直木賞のすべて
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第121回

=受賞者=
佐藤賢一
桐野夏生

=候補者=
宇江佐真理
黒川博行
天童荒太


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Last Update[H20]2008/1/3

天童荒太
Tendo Arata
生没年月日【注】 昭和35年/1960年5月8日〜
経歴 本名=栗田教行(クリタ・キョウコウ)。愛媛県生まれ。明治大学文学部演劇学科卒。昭和61年/1986年、本名名義で応募した「白の家族」が野性時代新人文学賞受賞。『アジアンビート』など映画の脚本などを手掛けたのち、天童荒太名義で小説を発表し始める。
受賞歴 第13回野性時代新人文学賞(昭和61年/1986年)「白の家族」栗田教行名義
第6回日本推理サスペンス大賞優秀作(平成5年/1993年)『孤独の歌声』
第9回山本周五郎賞(平成7年/1995年)『家族狩り』
第53回日本推理作家協会賞[長編及び連作短編集部門](平成12年/2000年)『永遠の仔』
サイト内リンク 付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第9回)
小研究-ミステリーと直木賞
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「余聞と余分」内
関連記事
1件/最新は平成20年/2008年1月13日記事(このページの下部にリンクあり)
備考 『永遠の仔』は、テレビドラマにもなり、もはや、あまりにも有名になってしまった大長篇。
というより、直木賞候補に挙がる以前に、すでに大ベストセラーでした。
これほど長い長い小説が、いまだン十万部も売れる日本の社会を見ると、
単に「活字離れ」とか言ってはいけない気がしてきます。
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かぞくが
家族狩り』
(平成7年/1995年11月・新潮社/新潮ミステリー倶楽部)
書誌
>>平成19年/2007年10月・新潮社刊『家族狩り』[オリジナル版]
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他文学賞 山本周五郎賞 9受賞 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 32 4.5点「いろんな人がみな、自分の狂気だとか自分のわがままを最後まで貫く。だから、どんどん、どんどんテンションが高くなっていく。しかもそれをちゃんと構成する力は、ほんとうに感心いたしました。」「若い才能を買うということで。」
井上ひさし 99 4.75点「作者は日本の社会状況を観察して、ひとつの壮大な仮説を立て、それを丸ごと書き切ろうとしている。この作家的野心、これは買うべきだと思いました。」「おしまいに行って、せっかく広く撒いた網がちょっと狭くはなりますけど、とにかくすべてを最後へひきしぼって行く力もある。」「気にいったのは、冬島綾女という女性、研司くんのお母さん。(引用者中略)この作者はそういう普通のところもちゃんと書けるんですよ。」
逢坂剛 61 4点「サイコ・ホラーのテーマとして家庭内暴力を取り上げたあざとさみたいなものが、拭いきれないところがありました。それと、かなり残酷描写がこういう小説にとって、はたして必要不可欠だったろうか。」「ただ、こういう気の滅入る話を、これでもかこれでもかと書いていく馬力、その筆力を私は認めたいと思います。」「でも、この動機はどんなものでしょうか。それから、この動機を最初からもっと正面に据えて書くべきだったんじゃないか、と思うんですけど。」
長部日出雄 52 4点「最初にいいと思ったところは、きわめて残虐な犯行という点で共通しながら、直接的には関係がないように見える事件が結びつけられていく過程に、意外性と説得力があった。」「映画のサイコ・スリラー、ホラー、スプラッターなど多彩な技法を取り入れながら、なおかつちゃんと自分の世界になっていると思うんですね。」「欠点はサービス過剰、やたら見せすぎ、それから台詞で語りすぎる。」
山田太一 41 3.5点「たいへんな力作ですけれど、生身の家族には踏みこまず、ホラーに都合のいい材料として家族を利用しているという印象を受けました。」「現実っぽいんだけれども、実は家族についての俗論の輪郭を濃くした現実ではない世界が展開されている。」「文章も少し安易な気がしました。」「大野の狂気に託した作者のメッセージも、子供の親への恨みなども他者というものへの買いかぶりがあって、共感できません。」
最終投票     ○3票
選評出典:『小説新潮』平成8年/1996年7月号
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直木賞 121回候補  一覧へ

えいえん
永遠の 仔』(上)(下)
(平成11年/1999年3月・幻冬舎刊)
書誌
>>(1)再会(2)秘密(3)告白=平成16年/2004年10月、(4)抱擁(5)言葉=平成16年/2004年11月・幻冬舎/幻冬舎文庫『永遠の仔』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
阿刀田高 27 「テーマの現代性は申し分ない。」「見事と思った。だが、テーマの重さが先行するあまり、登場人物への目配りがもの足りなく感じられてしまった。」「作品の構造についても、十七年の空白を埋めるのは、この方法でよかったのか、疑問が残った。」「しかし、力わざであることはまちがいない。」
平岩弓枝 15 「意図はわかるが、欲ばりすぎである。幼児虐待、老人看護、人間の孤独、それに弁護士、警官、看護婦などの職業に関する諸問題など材料を並べすぎて逆につくりものめいてしまった。殊にラストではその感が深い。」
黒岩重吾 12 「登場人物たちが入れられた双海学園での描写など、余りにも冗長すぎ、不要な部分が多く折角のテーマが色褪せてしまう。また優希を初め少年たちの会話は大人のもので、リアリティが稀薄となった。」
津本陽 21 「内容は社会問題をするどくついている。」「ただし、情景の色調に変化がすくなく、登場人物の表情や声も、どれも似ているような気がする。もうちょっと複雑な景色を眺め、騒々しく入りみだれる喚き声も聞きたい。そういう点で、物たりなさが残った。」
田辺聖子 14 「これだけの量を要するだろうか、という疑問が大方の選考委員から出たが、私も同感。人物造型にリアリティがなく、そのため筋のはこびに作為が目立った。」「むつかしい困難なテーマに挑戦された意欲を讃えたい。」
井上ひさし 25 「壮大に門戸を構えた力作である。」「作者が築き上げた堅牢な構造が、三人の主人公たちの行動を窮屈に縛りつけている気味がある。」「はっきり云えば、図式的なのだ。これほど壮大で彫りの深い物語がどうして図式としてしか語られなかったのか、返す返すも残念である。」
五木寛之 44 「最後まで推したのだが、意外なほど不評で、」「たしかに「永遠の仔」には多くの欠点がある。」「しかし、それにもかかわらず、この力作には何かがあると今でも思う。しかし、その肝心な何かをはっきりとつかみ出し、誰もが納得するような説明をすることが私にはできなかった。」「作品自体が、そのような小器用な解説を拒む謎、不可侵の核を抱いて成り立つ小説であるとも考えられるだろう。」
渡辺淳一 36 「はたしてこれほど長く書く必要があったのか。」「登場人物のすべてを同じ厚さで塗り込むので、遠近法のできていない油絵を見るような単調さを覚えた。問題のテーマも一つ一つの掘り込みは意外に浅く、少年少女の存在もいささかリアリティを欠く。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年9月号
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文量
長篇
章立て
上巻「序章」「第一章 一九九七年 春」「第二章 一九七九年 五月二十四日」「第三章 一九九七年 五月二十四日」「第四章 一九七九年 初夏」「第五章 一九九七年 梅雨」「第六章 一九七九年 仲夏」「第七章 一九九七年 冷夏」下巻「第八章 一九七九年 盛夏」「第九章 一九九七年 晩夏」「第十章 一九七九年 初秋」「第十一章 一九九七年 仲秋」「第十二章 一九七九年 晩秋――一九八〇年 冬」「第十三章 一九九七年 冬隣」「第十四章 一九八〇年 春」「第十五章 一九九七年 初冬」「終章 一九九八年 早春」
時代設定 場所設定
1979年〜1998年  愛媛県〜神奈川〜東京など
登場人物
久坂優希(看護婦)
長瀬笙一郎(弁護士、幼少時代の愛称モウル)
有沢梁平(神奈川県警捜査一課の刑事、幼少時代の愛称ジラフ)
早川奈緒子(梁平の恋人、料理屋の女将)
久坂聡志(笙一郎の後輩弁護士、優希の弟)
久坂雄作(優希の父親)
久坂志穂(優希の母親)




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あい
『あふれた 愛』(平成12年/2000年11月・集英社刊)
書誌
>>平成17年/2005年5月・集英社/集英社文庫『あふれた愛』
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収録作品の書誌
とりあえず、愛
>>初出『小説すばる』平成8年/1996年11月号/単行本収録にあたり加筆訂正
うつろな恋人
>>初出『小説すばる』平成9年/1997年3月号/単行本収録にあたり加筆訂正
やすらぎの香り
>>初出『小説すばる』平成9年/1997年6月号/単行本収録にあたり加筆訂正
喪われゆく君に
>>初出『小説すばる』平成11年/1999年5月号/単行本収録にあたり加筆訂正
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 4 「人間のやさしみがテーマながら邪気が香辛料になっている点がよく、」
津本陽 8 「「うつろな恋人」という一篇が、印象に残った。どの作品も、よく似た方向から、よく似た姿勢で語っているように思える。」「なんというか、わりあい間口がせまい感じである。」
平岩弓枝 0  
宮城谷昌光 24 「「うつろな恋人」は、サキの名作「開いている窓」を想起させた。」「天童氏はここで、実在と不在の交換装置を通過したがゆえに不在となった男の話を書こうとしたのではなかったのか。しかしながら氏は、みることに真実をすえて、人の不在化を完成しなかったために、作品は常識のなかに後退し、いわば感情の沈殿物になってしまった。」
黒岩重吾 14 「作りのうまい短篇集である。ただ作りに懸命のせいか、作中人物がストーリーに添い過ぎている。」「今少し人間を幅広く視て欲しい。」
林真理子 12 「この方の誠実さが裏目に出た。どれも息苦しい作品ばかりになってしまったのである。特に精神を病んだ少女と、無理やり関係を持つ作品は好きになれない。」
阿刀田高 22 「悪くはなかった。天童さんの、弱者に対する真摯な姿勢にはいつも頭がさがるけれど、――待てよ。それは作品の評価とは少しべつなことだな――とりわけ、この作者にはそれを感じてしまう。」「小説としてつぶさにながめてみると、着地点を決めて、その方向へ人物設定も行動も情況も(あえて言えば)都合よく創っているように私には感じられてならない。」
渡辺淳一 12 「現代的なテーマに挑もうとする努力はわかるが、全体に甘く、ムードに流れすぎる嫌いがある。前回のような長篇の場合は力でおしきることもできるが、短篇ではいささか切れ味が悪く、熟年、とくに大人の女性が書けないところが、小説のリアリティを失わせて、不満が残った。」
北方謙三 14 「あふれたという言葉に、過剰なものを表わすニュアンスがこめられていることが、読後よく理解できた。ただ私にはあふれたものが、少々きつかった。」
五木寛之 14 「繊細な感覚と技巧を随所に示してみせてくれたものの、前作の重量感を超える強い印象で私たちを圧倒するまでにはいたらなかった。しかし、私としては天童荒太という作家の新しい顔を発見したような気がしてうれしかった。」
井上ひさし 23 「「やすらぎの香り」は掛け値なしの名作だ。」「だが、たとえば、別の一編、「うつろな恋人」には抵抗がある。病院の関係者が、ある患者についての情報を、別の患者に簡単に喋ってしまうばかりか、そのことが物語を動かす原動力になるという設定は、この作者には珍しい荒さである。「やすらぎの香り」に匹敵する作品がもう一編あれば、評者はこの一冊を最後まで支持しつづけたのだが。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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大衆選考会 124回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
sho-go 平成12年/2000年11月17日 (なし)
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文量
短篇集
とりあえず、愛
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
磯崎武史(合紙会社社員、過労で入院)
莎織(武史の妻)
なつみ(武史の娘、乳児)
うつろな恋人
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
塩瀬彰二(管理職)
桐島智子(レストランのウェイトレス)
緒方哲郎(智子の恋人、詩人)
山根美由紀(ストレス・ケア・センター事務員)
やすらぎの香り
章立て
「1」〜「7」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
奥村香苗(精神科の患者)
秋葉茂樹(香苗の同棲相手)
須賀(病院の院長)
喪われゆく君に
章立て
「1」〜「8」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京〜狭山〜水戸
登場人物
保志浩之(フリーター)
有本美季(浩之の恋人、専門学校生)
宮前幸乃(夫を突然亡くした未亡人)




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  [H20]2008/1/13 このミステリーがすごい!2008年版 2007年のミステリー&エンターテインメントベスト10  
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