直木賞のすべて
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第98回

=受賞者=
阿部牧郎

=候補者=
長尾宇迦
西木正明
小杉健治
泡坂妻夫
堀 和久
三浦 浩
赤瀬川 隼


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Last Update[H20]2008/1/3

小杉健治
Kosugi Kenji
生没年月日【注】 昭和22年/1947年3月20日〜
経歴 東京・向島生まれ。葛飾野高卒。コンピュータ専門学校卒業後、プログラマー。「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞受賞。データベース会社を退社し、作家に。
受賞歴 第22回オール讀物推理小説新人賞(昭和58年/1983年)「原島弁護士の処置」
第41回日本推理作家協会賞[長編部門](昭和63年/1988年)『絆』
第11回吉川英治文学新人賞(平成1年/1989年)『土俵を走る殺意』
処女作 「原島弁護士の処置」(『オール讀物』昭和58年/1983年)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第11回)
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直木賞 98回候補  一覧へ

きずな
絆』(昭和62年/1987年6月・集英社刊)
書誌
>>平成2年/1990年6月・集英社/集英社文庫『絆』
>>平成15年/2003年6月・双葉社/双葉文庫 日本推理作家協会賞受賞作全集57『絆』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 30 「非常に叮嚀に書いてあるのがいい。」「好感度NO・1であった。」「しかし、文章が幼い。」「「もし最愛の妻が殺されたとしたら……」という箇所もあるが、最愛の妻(原文傍点)なんていう表現を拒否するところから小説家の文章は始るのではないか。」
黒岩重吾 0  
村上元三 5 「裁判小説なのか、推理小説なのか、はっきりしない。知恵おくれをテーマにするにしても、生煮えの感じがする。」
陳舜臣 16 「原島弁護士が、つぎつぎと証人をさがし出した経緯が欠落しているのが不満であった。推理小説ではそこがメインになるところである。」「ともあれ、法治国家であるから、法廷小説は日本ではもっと充実したジャンルになるべきである。小杉氏の健闘を祈りたい。」
藤沢周平 10 「底のところに社会的な弱者に対する思い入れがあり、それはそれで筋が通っているけれども、ややそのことに寄りかかり過ぎた感じが気になった。しかし構成のしっかりした推理小説である。ただこの作者にしては文章が粗く、読みづらい。」
平岩弓枝 7 「面白く読みましたが、弁護士の、事件に対する捜査ルートがはっきり書かれていないために、次々と登場する証人が、少々、御都合主義に感じられるのが難といえないこともないようです。」
井上ひさし 31 「やや生硬にすぎる文章でずいぶん損をした。」「作者はさまざまな時間の流れを組み合せてたくさんの謎を発生させ、それをみごとに解き明かしてくれたのだ。解明のあとの感動も上質だ。このようにとても立派な作品なのに、その美果を文章が覆い隠してしまった。口惜しい。」
田辺聖子 6 「法廷小説で心理描写をするのはむづかしいとつくづく思った。高度の技術をもつ作品だが、小説としての脂気がもう少し欲しいところ。」
渡辺淳一 11 「よく考えられた小説で、読んでいて作者のひたむきさが伝わり、読後感も爽やかである。ただせっかく人間の奥深いところを描こうとしながら、後半、たんなる人情劇に終ったところが残念である。文章がまだ生硬だが、新しい推理の旗手として期待できそうである。」
五木寛之 3 「その質実さを高く評価する声が高かった。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号
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文量
長篇
章立て
「第一章」〜「第五章」
時代設定 場所設定
同時代  東京
登場人物
私(語り手、新聞記者)
原島保(弁護士)
弓丘奈緒子(社長夫人、夫殺しの被疑者)
弓丘勇一(奈緒子の夫、被害者)
市橋晴彦(奈緒子の弟)
市橋寛吉(奈緒子の弟、精神薄弱者)
弓丘美砂子(奈緒子の娘)
三津井沢子(勇一の愛人)
妻(私の妻、妊婦)





どひょう はし さつい
土俵を 走る 殺意』
(平成1年/1989年5月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
書誌
>>平成6年/1994年1月・新潮社/新潮文庫『土俵を走る殺意』
>>平成19年/2007年3月・光文社/光文社文庫『土俵を走る殺意』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 11受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 14 「文章は荒削りで、構成にも穴が見受けられるが、人物の造形力は群を抜いている。たとえば主人公の母親やライバル、登場の機会をさほど多くは与えられていないが、その印象は強烈である。」「作者は推理小説を書こうとしながら、現実と格闘しているうちに、どんなジャンルにも属さない普通の叙事詩を完成してしまった。」
尾崎秀樹 10 「印象にのこった。」「一応ミステリー仕立てではあるが、それをこえた作品でもあった。」
佐野洋 24 「今回は、一通り候補作を読んだ段階で『土俵を走る殺意』を推すつもりになっていた。題材、ストーリーの展開、全体の構成、さらに作者の問題意識の的確さ、」「だが、もう一度読み返すと、いくつかの欠点が目につき始めた。」「選考委員会では、この点を指摘する人もいるだろう……。私は、だから、それに備えた弁護論を用意して、会に臨んだのだった。」「ところが、一回目の投票で、この作品は満票を獲得してしまい、用意した弁護論は不要になった。」
野坂昭如 17 「登場人物がすべて生き生きとして魅力的なのだ。上手に細部をうつして、土地の雰囲気を読む者に伝え、人情噺しの色どりもあって、即ち、本賞にもっともふさわしい。」「長篇なら『土俵を走る殺意』(引用者中略)と、今回はあっさりと決めた。」
半村良 18 「『土俵を走る殺意』一本買いのつもりで臨んだ。」「作者は書き進めるうち、背景となる時代相や、登場人物たちの人生に巻きこまれ、当初の枠組みをはみだして、予期していたよりずっと大きな小説を書かされてしまったようだ。」「これは書き手としてとてもしあわせなことで、読みながら私は小杉健治氏に嫉妬を感じた。」
選評出典:『群像』平成2年/1990年5月号
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