直木賞のすべて
直木賞のすべて

第131回

=受賞者=
奥田英朗
熊谷達也

=候補者=
伊坂幸太郎
北村 薫
田口ランディ
東野圭吾


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 平成16年/2004年上半期
 (平成16年/2004年7月15日決定発表/『オール讀物』平成16年/2004年9月号選評掲載)
選考委員  平岩弓枝 津本陽 田辺聖子 宮城谷昌光 阿刀田高 渡辺淳一 林真理子 北方謙三 五木寛之 井上ひさし
選評総行数  91 64 88 90 95 82 98 91 91 185
評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言 評言
候補作 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数 評価 行数
奥田英朗 『空中ブランコ』 評言 29 19 34 34 23 25 26 19 26 38
熊谷達也 『邂逅の森』 評言 27 21 34 46 27 16 30 11 19 39
伊坂幸太郎 『チルドレン』 評言 5 13 0 5 19 10 7 12 14 33
北村薫 『語り女たち』 評言 7 0 0 4 9 9 9 10 10 33
田口ランディ 『富士山』 評言 7 6 0 4 9 9 10 8 19 22
東野圭吾 『幻夜』 評言 16 5 20 8 8 13 16 22 19 20
                   
見方・注意点

このページの選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
1行当たりの文字数:13字


選考委員平岩弓枝×各候補作  見方・注意点
「空中ブランコ」が面白い 総行数91 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 29 「(引用者注:「イン・ザ・プール」が候補作のとき)どういうわけか票がまとまらず、受賞に至らなかったのを残念に思う気持がずっと尾を引いていた。」「作者が苦労なしにこの五篇を書いたとは考えていないが、よくも悪くも現代の最前線で脚光を浴びている人間をひっぱり出して伊良部先生の前へおいたのは作者の凄腕であり、しかも成功している。」
熊谷達也 全委員 27 「久しぶりに骨太の作品を読んだと思った」「取材がよく行き届いているし、行間から山や森の気配が感じられ、読み進むほどに作者の仕掛けた網の中にとりこまれてしまうのが快い。」「但し、ラストで重傷を負った主人公が熊に導かれて村へたどりつくのはリアルに考えると如何なものか。」
伊坂幸太郎 全委員 5 「面白い作品であった。人間描写もうまいし、発想に技がある。受賞作にしてもよい秀作と思った。」
北村薫 全委員 7 「好短篇が並んだが、一つ一つがあまりにも短かく、こうした選考の時は弱々しく感じられて不利であったのかも知れない。」
田口ランディ 全委員 7 「なにもかも富士山に帰趨させるのは一つの試みとして悪くはないが、今回は成功していない。強引な手法は才気が目立つ分だけマイナスになってしまった。」
東野圭吾 全委員 16 「主人公が何故、本当の自分を抹殺し、他人に化けて生きねばならなかったかという主人公の過去が殆んど書かれていない。その理由はこの作品がすでに作者が発表されているもう一つの作品の続篇の要素を強く持っているからで、ならば二作をまとめて候補にしなければ作品の評価は出来ないと思う。」
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他の選考委員
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選考委員津本陽×各候補作  見方・注意点
感覚を刺すもの 総行数64 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 19 「最初の表題作からおもしろかった。ひきこまれたといってよい。」「作品の要所にするどい針のような表現があって、それがこちらの感覚を刺してくる。」「ユーモラスな主人公を動かしてゆく愉快なともいえる作品であるのに、この切実感と迫力はどこから出てくるのだろうかと思った。受賞にふさわしい成功作である。」
熊谷達也 全委員 21 「一定の密度を保ちながら、最後まで一定の韻律を持続していた。」「何度もおなじ手法をかさねて読者をひきこんでゆく、骨格のしっかりした物語である。」「これも受賞作にしなければ惜しいと思ったので、いままでマルひとつしかつけなかったが、こんどはふたつにした。」
伊坂幸太郎 全委員 13 「はじめはそのよさが分らなくて、二度くりかえして読み、なぜ候補作になったかが理解できた。これは、あたらしい世代の読者をつかむ小説であるのだろう。作品全体がクロスワード・パズルか、テレビゲームのようにできあがっている。」「経験がなく、自信がなくても楽しめる世界をつくりだしている。」
北村薫 全委員 0  
田口ランディ 全委員 6 「観念がいささか先走っていて、あまり楽しませてくれない。」「熟した果実のような味わいが以前のように出てきていない。」
東野圭吾 全委員 5 「手馴れた作品で、終末まで大きな破綻はなく、おもしろく読んだ。しかし、軽い感じはどうしようもなく残る。」
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選考委員田辺聖子×各候補作  見方・注意点
巨きな存在感のある作品 総行数88 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 34 「決選投票では『邂逅の森』にほんの少し差がついたが、しかしこの作品も早い段階で高点を得、甲乙つけがたしということで二作受賞となった。」「ユーモア小説は、文体が緊まっていないと効力を失うが、その点、的確で硬質の、そっけない文体がまことに適切、ユーモアが際立ってよかった。」
熊谷達也 全委員 34 「すでに他の文学賞を受けられた作品ではあるが、読後の感動は強く、本作品を推すについて、私にためらいはなかった。巨きな存在感のある作品で、しかも〈力〉とともに〈情感〉も濃く、つややかだ。」「近来の収穫、というべき佳作。私はマタギの人々を実見したことはないが、その風貌が目に浮かぶようだった。」
伊坂幸太郎 全委員 0  
北村薫 全委員 0  
田口ランディ 全委員 0  
東野圭吾 全委員 20 「推理小説としての出だしは、快調。」「複雑な伏線、期待も昂まるのだが、ヒロインの印象がどんどん変ってゆき、最後に到って作品自体も変調する。読者は深い混乱のまま、うっちゃられる……という、印象だった。竜頭蛇尾……というべきか。しかし阪神大震災の事件が推理小説に取りあげられるのはいい。」
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選考委員宮城谷昌光×各候補作  見方・注意点
作品の佳さと巧さ 総行数90 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 34 「私のなかでは「イン・ザ・プール」も「マドンナ」も、奥田英朗氏の作品は、直木賞を受賞するにふさわしいものであったので、今回、「空中ブランコ」が候補作品として眼前にあらわれたとき、――まだ奥田氏は受賞していなかったのか。と、倦怠をともなったおどろきをおぼえた。」「(引用者注:「イン・ザ・プール」より)評価が漸進していたので、ほっとした。」
熊谷達也 全委員 46 「文体に遺漏がない。それに感心しつつ、さらに読みすすむと、その文体を絶賛するわけにはいかなくなった。」「ここにある通俗性がまったく新奇さをもっていないことが問題なのである。」「私は通俗性が悪いといっているわけではなく、構成力をそこなうような通俗性は、せっかくの文体さえ単なる話術にみせてしまう毒をもっているということである。」
伊坂幸太郎 全委員 5 「言及するゆとりがなくなった。」
北村薫 全委員 4 「言及するゆとりがなくなった。」
田口ランディ 全委員 4 「言及するゆとりがなくなった。」
東野圭吾 全委員 8 「いまだに心にひっかかっている」「氏は美点が欠点であるというむずかしいところに立っているような気がしてならない。」
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選考委員阿刀田高×各候補作  見方・注意点
オーソドックスを推す 総行数95 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 23 「たまらなくおかしい短編連作集だ。と同時にユーモア小説を書くむつかしさが随所に見え隠れしている。」「(引用者注:「空中ブランコ」と「女流作家」は)笑いながらも人生を響きあうところがあって優れていると思ったが、ほかの委員からは「そういう小賢しさはむしろうるさい」という指摘もあり、つくづく、――笑いの文学は厄介だな――と考えた。」
熊谷達也 全委員 27 「力わざである。骨太の作品である。」「なによりも、――これを書くのだ。――という気迫がこころよい。」「ただ、オーソドックスな手法を採っているため、筋の運びも人物の造形もパターンを踏襲している気配、なきにしもあらず。そのあたりに唯一の難点があり、望蜀の思いを抱いた。」
伊坂幸太郎 全委員 19 「作品の背後に作者の企みがいろいろと隠されているのだろうと思いながらも、その企みがよくわからなかったし、企みを楽しむことができなかった。」「いくつか納得のいかないところがあって、この作家のみずみずしい才知を感じながらも強くは推せなかった。」
北村薫 全委員 9 「ミステリアスな小説に造詣の深い作者がこれに挑戦した意欲は充分に理解できるし、心から拍手を贈りたい。」「妖しさを創りきれなかったうらみがある。」
田口ランディ 全委員 9 「癒しとしての富士山はすてきなアイデアであり、作者の論述はよくわかるのだが、理屈を越えてストンと富士山のすばらしさへ飛躍するところが、一読者としてむつかしかった。」
東野圭吾 全委員 8 「手だれの傑作であることはまちがいないのだが、社会派のミステリーとして私には響くものが少なかった。この作家の力量が遺憾なく発揮されている作品を待ちたい。」
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選考委員渡辺淳一×各候補作  見方・注意点
感想 総行数82 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 25 「前作のドタバタ的なくさい部分が抜けて、内容も多彩になり、安心して読めた。」「欲をいえば、名探偵をもってしても解決しないような病気が登場すると、さらに小説の深味がでただろう。」
熊谷達也 全委員 16 「マタギの富治の生き方をまっとうに、一途に書いて、この作品にかけた作者の気迫が伝わってくる。」「ただ内容的には、従来のマタギ小説の域を出ず、ストーリーや人物もややパターン化していて、物足りなさが残る。」
伊坂幸太郎 全委員 10 「とらえどころのない現代や人間への切り込みもユニークで、構想や比喩もそれなりに鋭く、才気という点では一番だろう。ただ惜しむらくは、せっかくの才気が散逸したまま、いま一つ集約しないところ」
北村薫 全委員 9 「構想自体はお洒落だが、全体としてイメージが結実せず、一人よがりなものになってしまった。」
田口ランディ 全委員 9 「人間のややうしろ向きの部分を書いて新鮮で面白いが、すべてが成功しているわけではない。とくに連作にこだわり、富士山に結びつけようとしたところがやや安易で、底の浅いものにしてしまった」
東野圭吾 全委員 13 「それなりに巧みに過不足なく書けているが、全体に甘いというか書き流しの感じがある。前作も同様の点が気になったが、単に、小説を書くだけならともかく、受賞作となるようなものには、作者のなんとしても書きたかった気迫というか、熱気が必要である。」
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選考委員林真理子×各候補作  見方・注意点
ユーモアの才能 総行数98 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 26 「この方のユーモアの才能というのは全くすごい。一見無造作なようでいて、緻密な計算がなされている。」「女性作家の自意識過剰さは、私自身の姿を見ているようだ。むっとする場面もあったが、やはりおかしくてたまらない。」「作者の力量にひたすら感心するばかりだ。」
熊谷達也 全委員 30 「最初とまどった。時間が逆戻りしたような古めかしさを持っている。」「活字を追うにつれ強引に物語の世界に連れ込まれた。」「洗練された初恋の女性の描き方は感心しないが、遊女上がりの女房が魅力的だ。この小説は、素朴な人間ほどリアリティがある。」
伊坂幸太郎 全委員 7 「今回の作品はあまり感心しない。伊坂さんがよく用いる時空の自由な飛び方が今回は裏目に出た。読者を混乱させてしまうばかりで、何の効果も生じないのだ。」
北村薫 全委員 9 「あまりにもあっけないという印象で、氏の才能を見ることが出来なかった。」「北村氏本来のものとは少々ずれているような気がしてならない。」
田口ランディ 全委員 10 「現代人の持つ心の闇を書かせたら、もはや第一人者であろう。」「今回はわかりやすくなった分、単調に平凡にまとまった感がする。すべて「富士山」に帰結しようとしたのに無理があった。」
東野圭吾 全委員 16 「ミステリーとして読むと納得出来ないことが多過ぎる。」「整形手術をして顔を変えたのがわかったぐらいで、人を殺すだろうか。」「シリーズのひとつということで不自然さが先に立つ。」
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選考委員北方謙三×各候補作  見方・注意点
物語の力 総行数91 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 19 「絶品である。前作と較べて、精神科医が名医に成長していて、荒唐無稽の中から顔を出す、微妙な暗黒性に欠けると思った。この医師の成長が、常識性のリアリズムへの後退というふうにも私には読めて、そこが第一に推すのをためらう要因になった。」「私が第二に評価していた『空中ブランコ』が賞に入ってくることには、異議はなく、むしろ歓迎であった。」
熊谷達也 全委員 11 「骨太だが無器用で、新しさなどはどこにもない。それでも、心を打つ物語の力があった。欠点も未熟も散見するが、私は第一にこの作品を推した。物語の力こそが、いま小説に求められているものだ、と思ったからだ。」
伊坂幸太郎 全委員 12 「盲目の探偵役が魅力的だった。」「ただ、作品集全体を見ると、伝えたいものが伝わっているのだろうかと思った。タイムテーブルが二つに分けられている必然性と、その配列の意図が、私には読み解けなかった。」
北村薫 全委員 10 「練達の技である。しかしその技がどこかで邪魔をし、行間からたちのぼってくるものを、抑え気味にしてしまったような気もした。」「上品さが、賞の選考では強い評価要素にならないのが、気の毒であった。」
田口ランディ 全委員 8 「すべてを富士山に収斂させることで、平板になったのではないだろうか。小説性は高まっているが、発信するものが曖昧なのである。」
東野圭吾 全委員 22 「悪女が、今回はどうも透けて見えた。」「作家として、読者にたえず面白い物語を提供する、というのも、立派な志なのではないか。そういう視点から見れば、この人の実績は群を抜いている。今回は推さなかったが、そういう志をどう評価していくかも、この賞の選考の任にあたる上で、考えなければならないことだと思った。」
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選考委員五木寛之×各候補作  見方・注意点
緊張をはらんだ受賞 総行数91 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 26 「受賞の結果に異存はない。」「文句なしにおもしろい連作である。」「問題は人間の内面世界は、もっと奇怪で難解なものではないか、と、ふと感じさせられる点だ。」
熊谷達也 全委員 19 「受賞の結果に異存はない。」「良くも悪くも時空をずらせた(原文傍点)古風さが魅力となっている。」「粘りづよい描写力に圧倒されるような気がした。」
伊坂幸太郎 全委員 14 「二十一世紀の『罪と罰』は、たぶんこんなふうにしか書けないのではないか。しかし、まだその試みは未完成のままのようである。」「なぜ犯罪をおこすのか、ではなく、その罪とどう向きあうかのほうが大問題だ。『チルドレン』のつきつけた主題は、まさに現代小説の重いテーマだろう。」
北村薫 全委員 10 「私個人はひそかに心惹かれるところがあった。しかし、直木賞という評価の場においてみると、いかにも違和感がつよい。」「選考の枠からはみだす作品のような気がした。」
田口ランディ 全委員 19 「私は田口ランディさんの『富士山』を推した」「世間の人びとが知っていて知らぬふりをしている問題を、きちんとふまえた小説だと思う。」「これまでの小説の文法をすてて、新しい小説世界を夢みているかのような作風に、ある共感をおぼえずにはいられなかった。」
東野圭吾 全委員 19 「周到な構成力といい、緻密な描写力といい、小説家としての膂力は、なみなみならぬものがあると思った。」「作中の人物を巧みにさばいてみせる安定感が、ひょっとしたら慣れた技巧に傾いていく印象をあたえるのかもしれない。」「最後までぐいぐい引っぱられて読み終えた唯一の長篇だっただけに、読後感が意外に淡かったのは残念だった。」
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選考委員井上ひさし×各候補作  見方・注意点
秀作と快作 総行数185 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 全委員 38 「物語構造そのものがすばらしい発明であるが、今回、作者はこの構造に絢爛たる笑いの花を満開に咲かせた。とりわけ、「ハリネズミ」と「義父のヅラ」には、さんざん笑ったあとに人生の真実にふれたような感動をおぼえ、前作同様に強く推した。」
熊谷達也 全委員 39 「狩りを生涯の仕事にした一人の男の人生を、揺るぎのない筆致で堂々と書き切った秀作である。」「とりわけ感服したのは、主人公が山の主であるコブグマに向かっていう次のような言葉である。〈俺はおめえの仲間をさんざん殺めてきたからの。かまわねえがら俺を喰え。俺を喰って力ばつけて生きながらえろ。(引用者中略)〉この視点を持つことによって、本作は二十一世紀の小説になった。」
伊坂幸太郎 全委員 33 「(引用者注:陣内くんは)知的でスマート、なかなかの思想性、面白い人物造型である。しかし、各篇とも勝ち味の遅い展開ぶりで、話に隙と穴が多く、なによりも作者と登場人物との関係があまりにも淡すぎて、なにか他人事のように書かれているところが気になった。」
北村薫 全委員 33 「冒頭には、約千三百字の、精緻で美しい文章で綴られた、物語の枠組が置かれている。」「残念ながら、この魅力的な枠組は生かされることなく終わる。」「男が聞きたかったのは(枠組からするならば)実人生の最中にふと生まれる人間の真実のようなものだったのではないか。」
田口ランディ 全委員 22 「評者は買った。」「主題展開の軸を「富士山」に据えたのは、めざましい工夫だった。中でも「樹海」は、三人の少年の冒険を語りながら、森の夜のおそろしさを新鮮な文章で書き切っていて、胸おどる読書体験だった。」
東野圭吾 全委員 20 「それこそ寝食を忘れて読んだ。」「けれども、寝食を忘れたのは半ばまで。あるところまで登りつめたとき、女は、突然、作者の奴隷になってしまう。」「そしてそのとき、それまでの迫真の人間劇がその厚みを失って行った。」
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奥田英朗『空中ブランコ』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 全候補 29 「(引用者注:「イン・ザ・プール」が候補作のとき)どういうわけか票がまとまらず、受賞に至らなかったのを残念に思う気持がずっと尾を引いていた。」「作者が苦労なしにこの五篇を書いたとは考えていないが、よくも悪くも現代の最前線で脚光を浴びている人間をひっぱり出して伊良部先生の前へおいたのは作者の凄腕であり、しかも成功している。」
津本陽 全候補 19 「最初の表題作からおもしろかった。ひきこまれたといってよい。」「作品の要所にするどい針のような表現があって、それがこちらの感覚を刺してくる。」「ユーモラスな主人公を動かしてゆく愉快なともいえる作品であるのに、この切実感と迫力はどこから出てくるのだろうかと思った。受賞にふさわしい成功作である。」
田辺聖子 全候補 34 「決選投票では『邂逅の森』にほんの少し差がついたが、しかしこの作品も早い段階で高点を得、甲乙つけがたしということで二作受賞となった。」「ユーモア小説は、文体が緊まっていないと効力を失うが、その点、的確で硬質の、そっけない文体がまことに適切、ユーモアが際立ってよかった。」
宮城谷昌光 全候補 34 「私のなかでは「イン・ザ・プール」も「マドンナ」も、奥田英朗氏の作品は、直木賞を受賞するにふさわしいものであったので、今回、「空中ブランコ」が候補作品として眼前にあらわれたとき、――まだ奥田氏は受賞していなかったのか。と、倦怠をともなったおどろきをおぼえた。」「(引用者注:「イン・ザ・プール」より)評価が漸進していたので、ほっとした。」
阿刀田高 全候補 23 「たまらなくおかしい短編連作集だ。と同時にユーモア小説を書くむつかしさが随所に見え隠れしている。」「(引用者注:「空中ブランコ」と「女流作家」は)笑いながらも人生を響きあうところがあって優れていると思ったが、ほかの委員からは「そういう小賢しさはむしろうるさい」という指摘もあり、つくづく、――笑いの文学は厄介だな――と考えた。」
渡辺淳一 全候補 25 「前作のドタバタ的なくさい部分が抜けて、内容も多彩になり、安心して読めた。」「欲をいえば、名探偵をもってしても解決しないような病気が登場すると、さらに小説の深味がでただろう。」
林真理子 全候補 26 「この方のユーモアの才能というのは全くすごい。一見無造作なようでいて、緻密な計算がなされている。」「女性作家の自意識過剰さは、私自身の姿を見ているようだ。むっとする場面もあったが、やはりおかしくてたまらない。」「作者の力量にひたすら感心するばかりだ。」
北方謙三 全候補 19 「絶品である。前作と較べて、精神科医が名医に成長していて、荒唐無稽の中から顔を出す、微妙な暗黒性に欠けると思った。この医師の成長が、常識性のリアリズムへの後退というふうにも私には読めて、そこが第一に推すのをためらう要因になった。」「私が第二に評価していた『空中ブランコ』が賞に入ってくることには、異議はなく、むしろ歓迎であった。」
五木寛之 全候補 26 「受賞の結果に異存はない。」「文句なしにおもしろい連作である。」「問題は人間の内面世界は、もっと奇怪で難解なものではないか、と、ふと感じさせられる点だ。」
井上ひさし 全候補 38 「物語構造そのものがすばらしい発明であるが、今回、作者はこの構造に絢爛たる笑いの花を満開に咲かせた。とりわけ、「ハリネズミ」と「義父のヅラ」には、さんざん笑ったあとに人生の真実にふれたような感動をおぼえ、前作同様に強く推した。」
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他の候補作
熊谷達也 『邂逅の森』
伊坂幸太郎 『チルドレン』
北村薫 『語り女たち』
田口ランディ 『富士山』
東野圭吾 『幻夜』
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熊谷達也『邂逅の森』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 全候補 27 「久しぶりに骨太の作品を読んだと思った」「取材がよく行き届いているし、行間から山や森の気配が感じられ、読み進むほどに作者の仕掛けた網の中にとりこまれてしまうのが快い。」「但し、ラストで重傷を負った主人公が熊に導かれて村へたどりつくのはリアルに考えると如何なものか。」
津本陽 全候補 21 「一定の密度を保ちながら、最後まで一定の韻律を持続していた。」「何度もおなじ手法をかさねて読者をひきこんでゆく、骨格のしっかりした物語である。」「これも受賞作にしなければ惜しいと思ったので、いままでマルひとつしかつけなかったが、こんどはふたつにした。」
田辺聖子 全候補 34 「すでに他の文学賞を受けられた作品ではあるが、読後の感動は強く、本作品を推すについて、私にためらいはなかった。巨きな存在感のある作品で、しかも〈力〉とともに〈情感〉も濃く、つややかだ。」「近来の収穫、というべき佳作。私はマタギの人々を実見したことはないが、その風貌が目に浮かぶようだった。」
宮城谷昌光 全候補 46 「文体に遺漏がない。それに感心しつつ、さらに読みすすむと、その文体を絶賛するわけにはいかなくなった。」「ここにある通俗性がまったく新奇さをもっていないことが問題なのである。」「私は通俗性が悪いといっているわけではなく、構成力をそこなうような通俗性は、せっかくの文体さえ単なる話術にみせてしまう毒をもっているということである。」
阿刀田高 全候補 27 「力わざである。骨太の作品である。」「なによりも、――これを書くのだ。――という気迫がこころよい。」「ただ、オーソドックスな手法を採っているため、筋の運びも人物の造形もパターンを踏襲している気配、なきにしもあらず。そのあたりに唯一の難点があり、望蜀の思いを抱いた。」
渡辺淳一 全候補 16 「マタギの富治の生き方をまっとうに、一途に書いて、この作品にかけた作者の気迫が伝わってくる。」「ただ内容的には、従来のマタギ小説の域を出ず、ストーリーや人物もややパターン化していて、物足りなさが残る。」
林真理子 全候補 30 「最初とまどった。時間が逆戻りしたような古めかしさを持っている。」「活字を追うにつれ強引に物語の世界に連れ込まれた。」「洗練された初恋の女性の描き方は感心しないが、遊女上がりの女房が魅力的だ。この小説は、素朴な人間ほどリアリティがある。」
北方謙三 全候補 11 「骨太だが無器用で、新しさなどはどこにもない。それでも、心を打つ物語の力があった。欠点も未熟も散見するが、私は第一にこの作品を推した。物語の力こそが、いま小説に求められているものだ、と思ったからだ。」
五木寛之 全候補 19 「受賞の結果に異存はない。」「良くも悪くも時空をずらせた(原文傍点)古風さが魅力となっている。」「粘りづよい描写力に圧倒されるような気がした。」
井上ひさし 全候補 39 「狩りを生涯の仕事にした一人の男の人生を、揺るぎのない筆致で堂々と書き切った秀作である。」「とりわけ感服したのは、主人公が山の主であるコブグマに向かっていう次のような言葉である。〈俺はおめえの仲間をさんざん殺めてきたからの。かまわねえがら俺を喰え。俺を喰って力ばつけて生きながらえろ。(引用者中略)〉この視点を持つことによって、本作は二十一世紀の小説になった。」
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他の候補作
奥田英朗 『空中ブランコ』
伊坂幸太郎 『チルドレン』
北村薫 『語り女たち』
田口ランディ 『富士山』
東野圭吾 『幻夜』
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伊坂幸太郎『チルドレン』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 全候補 5 「面白い作品であった。人間描写もうまいし、発想に技がある。受賞作にしてもよい秀作と思った。」
津本陽 全候補 13 「はじめはそのよさが分らなくて、二度くりかえして読み、なぜ候補作になったかが理解できた。これは、あたらしい世代の読者をつかむ小説であるのだろう。作品全体がクロスワード・パズルか、テレビゲームのようにできあがっている。」「経験がなく、自信がなくても楽しめる世界をつくりだしている。」
田辺聖子 全候補 0  
宮城谷昌光 全候補 5 「言及するゆとりがなくなった。」
阿刀田高 全候補 19 「作品の背後に作者の企みがいろいろと隠されているのだろうと思いながらも、その企みがよくわからなかったし、企みを楽しむことができなかった。」「いくつか納得のいかないところがあって、この作家のみずみずしい才知を感じながらも強くは推せなかった。」
渡辺淳一 全候補 10 「とらえどころのない現代や人間への切り込みもユニークで、構想や比喩もそれなりに鋭く、才気という点では一番だろう。ただ惜しむらくは、せっかくの才気が散逸したまま、いま一つ集約しないところ」
林真理子 全候補 7 「今回の作品はあまり感心しない。伊坂さんがよく用いる時空の自由な飛び方が今回は裏目に出た。読者を混乱させてしまうばかりで、何の効果も生じないのだ。」
北方謙三 全候補 12 「盲目の探偵役が魅力的だった。」「ただ、作品集全体を見ると、伝えたいものが伝わっているのだろうかと思った。タイムテーブルが二つに分けられている必然性と、その配列の意図が、私には読み解けなかった。」
五木寛之 全候補 14 「二十一世紀の『罪と罰』は、たぶんこんなふうにしか書けないのではないか。しかし、まだその試みは未完成のままのようである。」「なぜ犯罪をおこすのか、ではなく、その罪とどう向きあうかのほうが大問題だ。『チルドレン』のつきつけた主題は、まさに現代小説の重いテーマだろう。」
井上ひさし 全候補 33 「(引用者注:陣内くんは)知的でスマート、なかなかの思想性、面白い人物造型である。しかし、各篇とも勝ち味の遅い展開ぶりで、話に隙と穴が多く、なによりも作者と登場人物との関係があまりにも淡すぎて、なにか他人事のように書かれているところが気になった。」
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他の候補作
奥田英朗 『空中ブランコ』
熊谷達也 『邂逅の森』
北村薫 『語り女たち』
田口ランディ 『富士山』
東野圭吾 『幻夜』
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北村薫『語り女たち』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 全候補 7 「好短篇が並んだが、一つ一つがあまりにも短かく、こうした選考の時は弱々しく感じられて不利であったのかも知れない。」
津本陽 全候補 0  
田辺聖子 全候補 0  
宮城谷昌光 全候補 4 「言及するゆとりがなくなった。」
阿刀田高 全候補 9 「ミステリアスな小説に造詣の深い作者がこれに挑戦した意欲は充分に理解できるし、心から拍手を贈りたい。」「妖しさを創りきれなかったうらみがある。」
渡辺淳一 全候補 9 「構想自体はお洒落だが、全体としてイメージが結実せず、一人よがりなものになってしまった。」
林真理子 全候補 9 「あまりにもあっけないという印象で、氏の才能を見ることが出来なかった。」「北村氏本来のものとは少々ずれているような気がしてならない。」
北方謙三 全候補 10 「練達の技である。しかしその技がどこかで邪魔をし、行間からたちのぼってくるものを、抑え気味にしてしまったような気もした。」「上品さが、賞の選考では強い評価要素にならないのが、気の毒であった。」
五木寛之 全候補 10 「私個人はひそかに心惹かれるところがあった。しかし、直木賞という評価の場においてみると、いかにも違和感がつよい。」「選考の枠からはみだす作品のような気がした。」
井上ひさし 全候補 33 「冒頭には、約千三百字の、精緻で美しい文章で綴られた、物語の枠組が置かれている。」「残念ながら、この魅力的な枠組は生かされることなく終わる。」「男が聞きたかったのは(枠組からするならば)実人生の最中にふと生まれる人間の真実のようなものだったのではないか。」
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他の候補作
奥田英朗 『空中ブランコ』
熊谷達也 『邂逅の森』
伊坂幸太郎 『チルドレン』
田口ランディ 『富士山』
東野圭吾 『幻夜』
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田口ランディ『富士山』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 全候補 7 「なにもかも富士山に帰趨させるのは一つの試みとして悪くはないが、今回は成功していない。強引な手法は才気が目立つ分だけマイナスになってしまった。」
津本陽 全候補 6 「観念がいささか先走っていて、あまり楽しませてくれない。」「熟した果実のような味わいが以前のように出てきていない。」
田辺聖子 全候補 0  
宮城谷昌光 全候補 4 「言及するゆとりがなくなった。」
阿刀田高 全候補 9 「癒しとしての富士山はすてきなアイデアであり、作者の論述はよくわかるのだが、理屈を越えてストンと富士山のすばらしさへ飛躍するところが、一読者としてむつかしかった。」
渡辺淳一 全候補 9 「人間のややうしろ向きの部分を書いて新鮮で面白いが、すべてが成功しているわけではない。とくに連作にこだわり、富士山に結びつけようとしたところがやや安易で、底の浅いものにしてしまった」
林真理子 全候補 10 「現代人の持つ心の闇を書かせたら、もはや第一人者であろう。」「今回はわかりやすくなった分、単調に平凡にまとまった感がする。すべて「富士山」に帰結しようとしたのに無理があった。」
北方謙三 全候補 8 「すべてを富士山に収斂させることで、平板になったのではないだろうか。小説性は高まっているが、発信するものが曖昧なのである。」
五木寛之 全候補 19 「私は田口ランディさんの『富士山』を推した」「世間の人びとが知っていて知らぬふりをしている問題を、きちんとふまえた小説だと思う。」「これまでの小説の文法をすてて、新しい小説世界を夢みているかのような作風に、ある共感をおぼえずにはいられなかった。」
井上ひさし 全候補 22 「評者は買った。」「主題展開の軸を「富士山」に据えたのは、めざましい工夫だった。中でも「樹海」は、三人の少年の冒険を語りながら、森の夜のおそろしさを新鮮な文章で書き切っていて、胸おどる読書体験だった。」
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他の候補作
奥田英朗 『空中ブランコ』
熊谷達也 『邂逅の森』
伊坂幸太郎 『チルドレン』
北村薫 『語り女たち』
東野圭吾 『幻夜』
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東野圭吾『幻夜』×各選考委員  見方・注意点
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 全候補 16 「主人公が何故、本当の自分を抹殺し、他人に化けて生きねばならなかったかという主人公の過去が殆んど書かれていない。その理由はこの作品がすでに作者が発表されているもう一つの作品の続篇の要素を強く持っているからで、ならば二作をまとめて候補にしなければ作品の評価は出来ないと思う。」
津本陽 全候補 5 「手馴れた作品で、終末まで大きな破綻はなく、おもしろく読んだ。しかし、軽い感じはどうしようもなく残る。」
田辺聖子 全候補 20 「推理小説としての出だしは、快調。」「複雑な伏線、期待も昂まるのだが、ヒロインの印象がどんどん変ってゆき、最後に到って作品自体も変調する。読者は深い混乱のまま、うっちゃられる……という、印象だった。竜頭蛇尾……というべきか。しかし阪神大震災の事件が推理小説に取りあげられるのはいい。」
宮城谷昌光 全候補 8 「いまだに心にひっかかっている」「氏は美点が欠点であるというむずかしいところに立っているような気がしてならない。」
阿刀田高 全候補 8 「手だれの傑作であることはまちがいないのだが、社会派のミステリーとして私には響くものが少なかった。この作家の力量が遺憾なく発揮されている作品を待ちたい。」
渡辺淳一 全候補 13 「それなりに巧みに過不足なく書けているが、全体に甘いというか書き流しの感じがある。前作も同様の点が気になったが、単に、小説を書くだけならともかく、受賞作となるようなものには、作者のなんとしても書きたかった気迫というか、熱気が必要である。」
林真理子 全候補 16 「ミステリーとして読むと納得出来ないことが多過ぎる。」「整形手術をして顔を変えたのがわかったぐらいで、人を殺すだろうか。」「シリーズのひとつということで不自然さが先に立つ。」
北方謙三 全候補 22 「悪女が、今回はどうも透けて見えた。」「作家として、読者にたえず面白い物語を提供する、というのも、立派な志なのではないか。そういう視点から見れば、この人の実績は群を抜いている。今回は推さなかったが、そういう志をどう評価していくかも、この賞の選考の任にあたる上で、考えなければならないことだと思った。」
五木寛之 全候補 19 「周到な構成力といい、緻密な描写力といい、小説家としての膂力は、なみなみならぬものがあると思った。」「作中の人物を巧みにさばいてみせる安定感が、ひょっとしたら慣れた技巧に傾いていく印象をあたえるのかもしれない。」「最後までぐいぐい引っぱられて読み終えた唯一の長篇だっただけに、読後感が意外に淡かったのは残念だった。」
井上ひさし 全候補 20 「それこそ寝食を忘れて読んだ。」「けれども、寝食を忘れたのは半ばまで。あるところまで登りつめたとき、女は、突然、作者の奴隷になってしまう。」「そしてそのとき、それまでの迫真の人間劇がその厚みを失って行った。」
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他の候補作
奥田英朗 『空中ブランコ』
熊谷達也 『邂逅の森』
伊坂幸太郎 『チルドレン』
北村薫 『語り女たち』
田口ランディ 『富士山』
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