直木賞のすべて
直木賞のすべて

第62回

=候補者=
永岡慶之助
阿部牧郎
河村健太郎
田中 穣
藤本義一
平田 敬
河野典生
阪田寛夫


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Last Update[H19]2007/11/22

田中穣
Tanaka Jo
生没年月日【注】 大正14年/1925年3月25日〜平成17年/2005年4月25日
経歴 神奈川県平塚市生まれ。早稲田大学文学部英文学科卒。読売新聞社入社。美術担当編集委員として退社後は、美術評論家に。
備考
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直木賞 62回候補  一覧へ

ふじたつぐはる
藤田嗣治』(昭和44年/1969年10月・新潮社刊)
書誌
>>昭和63年/1988年2月・芸術新聞社刊『評伝藤田嗣治』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
大佛次郎 44 「私は田中氏の「藤田嗣治」を推した。」「いつも小説らしい小説ばかりが当選するのは、段段と小説が袋路地へ落込むことである。」「伝記には違いないが、画家の伝記と云うよりも高級インチキ師の生涯を描いてあるのが人間臭く面白く、小説と見ることさえ出来そうに思った。」
石坂洋次郎 21 「最後まで議論の対象となり、」「よく調べよく描いてあるが、これが小説か伝記かという問題がひっかかり、とうとう見送りになったのはお気の毒である。この作品でもう一つ私が気になったのは、戦後成長した若い人々――つまり「藤田嗣治」という名前に馴染みのない人々を、この作品が私等並みにひきつけられるかということである。」
川口松太郎 30 「どうしても一作をあげよとなったら田中君の「藤田嗣治」をおすつもりであった。」「情感の豊かな読物でもあり、文章も老練な感じがするし、直木賞作品の範囲をひろげる意味でも適当ではないかと思ったが、自分のその考えもジャーナリスティックにすぎる気がして、委員諸氏に賛成者がなければ已むを得ないと思っていた。」
村上元三 16 「実名の人物たちをよく消化して面白い作品になっているが、小説かドキュメントか、という点で議論がわかれ、見送られた。」「わたしには「藤田嗣治」以外に推せる作品はなかった。」
海音寺潮五郎 15 「苦心の作であることは認める。」「相当な出来ばえであることも認める。しかし賞に値する出来ばえとは思われないのである。ただ、史伝も賞の対象になるという決定をさせたのはこの作品の功績である。」
柴田錬三郎 12 「感心した。」「稀世のペテン師的天才画家を前後左右から観るための調査に、おそるべき執拗な努力をはらっていた。」「ずば抜けた面白さに乏しかった。」
今日出海 13 「異色の作品であった。」「小説であろうか、伝記評伝であろうかと分類上の疑義も出て来たが、そんな形式論よりも、作品が一頭地を抜いている方が肝要な問題であろう。」「藤田がどのようなことをしたかよりも、藤田の才能に迫るものがなければ、作品の価値は出にくいことになる。」
水上勉 20 「この稀代の画家について、私は知るところが少なかったので、とにかく、魅入られて読んだ。」「敢えて賞をということになれば、これしかない。そう思って出席した」「ノンフィクションであっても、人物が浮き彫りされておれば小説に迫るのであって、私は「小説」としてこの作をよんだ。」
源氏鶏太 8 「多くの議論の対象になった。先ず伝記物を直木賞にしていいかどうかということであった。が、そのことよりもこの作品が果して文学作品になっているかということで結局見送られることになった。」
司馬遼太郎 26 「ノンフィクションも文学の強力なジャンルである。しかしこの作品の場合は、純粋にそれでありすぎ、つまり藤田嗣治という世間衆知の名前と概念によりかかりすぎ、藤田についての談話者なども、(引用者中略)あっさりナマで出てくる。」「しかし全候補作中、読んでもっともおもしろかったのはこの作品であった。」
松本清張 34 「なんだか聞き書きのエピソードの集成に終ったようで、作者自身のフジタに対する切り込みがない。」「これには、画の世界でいう作者のデエモンがまるきり無いのである。」「ノンフィクションが好きな私だけに、これを否定した。」
選評出典:『オール讀物』昭和45年/1970年4月号
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文量
長篇
章立て
「第一章」〜「第八章」
時代設定 場所設定
昭和43年〜明治〜大正〜戦後  東京〜フランス・パリ〜徳島〜秋田など
登場人物
わたし(語り手、読売新聞記者)
藤田嗣治(フジタ、国際的な画家)
フェルナンド・バレ(モンパルナスの女流画家、フジタの妻のち離婚)
平野政吉(東北の富豪、フジタ作品のコレクター)
宮本三郎(フジタの後輩画家)




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