直木賞のすべて
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第84回

=受賞者=
中村正軌

=候補者=
深田祐介
西木正明
もりたなるお
西村 望
古川 薫
泡坂妻夫


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Last Update[H19]2007/4/10

もりたなるお
Morita Naruo
生没年月日【注】 大正15年/1926年1月9日〜
経歴 本名=森田成男。東京生まれ。警察学校卒。工夫、百姓、警察官、海軍軍人などの職を経験後、風刺漫画を書く。師に近藤日出造がいる。
受賞歴 二科賞
二科漫画賞
第23回小説現代新人賞(昭和49年/1974年)「頂」森田成男名義
第19回オール讀物推理小説新人賞(昭和55年/1980年)「真贋の構図」
第12回新田次郎文学賞(平成5年/1993年)『山を貫く』
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
備考
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直木賞 84回候補  一覧へ

しんがん こうず
真贋の 構図」
(『オール讀物』昭和55年/1980年9月号)
書誌
>>昭和59年/1984年11月・文藝春秋/文春文庫『疑惑の構図 「オール讀物」推理小説新人賞傑作選2』所収
>>昭和61年/1986年1月・文藝春秋刊『真贋の構図』所収
>>平成1年/1989年6月・文藝春秋/文春文庫『真贋の構図』所収
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 11 「この分野での作者会心の作ではなかろうか。完全に一人前の端倪すべからざる作家に化けているのを知って驚いた。あえて難癖をつけるならば、(引用者中略)巧緻に過ぎて新味が薄れ、直木賞受賞作としてのハナと重量に乏しいというところだろうか。」
阿川弘之 0  
村上元三 6 「推理小説の読者ということについては、人後に落ちないつもりだが、(引用者中略)二度読み返してみたものの、推す気にはなれなかった。」
水上勉 0  
五木寛之 0  
源氏鶏太 4 「読んでいて、気持のいい作品であった。が、直木賞作品としては、風格に欠ける。」
城山三郎 0  
今日出海 0  
選評出典:『オール讀物』昭和56年/1981年4月号
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文量
短篇
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
昭和50年代  東京〜静岡県伊豆
登場人物
光倉(B新聞文化部記者)
滝口正文(法曹界の長老、美術コレクター、偽「佐殿流謫之図」所有者)
伊集院盛市郎(実業家、美術コレクター、真「佐殿流謫之図」所有者)




直木賞 95回候補  一覧へ

がだん つき
画壇の 月」(『オール讀物』昭和61年/1986年3月号)
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
池波正太郎 0  
陳舜臣 0  
山口瞳 0  
藤沢周平 0  
五木寛之 0  
黒岩重吾 8 「テーマもストーリーも良い。ただそれだけに終ってしまっている。この作品の欠点は、名誉欲と芸術家としての誇りが交錯し揺れ動く心理描写だけで、当然、それに伴うべき人間描写が欠落していることである。」
村上元三 3 「モデルにちょっと興味があっただけであった。」
渡辺淳一 0  
井上ひさし 0  
選評出典:『オール讀物』昭和61年/1986年10月号
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文量
短篇
章立て
「一」〜「十三」
時代設定 場所設定
太平洋戦争戦中〜同時代  東京〜群馬県下仁田
登場人物
井上久治(元・聖戦美術家、戦後画壇の実力者)
菊子(井上の妻)
水野良郎(元・軍曹)
安藤雄祐(井上子飼いの美術評論家)




直木賞 97回候補  一覧へ

むめい たて けいさつかん にいにいろくじけん
無名の 盾―― 警察官の 二・二六事件』
(昭和62年/1987年1月・講談社刊)
書誌
>>平成3年/1991年5月・講談社/講談社文庫『無名の盾 警察官の二・二六事件』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣 6 「第一章の品川巡査の印象ばかりが強く、そのあとに登場する警官たちの影が薄い。章ごとにムラが目につくのが残念であった。」
藤沢周平 19 「作者の力量が十分に発揮された佳作だった。」「簡潔な文章が最後までゆるまずに持続し、題材はやや地味ながら受賞の水準に達した作品に思われた。」
黒岩重吾 8 「新視点で二・二六事件を描こうとしている。それなら徹底的に巡査達を描き切る必要がある。ノンフィクション的なのも気になるが、小説とは何かを今一度考え直していただきたい。」
田辺聖子 12 「珍しい素材であるが、冒頭のみごとな出だしがそのまま終りまで続けばよかったのに、と惜しまれる。」「竜頭蛇尾に終った、というのが私の感想であった。」
井上ひさし 0  
渡辺淳一 6 「警察側から見た軍隊への視点がユニークで興味をそそられたが、作品の収斂度が不充分で、主題がやや散漫になってしまった。」
山口瞳 19 「警察官や兵隊の抱く劣等意識、劣等意識を抱かざるをえないような情況設定が見事だった。改行の多い簡潔な文章も効果的だ。もりたさんには『真贋の構図』という推理小説の傑作があり、それを勘案したうえで推したのだが私の力が足りなかった。」
村上元三 10 「二・二六事件を警察官の側から見た点に新しさがあり、きちんと書いてあるが、この作者は画壇を扱うより、警察官という経歴を生かして行ったほうがいい。」
平岩弓枝 11 「横に広がりすぎてフィクションとしても、ノンフィクションとしても中途半端になってしまった。」「むしろ、重臣の盾となって殉職した警官とその家族にしぼって、追跡調査をしてみたら、もっと人間が描けたのではないかと思った。」
五木寛之 20 「私がもっとも興味をそそられた主題は、もりたなるお氏の〈無名の盾〉のそれである。」「残念なことに、〈無名の盾〉の作者は、みずからが掘り当てた希有な鉱脈を、知ってか知らずか巧みに回避して心情的な小説づくりの方向へ筆をすすめているようだ。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 巡査交替」「第二章 巡査と兵隊」「第三章 重臣と警官」「第四章 天皇と巡査」「第五章 疑心暗鬼」「第六章 蹶起部隊出撃」「第七章 重臣の盾」「終章」
時代設定 場所設定
昭和11年/1936年  神奈川湯河原〜東京
登場人物
品川忠雄(警視庁の警護巡査)
牧野伸顕(前内大臣伯爵、蹶起部隊の標的)
丸山(警視庁巡査、牧野伯お気に入りの警護警官)
内尾(交番勤務の外勤係巡査、霞町派出所勤務)
井上敏行(警部補、特別警備隊小隊長)




直木賞 100回候補  一覧へ

だいくうしゅう しょうわにじゅうねんさんがつとおか すざきけいさつしょ
大空襲―― 昭和二十年三月十日の 洲崎警察署』
(昭和63年/1988年10月・講談社刊)
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 17 「すべり出し好調、しかし龍頭蛇尾の感は拭えない。」「最後までもっと何か出るかと思っていると、ついに出なかった、という感じ。それならその代りに、道中の万般に井伏さんの「多甚古村」のような芸が欲しいところ。」
黒岩重吾 22 「大空襲下の描写には迫真力がある。この作品も余り欠点のない作品だが読後感は弱い。例えば主人公が熊坂巡査と同じ交番にいるのなら必ず衝突し、火花を散らすようなドラマが展開する筈だが、この作品にはそれがない。」
陳舜臣 8 「戦争の狂気をけれん味なくえがいた佳品である。四十余年の歳月は、当時の軍国少年をピエロ化したが、作者は堂々とピエロ以前のすがたを復原している。いまひと息だった。」
村上元三 8 「警察官の立場から空襲の前後をよく書いているが、それ以上には出なかった。筆力のある作者なのだから、もっと広い視野で扱ってほしかった。」
藤沢周平 22 「新米巡査高川洋一は、時代の劇画である。(引用者中略)時代が変って行動の意味が変質し、劇画性がうかび上がって来たのである。そこに着目した作者の目は鋭いと思ったのだが、「あとがき」まで読み返しても、作者にこの視点があるかどうかの確証が得られなかった。」
山口瞳 0  
平岩弓枝 15 「好感のもてる作品だった。」「若い警官の目が捉えて行く空襲そのものには納得出来たが、同時に主人公があくまでも目撃者であり、傍観者でしかないという点で、読者に訴えるものが弱くなったように思う。」
井上ひさし 12 「主人公を皇国主義、国粋主義、軍国主義、そして竹槍精神主義で染め上げ、その主人公を読者の前に投げ出すことで、「読み」の異化作用の発動を企んだ」「「とにかく読み手を楽しませなければならぬ」という苛酷な条件の下で試みられた(引用者中略)冒険や実験に評者はまず脱帽し低頭する。」
五木寛之 7 「私の好きな作家である。今回も興味深く読んだ。欲を言えば、震災後の天皇の現地視察の情景を、被災者の目を感じさせるように書いてほしかったと思う。」
渡辺淳一 13 「着眼は面白いが、空襲の話だけではさすがに盛り上りに欠ける。」「前に候補になった「無名の盾」よりは落ちる。」
選評出典:『オール讀物』平成1年/1989年3月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 洲崎弁天町交番」「第二章 防空警察」「第三章 空の要塞」「第四章 密告」「第五章 合宿待機」「第六章 空襲前夜」「第七章 弁天町燃ゆ」「第八章 現人神を拝す」
時代設定 場所設定
昭和20年/1945年  東京
登場人物
僕(語り手、高川洋一、弁天町交番の新任巡査)
熊坂(弁天町交番のベテラン巡査)
菊代(僕の従妹、電線工場勤務)
細川孝男(国民学校教師、要注意人物に指定)




直木賞 104回候補  一覧へ

じゅうさつ
銃殺』(平成2年/1990年10月・講談社刊)
書誌
>>平成6年/1994年1月・講談社/講談社文庫『銃殺 運命の二・二六事件』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
渡辺淳一 20 「二・二六事件を皇道派の将校の側から書いたところが新鮮で迫力があった。」「主人公がなぜ皇道派にくわわるにいたったのか、その部分が抜けているところが小説の彫りを浅くしてしまった。文章は長年のキャリアを感じさせてたしかだが、そのたしかさが小説のつくりにまでおよぶと、少し問題が生じてくる。」
平岩弓枝 7 「力のこもったいい作品ですが、終章を女性の視点にするならば最初の書き出しの部分、ドラマの進め方の計算が違うのではないかという気がしました。」
陳舜臣 6 「主人公が皇道派に共鳴した背景が、十分説得力をもって書かれていない。皇道派善玉アプリオリが作品を軽くしたようにおもう。」
井上ひさし 6 「テーマにたいする凄まじい執念と平明で安定した文章。」「一読して三嘆すべき立派な作品だった。」
田辺聖子 12 「氏のお作はいつも読後、ある重い感動が残るのだが、またいつもどこか、もどかしい不満もある。この作品の主人公も静止的で、それが盛り上りに欠ける印象を与えるのだろうか。」
五木寛之 8 「逝きし人々への鎮魂の譜として、作者の真情がよく伝わってくる力作だ。登場人物たちをつきはなして視ることがむずかしい点が、この作品に評価のわかれるところではあるまいか。」
黒岩重吾 0  
山口瞳 16 「二・二六事件の全容を明らかにしたいという作者の執念に打たれた。」「第八章「蝉の声降る」の緊迫感が圧巻だと思った。私はこれが受賞作となっても少しも不思議ではないと思っていたが、意外に票数が伸びなかった。」
藤沢周平 22 「皇道派が掲げる理念の全体像、あるいはのちに二・二六事件となる蹶起に対する主人公の認識の甘さがあるようで、そこが気持にひっかかった。」「また、私はもりたさんの文章を信用しているのだが、「銃殺」ではやや緊張感を欠く表現がみられた。」
選評出典:『オール讀物』平成3年/1991年3月号
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文量
長篇
章立て
「第一章 軍旗祭」「第二章 天誅」「第三章 歩調とれ徳さん」「第四章 射撃と演習の秋」「第五章 尊皇討奸」「第六章 軍旗の下に降る」「第七章 春は過ぎゆきて」「第八章 蝉の声降る」「終章 軍旗帰る」
時代設定 場所設定
昭和10年代〜[同時代]  千葉県佐倉〜東京
登場人物
宮林直大(中尉、佐倉第五十七連隊中隊長、皇道派思想の持ち主)
工藤俊作(大尉)
北畠雄一(少尉、皇道派)
海保市太郎(一等兵、小作農出身)
花島桜子(直大の許婚)
栗原安秀(中尉、歩兵第一連隊の皇道派将校)




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