直木賞のすべて
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Last Update[H20]2008/2/22

宮城谷昌光
Miyagidani Masamitsu
生没年月日【注】 昭和20年/1945年2月4日〜
在任期間 第123回〜(通算8年・16回)
在任年齢 55歳4ヶ月〜
経歴 本名=宮城谷誠一。愛知県生まれ。早稲田大学文学部卒。師に立原正秋がいる。
受賞歴 第10回新田次郎文学賞(平成3年/1991年)『天空の舟 小説・伊尹伝』
第44回芸術選奨文部大臣賞(平成5年/1993年度)『重耳』
第49回中日文化賞(平成8年/1996年)
第3回司馬遼太郎賞(平成12年/2000年)
第35回吉川英治文学賞(平成13年/2001年)『子産』
個人全集 『宮城谷昌光全集』全21巻(平成14年/2002年11月〜平成16年/2004年7月・文藝春秋刊)
直木賞候補歴 第104回候補 『天空の舟――小説・伊尹伝』(上)(下)(平成2年/1990年7月・海越出版社刊)
第105回受賞 『夏姫春秋』(上)(下)(平成3年/1991年4月・海越出版社刊)
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第4回)
直木賞受賞作全作読破への道Part2
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 意欲とこころみ 総行数111 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
金城一紀 24 「小説を書くという作業にあらたな課題をあたえ、何かを越えようとするこころみが感じられた」「すぐれた作家のみがかならずもっている憎悪が底辺にめだたないようにあり、この憎悪の管理が疎漏なくなされているがゆえに、人間の愛ややさしさが小説世界のすみずみにしみわたってゆくのである。」
宇江佐真理 33 「小説を書くという作業にあらたな課題をあたえ、何かを越えようとするこころみが感じられた」「おもしろい小説を書きたい、という初志を喪っていないように感じられた。その時代における認識の甘さや語法の不備など、問題点はすくなくないが、私には初志を遵守してゆく姿が美しければ、それだけで打たれる。」
真保裕一 28 「小説を書くという作業にあらたな課題をあたえ、何かを越えようとするこころみが感じられた」「作為の跡が消されておらず、人間関係もぎごちないが、この作家の精神の中枢にはたぶん変化と成長があり、自身を甘やかさない厳しさがあるとみて、好感を懐いた。」
船戸与一 20 「作品にある内的方向性の用いかたを私は学ばせてもらったような気がしている。」「氏が置いてゆくことばが象を描くのが早すぎはしないか。両者の距離が短すぎると色あいを内含するゆとりをもたず、さらに語がおなじ方向をむいてしまっているので、単調さを産んでしまう。」
  「この賞が功労賞ではなく新人賞であり、この賞の受賞がその作家にとって飛躍のための翼やスプリングボードになってくれればよく、そのための選考である、と自分にいいきかせて候補作品を読んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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直木賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 可視と不可視 総行数103 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
山本文緒 15 「氏の文章はまことに読みやすいが、やはり映像先行型であり、ことばを隷属化している。自己への徹底的な問いかけが不足しているせいではあるまいか。氏が沈黙することばに気づいたら、どれほどすばらしい作品を産むであろうか。」
重松清 15 「ふと気づいたことは、時間的に遠い出来事を語ると清涼感がおのずと生じている、ということである。氏の小説空間におかれている人と物との距離が短すぎて息苦しい。その点「母帰る」は従来のものとはちがった気のながれがあって、ほっとさせられた。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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直木賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 悟性の活用 総行数114 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤田宜永 114 「悟性によって決定された語句は、作品自体がもっている原理を超越するという特徴をもち、藤田氏の作品のみがそれを有し、他の作品は自身の原理にとどまっている。つまりそれは藤田氏のみが、作家としてではない生活をもおろそかにせず、周辺を凝視し観察してきたということである。」「藤田氏はちかごろの作家にしてはめずらしく風景描写をする。(引用者中略)風景にさわった手をひきもどす力が弱いようである。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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直木賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 軽みについて 総行数100 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
黒川博行 12 「小説家としての努力の痕跡があり、その賢明さに感心させられた。作品は賞に手がとどいていたと私は感じたが、その手は賞をつかむことができなかった。が、握力の差をあまり深く考えないほうがよい。」
山本一力 20 「山本一力氏には、内なる力があり、その力がおのずと求めた小説様式が、素直に展開されたことで、読むほうも素直になれたという事実がある。私は氏の作品を読みすすむにつれて、良い人情噺が書ける作者があらわれたな、という実感を強くした。作品が人の胸を打つということは、そこに真実がある、ということにほかならない。」
唯川恵 19 「謬舛の多い私の読解の目には、その軽みに文学的な非凡さや時代的な個性が映らなかった。すなわち受賞作品は氏の最大限の表現に到達したものであったのか、疑問が残る。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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直木賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 意欲と表現 総行数110 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 30 「まえの候補作品の『邪魔』には隠微な笑いがあった。が、今回は笑いが顕現した。」「それは氏のなかにバランスのよい客観性が生じたからであろうと推察している。克己があったのではないか。ゆえに、氏は読者に一歩も二歩も近づいたのであり、小説の愉しさが幅をひろげたのである。」「これほどの才能が受賞という光を浴びなかったのは、解せず、私は廓如とした気分になった。」
乙川優三郎 19 「用心深い作品であるように感じられた。」「その作品(引用者注:「蔓の端々」)からこの作品まで、氏は何かをつらぬいてきたのであり、その努力と研鑽は私の想像のおよばぬものであろう。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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直木賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 虚構の振幅 総行数98 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 13 「こういう平凡なテーマを、こういう気どらない筆致で書いたのは、作者がいかに挑戦的であったかということである。虚構の振幅のほどのよさは、絶妙とさえいえる。読者はそれにおどろかねばならぬ。それにもかかわらずこの作品に賞という冠が置かれなかった事実をどう解したらよいのか。」
  「すべての候補作品を読み終えたあと、まだ一、二の作品を読んでいないような、ものたりなさをおぼえたのであるが、それはおそらくどの作品も読む側の感覚を刺激する圭角をもっていなかったことによるのではないかとおもっている。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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直木賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 ことばと物 総行数101 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
真保裕一 36 「創作の基盤に感動がすえられていたのが真保裕一氏の「繋がれた明日」であることは瞭然としている。」「むろん小説の良否は修辞に大きくかかわり、主題の堅牢さは修辞のまずさによって湮没させられてしまう。しかし真保氏の創作の姿勢と手順は正しい。ところどころ虚構の素肌が露呈しているが、そんなことを嗤われても、まったく気にする必要はない。この小説には真実があると私はみた。」
石田衣良 43 「その実績が認められ(引用者中略)ての受賞である、と私は理解した。」「過去の候補作品の上にこの作品が積まれて峻竦した観がある。この作家にはもともと純気があり、風俗を描いてもけがれるおそれのない人ではあるが、それだけに淡白さがあることに私は不満をおぼえていた。この作品からは淡白さを感じず、都会の情緒を感じた。」
村山由佳 17 「その成長が賛嘆されての受賞である、と私は理解した。」「それは多くの選考委員が村山氏の旧作を丹念に読んでいる証左であり、それは村山氏の幸運でもあろうが、作家としての徳というものでもあろう。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号
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直木賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 文体について 総行数87 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
京極夏彦 17 「文体とは言語の生活形態であり、そこに特徴がないのは、創作力の肥沃さにつながりにくい。(引用者中略)「後巷説百物語」には、ぬきさしならない文体があり、小説というものはそこまできてはじめて良否を問うことができるのである。」「(引用者注:他の候補作は)京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
江國香織 6 「京極氏が立っている土俵にのぼる力をもっておらず、私は京極氏の不戦勝だ、とおもった。」
  「小説は平面に文字を置いてゆく作業によって完成されるが、全象は構築物のようでなければならず、しかしながら今回の作品は平面にとどまっているものが多いことに不満をおぼえた。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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直木賞 131 平成16年/2004年上半期   一覧へ
選評の概要 作品の佳さと巧さ 総行数90 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
奥田英朗 34 「私のなかでは「イン・ザ・プール」も「マドンナ」も、奥田英朗氏の作品は、直木賞を受賞するにふさわしいものであったので、今回、「空中ブランコ」が候補作品として眼前にあらわれたとき、――まだ奥田氏は受賞していなかったのか。と、倦怠をともなったおどろきをおぼえた。」「(引用者注:「イン・ザ・プール」より)評価が漸進していたので、ほっとした。」
熊谷達也 46 「文体に遺漏がない。それに感心しつつ、さらに読みすすむと、その文体を絶賛するわけにはいかなくなった。」「ここにある通俗性がまったく新奇さをもっていないことが問題なのである。」「私は通俗性が悪いといっているわけではなく、構成力をそこなうような通俗性は、せっかくの文体さえ単なる話術にみせてしまう毒をもっているということである。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
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直木賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 作家の胆力 総行数118 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
福井晴敏 61 「感心した」「氏の小説はあとあじがよい。」「氏はあわててまにあわせのことばを捜しにゆかないところがよい。それは作者の胆力をあらわしている。」「もっとも私が重視したのは、小説空間の表層と深層のつかいわけのうまさであり、ことばを熟知していなければ、それができるはずもなく、もっといえば一語にある深浅がわからなければ、氏の小説のすごみを洞察できるはずもない。」
角田光代 50 「角田氏の小説には、おどろくべき素直さと首をかしげたくなる圭角がある。」「『空中庭園』においてもそうであったが、理性的な意義をみつけにくい整理と組み合わせがなされていて、むしろそれは生理的なものではないか、と疑ったのである。あえていえば、性癖が露呈している。」「今回の作品では、氏の手法によって情景は額縁のなかにおさまるが、じつは読む側の感情がそのなかにおさまらないという体験をした。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年3月号
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直木賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 人称の問題 総行数101 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朱川湊人 50 「朱川氏の作品は品が良い。」「前回の候補作品は良家の子女がなにもせずに行儀よく椅子に腰をおろしているような文体であったので、私には不満であったが、今回は挙止が明確になった。愕くべきことに、朱川氏の作品には、そこはかとないユーモアがある。」
  「『ベルカ、吠えないのか?』をのぞいて、六作品はすべて一人称を主語としている。」「プロの作家が書く小説では、一人称を主語とすることは、その構造のなかに社会を展開することを拒否する奇形といってよく、作者の恣意を抑制する力があらかじめ排除された世界を提示することになる。」「今回、自分勝手としかおもわれない作品があったので、この傾向が熄むまで、一人称を主語とする候補作品に寛容をしめすことをひかえたい。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年9月号
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直木賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 合理と不合理 総行数86 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
荻原浩 18 「いわゆる小説らしい小説とは、荻原浩氏の「あの日にドライブ」しかなかったといってよいのに、推したのが私ひとりであったのは意外であった。作者の意匠的肚のすえかたは尋常ではない。」「作者のすぐれた自制力と偏曲しない感性がみえるようであり、そのため小説の風景がゆがんでみえない。」
東野圭吾 14 「他の候補作品は力感において東野氏のそれに及ばなかったということに尽きる。」「閉じられた合理のなかで物語が展開し、読者のなぜという問いかけはうけつけず、作者の自問自答で終始する。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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直木賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 さまざまな課題 総行数112 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
三浦しをん 6 「他の選考委員の評にゆずる。私は(引用者中略)好意をもって読んだ。」
森絵都 6 「他の選考委員の評にゆずる。私は(引用者中略)好意をもって読んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年9月号
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直木賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 小説世界の重力 総行数121 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
  「今回、ひさしぶりに受賞作がでなかったが、その理由は容易に推察されるであろう。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号
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直木賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 知識と構成力 総行数90 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
三田完 14 「いわゆる巧い小説で、知識、構成力、言語感覚などが上級である。小説がもっている情報量も豊富で、しかも正確であるように感じられたので、衒学的であるとはおもわなかった。しかしながら上手の手から水が漏るところがあり、推しきれなかった。」
松井今朝子 53 「その構成力に作者の肚のすえかたがまざまざとみてとれる。とはいえ、読者に有無をいわせぬ語りの連続に、私は辟易した。」「作品と読者の距離がありすぎる。ただしその距離に、作者の自尊の高さがある、と感じられるが、それが志の大きさであろうとはいいにくい。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年9月号
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直木賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 受賞作品と今 総行数104 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
佐々木譲 8 「『警官の血』の構成と描写には、瑕がすくないようにおもわれた。設計図をもとに、基礎工事も手ぬきなくおこなわれて、建てられた家を想えばよい。」
桜庭一樹 16 「(引用者注:「約束の地で」より)全体が明瞭ではあるが、明瞭でありすぎて、おもしろみが希薄となった。小説の構成の失敗があったと私はみるが、どうであろうか。わざわざわかりにくい小説を書く必要はないが、作者のエネルギーを蓄積し、噴出させるための陰翳をもうすこし長く保持しておいたほうがよい。」
  「いまや小説というものが旧慣に満ちているとはいえ、やはりなんらかの新風を感じたい。桜庭一樹氏の幻想的作品が受賞した理由は、そこにあるかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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