直木賞のすべて
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第89回

=受賞者=
胡桃沢耕史

=候補者=
連城三紀彦
高橋 治
杉本章子
山口洋子
北方謙三
塩田丸男
森 瑤子


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Last Update[H20]2008/1/3

北方謙三
Kitakata Kenzo
生没年月日【注】 昭和22年/1947年10月26日〜
経歴 佐賀県唐津市生まれ。神奈川県川崎市出身。中央大学法学部卒。「明るい街」で作家デビュー後、純文学作品を発表。『弔鐘はるかなり』で初めてエンターテインメント作品を書き、人気作家に。
受賞歴 第1回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](昭和57年/1982年)『眠りなき夜』
第4回吉川英治文学新人賞(昭和57年/1982年)『眠りなき夜』
第2回日本冒険小説協会大賞[日本軍大賞](昭和58年/1983年)『檻』
第38回日本推理作家協会賞[長編部門](昭和60年/1985年)『渇きの街』
第11回角川小説賞(昭和59年/1984年)『過去 リメンバー』
第5回日本文芸大賞(昭和60年/1985年)『明日なき街角』
第4回柴田錬三郎賞(平成3年/1991年)『破軍の星』
第38回吉川英治文学賞(平成16年/2004年)『楊家将』
第9回司馬遼太郎賞(平成18年/2006年)『水滸伝』全19巻
第1回舟橋聖一文学賞(平成19年/2007年)『独り群せず』
処女作 「明るい街」(昭和45年/1970年)
直木賞
選考委員歴
第123回〜(通算9.5年・19回)
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
付録-柴田錬三郎賞受賞作一覧(第4回)
付録-吉川英治文学新人賞受賞作・候補作一覧(第4回)
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ねむ よる
眠りなき 夜』(昭和57年/1982年10月・集英社刊)
書誌
>>昭和61年/1986年4月・集英社/集英社文庫『眠りなき夜』
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 4受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 10 「間断するところのない傑作だ。文章は彫りつけたように勁く、簡潔である。」「が、そのことが逆にサスペンスを生む。じつに並々ならぬ文章家である。」「警察を「時間の搾木」として活用しているところもうまい。」
尾崎秀樹 9 「歯切れのよい表現と、アクション場面のリアリティに迫力があった。この作品自体に難点がないわけではないが、北方謙三のこれまでの作品を読んできた者として「眠りなき夜」に一票を投じる気持になった。」
佐野洋 15 「ややもすれば、構成に厳密さを欠くうらみがあり、この作品にもそれが見られた。ある意味では、この小説は、氏にとって失敗作ではないか、という考えを私は今でも持っている。」「だが、野坂委員の『この人は、受賞をスプリング・ボードとして、一段と大きく伸びると思う』という意見には同感だったので、賞を贈ることに賛成した。」
野坂昭如 8 「(引用者注:赤瀬川隼に)つゞいて、ぼくは(引用者中略)かった。ただし、ハードボイルドなるジャンルは、まことにむつかしく、表現や形容、さては独白自省が、ややもすれば月並みになりがちで、この作品についていえば、そのきざしがうかがえる。」
半村良 19 「少しはしゃいだ気分で、はじめから北方氏をかついで選考の席へおもむいた。」「以前の作品のほうがこれより良いから授賞を見合わせるというようなたぐいの議論を、私は好かない。前の候補作のほうがこれより良かったとしても、読者として「ご馳走さま」と言えればそれにこしたことはない、」
選評出典:『群像』昭和58年/1983年5月号
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直木賞 89回候補  一覧へ

おり
檻』(昭和58年/1983年3月・集英社刊)
書誌
>>昭和62年/1987年3月・集英社/集英社文庫『檻』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 18 「筆力に圧倒された。二、三行で、パパッとその場の情景を的確に読者に提供する手腕はナミのものではない。候補作は筋を簡略にすべきだった。そうすれば描写力が活きてくる。」「以上四氏(引用者注:北方謙三、山口洋子、連城三紀彦、高橋治)、なにか、近々満期になる定期預金を四口座持っている感じで、リッチな気分になった。」
池波正太郎 11 「好感のもてるハード・ボイルドだが、この人の文体は、ダイナミックではあっても、状況と多くの登場人物をさばくのに苦渋を感じせしめる。読みすすんで、わからなくなり、また前のほうを読み返すことが何度かあった。」
井上ひさし 20 「もっとも気に入った」「平明で速度感のある文体のせいで、彼(引用者注:主人公)の感慨には読者を吸い寄せる力がある。ただ結末が悲劇で終るのは「切ない」気もするが、とにかくこの作者の才能には敬意をもつ。」
水上勉 0  
源氏鶏太 4 「文句なしに面白かった。しかし、筋が複雑に過ぎて、感銘の度を浅くしているように思われた。」
村上元三 12 「文章はうまいし、面白いという点では候補作品のうちで最も高い点をつけた。」「胡桃沢氏のと併せて受賞にしてもいいと思ったが、わずかな点差で落ちた。しかし、やがては受賞する人だろう。」
五木寛之 15 「私は受賞者を北方謙三氏にしぼって推し続けたのだが、大多数の選考委員の賛同をうるにはいたらなかった。」「私はこの人の作家としての資質を高く評価している。」「たとえば野球の選手について「球筋が良い」という表現があるが、北方氏には作家としての球筋の良さがある。」
城山三郎 0  
選評出典:『オール讀物』昭和58年/1983年10月号
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文量
長篇
章立て
「第一章」〜「第六章」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜横浜〜埼玉〜松山など
登場人物
滝野和也(スーパー経営者、元やくざ)
幸江(滝野の妻)
暁美(ホステス)
高樹(警部)
村沢(若い刑事)
高安雄次(クラブの経営者、滝野の旧友)
杉村敏夫(丸和会の幹部)
平川光正(老探偵)




直木賞 90回候補  一覧へ

とも しず ねむ
友よ、 静かに 瞑れ』
(昭和58年/1983年8月・角川書店刊)
書誌
>>昭和60年/1985年3月・角川書店/角川文庫『友よ、静かに瞑れ』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎 14 「これまでの諸作にくらべて状況、人物の描写がスムーズに頭へ入ってくるようになったが、主人公に作者がおぼれすぎた。」「クライマックス、ラスト・シーン共に、もう一つ、工夫がほしい。」「これからの北方さんには、ハード・ボイルドにこだわらず、おもしろい小説を書いてもらいたい。」
源氏鶏太 8 「文句なしに面白かった。やや荒いタッチで一気に読ませる。」「しかし、何故、坂口が下山に殺されなければならないかの説明が十分でないところが惜しまれる。」
村上元三 12 「読み終って落胆した。最後に坂口が、なぜ下山に射たれるのか、説明が足りない。」「ハードボイルド派というようなレッテルを張られて、この作者は自分から狭いところへ入り込んでいるのではなかろうか。」
五木寛之 11 「二作(引用者注:「私生活」と「友よ、静かに瞑れ」)を受賞作として推したいと考えて選考会にのぞんだ。」「まだ充分に余力のある人だし、有無を言わさぬ作品をひっさげて再挑戦するほうが御本人も納得がいくだろう。」
水上勉 5 「筆勢に圧倒された。が、相手がチンピラすぎた。大臣級の悪者がいなけりゃ、ひとり狼のつよさもバランスがとれまい。」
山口瞳 6 「文句なしに面白いが、これは不良少年の自慢話であって目が小説家の目になっていない。」
井上ひさし 19 「この作者のこれまでの武器がすべて揃えられている。だが、今回は、主人公の、死闘を挑むべき敵が弱小すぎた。」「この作者の主人公には強大な敵こそよく似合う。さもなければ、主人公の方がすこし弱くなるか、そのどちらかだろう。」
選評出典:『オール讀物』昭和59年/1984年4月号
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文量
長篇
章立て
「1 犬」「2 女」「3 男」「4 波」「5 部屋」「6 試合」「7 手」「8 玉」「9 税理士」「10 看板」「11 挑発」「12 野良犬」「13 夕陽」「14 手術」「15 四年前」「16 鍵」「17 失うもの」「18 刑事」「19 爆弾」「20 帳簿」「21 死んだ女」「22 ブレスレット」「23 料理人」「24 陸へ」「25 事業家」「26 濡れたライター」「27 闇」「28 勇気への道」「29 逃走」「30 仔犬」
時代設定 場所設定
[同時代]  美保温泉
登場人物
私(語り手、新藤剛、船乗り)
坂口隆一(私の旧友、旅館『潮鳴荘』主人)
坂口照子(隆一の後妻)
坂口竜太(隆一の息子)
田所晴子(照子の妹、芸者)
高畠(下山観光常務)
江原(下山観光専務)
安井(美保署の部長刑事)
松井(松井旅館の主人)




直木賞 92回候補  一覧へ

ふゆ おわ
『やがて 冬が 終れば』
(昭和59年/1984年10月・文藝春秋刊)
書誌
>>昭和62年/1987年11月・文藝春秋/文春文庫『やがて冬が終れば』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 0  
池波正太郎 0  
渡辺淳一 9 「男にこだわるのはわかるが、ハードボイルド・スタイルでは、男のいい面しか書けないという歯痒さがつきまとう。」「中、短篇に絞ったほうが、独自のシャープな文体が生きるのではないか。」
井上ひさし 0  
源氏鶏太 0  
水上勉 0  
黒岩重吾 0  
村上元三 15 「途中でじりじりしてきた。なぜ主人公が最後に人を刺さなければならないのか。」「この作者はハードボイルド派というレッテルを貼られ、自分から袋小路へ入っているように見える。」「いい作家だけに、気にかかる。」
五木寛之 9 「この作家の力量の半分しか出ていないように思う。」「私は最初、北方、林の両氏の受賞を提案したが、合わせて一本というのは失礼かもしれないと考えなおし、受賞作なしに賛成した。」
選評出典:『オール讀物』昭和60年/1985年4月号
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文量
長篇
章立て
「第一章」〜「第五章」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(語り手、浅川、商事会社の係長)
勝又公平(19歳の恐喝者)
江崎(専務、私の上司)
礼子(私の恋人、スナックのママ)
秋野史子(公平の恋人、女子高生)
上村(やくざ)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H21]2009/11/8 直木賞とは……噂をするなら匿名で。だって悪口いってるのがバレたら、とれなくなっちゃうもん。――夢枕獏『仰天・文壇和歌集』  
  [H19]2007/8/5 日本ミステリー進化論 この傑作を見逃すな  
  [H19]2007/7/8 小説現代 平成19年/2007年4月号〈第28回吉川英治文学新人賞決定発表号〉  
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