直木賞のすべて
直木賞のすべて

第45回

=受賞者=
水上 勉

=候補者=
松本 孝
井口朝生
永岡慶之助
樹下太郎
永井路子
大屋典一
杜山 悠


直木賞-選評の概要
トップページ
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
候補作家の群像
選考委員の群像
小研究
大衆選考会
リンク集
マップ

ページの最後へ


Last Update[H19]2007/1/31

45   一覧へ 44前の回へ 後の回へ46
 昭和36年/1961年上半期
 (昭和36年/1961年7月18日決定発表/『オール讀物』昭和36年/1961年10月号選評掲載)
選考委員  源氏鶏太 木々高太郎 川口松太郎 吉川英治 海音寺潮五郎 小島政二郎 村上元三 今日出海 大佛次郎 中山義秀 松本清張
選評総行数  45 51 44 54 79 43 63 54 48 36 57
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
水上勉 「雁の寺」 評言 5 16 29 8 30 0 14 21 5 3 33
松本孝 「夜の顔ぶれ」 評言 4 5 0 6 0 0 6 0 7 0 0
井口朝生 『狼火と旗と』 評言 6 18 0 6 0 0 8 0 8 0 0
永岡慶之助 『斗南藩子弟記』 評言 17 17 0 13 18 43 11 11 6 36 0
樹下太郎 『銀と青銅の差』 評言 0 0 0 3 0 0 4 0 0 0 3
永井路子 「青苔記」 評言 9 0 0 6 5 0 6 0 5 0 6
大屋典一 『孤雁』 評言 7 17 5 5 26 0 5 0 5 0 0
杜山悠 「お陣屋のある村」 評言 5 0 0 13 0 0 7 0 15 0 21
      欠席              
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』昭和36年/1961年10月号
1行当たりの文字数:14字


選考委員源氏鶏太×各候補作  見方・注意点
惜しかった永岡氏 総行数45 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 5 「いいと思った。」
松本孝 全委員 4 「どこかに志の低いところがあって、ユーモアが生きていないように思われた。」
井口朝生 全委員 6 「それほどの新風が感じられなかったが、よくまとまっていた。ただ、妙な女の登場が、却って、この作品のマイナスになっていたのではなかろうか。」
永岡慶之助 全委員 17 「いいと思った。」「水上氏の授賞がきまりかけたとき、他にもう一人、文壇に新風を吹き込む意味からも永岡氏を強く推した」「実に丹念に描いてあって、気持よかった。」
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 9 「いいと思った。」「登場人物がそれぞれ生きていて、味わいが深かった。ちゃんとした小説になっているのに、想ったほど票が集まらなかったのは意外であった。」
大屋典一 全委員 7 「面白いという点では、八篇のうちでもいちばんだったが、読み終ってから、あるむなしさが残った。弥五郎の成長が感じられないので、重厚さに不足するという結果になったようである。」
杜山悠 全委員 5 「昔の百姓生活のみじめさがよく出ているが、小説としての盛り上りに不足しているようだった。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員木々高太郎×各候補作  見方・注意点
りっぱな短篇推理小説 総行数51 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 16 「推理小説として楽しめると同時に、立派な文学作品で、これがずぬけてよく、選考には苦労はしなかった。」「この作者は何回も候補になったが、この前の長篇二作は、どうしても気に入らなかった。力作ではあるが、すっきりしてなかった。」「これからは長篇をかいても、きっとよいのが出来ると思う。」
松本孝 全委員 5 「あまりつくりごとが多いようであるが、主人公の一方に徹底した考え方は、つくりごとでなくて書けると思うが、どうか。」
井口朝生 全委員 18 「特徴の故に一等にし難い感じがした。」「(引用者注:その特徴とは)あまりに大衆読物的のもちはこび(引用者中略)である。」「ひと工夫あれば、ずっとよくなると思うので、編集部では執拗にとりあげて書かしてみたらどうであろうか。」
永岡慶之助 全委員 17 「特徴の故に一等にし難い感じがした。」「(引用者注:その特徴とは)あまりに克明な地味なかき方。」「ひと工夫あれば、ずっとよくなると思うので、編集部では執拗にとりあげて書かしてみたらどうであろうか。」
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 0  
大屋典一 全委員 17 「特徴の故に一等にし難い感じがした。」「(引用者注:その特徴とは)あまりに空想的な野放図もないはこび方である。」「ひと工夫あれば、ずっとよくなると思うので、編集部では執拗にとりあげて書かしてみたらどうであろうか。」
杜山悠 全委員 0  
  「予選作品につまらぬものの多い時は楽しくないのだが、今度は、大いに楽しかった。」「そればかりではない。ずぬけてよい作品のある時の方が、楽である。今度は、そうだった。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員川口松太郎×各候補作  見方・注意点
候補作品の規格を 総行数44 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 29 「これに出られては、他の作品がさぞ見劣りするだろうと思った予想は案に違わず、「雁の寺」と太刀打ち出来る作品はなかった。」「小島政二郎氏一人を除いては誰にも異存がなかった。」「既に人気作家であり、彼の受賞にはジャーナリスティックな興味も薄れ、「やっぱりそうか」というような落胆感もあったようだが、水上君自身にしてもこれだけの作品はそうザラに書けるものではない。」
松本孝 全委員 0  
井口朝生 全委員 0  
永岡慶之助 全委員 0  
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 0  
大屋典一 全委員 5 「私は(引用者中略)推せんしたのだが、(引用者中略)長編なるがゆえのハンディキャップを免かれ得ぬ典型的作品であろう。」
杜山悠 全委員 0  
  「今日出海氏が興味ある発言をした。「百枚未満の中編短編と数百枚にわたる長編の力量感は比較にならない。同一標準で論ずるのは無理だ」という意味であったが全く同感だった。」「今後の問題として文学振興会の一考を待ちたい。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員吉川英治×各候補作  見方・注意点
寸感 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 8 「推薦理由を、それ(引用者注:欠席のため提出した文書)には極力といっていいほどかなり述べつくした。なにかここでまた書くのはひとつことを二度もくりかえすようで気がのらない。他氏の推薦の辞におまかせしておく。」
松本孝 全委員 6 「おもしろかった。諷刺のきいた風俗小説といえようか。このひとはなお良いものが書けそうだ。」
井口朝生 全委員 6 「作者の野心は大いにかわれるが、なお不熟といった感はたれにも持たれるのではないか。」
永岡慶之助 全委員 13 「その労に充分な敬意を払ってあげたい」「まじめな執筆態度と労作であることはほんとにわかる。と察しられつつも読者をつかまえてひきずってゆく大事な文学力の刀尖がきいていない。」
樹下太郎 全委員 3 「近来の推理小説としてはやや甘いかんじがする。」
永井路子 全委員 6 「このひととしてまだ過程作品のものであろう。こまやかな歴史観には女流らしい目があって独自な味を出しているが、しょせん佳品というにはたりない。」
大屋典一 全委員 5 「作者の野心は大いにかわれるが、なお不熟といった感はたれにも持たれるのではないか。」
杜山悠 全委員 13 「もし次席をということでもあるなれば、私は躊躇なく(引用者中略)推す。克明で深味のある佳い作品ではあるが、「村」が「人」が描きつくせたとはいわれない。」「一資料によらずほかの資料もよくこな(原文傍点)しえてこれくらいに書ける人であったらゆくゆく至嘱に値しよう。」
  「欠席したので、私は自分の寸見を、当夜の委員会へは文書にしてとどけた。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員海音寺潮五郎×各候補作  見方・注意点
沈痛の文学美 総行数79 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 30 「今更という気もしないではなかったが、もらうものはもらっておいた方が将来いろいろと便利なものである。積極的にこの人を推した。」「恐らく作者は書き上げたあと、方々度々書きなおしたのではないかと思う。そのためか、流露感が乏しくなっている。念の入ったわりに小疵もある。世評ほどのものとは思わなかったが、この人の実力を買ったのである。」
松本孝 全委員 0  
井口朝生 全委員 0  
永岡慶之助 全委員 18 「三分の一読んだところまでは正直感心した。沈痛美は東洋の文学美の一つであるが、近年日本の文学では見失われている。この作品にはそれがある。」「残る三分の二を読んで、ああおしいと感じた。明治初年史を全部一人の身に経験させようという構成が無理なのだ。」「しかし、この人の誠実真摯な態度は必ず玉成する。」
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 5 「よく書けている。しかし、ここから先きが問題だ。これでは骨法をよくのみこんでいるというにすぎない。」
大屋典一 全委員 26 「才能はある。」「しかし、この程度の時代知識で書かれたものを文学賞の対象にするわけには行かない。時代の雰囲気が全然アナクロニズムである。」「この作品は新聞小説として大へん受けた由であるが、それで十分に報いられているといえよう。読者受けと文学賞を受ける資格とは別でなければならない。」
杜山悠 全委員 0  
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
小島政二郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員小島政二郎×各候補作  見方・注意点
あまりに平面的 総行数43 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 0  
松本孝 全委員 0  
井口朝生 全委員 0  
永岡慶之助 全委員 43 「私は一番(引用者中略)感心した。この作品に私は最も多量に文学を感じた。」「大切な人物は、背景と共に皆よく書けている。」「さまざまの美点を持っていながら、作者が小説に必要な構成の美しさを忘れたために、この小説は行き当りばッたりに多四郎の出合った人物、場面に興味を注ぐという纏まりのない結果に終った。これでは余りに平面的である。」
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 0  
大屋典一 全委員 0  
杜山悠 全委員 0  
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員村上元三×各候補作  見方・注意点
いいものはいい 総行数63 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 14 「やはり今回は「雁の寺」に匹敵するほどの作品はなかった」「本命だとかなんとか前評判が高かったにもせよ、水上勉氏の受賞は妥当だったと信ずる。いいものは、いいのだから。」
松本孝 全委員 6 「何とも達者な作品で、三十歳にならぬ若さで、こういう作品が書けるのは将来が楽しめるようでもあり、スレ(原文傍点)てしまいはしないかと心配にもなる。」
井口朝生 全委員 8 「この作者の作品の中でも一ばんいいものであった。だが、大正十四年生まれという若さで、こう文章も構成も古くなってはつまらない。もっと冒険を望みたいし、それが充分に出来る作家だと思う。」
永岡慶之助 全委員 11 「材料を盛り込みすぎて、肝腎の主人公の性格と動きが、ストーリイに振り廻された形になってしまっている。しかし、この作者にはもっといろいろな注文をつけても、充分によいものが書けると思う。」
樹下太郎 全委員 4 「わたしは買わなかった。この人には、ほかによい作品がある。」
永井路子 全委員 6 「本名でサンデー毎日の懸賞小説に当選しているところから見ると、あまり進歩はないように思える。いまから固まってしまうのは、まだ早い。」
大屋典一 全委員 5 「新聞小説という制約があったにもせよ、ひどく達者になってしまい、文学から離れてしまっているのが不満であった。」
杜山悠 全委員 7 「既成作家だったら、おそらく敬遠したに違いない地味な材料を、よくここまで書き込んであるが、今から作品に向う態度まで地味になってしまってはいけない。」
  「全体的に見て、前回よりも優れた作品が集っていた。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
今日出海
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員今日出海×各候補作  見方・注意点
力のこもった作品 総行数54 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 21 「無器用でも、作者の書きたい意欲と迫力が溢れているものが、読者を打つようだ。その点、「雁の寺」は多作家らしい水上氏も一生に何度もこのような作品は書けまいと思われるほど力がこもった作品である。」
松本孝 全委員 0  
井口朝生 全委員 0  
永岡慶之助 全委員 11 「誠実ないい作品だと思った。恐らく読者が退屈するほどハッタリやコケおどかしがなく、(引用者中略)このような地味な小説は近頃では珍しい。」
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 0  
大屋典一 全委員 0  
杜山悠 全委員 0  
  「新人発掘に意義を見出す芥川賞直木賞の作品は、先ず読むに堪える文章と揺ぎのない筋や構成を備えていなければならぬのは当然としても、そこからはみ出した何ものかが加わらねば賞に値いする作品とはいい難い。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
大佛次郎
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員大佛次郎×各候補作  見方・注意点
技術の名品 総行数48 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 5 「すぐれていた。用意も周到で渾然として特殊の味のある作品になっている。」「技術の名品だ」
松本孝 全委員 7 「感心した。何よりも世界も人間も新奇で、私には面白かった。私のように狭い世界に閉じこもっている人間に、まだ書くことはいろいろあるな、と好い刺激を読後に残してくれたようである。」
井口朝生 全委員 8 「難しい題材をよくこなしたものと敬意を表したい。しかし、大衆文学の常道に逃げて楽をしている箇所も目についた。」
永岡慶之助 全委員 6 「誠実に努力した作品で、よく書き上げたものと感心した。ただ、読者の注意が分散して疲れる。軸となって貫くものが弱く成っているように思われる。」
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 5 「雑誌が出た時読んで、柔軟でふくらみのある文章に注目した。その内、いいものを書いてくれるひとに違いない。」
大屋典一 全委員 5 「ゆたかに書いてあるが、大衆文学として類型から抜け切れないでいるように思う。筆力たくましいが、常道過ぎて損なのである。」
杜山悠 全委員 15 「感心した。暗い話だが、よく截り込んで書いてあるし、ひょっとしてこれが日本で自然主義の時代に発表せられたものなら、どんなに人を驚かしたろうかとまで考えて見た。それと、この作品には、稀薄にしか大衆文学にないしっかりした立場がある。」「技術以外のものを持っている。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
今日出海
中山義秀
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員中山義秀×各候補作  見方・注意点
直木賞の花 総行数36 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 3  
松本孝 全委員 0  
井口朝生 全委員 0  
永岡慶之助 全委員 36 「「斗南藩子弟記」を推した、三委員中の一人として、一般読者にも私の考を知ってもらいたいと思う。」「「雁の寺」をはじめ巧緻な二、三の作品とくらべてぎこちなく、稚拙と感じられるほど野暮ったい。」「しかし、私はそれだからこそ、この作品を高く買っている。」「売文のために書かれたのではない処女性を、私は尊しとするのだ。」
樹下太郎 全委員 0  
永井路子 全委員 0  
大屋典一 全委員 0  
杜山悠 全委員 0  
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
松本清張
  ページの先頭へ

選考委員松本清張×各候補作  見方・注意点
最高の出来ばえ 総行数57 (1行=14字)
候補 評価 行数 評言
水上勉 全委員 33 「八篇の候補作のうち、水上勉氏の「雁の寺」が抜群で、ほとんど全員一致をみた。」「山中の禅寺の暗い雰囲気と、人間関係の陰湿なからみ合いとがよく溶け合っている。」「もとより、些少の瑕を指摘するのは容易だが、重量感がそれを圧している。ただ、小僧が和尚を殺す経過の裏の段になると、それまでの迫力が一挙に落ちてくるのは、いわゆる推理小説の持つ宿命的な欠陥であろう。」
松本孝 全委員 0  
井口朝生 全委員 0  
永岡慶之助 全委員 0  
樹下太郎 全委員 3 「好感を持った。」
永井路子 全委員 6 「好感を持った。」「光秀の娘婿になった筒井順慶の子に現代青年的なドライ性を与えたのを面白く読んだ。」
大屋典一 全委員 0  
杜山悠 全委員 21 「感心した。小藩の末端出先機関の小役人が生き生きと描かれている。」「農民の描写が類型的な暗さに終ったのは惜しい。」「派手な過剰描写の多い時代小説の中では、こういう作品がかえって稀少価値を持つようになった。」「(引用者注:「雁の寺」の他に)もう一作を新人から採る意味で、私は杜山氏を推した。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の選考委員
源氏鶏太
木々高太郎
川口松太郎
吉川英治
海音寺潮五郎
小島政二郎
村上元三
今日出海
大佛次郎
中山義秀
  ページの先頭へ


水上勉「雁の寺」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
源氏鶏太 全候補 5 「いいと思った。」
木々高太郎 全候補 16 「推理小説として楽しめると同時に、立派な文学作品で、これがずぬけてよく、選考には苦労はしなかった。」「この作者は何回も候補になったが、この前の長篇二作は、どうしても気に入らなかった。力作ではあるが、すっきりしてなかった。」「これからは長篇をかいても、きっとよいのが出来ると思う。」
川口松太郎 全候補 29 「これに出られては、他の作品がさぞ見劣りするだろうと思った予想は案に違わず、「雁の寺」と太刀打ち出来る作品はなかった。」「小島政二郎氏一人を除いては誰にも異存がなかった。」「既に人気作家であり、彼の受賞にはジャーナリスティックな興味も薄れ、「やっぱりそうか」というような落胆感もあったようだが、水上君自身にしてもこれだけの作品はそうザラに書けるものではない。」
吉川英治 全候補 8 「推薦理由を、それ(引用者注:欠席のため提出した文書)には極力といっていいほどかなり述べつくした。なにかここでまた書くのはひとつことを二度もくりかえすようで気がのらない。他氏の推薦の辞におまかせしておく。」
海音寺潮五郎 全候補 30 「今更という気もしないではなかったが、もらうものはもらっておいた方が将来いろいろと便利なものである。積極的にこの人を推した。」「恐らく作者は書き上げたあと、方々度々書きなおしたのではないかと思う。そのためか、流露感が乏しくなっている。念の入ったわりに小疵もある。世評ほどのものとは思わなかったが、この人の実力を買ったのである。」
小島政二郎 全候補 0  
村上元三 全候補 14 「やはり今回は「雁の寺」に匹敵するほどの作品はなかった」「本命だとかなんとか前評判が高かったにもせよ、水上勉氏の受賞は妥当だったと信ずる。いいものは、いいのだから。」
今日出海 全候補 21 「無器用でも、作者の書きたい意欲と迫力が溢れているものが、読者を打つようだ。その点、「雁の寺」は多作家らしい水上氏も一生に何度もこのような作品は書けまいと思われるほど力がこもった作品である。」
大佛次郎 全候補 5 「すぐれていた。用意も周到で渾然として特殊の味のある作品になっている。」「技術の名品だ」
中山義秀 全候補 3  
松本清張 全候補 33 「八篇の候補作のうち、水上勉氏の「雁の寺」が抜群で、ほとんど全員一致をみた。」「山中の禅寺の暗い雰囲気と、人間関係の陰湿なからみ合いとがよく溶け合っている。」「もとより、些少の瑕を指摘するのは容易だが、重量感がそれを圧している。ただ、小僧が和尚を殺す経過の裏の段になると、それまでの迫力が一挙に落ちてくるのは、いわゆる推理小説の持つ宿命的な欠陥であろう。」
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
松本孝 「夜の顔ぶれ」
井口朝生 『狼火と旗と』
永岡慶之助 『斗南藩子弟記』
樹下太郎 『銀と青銅の差』
永井路子 「青苔記」
大屋典一 『孤雁』
杜山悠 「お陣屋のある村」
  ページの先頭へ

松本孝「夜の顔ぶれ」×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
源氏鶏太 全候補 4 「どこかに志の低いところがあって、ユーモアが生きていないように思われた。」
木々高太郎 全候補 5 「あまりつくりごとが多いようであるが、主人公の一方に徹底した考え方は、つくりごとでなくて書けると思うが、どうか。」
川口松太郎 全候補 0  
吉川英治 全候補 6 「おもしろかった。諷刺のきいた風俗小説といえようか。このひとはなお良いものが書けそうだ。」
海音寺潮五郎 全候補 0  
小島政二郎 全候補 0  
村上元三 全候補 6 「何とも達者な作品で、三十歳にならぬ若さで、こういう作品が書けるのは将来が楽しめるようでもあり、スレ(原文傍点)てしまいはしないかと心配にもなる。」
今日出海 全候補 0  
大佛次郎 全候補 7 「感心した。何よりも世界も人間も新奇で、私には面白かった。私のように狭い世界に閉じこもっている人間に、まだ書くことはいろいろあるな、と好い刺激を読後に残してくれたようである。」
中山義秀 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
水上勉 「雁の寺」
井口朝生 『狼火と旗と』
永岡慶之助 『斗南藩子弟記』
樹下太郎 『銀と青銅の差』
永井路子 「青苔記」
大屋典一 『孤雁』
杜山悠 「お陣屋のある村」
  ページの先頭へ

井口朝生『狼火と旗と』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
源氏鶏太 全候補 6 「それほどの新風が感じられなかったが、よくまとまっていた。ただ、妙な女の登場が、却って、この作品のマイナスになっていたのではなかろうか。」
木々高太郎 全候補 18 「特徴の故に一等にし難い感じがした。」「(引用者注:その特徴とは)あまりに大衆読物的のもちはこび(引用者中略)である。」「ひと工夫あれば、ずっとよくなると思うので、編集部では執拗にとりあげて書かしてみたらどうであろうか。」
川口松太郎 全候補 0  
吉川英治 全候補 6 「作者の野心は大いにかわれるが、なお不熟といった感はたれにも持たれるのではないか。」
海音寺潮五郎 全候補 0  
小島政二郎 全候補 0  
村上元三 全候補 8 「この作者の作品の中でも一ばんいいものであった。だが、大正十四年生まれという若さで、こう文章も構成も古くなってはつまらない。もっと冒険を望みたいし、それが充分に出来る作家だと思う。」
今日出海 全候補 0  
大佛次郎 全候補 8 「難しい題材をよくこなしたものと敬意を表したい。しかし、大衆文学の常道に逃げて楽をしている箇所も目についた。」
中山義秀 全候補 0  
松本清張 全候補 0  
        - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他の候補作
水上勉 「雁の寺」
松本孝 「夜の顔ぶれ」
永岡慶之助 『斗南藩子弟記』
樹下太郎 『銀と青銅の差』
永井路子 「青苔記」
大屋典一 『孤雁』
杜山悠 「お陣屋のある村」
  ページの先頭へ

永岡慶之助『斗南藩子弟記』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
源氏鶏太 全候補 17 「いいと思った。」「水上氏の授賞がきまりかけたとき、他にもう一人、文壇に新風を吹き込む意味からも永岡氏を強く推した」「実に丹念に描いてあって、気持よかった。」
木々高太郎 全候補 17 「特徴の故に一等にし難い感じがした。」「(引用者注:その特徴とは)あまりに克明な地味なかき方。」「ひと工夫あれば、ずっとよくなると思うので、編集部では執拗にとりあげて書かしてみたらどうであろうか。」
川口松太郎 全候補 0  
吉川英治 全候補 13 「その労に充分な敬意を払ってあげたい」「まじめな執筆態度と労作であることはほんとにわかる。と察しられつつも読者をつかまえてひきずってゆく大事な文学力の刀尖がきいていない。」
海音寺潮五郎 全候補 18 「三分の一読んだところまでは正直感心した。沈痛美は東洋の文学美の一つであるが、近年日本の文学では見失われている。この作品にはそれがある。」「残る三分の二を読んで、ああおしいと感じた。明治初年史を全部一人の身に経験させようという構成が無理なのだ。」「しかし、この人の誠実真摯な態度は必ず玉成する。」
小島政二郎 全候補 43 「私は一番(引用者中略)感心した。この作品に私は最も多量に文学を感じた。」「大切な人物は、背景と共に皆よく書けている。」「さまざまの美点を持っていながら、作者が小説に必要な構成の美しさを忘れたために、この小説は行き当りばッたりに多四郎の出合った人物、場面に興味を注ぐという纏まりのない結果に終った。これでは余りに平面的である。」
村上元三 全候補 11 「材料を盛り込みすぎて、肝腎の主人公の性格と動きが、ストーリイに振り廻された形になってしまっている。しかし、この作者にはもっといろいろな注文をつけても、充分によいものが書けると思う。」
今日出海 全候補 11 「誠実ないい作品だと思った。恐らく読者が退屈するほどハッタリやコケおどかしがなく、(引用者中略)このような地味な小説は近頃では珍しい。」
大佛次郎 全候補 6 「誠実に努力した作品で、よく書き上げたものと感心した。ただ、読者の注意が分散して疲れる。軸となって貫くものが弱く成って