直木賞のすべて
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第124回

=受賞者=
山本文緒
重松 清

=候補者=
岩井志麻子
田口ランディ
天童荒太
横山秀夫


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Last Update[H20]2008/1/3

田口ランディ
Taguchi Randy
生没年月日【注】 昭和34年/1959年10月3日〜
経歴 本名=田口けい子。東京都生まれ。茨城県で高校を卒業後、広告代理店、編集プロダクション等に勤務。フリーライターになり、幅広い分野で執筆活動を展開。インターネット上での執筆も多く、「メルマガの女王」の異名を持つ。
受賞歴 第1回婦人公論文芸賞(平成13年/2001年)『できればムカつかずに生きたい』
処女作 『コンセント』(平成12年/2000年6月・幻冬舎刊)
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直木賞 124回候補  一覧へ
『コンセント』(平成12年/2000年6月・幻冬舎刊)
書誌
>>平成13年/2001年11月・幻冬舎/幻冬舎文庫『コンセント』
>>平成19年/2007年10月・新潮社/新潮文庫『コンセント』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 17 「なるほど面白い。息もつかせぬ、というところ。」「キレのいい文章、コンセントに繋がれるという発想の斬新さ。でもどこで着地に失敗したのだろう、読後、気が晴れなくてこまった。」「『コンセント』は私には救いにならず、混迷を与えられる。(それが目的かも)これは百分の九十まで推理小説の面白さで楽しめた。」
津本陽 8 「はじめはたいへんな牽引力にひきこまれた。おどろきつつ読んでいたが、結末の部分に至って急にしぼんでしまい、凡々たる感じになった。」
平岩弓枝 29 「最後まで印象に残っていた」「書き出しからテンポのよい才筆で、(引用者中略)ひたすら感心して読み進んだが、(引用者中略)主人公がカウンセリングを受けるあたりから、どうにも異和感が生じて、ぎくしゃくしながら読み終える結果になった。」
宮城谷昌光 35 「氏のことばは翼をもち、ある重さをもって飛ぶが、終わりに近づくころ、その重さをはずしてしまい、視界から消える。」「作者自身に文章を近づけすぎたがゆえに、読者の理解を拒絶したようであり、当然のことながら、そこは全体をそこない構成から逸脱している。」「だが、氏が小説という奇妙な空間にとまどわなくなったら、おどろくべき力を発揮する可能性を充分にみせた。」
黒岩重吾 11 「挑戦的な小説である。」「何といっても本小説の魅力はその発想と小説が持つ毒であろう。私はその毒に痺れた。だが後半部分の国貞との遣り取りは観念的で作者が一人で汗をかいている感じがする。」
林真理子 12 「その才能に感服した。圧倒的な筆力である。ただ惜しむらくは、初めての長篇であったためにペース配分を間違えた。後半が乱れ過ぎて、うまく着地出来なかった。しかしこういうことは、小説を書くうちにすぐに習得出来るはずだ。今はこの勢いを大切にして欲しい。」
阿刀田高 15 「前半分が滅法おもしろい。後半でガタガタと崩れる、作品の背後に、哲学と言っては大げさだが非凡なシンキング(thinking)があって、それがいつの日か今までにない大傑作を生んでくれそうな予感がする。」「もう少し待って大成を期す、というのが私のみならずおおかたの意見であった。」
渡辺淳一 18 「やや異能な才筆に惹かれた。とくに冒頭の部分は熱気があり、ところどころに出てくるセックス描写というより、性への実感的な独白が面白かった。しかし後半になるとコンセントという題にこだわりすぎて、生半可な精神病理学を披露しすぎて、小説の緊張感をこわしてしまった。」
北方謙三 16 「読んでいてしばしば切迫した精神状態に襲われるような作品だった。」「異才であると思う。最後の、性的な救済者になっていく主人公の姿には、私は微妙な違和感を覚えた。」
五木寛之 17 「全員がその才能を認めた秀作である。」「どんなメディアから登場しようと、表現者の才能には壁などないのだと痛感させられた。賞をのがしたのは「未知数」という点が作用していると思うが、作家は処女作がすべてである。この人の将来に不安を抱くことはあるまい。」
井上ひさし 26 「シャーマンを訪れる者は、自分のプラグをコンセントに差し込むことで、全人類の記憶に接触できるわけだ。なんという壮大な主題だろう。これを聖とすれば、ヒロインの日常は俗。この聖と俗を結びつける啓示の瞬間が一編の山場であるが、惜しいことにその瞬間が濁っている。ここに作者持ち前の機知と分析力が十分に投下されていたら、途方もない傑作が実現したのに。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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文量
長篇
章立て
「1」〜「25」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜山梨〜沖縄
登場人物
私(語り手、朝倉ユキ、金融雑誌ライター)
兄(私の年の離れた兄)
国貞篤男(心理カウンセラー、私の元担当教授)
木村(カメラマン)
本田律子(私の元同級生、文化人類学者)
山岸峰夫(私の元同級生、精神病医)




直木賞 125回候補  一覧へ
『モザイク』(平成13年/2001年4月・幻冬舎刊)
書誌
>>平成15年/2003年4月・幻冬舎/幻冬舎文庫『モザイク』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 17 「電子、電脳社会を宗教に見立てた、みごとな世界解釈物語である。ただし今回は文章も描写も展開も少し粗くなった気がする。中心軸を思考から描写へ、ほんのちょっとずらしてもらえないものか。」
黒岩重吾 0  
田辺聖子 14 「ミミ(耳)でなくても目で、肌で、匂いで、触感で、人は情報を得、人とつながろうとする。もっとそれをドラマにしてほしい。以前の作品『コンセント』より平坦。でも文章が先天的に巧くて美しい。」
渡辺淳一 13 「冒頭の部分や渋谷の雑踏の描写など秀逸で、改めて才能を感じさせる。だが前回と同様、後半になるにしたがって乱れ、一篇の小説として収斂していかないもどかしさを覚える。」
宮城谷昌光 0  
林真理子 26 「今回はいったいどうしたことであろうか。「コンセント」であれほど見せてくれた、小説的輝きがすっかり薄れているのだ。」「現代に対する鋭さ、ピュアな感性、弱者に対するまなざし、こういうものを充分お持ちなのはわかっている。けれどもこれをどう文章に変え、小説というものに組み立てていくかだ。」
阿刀田高 14 「前回に似ていて、だが劣っている、という印象を拭えなかった。この作家の描く思想は本当におもしろい。だが、そのアイデアが小説化されていないうらみが濃いのである。」
津本陽 20 「小説としては、いわんとするところを読者に伝えることのできない、中途半端のまま終ったが、手法を工夫して、独得の魅力を生かせるように努力してほしい。」
北方謙三 24 「言葉にならない叫びというものが通底しているような感じがして、どこか不気味でさえあった。」「これを小説という表現形態で全うできるのだろうか、という疑問が前作と同様につきまとった。小説的普遍性に近づけようという努力が、この作品をやや説明過多なものにしたのではないだろうか。」
平岩弓枝 8 「相変らず凄い才能に感心しながらも、これを小説として読むのは苦しい。とりわけ、終りに近く長すぎる説明的会話をおいたのは構成上マイナスではなかったかと思った。」
五木寛之 29 「私は『愛の領分』と、田口ランディさんの『モザイク』に一票を投じたのだが、『モザイク』のほうは意外なほど不評で、ちょっとびっくりしたほどである。」「私などにはとてもこういうふうに渋谷の街を描くことはできない。」「新しさを感じさせる文章だった。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年9月号
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大衆選考会 125回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
けんご 平成13年/2001年5月23日 好評だった「コンセント」に比べても、より成長しているでしょう。日時の展開はないのに、詠ませるテクニッツがある、この人には。
だけど、末尾近くなると、なぜだか緊迫感がなくなっちゃうのも、前と一緒なんだよなぁ・・・。うーん微妙。
宇江佐さんの時代小説がとるかな・・・今回は「髪結い伊佐治」シリーズよりもいいと思うし・・・
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文量
長篇
章立て
「1」〜「23」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
私(佐藤ミミ、語り手、移送屋)
渡辺正也(中学生、移送途中に失踪)
有吉徹(私の雇い主)
川島賢一(都立精神医療研究センター医療部長)
佐藤和紀(私の亡父、精神科医)
狩野良平(社会学者)




直木賞 131回候補  一覧へ

ふじさん
富士山』(平成16年/2004年3月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成18年/2006年3月・文藝春秋/文春文庫『富士山』
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収録作品の書誌
青い峰
>>初出『オール讀物』平成15年/2003年1月号「富士山」/単行本収録にあたり改題
樹海
>>初出『オール讀物』平成15年/2003年3月号
ジャミラ
>>初出『オール讀物』平成15年/2003年10月号
ひかりの子
>>初出『オール讀物』平成16年/2004年1月号「光の子」/単行本収録にあたり改題
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
平岩弓枝 7 「なにもかも富士山に帰趨させるのは一つの試みとして悪くはないが、今回は成功していない。強引な手法は才気が目立つ分だけマイナスになってしまった。」
津本陽 6 「観念がいささか先走っていて、あまり楽しませてくれない。」「熟した果実のような味わいが以前のように出てきていない。」
田辺聖子 0  
宮城谷昌光 4 「言及するゆとりがなくなった。」
阿刀田高 9 「癒しとしての富士山はすてきなアイデアであり、作者の論述はよくわかるのだが、理屈を越えてストンと富士山のすばらしさへ飛躍するところが、一読者としてむつかしかった。」
渡辺淳一 9 「人間のややうしろ向きの部分を書いて新鮮で面白いが、すべてが成功しているわけではない。とくに連作にこだわり、富士山に結びつけようとしたところがやや安易で、底の浅いものにしてしまった」
林真理子 10 「現代人の持つ心の闇を書かせたら、もはや第一人者であろう。」「今回はわかりやすくなった分、単調に平凡にまとまった感がする。すべて「富士山」に帰結しようとしたのに無理があった。」
北方謙三 8 「すべてを富士山に収斂させることで、平板になったのではないだろうか。小説性は高まっているが、発信するものが曖昧なのである。」
五木寛之 19 「私は田口ランディさんの『富士山』を推した」「世間の人びとが知っていて知らぬふりをしている問題を、きちんとふまえた小説だと思う。」「これまでの小説の文法をすてて、新しい小説世界を夢みているかのような作風に、ある共感をおぼえずにはいられなかった。」
井上ひさし 22 「評者は買った。」「主題展開の軸を「富士山」に据えたのは、めざましい工夫だった。中でも「樹海」は、三人の少年の冒険を語りながら、森の夜のおそろしさを新鮮な文章で書き切っていて、胸おどる読書体験だった。」
選評出典:『オール讀物』平成16年/2004年9月号
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文量
短篇集
青い峰
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  ある街〜富士の麓
登場人物
僕(語り手、岡野、コンビニ勤務)
森下こずえ(コンビニのバイト)
飯田(僕の教団員時代の仲間)
樹海
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  富士の樹海
登場人物
僕(語り手、ジュン、中学卒業生)
サトシ(僕の友人、病院長の息子)
ユウジ(僕の友人、オカルト好き)
ジャミラ
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  富士の麓
登場人物
僕(語り手、市役所環境課員)
木村マツ(ゴミ屋敷の主人)
合田三知子(売れっ子心理カウンセラー)
ひかりの子
章立て
なし
時代設定 場所設定
[同時代]  富士山
登場人物
私(語り手、内田美奈子、看護師)
梶川むつ子(富士登山ツアー客)




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  [H20]2008/1/13 このミステリーがすごい!2008年版 2007年のミステリー&エンターテインメントベスト10  
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