直木賞のすべて
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Last Update[H20]2008/2/22

阿刀田高
Atoda Takashi
生没年月日【注】 昭和10年/1935年1月13日〜
在任期間 第113回〜(通算13年・26回)
在任年齢 60歳5ヶ月〜
経歴 東京生まれ。早稲田大学文学部卒。
受賞歴 第32回日本推理作家協会賞[短編部門](昭和54年/1979年)「来訪者」
第29回吉川英治文学賞(平成7年/1995年)『新トロイア物語』
直木賞候補歴 第80回候補 『冷蔵庫より愛をこめて』(昭和53年/1978年6月・講談社刊)
第81回受賞 『ナポレオン狂』(昭和54年/1979年4月・講談社刊)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
直木賞受賞作全作読破への道Part3
備考
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下記の選評の概要には、評価として◎か○をつけたもの(見方・注意点を参照)、または受賞作に対するもののみ抜粋しました。さらにくわしい情報は、各回の「この回の全概要」をクリックしてご覧ください。

直木賞 113 平成7年/1995年上半期   一覧へ
選評の概要 初めての選考 総行数154 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
赤瀬川隼 14 「なによりも行間に含みのある精緻な文章を評価したいと思った。」「「ほとほと……」は万葉集の歌と、稚拙な恋とがうまく呼応して味わいが深い。」「「陽炎球場」は、ベースボールがどれほど美しいドリームであったか、あらためて懐しさを覚えさせてくれた。」
梁石日 21 「あらっぽい作りの作品である。」「小説を描く視点にも不適当が見られる。が、もう一度読み返し、さらに他の作品と比べてみると、骨太の魅力がある。」「――この作家は、明確に訴えたいものを持っている――」「その情熱に拍手を送りたくなった。」「受賞に至らなかったのは、作品として、もう一つ、仕上げの丁寧さを欠いていたからだろう。」
選評出典:『オール讀物』平成7年/1995年9月号
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直木賞 114 平成7年/1995年下半期   一覧へ
選評の概要 文章の力 総行数156 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤原伊織 23 「推理小説としては、いくつもの欠陥が指摘できるだろう。」「しかし、人物の描写力がただごとではない。」「よい点はいくつもあるが、とりわけ文章の中にそこはかとなく漂うユーモア感覚、これは、なかなか得がたい特色だ。」「この筆力ならば、きっと今後もよい作品を書いてくれるだろう、と私はこのギャンブル好きの作家に賭けてみたくなった。」
小池真理子 18 「化けましたね。まことに、まことに、舌を巻く巧みさだ。深い意味での文章の力を痛感した。」「――これが小説だな――と、わけもなく納得した。」「今後の活躍については太鼓判を押してもよい、と私は信じている。」
  「力作揃いのため厳しい選考会となった。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年3月号
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直木賞 115 平成8年/1996年上半期   一覧へ
選評の概要 恐怖小説の弊 総行数92 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
乃南アサ 16 「見どころのある作品だ。しかし、推理小説として眺めれば弱点も大きい。他の委員からそれを指摘され、狼狽を覚えたが、欠点は欠点として人間を描く力量のほうを採った。これでよかったのだろうか、の思いはないでもない。」
選評出典:『オール讀物』平成8年/1996年9月号
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直木賞 116 平成8年/1996年下半期   一覧へ
選評の概要 弱点なきにしも非ず 総行数106 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
坂東眞砂子 15 「描写力には舌をまいた。個々のエピソードは実におもしろい。」「が、これだけ長いページを使って、なにを訴えようとしたのか。着地点がはっきりしないのは小説にとって致命的である。そのあたりに不満を覚えたが、他の委員の意見を聞くうちに“これは山妣を通して女の一生を語るものだ”と知って、作品のモチーフが見えて来た。」
  「今回は力作揃いでありながら、どの作品にも弱点があり、――受賞作なし、もありうる――と危ぶんで選考会に出席したが、結果については、もとより全く異存はない。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年3月号
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直木賞 117 平成9年/1997年上半期   一覧へ
選評の概要 魅力あり 総行数102 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
篠田節子 30 「もっともおもしろく読んだ作品であった」「連作短篇集として統一性を欠いているように読んだが、その一方で、一切がこの作家の腕力の前では、許されて魅力となってしまう。」「「ゴサインタン」のような力技も持っている方だ。期待はとても大きい。」
浅田次郎 21 「八篇の短篇が収められているが、よい作品と、それほどでもない作品と、ばらつきが目立つ。」「表題作の「鉄道員」は、わるくはないけれど、あまりにも型通りで、涙腺をふくらませながらも、――こんなことで、泣けるか――と、しらけるところ、なきにしもあらず。」「しかし、よくもわるくも、これはこの作家の特質であろう。」
選評出典:『オール讀物』平成9年/1997年9月号
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直木賞 118 平成9年/1997年下半期   一覧へ
選評の概要 力作でありながら 総行数120 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
  「選考会を開く以上、是非とも受賞作を出したい。関係者が皆そう思っているにもかかわらず、今回はそれができなかった。選考委員会は軽々に、この結論を出したわけではない。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年3月号
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直木賞 119 平成10年/1998年上半期   一覧へ
選評の概要 大人のおもしろさ 総行数123 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
車谷長吉 20 「特別にドラマチックな出来事があるわけではないのだが、――これが小説を読む楽しさだ――と、こころよく脳味噌を預けて最後まで読み進むことができた。私にはとてもおもしろい小説であった。」「純文学とかエンターテインメントとかいう区分は、多くの場合、それほどの意味を持たない。直木賞は大人の鑑賞にたえるおもしろさをしっかりと見据えていけばよいのだ、と思う。」
梁石日 20 「技法的には弱点もあり、相当にあらっぽい作品である。ただ、途方もない主人公をあますところなく描いて、読む者をぐんぐん引き込んでいく。その迫力、そのすさまじさ。」「力作ではあったが、すでに他の賞を受けているという事情もあって、受賞作に一歩譲ることとなった。」
  「質の高い選考会であった。」
選評出典:『オール讀物』平成10年/1998年9月号
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直木賞 120 平成10年/1998年下半期   一覧へ
選評の概要 さまざまな家族 総行数119 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
宮部みゆき 26 「あるマンションで起きた四人の殺人事件を提示し、その真相を探査していくうちに、さまざまな家族のありようが見えてくる、というフィクションである。この家族の設定が巧みで舌をまく。宮部さんの長所がよく現われ筆致もよどみなく伸びている。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年3月号
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直木賞 121 平成11年/1999年上半期   一覧へ
選評の概要 なぜ中世フランスか 総行数100 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
桐野夏生 26 「きっかりとした構造を作り上げ、その舞台の上で、それぞれの登場人物が持つ心の闇をあぶり出している。」「どの登場人物も必死になって生きる手応えを求めているのだ。それがこの作品のモチーフなのだ。」「最後の数十行を人間たちの心の闇を伝える深遠な寓話として読んだ。」
佐藤賢一 28 「なぜ日本人を描かないか、という疑問は、この種の作品につねに投げかけられるものである。」「この作品について言えば、違和感はない。とてもおもしろい。」「モチーフは今日的であり、作品を貫くユーモアが上質である。小説の進展にともない王妃の魅力が現われ、女性の美しさとはなんなのか、さりげなく答えてくれるところも快い。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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直木賞 122 平成11年/1999年下半期   一覧へ
選評の概要 躍動する筆力 総行数97 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
なかにし礼 30 「――そう、そう、小説には、こういう喜びがあったんだ――おおらかな楽しさを得て快かった。」「高揚するシーンを描くのが巧みである。」「祭と歌、本来的に躍動するテーマを中心に据え、高らかに、しめやかに謳歌して澱みがない。」「男女の仲をもう少し深いところで抉ってほしいと思ったが、伝記としての配慮と礼節があったのかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年3月号
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直木賞 123 平成12年/2000年上半期   一覧へ
選評の概要 迷いのあと 総行数109 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
重松清 14 「私としては「カカシの夏休み」を推そうと考えた。子どもたちを取りまく現在の情況を捕らえて淀みがない。会話が巧みである。人物の設定も造形もそつがない。」
船戸与一 42 「取材と構成の充実した骨太の作品で、楽しく読むことができたけれど、この手の作品としては、なにもかも予想通りで、闘争のシーンの凄じい描写力を除けばストーリィそのものに胸を躍らせることができなかった。」「しかし、船戸さんが充分なキャリアを持つ優れたストーリィ・テラーである。(引用者中略)ものさしを当てること自体が失礼のような気もする。あれこれ勘案して、おおかたの推輓があれば尻馬に乗るつもりだった。」
金城一紀 16 「ユーモア感覚のすばらしさに拍手を送ったが、これは“私”中心の作品で、周辺がうまく描かれていない。小説として広がりが乏しい。それよりもなによりも、まだ作品数の少ない作家なので、――もう一作、見たい――そこに躊躇の理由があった。」
  「候補作のレベルが横一線らしい。選考会へ赴く道筋でも、――どれを推そうか――ずっと悩み続けていた。」
選評出典:『オール讀物』平成12年/2000年9月号
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直木賞 124 平成12年/2000年下半期   一覧へ
選評の概要 現代を捕らえる 総行数111 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
山本文緒 17 「一皮深いところで人間を捕らえている。それを示す確かな表現を持っている。」「芸域を広げてみたい……。小説家の本道を踏んでいることは疑いない。納得のいく受賞であった。」
重松清 15 「取材力、会話の巧みさ、上質なユーモア、小説家に必要な条件を備えている。」「「母帰る」と「セッちゃん」が特によい出来だと思った。ページを繰るたびに人生の手触りが伝わってくる。」
  「今回の二作の受賞が短編の楽しさを示す一石となってくれればとてもうれしい。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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直木賞 125 平成13年/2001年上半期   一覧へ
選評の概要 古典的な恋愛小説 総行数117 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
藤田宜永 23 「古典的な恋愛小説で、新しいところがないと言われれば、その通りだが、多くの人にとって恋愛は月並な形しか採りえないものではないのか。(引用者中略)月並ではあるけれど、それぞれにとって切実であり、ユニークであり、かけがえのないもの、それがこの世の恋ではあるまいか。「愛の領分」は、そんな恋愛を描いて、つきづきしい。」「小説を読む素朴な楽しさがある、と感じた。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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直木賞 126 平成13年/2001年下半期   一覧へ
選評の概要 いずれも小差 総行数102 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
唯川恵 11 「現代に生きる女性たちをさりげなく描いているが、したたかな隠し味が随所に散っている。登場人物はみんなそれぞれの方法で必死に生きている。それでいながら飛んでいる。そこが快い。」
黒川博行 9 「もっともおもしろく読んだ。テンポがよく、ユーモアが冴えている。」「情報の厚みを備えたエンターテインメントとして魅力的だ。ほかの作品との競合の中で敗れたが、残念。あと一息だった。」
山本一力 15 「重厚である。丹念に、きっかりと描いている。」「優等生の模範答案のようで、花の乏しい恨みがあるけれど、模範答案を否定するのは酷だろう。小差ながら「かずら野」より、――よいかな――と思った。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年3月号
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直木賞 127 平成14年/2002年上半期   一覧へ
選評の概要 一つの到達点 総行数105 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
乙川優三郎 22 「デビュー以来数年を経て、一つの到達点に達したように感じられた。暗く、つらい筋運びはこの作家の特徴だが、その中から人生についてのサムシングがほの見えてくる、それが深い味わいにまで昇華している。とりわけ第三作〈早梅記〉に強い感動を覚えた。」
選評出典:『オール讀物』平成14年/2002年9月号
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直木賞 128 平成14年/2002年下半期   一覧へ
選評の概要 プリミティブな疑問 総行数101 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
角田光代 28 「小説を評価する方法の一つに、――私には書けない――というものさしがある。(引用者中略)〈空中庭園〉は、それに近かった。弱点のない作品ではないけれど、読んでおもしろく、読み進むうちに奇妙な展開が次々にあって小説の深さを感じさせてくれる。」「発想が非凡であり、よおくはわからないながら可能性だけを感じた。」
  「困難な選考会であった。選考会のあとも、――よい小説とは何だろう――プリミティブな疑問が湧き、しばらくは余波に悩まされそうだ。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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直木賞 129 平成15年/2003年上半期   一覧へ
選評の概要 ふくよかな小説 総行数100 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
石田衣良 31 「小説というものは“人が歩き、花が咲き、車が走る”ただこれだけのことを書いても文章に味わいがあり、充分にチャーミングであることが望ましい。一番大切な条件かもしれない、とさえ思う。〈フォーティーン〉には、それが感じられた。ごく普通の少年たちの生活を描きながら小説がふくよかで、魅力的に映るのは、このせいだろう。」
村山由佳 19 「描かれている一族はありふれた庶民であり、特別な設定はなにもない。大げさな言いかたが許されるならば、エミール・ゾラの〈ルーゴン・マツカール〉を髣髴するものがあった。小さな傷がないでもないが、現代小説の典型として絶大な拍手を送りたい。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年9月号
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直木賞 130 平成15年/2003年下半期   一覧へ
選評の概要 これほどちがう受賞作二つ 総行数98 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
江國香織 22 「人間心理の微細な揺れ動き……。微細ではあるけれど、実際的には人間を動かす動機ともなりうるもの。そんな気配を的確に捕らえることにおいて江國香織さんは舌を巻くほど巧みな書き手である。」「――もう少しストーリー性があってほしいのだが――という望蜀の思いがないでもないが、それもこの作家らしい才気の中で、遠からず“なるほど”と果されるにちがいない。」
京極夏彦 31 「京極夏彦さんの世界は、長いあいだ、私にとってわかりにくいものであった。」「しかし“後巷説百物語”を読み始めて、おおいに変わった。」「“赤えいの魚”のイマジネーションには本当に圧倒された。他の作品は、これに比べれば、少し月並かな、という感触がないでもない。」「力量を認めないわけにいかなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年3月号
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直木賞 131 平成16年/2004年上半期   一覧へ
選評の概要 オーソドックスを推す 総行数95 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
熊谷達也 27 「力わざである。骨太の作品である。」「なによりも、――これを書くのだ。――という気迫がこころよい。」「ただ、オーソドックスな手法を採っているため、筋の運びも人物の造形もパターンを踏襲している気配、なきにしもあらず。そのあたりに唯一の難点があり、望蜀の思いを抱いた。」
奥田英朗 23 「たまらなくおかしい短編連作集だ。と同時にユーモア小説を書くむつかしさが随所に見え隠れしている。」「(引用者注:「空中ブランコ」と「女流作家」は)笑いながらも人生を響きあうところがあって優れていると思ったが、ほかの委員からは「そういう小賢しさはむしろうるさい」という指摘もあり、つくづく、――笑いの文学は厄介だな――と考えた。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
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直木賞 132 平成16年/2004年下半期   一覧へ
選評の概要 僅差を制して 総行数96 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
角田光代 16 「とりわけ大きな事件が起こるわけではないが、構成の妙もあって楽しく読み進むことができる。少女たちの海辺の生活とその後を描くくだりには感動を覚えた。」
山本兼一 15 「わるくなかった。」「建築学的な考証も入念で、私としては、――よい勉強をさせていただきました――という思いが深い。この薀蓄が小説を読む楽しさをそこなっていないところもみごとである。」
  「厳しい選考であった。七作品のうちから三作品が残り、決選投票の結果「対岸の彼女」が選ばれた。僅差であった。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年3月号
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直木賞 133 平成17年/2005年上半期   一覧へ
選評の概要 幽霊の動機を求めて 総行数101 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
朱川湊人 35 「どれも怖い話ではない。」「霊柩車の話はばからしく、おかしい。しかし、ここにも人生の反映がある。送りん婆は幽霊談ではないが、現代と、あやかしの世界とが、しなやかに混りあって楽しく読めた。大阪という土地柄をうまく捕らえているところもみごとだった。」
絲山秋子 26 「強い愛着を覚えた。サラリと書いているが企みは深い。」「貫くユーモアが上質だ。人間の造形も確かである。「精神を病んでいる者のビヘイビアではない」と他の委員から評されそれを認めざるをえなかった。」
選評出典:『オール讀物』平成17年/2005年9月号
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直木賞 134 平成17年/2005年下半期   一覧へ
選評の概要 なぞ解きの名作 総行数94 (1行=13字)
候補 評価 行数 評言
東野圭吾 39 「こんな人間が実在するだろうか? これは愛だろうか? ヒューマニズムにもとるところはないだろうか? などなどいくつかの疑問の余地を含んでいるが、それはなぞ解きミステリーの宿命的弱点とも関わる問題だ。あえて言えば私はなぞ解きミステリーとしてのすばらしさだけでも受賞に値する、と考えた。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年3月号
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直木賞 135 平成18年/2006年上半期   一覧へ
選評の概要 大きな期待 総行数102 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
三浦しをん 27 「私自身まったく迂闊なことだが(これが二度目の候補であるにもかかわらず)作者が男性だと思い込んで読んでいた。」「若い才能の赴くまま無理なく書いているように見えて、その実、これが女性の作家の手によるとなると、背後に相当な企みや修練が伏在していると考えるべきだろう。」「才能の淵源がどのあたりにあるのかつかみきれず、これもまた大きな期待となった。」
森絵都 37 「出来ばえにもばらつきがある。私としては後半の三作品を特におもしろく読んだ。」「調べたことを全部書くのを避け、作品に必要なものを選んでしなやかに小説に溶け込ませているところが、すばらしい。」「社会と個人との微妙な入り混りをこの作家は過不足なくみごとに捕らえて一つのストーリーとしている。小説の本道と言ってよい。」
選評出典:『オール讀物』平成18年/2006年9月号
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直木賞 136 平成18年/2006年下半期   一覧へ
選評の概要 こころ残り 総行数109 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
池井戸潤 17 「読みやすく、充分におもしろい。」「サラリーマン諸氏がみずからの仕事のあいまに、――こんなもんだよな、企業社会は――と同感を覚えながら、ひとときの読書を楽しむには恰好の内容となっている。私はそれを“よし”としたが、直木賞の文学性という、きびしいテーゼを問われると、不足がないでもない。」
  「(引用者注:直木賞の選考は)選考のプロセスにおいて、――これでいいのだろうか――自問自答をくり返し、それでもなお屈託の残るケースが多い。今回はその顕著な例であった。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年3月号
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直木賞 137 平成19年/2007年上半期   一覧へ
選評の概要 小説の豊饒さ 総行数103 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
松井今朝子 28 「歌舞伎と江戸風俗に関して松井今朝子さんの造詣の深さは私が云々するレベルをはるかに超えているが、その学識のあまり、これまでは小説が説明過多になってしまうところがないでもなかった。今回はそれが薄れたこと、(引用者中略)その結果、しなやかな小説の世界を呈示することとなった。」「これまでの弱点が消えれば、あとはもともと評価されるにふさわしい実力者である。たっぷりと楽しめた。」
選評出典:『オール讀物』平成19年/2007年9月号
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直木賞 138 平成19年/2007年下半期   一覧へ
選評の概要 選考のむつかしさ 総行数113 (1行=12字)
候補 評価 行数 評言
桜庭一樹 47 「――この作者には小説家の気配が濃密に感じられる――と、それが推薦の第一の理由だった。」「想像力の広がりにおいて、文章の魅力において、またストーリイの微妙な妖しさにおいて、それを感じて、賭けてみようと考えた。」「現実性を欠くうらみはあるが、そこにあまり目くじらを立てずに読むほうがよいのだろう。」
選評出典:『オール讀物』平成20年/2008年3月号
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