直木賞のすべて
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第76回

=受賞者=
三好京三

=候補者=
西村寿行
有明夏夫
三浦 浩
宮尾登美子
皆川博子
広瀬仁紀


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Last Update[H17]2005/6/18

三浦浩
Miura Hiroshi
生没年月日【注】 昭和5年/1930年10月19日〜平成10年/1998年3月24日
経歴 東京生まれ。京都帝国大学文学部卒。サンケイ新聞社入社。社会部、文化部記者から、文化面編集部長、論説委員を歴任。ノースウェスタン大学、オックスフォード大学に留学経験もある。退職後に作家へ。
サイト内リンク 小研究-ミステリーと直木賞
備考
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直木賞 76回候補  一覧へ

しず とき
『さらば 静かなる 時』
(昭和51年/1976年7月・河出書房新社刊)
書誌
>>昭和56年/1981年3月・角川書店/角川文庫『さらば静かなる時』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 9 「私には、主人公がどんな顔つきの人なのかさっぱりわからなかった。舞台は新しいが、人間が通念にたよって描かれている。そうなると、つくり話が急に色あせる頁がある。」
川口松太郎 6 「ロンドン、パリも推理小説としては幼稚の感をまぬかれない。舞台装置と人物とがととのっていて、肝心のストオリイがつまらない。」
今日出海 0  
村上元三 8 「こんどの候補作七篇のうち、ただ一つ直木賞に値する作品だと思った。不自然な箇所はあるが、読みやすいし、最後のひねりも効いている。しかし、賛成者が少いのは残念であった。」
柴田錬三郎 11 「このスリラー小説には、現代の息吹きがある。ロンドン・パリ・京都を舞台にして、その視点を、今日の地球上の情勢の無気味な陰の世界へ置いている。」「リアリティがない、という批判もあったが、はじめから作りものに、リアリティがあるはずがない。」
司馬遼太郎 31 「事件が、ナチの残党の再建への欲望というひどく古典的な核によって成立しているのもおもしろい。」「(引用者注:このような)小説は子供っぽい想像性から創造されるだけに、高い知性と文章力が必要とされる」「私は(引用者注:「子育てごっこ」と「さらば静かなる時」の)両作品を推したのだが、「さらば……」は多くの賛成は得なかった。」
源氏鶏太 7 「残念ながら私の好みでなかったというの他はない。が、そういう癖のある作品を書いた作者の今後は、寧ろ嘱望されるのかも知れない。」
石坂洋次郎 0  
松本清張 9 「ナチスの匿し物をめぐるといういささか陳腐なアイデア、航空機利用の描写もリアル感なく、殺人、誘拐の筋立もありきたりなので感心しなかった。」
選評出典:『オール讀物』昭和52年/1977年4月号
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文量
長篇
章立て
「I」〜「XVI」
時代設定 場所設定
[同時代]  イギリス・オックスフォード〜ロンドン〜パリ〜京都〜東京等
登場人物
松田五郎(セント・アントニーズ・カレッジ客員教授、元・海軍士官、旧姓・宍谷)
松田敦子(五郎の妻)
各務荘介(K新聞海外特派員)
ビル・ジェンキンズ(アメリカ人、自称セント・アントニーズ学生)
フォン・リッフェン(西ドイツ海軍武官、准将)
リヒアルト・ワイゼン(第二次大戦当時のドイツ軍大尉)




直木賞 78回候補  一覧へ

やさ たいざい
優しい 滞在』(昭和52年/1977年11月・光文社刊)
書誌
>>昭和61年/1986年2月・光文社/光文社文庫『優しい滞在』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
水上勉 0  
司馬遼太郎 6 「他の候補作にくらべきわだって文章が卓れている。構成も堅牢で、人間描写もそつがなく、作りごとを読む楽しみを堪能させてくれた。」
柴田錬三郎 13 「受賞に、さいごまで執着した。これは、前作「さらば静かなる時」とあわせて考えて、この作者が、将来一方のリーダーとなる力量の持主と確信したからである。前作に比べて、犯罪の設定にいささか無理があるが、文章のスマートさ、テンポの快調は申し分なかった。」
源氏鶏太 6 「私は、二回読んで前作よりいいと思った。文章がうまいし、格調が高いが、今すこし盛り上げて欲しかった。」
村上元三 8 「こんどの候補作の中で一ばん読みやすかったが、残念ながら前作「さらば静かなる時」よりはおちる。結末をアメリカへ持って行って、あわてて終らせてしまった感があり、どんでん返しもあまり効いていない。」
川口松太郎   「候補作家の経験を持っているのだし、その他の新人群も含めて次回は是非委員たちを喜ばせるような作品を書いて貰いたい。」
今日出海 11 「面白く読んだ。」「何れも特色があって、その一つを選出するのに逡巡せざるを得なかった。」「世間に通用する水準を越えた作品と言えるだろう。」
石坂洋次郎 0  
選評出典:『オール讀物』昭和53年/1978年4月号
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文量
長篇
章立て
「序章」「I」〜「XV」
時代設定 場所設定
[同時代] 東京〜アメリカ・エバンストン
登場人物
垣花魁(アメリカ在のカメラマン、日系二世)
鳥飼美矢子(Tホテルのルームサービス係)
滑川律子(魁の従妹)
垣花剛(魁の従兄)
垣花道子(故人、魁の伯母、アスレチッククラブ経営者)
川波三郎(中野の垣花家の隣人)




直木賞 97回候補  一覧へ

つわのものがたり
津和野物語』(昭和62年/1987年4月・文藝春秋刊)
書誌
>>初出『COOK』昭和61年/1986年1月号〜12月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
陳舜臣 9 「現代ではめずらしくリリシズムにつらぬかれた好篇である。会話のとり方の妙は、ときに久保田万太郎をおもわせるものがあった。思ったほど支持が得られなかったのは、連作のためか、各章の格調に差があったためかもしれない。」
藤沢周平 15 「この作家のうまい文章が逆に小説の深まりを妨げている印象を受けた。読みながら終始、文章が十分に人間にとどかないままに筆が流れていくような、あるもどかしさを拭えなかったということである。」「物足りなさは最後まで残った。」
黒岩重吾 3 「素直な文章とムードは買うが登場人物の実在感が稀薄である。」
田辺聖子 10 「氏の才能の幅を感じさせたが、一方、抑制が利きすぎてどこか洗い曝されすぎたという感がなきにしもあらず、そのときに同時に小説の旨味も洗い落されてしまった気もする。」
井上ひさし 0  
渡辺淳一 7 「好感のもてる連作だが、趣向に走りすぎて人間の印象が淡すぎる。」「この作家はまだまだいいものを書けるはずである。」
山口瞳 5 「書ける人だと思う。この小説は、媒体に合わせて故意に調子を落として書いたものではないか。」
村上元三 5 「小味で線が細いが、後味のよさを買いたい。この作者は、この線を守って行けば、大成するのではなかろうか。」
平岩弓枝 4 「静かな作風には惹かれるものがあったが、人間の描き方が淡すぎて損をしているようであった。」
五木寛之 12 「現役作家として活躍している安定した力量は、この連作長篇からも充分にうかがえる」「作者の遊び心を楽しんで読ませてもらった、というのが感想である。」
選評出典:『オール讀物』昭和62年/1987年10月号
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文量
連作長篇
章立て
「亜津子の章」「加津子の章」「早津子の章」「田津子の章」「Natsuの章」「葉津子の章」
時代設定 場所設定
[同時代] 島根県津和野〜東京など
登場人物
小早川亜津子(造り酒屋の娘)
高畠加津子(喫茶店店主)
鳥飼早津子(加津子の旧友)
務台田津子(女子大生、母親が戦時中に津和野へ疎開)
マリア・ナツ・イシヅカ(ロサンゼルスの高校生、交換留学中)
新田葉津子(高校の教師、亜津子の旧友)




直木賞 98回候補  一覧へ

かいがいとくはいん
海外特派員― 消されたスクープ』
(昭和62年/1987年8月・集英社刊)
書誌
>>平成2年/1990年1月・集英社/集英社文庫『消されたスクープ』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
山口瞳 10 「スピードのある文章で、構成にも才気が感じられた。」「しかし、事実関係で不明かつ唐突な所があって、読んでいてイライラさせられる。」
黒岩重吾 23 「翻訳調の読み易い文章で読者を一気に小説の世界に引き込んで行く。」「前半はこの種の小説としてはリアリティがあった。」「核が登場するにおよび「007」を連想してしまった。」「折角の力作も核を出すことによって絵空事になってしまった。残念である。」
村上元三 22 「これを推したら、ほかの選考委員から反対される、と思いながら『海外特派員』に票を入れたが、果して落ちた。それでも七票を得た」「こういう種類の外国の作家のものは、面白がって読むのに、結局は日本の作家が扱うのは無理なのではないか、と思った。」
陳舜臣 41 「私たちが生きている時代を、奇抜に角度をかえることによって、まばゆいほどの光量で照らし出してくれた。」「細部の欠点は、設定作業の困難をおもえば、許容限度をこえていないようにおもう。筋が錯綜してわかりにくいところもあるが、そもそも事件にまきこまれた主人公自身、状況がよくわからずにもがいているのだ。」「このような良質の小説が登場してきたことをよろこびたい。」
藤沢周平 40 「私には政治に対する根強い不信感があって、政治、ことに国際政治においては、裏にどんな取引や密約があるか知れたものではないという気持もある。したがって「海外特派員」もあり得べき悪夢として読んだ。」「第一級の国際謀略小説だと思う。」「受賞圏内の作品だった。」
平岩弓枝 13 「荒唐無稽を百も承知の上で読者を虚構の世界へ誘い込もうとするものでしょう。この場合、(引用者中略)一ヶ所でも、こんなことは可笑しいと指摘されたら、作者のねらいは挫折してしまいます。」
井上ひさし 17 「大人の観賞に充分耐えうるスパイ小説をつくりだそうとした(引用者中略)意気は壮とすべきであるが、しかし事件は結末に近づくにつれてわかりにくくなり、小説の謎が読者の実生活を侵犯してしまう。」「この作品にあまりなじめなかった。」
田辺聖子 31 「私としては「長蛇を逸した」という気になった作品」「私はとてもよくできた娯楽小説だと思う。」「ただこれはごくデリケートな味わいの小説なので、いわば酒盗とかこのわた(原文傍点)とか、ホヤ(原文傍点)とかいったような、好きな人にはたまらなく好ましいが、受けつけない人にははな(原文傍点)からダメ、という所があるかもしれない。」「受賞作に比べて絶対に遜色なかったと思う。」
渡辺淳一 10 「新聞記者が特ダネを追い詰めていく部分は迫力がある。しかし現実の日本の首相が、ある謀略に巻きこまれて遭難するという、ショッキングな事件を描きながら、いまのわれわれに、なんの不安も戦慄も感じさせないのでは、やはりもの足りない。」
五木寛之 6 「冒頭の一節の読みづらさを通りすぎれば、これまでの氏のどの作品よりも力感のある長篇だ。」
選評出典:『オール讀物』昭和63年/1988年4月号
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文量
長篇
章立て
「I(各務の章)」「II(花村の章)」「III(再び各務の章)」「IV(敦子の章)」「V」〜「VIII」「IX(終章)」
時代設定 場所設定
[同時代] イギリス・ロンドン〜ヒースロー〜ウイローサイド〜東京〜イスラエル等
登場人物
各務荘介(P新聞ロンドン特派員)
木山修(警視庁から出向の首相秘書官)
花村克彦(P新聞政治部記者)
河野敦子(大学非常勤講師、各務の元恋人)
リチャード・ヘンリック(サンデートリビューン記者)
土方正史(首相)
渕副基(官房長官)
ゼンダ(イスラエル首相)




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