直木賞のすべて
直木賞のすべて

第140回

=受賞者=
天童荒太
山本兼一

=候補者=
恩田 陸
北 重人
葉室 麟
道尾秀介


候補作家の群像
トップページ
受賞作・候補作一覧
受賞作家の群像
選考委員の群像
選評の概要
小研究
大衆選考会
リンク集
マップ

候補作家の一覧へ
前の回へ後の回へ


Last Update[H21]2009/8/22

葉室麟
Hamuro Rin
生没年月日【注】 昭和26年/1951年☆月☆日〜
経歴 福岡県北九州市生まれ。西南学院大学文学部卒。地方紙記者、ラジオニュースデスクを経てフリーライターに。平成16年/2004年「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞して作家デビュー。
受賞歴 第29回歴史文学賞(平成16年/2004年)「乾山晩愁」
第14回松本清張賞(平成19年/2007年)「銀漢の賦」
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第22回)
特集-第141回候補の詳細
子サイト
「余聞と余分」内
関連記事
7件/最新は平成21年/2009年7月15日記事(このページの下部にリンクあり)
備考
Google
検索結果
  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


直木賞 140回候補  一覧へ
『いのちなりけり』(平成20年/2008年8月・文藝春秋刊)
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 19 「――この抒情性はいいな――と思ったが、読み進むうちに途中から剣豪の活躍する読み物となり(これはこれで痛快なのだが)登場人物もむやみに増えて印象が散漫になってしまった。充分に楽しくは読めたのだが、受賞作として強く推すことはできなかった。」
五木寛之 7 「好感のもてる作品である。あれこれ脇見をすることなく、自分の作風を確立していけば、個性のある書き手として一家をなす人かもしれない。」
平岩弓枝 0  
宮部みゆき 10 「(引用者注:「汐のなごり」と共に)作者の持ち味の出た作品でしたが、」「数々の有名な史実と大勢の登場人物を繋ぐ糸が自重で切れないうちにエンディングまで行こうと、中盤からいささか書き急ぎの感がありました。」
北方謙三 12 「国家規模の情況設定が必要だったのか。密やかなるものを積み重ねた方が、世界は深くなったのではないか、という気がする。はじめから葉隠的な精神世界を狙ったという感じもあり、うまく入りこめなかった。」
林真理子 8 「少々小説が散漫過ぎた。主人公に感情移入しようとすると、すぐにサイドストーリーが始まってしまうのである。おかげでラストシーンの美しさが生きてこない。」
井上ひさし 32 「始まりから固有名詞群と脇筋群が一気に出しゃばってくるので、主筋がたえず横滑りを起こし、時の前後さえ判別しがたくなる。とても読みにくい。」
浅田次郎 6 「外形に執心して物語がなおざりとなる憾みがあった。」
宮城谷昌光 14 「時代小説を書くことに、すでに習熟がみられる。ただし小説がもつ力を分散させたことが成功したとはみえず、収斂のしかたにもうひとつの工夫が要る。」
渡辺淳一 0  
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年3月号
      - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
大衆選考会 140回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
原 広基 平成21年/2009年1月9日 時代考証、推察を織り交ぜた秀逸の作品。
作者が高校時代の同窓生というのも要素。
がんばれ葉室麟。
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
長篇
章立て
「一」〜「十四」
時代設定 場所設定
江戸前期[延宝年間〜元禄年間]  江戸〜肥前〜湊川〜京など
登場人物
雨宮蔵人(小城藩士のち浪人、角蔵流の使い手)
咲弥(蔵人の妻、小城藩重臣の娘、水戸藩の奥女中)
深町右京(蔵人の従兄弟、小城藩祐筆役のち出家して清厳)
天源寺刑部(小城藩家中筆頭、咲弥の父)
巴十太夫(小城藩主・元武に仕える柳生新陰流兵法者)
黒滝五郎兵衛(越後浪人のち柳沢保明に仕える、キリシタン武士の子)
鍋島元武(小城藩主)
水戸光圀(水戸藩先代藩主)
柳沢保明(将軍綱吉の側用人)
小八兵衛(光圀の隠密御用、飛脚屋の主人)
お初(小八兵衛の娘)




直木賞 141回候補  一覧へ

あきづきき
秋月記』
(平成21年/2009年1月・角川書店刊、角川グループパブリッシング発売)
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 7 「(引用者注:「鬼の跫音」と共に」)別の文学賞においてすでに評させていただいた。」「進境著しいが、未だ推輓には至らなかった。」
井上ひさし 26 「藩政の黒幕となってからの彼(引用者注:主人公の一藩士)には、その黒幕度が不足、記述もいったいに早足になって失速、おもしろさにも乏しくなった。清濁併せ呑むのが行政官の定めであるとすれば、「清」だけで終わってしまった感があって、前半が傑作だっただけに、惜しいとしかいいようがない。」
北方謙三 11 「どこかに既視感のようなものがつきまとう。今回は、史実が根底にあっただけに、小説的な飛躍に欠けた部分も、また気になった。」
平岩弓枝 48 「作者が資料の中からよくこれだけをさばいて書かれたとその労苦のほどはお察しする。それでも正直に申せば、もっと思い切って資料をふり捨て、人物をデフォルメする気にならないと小説としては完成しないと思う。老婆心ながら一言。」
阿刀田高 11 「歴史を描くにふさわしい緻密さを感じたが、あえて言えば登場人物に私は感情移入ができなかった。おもしろ味が薄かった。前回の『いのちなりけり』より巧みに映ったが、抒情性は乏しくなったのではあるまいか。」
渡辺淳一 0  
宮部みゆき 25 「名前のついた登場人物が大勢出てくるのも、史実をないがしろにしない誠意がある(引用者中略)。でもそれと承知の上で、史実から自由に解き放たれた葉室さんの作品も読みたい。」
林真理子 16 「実在の人物を書く時に、多くの著者がはまる陥穽を見たような気がして仕方ない。りりしく誠実だった青年が、中年の権力者になった時に思いもかけない行動をとる。そのつじつまを合わせるために、ついつまらぬ言いわけを書いてしまうのだ。読者はそこで鼻白んでしまう。」
五木寛之 12 「受賞作として推した」「定石どおりといえば、そうなのだが、どこかにあたらしい風を感じたからだ。」「書き古された題材だという声もあったものの、この作家には独自の作風というものがある。」
宮城谷昌光 21 「まえに読んだ『いのちなりけり』にくらべて、筆致にずいぶん落ち着きがでた。」「これが新しい時代小説かどうかという議論はさておき、私は氏の誠実さをみたような気がしている。時代小説作家の資質に天才は要らない。誠実さを積みあげてゆく不断の努力が要るだけである。」
選評出典:『オール讀物』平成21年/2009年9月号
      - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
他文学賞 山本周五郎賞 22回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 21 「史実の脚色というのはことほどさように簡単ではないから、本作における跳躍力は相当の幅があろうかと思った。最大の難点は、作者の手癖ともいえる登場人物の多さである。ここまで数が多いと、心の動きを書く暇があるまい。」
北村薫 43 「これが山本周五郎賞候補作であることに不思議な暗合を感じた。この物語が筑前の小藩を舞台にした『ながい坂』ともいえるからだ。」「いうまでもなく、『秋月記』は亜流の作品ではない。表現には全て型がある、ということだ。」「とはいえ、前を行く傑作を否応なしに連想させながら、それでも全く評価が落ちないのは、驚くべきことである。つまり、爽やかな達成がここにあるのだ。」「ただ、結びに近付くにつれ不自然さも出た。」
小池真理子 18 「文章が端整で平易であることに好感をもった。」「だが、肝心の主人公の小四郎が昇進したあたりから、急激に物語が失速し、あらすじを追うだけで終わってしまった。」「史実に基づいて書かれた小説だからなのか、全体として、ストーリーを追うことばかりに囚われているのも気になった。」
重松清 22 「爽やかで心地よい「青春」小説である。」「だが、序章や掉尾の場面を読むかぎり、物語の主題は、毀誉褒貶半ばする壮年期以降の小四郎の姿にこそあるのではないか? 描かれた物語と伝えたかった主題との間にズレが生じた。」
篠田節子 30 「実のところ、ヒーロー間小四郎は、藩史においてはその専横ぶりを批判される、いわば悪役だ。そうした人物に光を当て、その業績を見直し、新たな人間像を構築しようとする作者の姿勢に敬意を表したい。」「忍者の末裔や男装の麗人が活躍する痛快時代劇より、清濁併せ呑む辣腕の行政官を描いた重厚な歴史小説を読みたかった、というのが正直なところだ。」
選評出典:『小説新潮』平成21年/2009年7月号
      - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
文量
長篇
章立て
「一」〜「十七」
時代設定 場所設定
江戸後期[寛政年間〜弘化年間]  筑前秋月〜江戸〜福岡〜大坂など
登場人物
間小四郎(秋月藩士、上士・吉田家の生まれ〜のち藩の重職〜隠居後は余楽斎)
もよ(小四郎の妻)
坂田第蔵(小四郎の稽古仲間)
海賀藤蔵(伊賀同心、柔術の達人)
宮崎織部(秋月藩家老首座)
姫野三弥(福岡本藩の鷹匠頭の息子、秋月藩に招聘され仕える)
姫野弾正(三弥の父)
井手勘七(秋月藩御用請持、福岡本藩からの赴任)
藤田伝助(丹石流の剣客、小四郎の剣術の師)
七與(元・大坂の芸妓)
猷(稽古館教授・原古処の娘)




ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
  [H21]2009/7/15 第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)決定の夜に  
  [H21]2009/7/12 第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)候補のことをもっと知るために、歩んだ足跡を数えてみる。  
  [H21]2009/7/5 第141回直木賞(平成21年/2009年上半期)候補のことをもっと知るために、本人たちの声に耳を傾ける。  
  [H21]2009/6/14 新しさや斬新さが何もないのだとしても、それが小説として劣っていることにはなりません。 第140回候補 北重人『汐のなごり』  
  [H21]2009/1/18 直木賞のもつ隠れた意義。それを実感できるのは50歳を過ぎてから、かも。 第64回候補 三樹青生「終曲」  
  [H21]2009/1/15 第140回直木賞(平成20年/2008年下半期)決定の夜に  
  [H21]2009/1/11 第140回直木賞(平成20年/2008年下半期)候補のことをもっと知るために、その重みを知る。  
    - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -  


ページの先頭へ

トップページ受賞作・候補作一覧受賞作家の群像選考委員の群像選評の概要
小研究大衆選考会リンク集マップ || 候補作家の一覧へ前の回へ次の回へ