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北方謙三
Kitakata Kenzo
生没年月日【注】 昭和22年/1947年10月26日〜
在任期間 第123回〜(通算8年・16回)
在任年齢 52歳8ヶ月〜
経歴 佐賀県唐津市生まれ。神奈川県川崎市出身。中央大学法学部卒。「明るい街」で作家デビュー後、純文学作品を発表。『弔鐘はるかなり』で初めてエンターテインメント作品を書き、人気作家に。
受賞歴 第1回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](昭和57年/1982年)『眠りなき夜』
第4回吉川英治文学新人賞(昭和57年/1982年)『眠りなき夜』
第2回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](昭和58年/1983年)『檻』
第38回日本推理作家協会賞[長編部門](昭和60年/1985年)『渇きの街』
第11回角川小説賞(昭和59年/1984年)『過去 リメンバー』
第5回日本文芸大賞(昭和60年/1985年)『明日なき街角』
第4回柴田錬三郎賞(平成3年/1991年)『破軍の星』
第38回吉川英治文学賞(平成16年/2004年)『楊家将』
第9回司馬遼太郎賞(平成18年/2006年)『水滸伝』全19巻
第1回舟橋聖一文学賞(平成19年/2007年)『独り群せず』
処女作 「明るい街」(昭和45年/1970年)
直木賞候補歴 第89回候補 『檻』(昭和58年/1983年3月・集英社刊)
第90回候補 『友よ、静かに瞑れ』(昭和58年/1983年8月・角川書店刊)
第92回候補 『やがて冬が終れば』(昭和59年/1984年10月・文藝春秋刊)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
付録-柴田錬三郎賞受賞作一覧(第4回)
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第4回)
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 小説でしかなし得ないこと 総行数112 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
船戸与一 26 「重層的で圧倒的な物語性を持っていた。」「人間の弱さがいやというほど描きこまれている。それだけならただの汚濁だが、その汚濁の中から、主人公の少年のピュアな成長という、真珠のひと粒とも言うべきものを掬いあげることに成功している。」「いまこそこういう作品を評価して、小説は本来あるべきその姿を思い出すべきであろう。」
金城一紀 17 「誰もが認めたように、新鮮で生きがいい。」「主人公の出来がよすぎるのがいささか気になるが、読後にしっかりとなにかが残っている作品だった。最初の本で受賞というのは、苦しみもともに背負わせたようなものだろうと思うが、それを撥ね返すバイタリティはあると信じたい。」
  「候補作は六本あり、読後、選考する前にどの作品からも示唆を受ける、というようなものばかりだった。」「選考会は自由な雰囲気に満ちていて、いいものを見つけ出そうという姿勢が貫かれ、私は臆することなく発言できた。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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直木賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 短篇の魅力 総行数107 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
山本文緒 19 「どこかに淡々としたさりげなさがあり、ほのかな死の匂いも漂い、日常のあやふやさが逆に緊張感を呼んで、質のいい短篇集に仕あがっていたと思う。そして、『あいあるあした』の酒場の親父の話で、ほっと息を抜くこともできた。」「この作品も、やはり授賞には賛成した。」
重松清 13 「日常生活、父と子、夫婦、というものが鮮やかに描きあげられていて、短篇のよさをしみじみ感じさせる一冊になっていたと思う。」「強いて不満を述べれば、飛躍を拒んだような手堅さが小説作法にあり、それが小さくまとまった世界という印象を与えることぐらいか。授賞には賛成した。」
  「短篇で見えてくる資質というものは確かにあり、長篇が隠してしまう欠点もまたある。小説誌に至るまで長篇が花盛りで、長さだけで読者を圧倒しようとする作品も少なくない状況の中で、今回の候補作は逆に壮観ですらあった。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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直木賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 ある境地 総行数122 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤田宜永 23 「細かい欠点はいくつか指摘できるが、中年男の静かな情念を描いて、秀逸であった。過去の傷も、燃える思いも、晩年を迎えつつある人生の感慨も、静謐な日常の中に閉じこめるだけの抑制があり、恋愛小説としてひとつの境地を獲得したと感じた。」
東野圭吾 27 「藤田氏と並んで、私が密かに二作受賞を期して選考会に臨んだのが、東野氏の『片想い』である。」「派手な技巧の中に紛れて見えにくいが、「私は男ではない。女でもない。私は私である」という陸上選手の述懐など胸を打つものがあり、決して題材を軽く扱ったとは私は感じなかった。」「受賞に値する、と私は思った。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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直木賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 多彩な候補作 総行数92 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
黒川博行 22 「冒険小説として出色の出来であると感じた。国境が、やくざにとって追いこみのために突破すべき、強大な障壁だというところがよかった。」「この作品にある面白さは、小説本来の物語の面白さであった、と私は思う。」「決戦投票で、私は『国境』と『あかね空』に入れた。」
山本一力 14 「懸命に、江戸という時代を自分の作品世界に生かそうとしていて、誠実さが胸を打った。」「好感の持てる作風で、小説の芯のようなものもしっかり感じられた。」「決戦投票で、私は『国境』と『あかね空』に入れた。」
唯川恵 15 「女のたくましさ、切なさが、日常にすっと入りこんできた非日常を通して巧みに描かれ、都会的な風俗小説の佳品であった。二人の女の眼から見た男たちの姿が、どうも表層的である印象を拭いきれず、恋愛小説として読むにはわずかにそこが不満であった。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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直木賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 さまざまな傾向 総行数123 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
乙川優三郎 16 「文体、構成ともに完成された手腕を感じさせた。全篇に漂う哀切な情感は、紛れもなく小説というかたちで表現されるべきものである。作者が人を見つめる視線に、私は共感を抱かずにはいられなかった。小説としての格調も、申し分ない。」
  「候補作を読み終えるたびに、私はいつもそのレベルに対して、ある種の安堵感を覚える。」「ちょっと元気がないのは出版という業界であり、小説は衰弱などしていない、という思いを強くするのである。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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直木賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 結果はこうだった 総行数94 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
京極夏彦 24 「私は丸をつけた。物語の厚味、漂う妖しさに魅かれたのである。」「間違いなく、小説の持つ本質のひとつがここにある、と思った。毒に満ちてはいても、結局は情愛の小説として私は読んだ。受賞作として推したいと考えていたが、孤立無援であった。」
角田光代 15 「現実に準拠したものではないが、小説的リアリティはある。微妙なところをうまく書いたと思った。」「最後に『マドンナ』と争った時は、こちらに固執した。」
  「今回の候補作の質が、いつもより劣ると私は思わなかった。むしろ粒が揃っているのではないか、という印象すら持っていた。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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直木賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 さまざまな小説観 総行数93 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田衣良 13 「現代と都会を舞台にした、ハックルベリー・フィンを読んでいるような印象であった。各作品の連環がやや欠けるということ以外、文句のつけようがない。」「石田、村山、真保の三氏に丸をつけて、私は選考会に臨んだ。」
村山由佳 15 「ごく普通の、人としての営為にすぎないが、生きることの意味を読者に問いかけるところにまで昇華されている、と私は感じた。誠実な筆遣いも、選考委員の心を動かしたと思う。」「石田、村山、真保の三氏に丸をつけて、私は選考会に臨んだ。」
真保裕一 28 「今回は、私は(引用者注:「手紙」よりも)真保氏の方を評価した。」「(引用者注:主人公の設定と生き方の)愚直さが、社会にとって、家族にとって、人間にとって、犯罪とはなんなのかと問いかける力になったと思う。テーマ性が強すぎるという意見もあるだろうが、犯罪とはなにかを問いかけるために書かれた小説があってもいい、と私は思った。」「石田、村山、真保の三氏に丸をつけて、私は選考会に臨んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号
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直木賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 さまざまな個性 総行数92 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
江國香織 17 「音程がはずれそうではずれない、というような危うい文体が魅力だった。」「この独自の手法はすでに確立されていて、デリケートに描かれた日常から、不意に非日常が顔を出すさまは、圧巻ですらある。」
京極夏彦 15 「京極夏彦の世界を認めるか認めないかに尽きると思う。とうに受賞のラインはクリアしている作家という認識が、私にはあった。大多数の支持を得たのは、実力の然らしむるところである。」
馳星周 24 「バブルという、現実に社会や人を狂わせた時代を、象徴的に描ききっていると思った。」「そこにある感傷や情感などは、しっかりと作品に内包されたままで、行間からすら立ちのぼってこない。ハードボイルドは、もともとそういうものであった。時代の狂気を背景にすることによって、ノワールとも呼ぶべき、新しいジャンルを主張できるものに仕上がっている。」
  「今回の五作は、その持つ個性から作風まですべて異っていて、私は自分の好みがストレートに評価に繋がってしまうことを、警戒しながら読んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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直木賞 131 平成16年/2004年上半期   一覧へ
選評の概要 物語の力 総行数91 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
熊谷達也 11 「骨太だが無器用で、新しさなどはどこにもない。それでも、心を打つ物語の力があった。欠点も未熟も散見するが、私は第一にこの作品を推した。物語の力こそが、いま小説に求められているものだ、と思ったからだ。」
奥田英朗 19 「絶品である。前作と較べて、精神科医が名医に成長していて、荒唐無稽の中から顔を出す、微妙な暗黒性に欠けると思った。この医師の成長が、常識性のリアリズムへの後退というふうにも私には読めて、そこが第一に推すのをためらう要因になった。」「私が第二に評価していた『空中ブランコ』が賞に入ってくることには、異議はなく、むしろ歓迎であった。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
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直木賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 順当な結果 総行数94 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
古処誠二 23 「志を持った作品だった。」「語学兵という設定が実に効果的で、戦闘を両方から描く方法として卓抜なものがあった。」「反戦の主張を感じさせるだけでなく、人間の哀切さまでよく出ていると思った。」「選考会には、『6ステイン』と『七月七日』に丸をつけて臨んだ。」
福井晴敏 17 「行動の動機が、正義感や使命感ではなく、個人的な情動であることも、作品から人物を浮かびあがらせた。整合性に多少の問題があって、そこは残念であったが、長篇とはまた違う魅力を見せてくれたことは、評価に値すると思った。」「選考会には、『6ステイン』と『七月七日』に丸をつけて臨んだ。」
角田光代 20 「力量を感じさせる作品だった。」「ただ、ここに描かれた孤独が、いじめから生み出され、そのいじめがどこか類型を越えていない、という思いにもつきまとわれた。」「男の描き方が、私には多少不満であった。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年3月号
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直木賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 小説における決意 総行数92 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朱川湊人 15 「前回の候補作と較べるとやや衝撃力に欠けたが、鮮やかなユーモアのセンスを見せてくれた。差別の問題についても、しっかりした決意を持って書いた、と私は思った。二度目の投票で、私はこの作品に丸をつけた。」
  「最終候補作のラインアップに、多少の疑義を抱いてしまった」「直木賞は(引用者中略)候補になる時期が、ある程度考慮されていて、そこが他の賞との画然とした違いだった、と私は認識している。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年9月号
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直木賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 十二分の力量 総行数93 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
東野圭吾 24 「トリックに終っていない部分を、私はさらに評価した。人間が心の底に持つ、純愛への願望、偏執的な愛を、トリックによって鮮烈に炙り出していた。」「今回は、受賞作一作に丸をつけて臨んだ。」
  「新人からベテランの作品まで、候補作に並んでいて、選考ということを考えれば、なかなかつらいものがあった。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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直木賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 力量充分の二作 総行数102 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
三浦しをん 32 「読んでいてひたすら面白いという、小説の本質のひとつを充分に持っている作品だった。」「主人公のトラウマの過剰さに、いくらかひっかかりを覚えた。」「読後感はいい。」「今回は、三浦氏が一番手で、次に伊坂氏と森氏が並ぶという評価で、選考会に臨んだ。」
森絵都 23 「一冊の中で作者の進歩を読みとれるという、文学賞の選考では稀有の、読書の醍醐味を味わわせてくれた。長篇の題材ではないか、と私はいくつかの作品について感じたが、切り方の手法で瑕疵にまではいたっていなかった。」「今回は、三浦氏が一番手で、次に伊坂氏と森氏が並ぶという評価で、選考会に臨んだ。」
伊坂幸太郎 23 「いい青春小説としてできあがっている、と感じた。」「四年という歳月が流れているにしては、という指摘があったが、人生の季節のひとつを描いたのだということで、私はいいと思った。作者の資質の、幅を感じさせてくれた作品であったと思う。」「今回は、三浦氏が一番手で、次に伊坂氏と森氏が並ぶという評価で、選考会に臨んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年9月号
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直木賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 選考会の風 総行数132 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
北村薫 22 「読んでいてしみじみいい小説だと感じられる作品だった。淡々として平明でありながら、人生の真実に手が届き、私をして生きることの意味を問い直させる、深い読後感があった。」「登場人物の心理にこそ無限の拡がりがある。そういうものを、大きな小説というのではないだろうか。私は、評価した。」
三崎亜記 24 「私は自分の喪失感と重ね合わせて読み、充分な読後感を得た。」「想像力のスケールは大きく、それに力負けしない筆力も持っている。抽象性が寓意性を帯びるところまで昇華されているこの世界は、評価に値すると私は思った。」
  「今回の候補作が、特に水準が低いとは、私には感じられなかった。むしろ、読みごたえのある作品が多かった、という気がする。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号
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直木賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 二作はならず 総行数104 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
松井今朝子 11 「重量感のある作品であった。物語を牽引する葛城の謎が、わかってしまえば仇討だったというところに、若干の構造的な問題を感じたが、力量に疑いを抱かせるものではなく、順当な受賞であったと思う。」
北村薫 13 「私にとっては心地よいバラードだった。文章を平明に書くということは、派手な技巧を駆使するより、ずっと難しいことだ、と私は思う。」「丸をつけて選考に望み、決選投票では圧倒的な支持の受賞作に次いだので、なんとか二作受賞をと模索したが、わずかに届かなかった。」
  「今回の選考は、ベテランと新鋭の作品をどう読み較べるか、ということと同時に、ファンタジー的要素をどう解釈し、受け入れればいいのか、というのが私にとってのテーマであった。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年9月号
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直木賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 本質に触れる資質 総行数103 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
桜庭一樹 26 「血の持つ毒と蜜を描きこんで、存在の意味を問いかけるというような、難しく言えばそういう論評になってしまう作品であった。」「随所に、描写の未熟さや、整合性の欠如を感じさせた。しかし血というものを通して、物語の本質に触れているというのは私の確かな印象で、その資質は買うべきだろうと思った。」「例外的に、『悪果』、『警官の血』、『私の男』、の三作に丸をつけて(引用者注:選考会に)臨んだ。」
黒川博行 18 「崩れていく男の人生を描いたものとして読んだ。」「捜査の方法、手続、書類の作り方など、稠密という印象すらある描写が、警察の人間関係と組織を浮かびあがらせ、読みごたえのある作品となっていた。」「例外的に、『悪果』、『警官の血』、『私の男』、の三作に丸をつけて(引用者注:選考会に)臨んだ。」
佐々木譲 17 「一代目の不審死がミステリー仕立てになっていて、縦糸として牽引力を持っていた。時代背景の描写が、濃厚な生活感の描写とともにあり、力量の確かさを感じさせる。三代という発想のダイナミズムも、物語に少なからず強靭さを与えていると思った。」「例外的に、『悪果』、『警官の血』、『私の男』、の三作に丸をつけて(引用者注:選考会に)臨んだ。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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