分がなかったが、しかし、これだけではいわゆる大衆文芸のレベルをそう抜いていない。」
富士正晴 全委員 4 「第一話がいちばん面白く、手腕もたしかであった。しかし、直木賞とは無縁の作品であろう。」
江夏美好 全委員 4 「努力作であるが、前作に構成が似ているので、もっと別の物を、といいたくなった。」
津田信 全委員 0  
中原弓彦 全委員 0  
中川静子 全委員 0  
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選考委員大佛次郎×各候補作  見方・注意点
私見 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 12 「自分が源実朝を書き鎌倉に年古く住み鎌倉の歴史に多少の興味を持っているので、平明だが淡いなと感じたところがあったとしても失礼ではなかろう。」
安西篤子 全委員 10 「流水の如く透明で、まことに気持よかった。」「小篇ながら直木賞の世界に、純粋な水脈のあるのを感じさせて貰ったのを多とし、私は推賞した。」
佐藤愛子 全委員 17 「デッサン骨格がしっかりして、正しい文体のある作品である。」「この作者の確実な筆は充分に推賞に値する。」「も少し、遊ぶことを覚えたら、とも思った。」
斎藤鈴子 全委員 0  
富士正晴 全委員 12 「「童貞」が面白かったし、氾濫する戦争反対小説の青臭さなど突抜けた境地をえぐってあった。」「しかし他の「帝国軍隊に於ける学習・序」となると、直木賞の世界のものと考えるのに難渋する。」
江夏美好 全委員 0  
津田信 全委員 0  
中原弓彦 全委員 0  
中川静子 全委員 0  
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選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
運不運 総行数61 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 8 「今までの実績からいっても、こんどの受賞は順当であろう。」「ひねくれた史観などないし、素直で、好感が持てた。」
安西篤子 全委員 10 「はじめのとぼけたような面白さが、最後にもあって欲しかった。次作を待ってみては、と言ったが、これが直木賞になることには、そう強力に反対もしなかった。」
佐藤愛子 全委員 5 「安代という女を、もっと鮮やかに書いてほしかった。安代を除いては、この作品は、ほかに魅力がない。」
斎藤鈴子 全委員 8 「努力は買うが、もっと刀鍛冶だけの生活を描くことに筆を集中したほうがよかった。」
富士正晴 全委員 5 「好き嫌いをいっては申訳がないが、わたしなどは、こういう傾向の作品はもう沢山だという気がする。」
江夏美好 全委員 7 「この作者らしい執念といったものを感じさせるが、それだけに饒舌であり過ぎる。」
津田信 全委員 4 「面白く読めたが、この人は実力もあるし、この作品が賞の対象になったのは不運であった。」
中原弓彦 全委員 3 「達者だが、この次にどういう作品を書くのか、それを待ちたい。」
中川静子 全委員 0  
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選考委員今日出海×各候補作  見方・注意点
心残り 総行数46 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 20 「鎌倉時代を知る作家には、折角の知識も、それほど高く評価されなかったが、少なくともその知識を気楽に扱えるだけ、消化し、自分のものにしていることは事実である。」「作者の格調の低くないのを評価したいし、充分賞に値する出来栄えであることも否定しない。」
安西篤子 全委員 18 「面白く読ませる筆力を持っていることは事実だ。とはいえ直木賞はそれでいいのだとは思わない。もっと筆力を制御する何かが加わって然るべきだとも思う。」
佐藤愛子 全委員 0  
斎藤鈴子 全委員 0  
富士正晴 全委員 8 「この作者はどういう人か知らないが、既に文学者だと思ったし、「童貞」はなかなかいい作品だと推したが、首肯する人が少なかった。」
江夏美好 全委員 0  
津田信 全委員 0  
中原弓彦 全委員 0  
中川静子 全委員 0  
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選考委員小島政二郎×各候補作  見方・注意点
意外なこと 総行数48 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 4 「私には小説性が稀薄で、読むのに骨が折れた。これが委員諸君の気に入った理由が私には理解出来なかった。」
安西篤子 全委員 5 「私には全体の調子が弱くって、そのためあのお伽話めいた話の中へ私を引き摩り込んでくれる力がなかった。」
佐藤愛子 全委員 15 「一番面白いと思った」「話も面白いし、夫婦――殊に夫人の性格が活写されている、その活写の仕方の逞しさに魅力があった。」「この人の「ソクラテスの妻」が芥川賞でなく、直木賞へ提出されたら当然賞を与えられていたと思う。」
斎藤鈴子 全委員 6 「もっと省略して、話に加速度を与えたらよかったと思う。」
富士正晴 全委員 3 「ヴァルガーな調子が、私とは性が合わなかった。」
江夏美好 全委員 6 「面白くはないが、よく書けていると思った」「この材料をもっと小説的に構成する興味をこの作者は持たないのだろうか。」
津田信 全委員 4 「よく書けていると思ったが、イージーゴーイングとの評だった。私はそうは思わないのだが――」
中原弓彦 全委員 1 「弱すぎ、」
中川静子 全委員 2 「平凡過ぎた。」
  「今度くらい委員諸君と私の考えとが大きく隔たったことはなかった。」
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選考委員中山義秀×各候補作  見方・注意点
寸評 総行数34 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 7 「作者の説く作中人物の解釈は若々しくて、私のような年代の者には首肯しかねる。黒幕政治のむざんさに、地獄絵をみるような、色彩の美しさがあったならばと惜しまれる。」
安西篤子 全委員 6 「筆致の切れがよい。」「題材を駆使する情感のみずみずしさが、この作品の身上であろう。」
佐藤愛子 全委員 0  
斎藤鈴子 全委員 7 「作者のひたむきな努力にもかかわらず、多くを語りすぎて、何も語らなかった結果に、おちいったような印象をうけた。」
富士正晴 全委員 6 「一番に推した。戦争の暗黒面を、アイロニカルに明るくしている、突っぱなした作者の態度にも、筆者の修練が感じられた。」
江夏美好 全委員 8 「天狗党脱走の日記を、これだけ肉附けした作者の手腕には期待がよせられる。」「四人の女性の心情や、その難行に堪え得た動機が、描ききられていない」
津田信 全委員 0  
中原弓彦 全委員 0  
中川静子 全委員 0  
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選考委員松本清張×各候補作  見方・注意点
自信というもの 総行数48 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
永井路子 全委員 32 「この作者は史料の勉強家で、史料のなかから小説の題材を発見するのにすぐれた資性を持っている。」「もう少し暗い血の争いが出ていれば、重味が出たと思うが、今度の受賞を機会に、いよいよ本腰になれるだろう。」
安西篤子 全委員 16 「珍しい傾向の作品だけに、これだけでは、やや決しかねるところが私にあった。もう一作を見てから積極的に推す機会を持ちたかった。」
佐藤愛子 全委員 0  
斎藤鈴子 全委員 0  
富士正晴 全委員 0  
江夏美好 全委員 0  
津田信 全委員 0  
中原弓彦 全委員 0  
中川静子 全委員 0  
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他の選考委員
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海音寺潮五郎
木々高太郎
源氏鶏太
大佛次郎
村上元三
今日出海
小島政二郎
中山義秀
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永井路子『炎環』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
川口松太郎 全候補 21 「直木賞作家として伸びて行くのはこの人だと思った。」「私は今後も、直木賞作家として大成する文体を持つかどうか、其処に重点を置いて選考の標準にしようと思っている。」
海音寺潮五郎 全候補 15 「歴史小説の正統派がはじめて直木賞を得たことを一きわよろこびとしたい。」「この作者としては、ここからどう突きぬけるかが一大課題であろう。小説は事実の再現、または解釈だけではないはずである。」
木々高太郎 全候補 5 「私ははじめにおとしたが多数の委員がこれにいつまでも点を与えていたのは意外であった。」
源氏鶏太 全候補 16 「作者の気力が充実している。授賞の時期があるとすれば、今だと思った。」「面白さにも申し分がなかった。が、この作者は、次にどこへ行くか、であろう。」
大佛次郎 全候補 12 「自分が源実朝を書き鎌倉に年古く住み鎌倉の歴史に多少の興味を持っているので、平明だが淡いなと感じたところがあったとしても失礼ではなかろう。」
村上元三 全候補 8 「今までの実績からいっても、こんどの受賞は順当であろう。」「ひねくれた史観などないし、素直で、好感が持てた。」
今日出海 全候補 20 「鎌倉時代を知る作家には、折角の知識も、それほど高く評価されなかったが、少なくともその知識を気楽に扱えるだけ、消化し、自分のものにしていることは事実である。」「作者の格調の低くないのを評価したいし、充分賞に値する出来栄えであることも否定しない。」
小島政二郎 全候補 4 「私には小説性が稀薄で、読むのに骨が折れた。これが委員諸君の気に入った理由が私には理解出来なかった。」
中山義秀 全候補 7 「作者の説く作中人物の解釈は若々しくて、私のような年代の者には首肯しかねる。黒幕政治のむざんさに、地獄絵をみるような、色彩の美しさがあったならばと惜しまれる。」
松本清張 全候補 32 「この作者は史料の勉強家で、史料のなかから小説の題材を発見するのにすぐれた資性を持っている。」「もう少し暗い血の争いが出ていれば、重味が出たと思うが、今度の受賞を機会に、いよいよ本腰になれるだろう。」
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他の候補作
安西篤子 「張少子の話」
佐藤愛子 「加納大尉夫人」
斎藤鈴子 『刀工源清麿』
富士正晴 『帝国軍隊に於ける学習・序』
江夏美好 「流離の記」
津田信 「破れ暦」
中原弓彦 「衰亡記」
中川静子 「幽囚転転」
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安西篤子「張少子の話」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
川口松太郎 全候補 7 「好く整った好短篇」「直木賞作家として大成するかどうか一脈の危惧はある。」
海音寺潮五郎 全候補 7 「可憐なおもしろさがある。文章に澄んだ詩情がある。月下に人間が虎に化しているところの描写など、なんとも言えずよい。」
木々高太郎 全候補 6 「私はひょっとしてとるなら安西篤子「張少子の話」の変り種がよいと思っていたので、二人に出すならば、という条件をつけて、結論は永井、安西の二人にきまった。」
源氏鶏太 全候補 12 「これは一種独特の香気に満ちたロマンで、読者を夢幻の世界に遊ばせてくれる。才能を感じさせる。最後を失敗とする意見も出たが、私は、逆であった。」
大佛次郎 全候補 10 「流水の如く透明で、まことに気持よかった。」「小篇ながら直木賞の世界に、純粋な水脈のあるのを感じさせて貰ったのを多とし、私は推賞した。」
村上元三 全候補 10 「はじめのとぼけたような面白さが、最後にもあって欲しかった。次作を待ってみては、と言ったが、これが直木賞になることには、そう強力に反対もしなかった。」
今日出海 全候補 18 「面白く読ませる筆力を持っていることは事実だ。とはいえ直木賞はそれでいいのだとは思わない。もっと筆力を制御する何かが加わって然るべきだとも思う。」
小島政二郎 全候補 5 「私には全体の調子が弱くって、そのためあのお伽話めいた話の中へ私を引き摩り込んでくれる力がなかった。」
中山義秀 全候補 6 「筆致の切れがよい。」「題材を駆使する情感のみずみずしさが、この作品の身上であろう。」
松本清張 全候補 16 「珍しい傾向の作品だけに、これだけでは、やや決しかねるところが私にあった。もう一作を見てから積極的に推す機会を持ちたかった。」
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他の候補作
永井路子 『炎環』
佐藤愛子 「加納大尉夫人」
斎藤鈴子 『刀工源清麿』
富士正晴 『帝国軍隊に於ける学習・序』
江夏美好 「流離の記」
津田信 「破れ暦」
中原弓彦 「衰亡記」
中川静子 「幽囚転転」
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佐藤愛子「加納大尉夫人」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
川口松太郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 0  
木々高太郎 全候補 17 「依然として戦争私小説がある。僕は好かない。」
源氏鶏太 全候補 16 「授賞に値いするくらいに感じた。しかし、授賞作とするには、何かが欠けている。そこで私は、ためらった。」
大佛次郎 全候補 17 「デッサン骨格がしっかりして、正しい文体のある作品である。」「この作者の確実な筆は充分に推賞に値する。」「も少し、遊ぶことを覚えたら、とも思った。」
村上元三 全候補 5 「安代という女を、もっと鮮やかに書いてほしかった。安代を除いては、この作品は、ほかに魅力がない。」
今日出海 全候補 0  
小島政二郎 全候補 15 「一番面白いと思った」「話も面白いし、夫婦――殊に夫人の性格が活写されている、その活写の仕方の逞しさに魅力があった。」「この人の「ソクラテスの妻」が芥川賞でなく、直木賞へ提出されたら当然賞を与えられていたと思う。」
中山義秀 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
永井路子 『炎環』
安西篤子 「張少子の話」
斎藤鈴子 『刀工源清麿』
富士正晴 『帝国軍隊に於ける学習・序』
江夏美好 「流離の記」
津田信 「破れ暦」
中原弓彦 「衰亡記」
中川静子 「幽囚転転」
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斎藤鈴子『刀工源清麿』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
川口松太郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 0  
木々高太郎 全候補 14 「小説としては、同じ心理のくりかえしが二十も三十も出てきて、よみづらい以上のものとなって了った。然し、この人はこれからもっと修業すると、刀の話だけで優秀な小説家にもなれよう、と考えるほど熱心である。」
源氏鶏太 全候補 4 「面白さでは申し分がなかったが、しかし、これだけではいわゆる大衆文芸のレベルをそう抜いていない。」
大佛次郎 全候補 0  
村上元三 全候補 8 「努力は買うが、もっと刀鍛冶だけの生活を描くことに筆を集中したほうがよかった。」
今日出海 全候補 0  
小島政二郎 全候補 6 「もっと省略して、話に加速度を与えたらよかったと思う。」
中山義秀 全候補 7 「作者のひたむきな努力にもかかわらず、多くを語りすぎて、何も語らなかった結果に、おちいったような印象をうけた。」
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
永井路子 『炎環』
安西篤子 「張少子の話」
佐藤愛子 「加納大尉夫人」
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江夏美好 「流離の記」
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富士正晴『帝国軍隊に於ける学習・序』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
川口松太郎 全候補 0  
海音寺潮五郎 全候補 0  
木々高太郎 全候補 18 「依然として戦争私小説がある。僕は好かない。」
源氏鶏太 全候補 4 「第一話がいちばん面白く、手腕もたしかであった。しかし、直木賞とは無縁の作品であろう。」
大佛次郎 全候補 12 「「童貞」が面白かったし、氾濫する戦争反対小説の青臭さなど突抜けた境地をえぐってあった。」「しかし他の「帝国軍隊に於ける学習・序」となると、直木賞の世界のものと考えるのに難渋する。」
村上元三 全候補 5 「好き嫌いをいっては申訳がないが、わたしなどは、こういう傾向の作品はもう沢山だという気がする。」
今日出海 全候補 8 「この作者はどういう人か知らないが、既に文学者だと思ったし、「童貞」はなかなかいい作品だと推したが、首肯する人が少なかった。」
小島政二郎 全候補 3 「ヴァルガーな調子が、私とは性が合わなかった。」
中山義秀 全候補 6 「一番に推した。戦争の暗黒面を、アイロニカルに明るくしている、突っぱなした作者の態度にも、筆者の修練が感じられた。」
松本清張 全候補 0  
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他の候補作
永井路子 『炎環』
安西篤子 「張少子の話」
佐藤愛子 「加納大尉夫人」
斎藤鈴子 『刀工源清麿』