直木賞のすべて
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第140回

=受賞者=
天童荒太
山本兼一

=候補者=
恩田 陸
北 重人
葉室 麟
道尾秀介


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Last Update[H21]2009/8/22

道尾秀介
Michio Shusuke
生没年月日【注】 昭和50年/1975年5月19日〜
経歴 東京都生まれ。玉川大学農学部卒。営業職として働きながら、平成16年/2004年「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞してデビュー。敬愛する作家・都筑道夫にちなんで筆名を「道尾」とする。
受賞歴 第5回ホラーサスペンス大賞特別賞(平成16年/2004年)「背の眼」
第7回本格ミステリ大賞[小説部門](平成19年/2007年)『シャドウ』
第62回日本推理作家協会賞[長編及び連作短編集部門](平成21年/2009年)『カラスの親指』
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第22回)
特集-第141回候補の詳細
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「余聞と余分」内
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6件/最新は平成21年/2009年7月15日記事(このページの下部にリンクあり)
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かため さる
片眼の 猿―One-eyed monkeys―』
(平成19年/2007年2月・新潮社刊)
書誌
>>平成21年/2009年7月・新潮社/新潮文庫『片眼の猿―One-eyed monkeys―』
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大衆選考会 137回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ふぐ 平成19年/2007年6月19日  本作は、ミステリーの根源を変える、いや越える作品だと思う。でも、選ばれない・・かな。自信はありません。今の選考委員の人達があえて選ぶ作品ではないかもしれないからです。でも、それでも本作は良いです。ミステリーで描かれるトリックは、犯人を当てる為だけに存在するのではない。生きる強さを思い知らされる、そんな作品です。
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『ラットマン』(平成20年/2008年1月・光文社刊)
他文学賞 山本周五郎賞 21回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 25 「この作家の小説に接するのは初めてであるが、門外漢の私にも作者がかなり高いハードルに挑戦しているという気概が伝わる。何よりも文章が正確で、美しい描写をところどころにちりばめることも忘れていない。」「気にかかった点は人物造形である。これが現実なのかどうか、どうもバンドのメンバーが三十を過ぎた良識的な社会人とは思えない。」「ジャンルにかかわらず、小説である限り人間はきちんと書かねばなるまい。」
北村薫 15 「冒頭と最後のエレベーターの話に象徴されるように、実に才気に富んでいる。」「ただ、《作る》ことに懸命になるあまり、それに物語的魔力を付け加える点では、これまでの作品中の優れたものに及ばなかった。これが《最高傑作》ではないぞといいたくなるのは、未来の作も考えてのことで、大きな期待の言葉と思ってほしい。」
小池真理子 35 「主な登場人物たちは全員、三十代の社会人という設定で、著者と等身大と思われるのだが、私にはどうしても、十八、九の学生にしか感じられなかった。これはまさに(本当にまさに!)、致命的であった。」「この作者の衒いのない描写力、文章力には瞠目すべきものがある。」「なのにどうしても、私には、作者のまなざしの奥深くに潜んでいる幼さが透けて見えてしまう。」
重松清 44 「優れた青春小説の「青春の終わりのほろ苦さ」が優れたミステリーの「真実を知ったほろ苦さ」に重なり合う、物語の美しいフォルムに心惹かれた。」「謎解きこそを愉しめばいいのだという意見は承知しているが、そう割り切るには、幸か不幸か「青春の終わりのほろ苦さ」があまりにも魅力的すぎた。野際とひかりのドラマが謎解きだけに奉仕したのが惜しくてしょうがない。」
篠田節子 36 「陰惨な事件が題材となっているにもかかわらず、気持ちよく騙され、気持ち良く読み終わることのできた小説だ。」「違和感を覚えたのは、殺人事件を巡る登場人物の心の動きだ。二転三転するストーリーに、登場人物の心情がついていかない。」「とはいえトリックとストーリーが一人歩きして人間が描けていない作品ではない。三十代の青春小説として読めば、バンド仲間の姿は生き生きとして、好感が持てる。」
選評出典:『小説新潮』平成20年/2008年7月号
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直木賞 140回候補  一覧へ

おやゆび
『カラスの 親指――by rule of CROW's thumb』
(平成20年/2008年7月・講談社刊)
書誌
>>初出『小説現代特別増刊号メフィスト』平成19年/2007年9月号〜平成20年/2008年5月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 4 「ちりばめられた趣向が、もう一つ鋭く創られ、垢抜けてくれれば、と願った。」
五木寛之 10 「軽やかなタッチは、ほっと一息つけるところがあって好ましかったが、残念ながら読む側の意表をつく意外性に欠けるような読後感をおぼえた。この作品をつよく推す選者もいたことだし、次作を期待したいと思う。」
平岩弓枝 0  
宮部みゆき 24 「読者が作者と共に手を打って笑い、踊って(いるつもりで踊らされて)大いに楽しむという点では、(引用者中略)ピカ一でした。本来、これこそ直木賞にふさわしい作品ではないかという意見も出ました。今回は受賞に届きませんでしたが、道尾さん、カッコいい初登場でした。」
北方謙三 15 「伏線の解決もほとんどがなされ、その実力に疑問の余地はないと思う。ただ、意表を衝く面白さの創出に作者の視線がむき、そこに力が注がれた作品だという気がした。その仕掛けゆえに、私にとっては再読に耐えないものになったのは、小説観の相違と言うほかはないのだろうか。」
林真理子 14 「読み返すとつじつまの合わぬところはいくらでも出てくるが、最後にどんでん返しがあり、読者をほろりとさせる。こんな世の中だからこそ、こんな風にエンターテイメントに徹した一作は貴重だ。」
井上ひさし 19 「一に人物造型のたしかさ面白さ、二に伏線の仕込み方の誠実さ、三に物語の運びの精密さと意外さ、四に社会の機能を抉りだすときの鋭さ、五に質のいい笑いを創り出すときの冴えにおいて、出色の小説だった。評者も、すっかり騙された口の一人である。」
浅田次郎 14 「複雑な結構のわりに作者の余裕を感じなかった。氏の作品をいくつも読んでいると、こちらにも愕く準備ができてしまっているという本質的欠嵌はいかんともしがたい。」「(引用者注:恩田陸とともに)稀有の想像力を持っているのだが、その天才に構築力と表現力がどこまでついて行けるか、という点に作品の出来映えがかかっている。」
宮城谷昌光 38 「最初から読んでも、最後から読んでも、意味はかわらないという仕掛けは、小説内の瑣末な描写にだけあったわけではなく、全体の構成にかくされていたのである。こういう知的な作業がなされた小説はめったにあらわれるものではない。非凡である、とあえていっておく。」
渡辺淳一 19 「馴染みのない詐欺師の世界を描いて面白いといえば面白い。だが面白さを追い求めてドラマチックにすればするほど、リアリティーが薄れてつまらなくなる。」「むろんこうした作品を好む人も多いかもしれないが、文学賞の対象になる作品とは言い難い。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号
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他文学賞 吉川英治文学新人賞 30回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 7 「その鮮かな手法には毎度仰天させられるのだが、本作に限れば主人公の抱える苦悩がやや表層的で、ために人情話としての帰結に感動が求めきれなかった。」
伊集院静 12 「冒頭から物語に引き込まれた。」「ところが中盤から仕掛けの方に物語の主軸が置かれ、前半部に漂っていた、こんなことをしてしか生きて行けない人間たちの表情が見えなくなった。そのあたりが惜しまれた。」
大沢在昌 11 「一読後、私はうーんと考えこんでしまった。テツさん――即ち作者――が仕掛けたこの一大詐欺を是ととるか非ととるかで、読後の印象はまるで異なるだろう。是ととる人は、心を癒される物語と読む。残念ながら私はその側ではなく、むしろ脱力感を誘われてしまった。」
高橋克彦 0  
宮部みゆき 11 「第一四〇回の直木賞に続き、この企みに満ちた面白い小説を二度落選させるのは、忍びないことでした。」「道尾さんは、〈読者を驚かせて楽しませる〉ことと、物語の整合性にこだわりつつも、ご自分の作風の幅を拡げてゆくという、難しくてやりがいのあるステージに来ているのだと思います。」
選評出典:『小説現代』平成21年/2009年5月号
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大衆選考会 140回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
DORAPON 平成21年/2009年1月14日 単純に面白かったので。特に最後のどんでん返しにはすっかりだまされていました。選考会でもどんでん返しに期待します。
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文量
長篇
章立て
「HERON」「BULLFINCH」「CUCKOO」「STARLING」「ALBATROSS」「CROW」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
武沢竹夫(詐欺師、元・ヤミ金のわた抜き)
入川鉄巳(武沢の相棒)
河合まひろ(少女スリ)
河合やひろ(まひろの姉、無職)
石屋貫太郎(やひろの恋人、売れないマジシャン)
ヒグチ(ヤミ金組織の男)




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おに あしおと
鬼の 跫音』
(平成21年/2009年1月・角川書店刊、角川グループパブリッシング発売)
収録作品の書誌
鈴虫
>>初出『野性時代』平成19年/2007年9月号
犭(ケモノ)
>>初出『野性時代』平成20年/2008年5月号
よいぎつね
>>初出『野性時代』平成19年/2007年5月号
箱詰めの文字
>>初出『野性時代』平成18年/2006年12月号
冬の鬼
>>初出『野性時代』平成20年/2008年4月号
悪意の顔
>>初出『野性時代』平成19年/2007年11月号
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 7 「(引用者注:「秋月記」と共に」)別の文学賞においてすでに評させていただいた。」「進境著しいが、未だ推輓には至らなかった。」
井上ひさし 35 「語りの工夫で巧みに時間を繋ぎ合わせる離れ業もみごとだが、しかし長所は短所と隣り合っていて、その語りによって明らかにされて行く物語の中身が、血糊一色で、いささか月並みである。」「「悪意の顔」は、疑いもなく一個の佳品だが、この一篇では語りが読者を騙ろうとしていない。それで愛の哀しさがよく出たのかもしれない」
北方謙三 15 「この作家独得のひねりが、生きていたと思う。長篇では、私はどうしてもあざといと感じてきたが、短篇ではそれが切れ味となっていて、読んでいて快感さえ感じた。短篇の要諦をしっかり掴んでいて、同時に継続力のある資質も感じさせる。」「私は、丸をつけて選考に臨んだ。」
平岩弓枝 0  
阿刀田高 7 「恐ろしさ、妖しさを描く筆致に舌を巻きながらも、それが結末にうまく収斂されてないように私には感じられた。」
渡辺淳一 0  
宮部みゆき 28 「悩みました。六作収録の短編集で、前半の三作には不満があり、後半の三作は傑作だと思ったからです。打率五割はプロ野球選手なら文句なしのナンバー・ワンですが、直木賞の場合はどうなのか? 選考委員としてやっと二度目の登板の私には、判断がつきませんでした。」「多彩な不条理のなかに、それを成り立たせている作者の理の筋が一本通っている場合には傑作になり、筋が通り切らないと消化不良になる。そう感じました。」
林真理子 6 「前作を強く推しただけに、今回はややがっかりしてしまった。このシリアスさは、道尾さんに向いているとは思えない。」
五木寛之 9 「異色の書き手の登場を感じさせるところが随所にあって、興味ぶかく読んだ。コアな愛読者にとらわれないで、もっと自由な世界に飛びだしてみてはどうだろうか。」
宮城谷昌光 0  
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号
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他文学賞 山本周五郎賞 22回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 38 「恒川光太郎氏との共通点を感じた。天賦の才は疑うべくもない。しかしその才能と技術との間に、いかんともしがたい懸隔がある。本来の個性であるところの明晳さが顕現しない。」「もうひとつ、両者の共通点と思えるものは、哲学の欠如であろうか。」「やはり哲学不在の相対的現象は、作者も読者も思惟することをやめて、文学を映像やゲームの代理行為とみなした結果なのではあるまいか。」
北村薫 18 「統一感があり、仕上がり具合を含めてぶれが少ない。」「ただ、作者の巧みさを認めつつも、型通りのサプライズエンディングにならず、直線的に押してくれた方が感銘が深かったかと思う作もあった。無論、『犭(ケモノ)』のように、そこを越えたものもあった。」
小池真理子 27 「耽美と幻想を主題にし、持ち前の文章力を活かして、前作よりも格段に優れたものになっていると感じられた。」「ただ、幻想の宇宙を自在に飛び回ろうとしながら、作者自身が現実世界の約束ごとにしばられるあまり、現実を意識し過ぎてしまったように見受けられた。」「現実と幻想とは分かちがたく一つのものである、という視点に立って書くことができれば、この分野でいっそう花開く人かもしれない。」
重松清 45 「最初の投票で、僕は受賞作となった白石一文さんの作品とともに、(引用者中略)○をつけた。とても心地よく読み進めることのできる短編集だった。」「ただ、賞の選考者の端くれとして、やはり新鋭の作家には背伸びをしてほしいのだ。いまの自分の手には余りそうな大きな作品世界に挑んでほしいし、挑まずにはいられないのが作家のサガではないだろうか、とも(ややロマンチックに)思うのだ。」「最終投票では○を引っ込めることになった。」
篠田節子 17 「一本一本に独特の感性の光る短編集だ。」「あらすじだけ見れば凄惨な話が多いが、なまじの現実感を排し、様式化されているために嫌悪感は抱かせない。ただしそうしたミステリーともホラーともつかない世界を極め、著者独自の美学を表現するには、文体も含めて、もうひと工夫が必要ではないか、という気がする。」
選評出典:『小説新潮』平成21年/2009年7月号
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文量
短篇集
鈴虫
章立て
「(一)」〜「(四)」
時代設定 場所設定
[同時代]〜11年前  ある県
登場人物
私(語り手、一児の父)
S(私の大学時代の同級生、アパートの隣人)
杏子(私の妻、Sの元恋人)
犭(ケモノ)
章立て
「(一)」〜「(五)」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜福島
登場人物
僕(語り手、浪人生、裁判所事務官の息子)
S(昭和40年の猟奇殺人の犯人)
Y子(Sの義母、地元の名家の一人娘)
Sの妹(Y子の娘)
よいぎつね
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]〜20年前  ある街
登場人物
私(語り手、取材記者)
S(私の高校時代の友人)
髪の長い女(私が犯した強姦の被害者)
箱詰めの文字
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
僕(語り手、小説家)
S(僕の高校時代の同級生、妻と一人娘を事故で亡くす)
青年(空き巣)
冬の鬼
章立て
なし
時代設定 場所設定
[太平洋戦争後]  九州のある街
登場人物
私(語り手、工場主の娘)
S(私の同居人、幼馴染み)
悪意の顔
章立て
「(一)」〜「(六)」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街
登場人物
僕(語り手、小学校四年生)
S(僕の同級生)
女の人(画家の妻、僕の近所の住人)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H21]2009/7/15 第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)決定の夜に  
  [H21]2009/7/12 第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)候補のことをもっと知るために、歩んだ足跡を数えてみる。  
  [H21]2009/7/5 第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)候補のことをもっと知るために、本人たちの声に耳を傾ける。  
  [H21]2009/6/14 新しさや斬新さが何もないのだとしても、それが小説として劣っていることにはなりません。 第140回候補 北重人『汐のなごり』  
  [H21]2009/1/15 第140回直木賞(平成20年/2008年下半期)決定の夜に  
  [H21]2009/1/11 第140回直木賞(平成20年/2008年下半期)候補のことをもっと知るために、その重みを知る。  
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