直木賞のすべて
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第120回

=受賞者=
宮部みゆき

=候補者=
服部まゆみ
久世光彦
東野圭吾
馳 星周
横山秀夫


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Last Update[H20]2008/1/3

横山秀夫
Yokoyama Hideo
生没年月日【注】 昭和32年/1957年1月17日〜
経歴 東京都生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒。上毛新聞に記者として勤務。『事件列島ブル』などの漫画原作を手掛け、『ルパンの消息』でサントリーミステリー大賞佳作。
受賞歴 第9回サントリーミステリー大賞佳作賞(平成3年/1991年)「ルパンの消息」
第5回松本清張賞(平成10年/1998年)「陰の季節」
第53回日本推理作家協会賞[短編部門](平成12年/2000年)「動機」
サイト内リンク 横山秀夫氏の「直木賞決別宣言」について
付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第16回)
付録-山本周五郎賞受賞作・候補作一覧(第17回)
小研究-ミステリーと直木賞
子サイト
「余聞と余分」内
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4件/最新は平成21年/2009年6月7日記事(このページの下部にリンクあり)
備考
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直木賞 120回候補  一覧へ

かげ きせつ
陰の 季節』(平成10年/1998年10月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成13年/2001年10月・文藝春秋/文春文庫『陰の季節』
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収録作品の書誌
陰の季節
>>初出『文藝春秋』平成10年/1998年7月号
地の声
>>初出『オール讀物』平成10年/1998年9月号
黒い線
>>書き下ろし
>>書き下ろし
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 14 「ただひたすら警察の内部に、とくに人事問題に的を絞る。これは新鮮な切り口で、すぐれた発明である。」「余計な注文をつけると、文章にほんの少し艶がほしい。それから話の転換を担うトリックにもう少し工夫をしていただきたい。」
田辺聖子 5 「珍らしい題材と、力ある描写力、まことに心強い新人の登場。」
渡辺淳一 11 「警察の事情に詳しい人らしく、その内部を窺うという点ではそれなりに面白い。しかし最大の欠陥は小説をこねすぎることで、それは裏を返せば、人間を軽く見すぎていることにもなる。」
阿刀田高 10 「まだ不慣れのせいか無理に推理小説を作っている弱点が否めない。表題作はよいが、ほかは“こねた”ような感じがして、もう一息と思った。」
黒岩重吾 4 「「鞄」が一番面白く読めた。ただ他の作品では味のない文章が多く、読後感が薄い。」
平岩弓枝 0  
津本陽 11 「大きくひろげうる内容を、きわめてコンパクトに仕上げているところが、将来の展開の可能性を予感させる力づよさである。」「今後、大きな作品を仕上げるまでには、苦労をかさねたあげくの成熟を待たねばなるまいが。」
五木寛之 7 「警察小説のジャンルに新たな一ページを加えた佳作である。しかし、せっかくなら犯罪よりも、人事そのものの陰の部分を徹底的に描き切ってほしかったと思う。」
選評出典:『オール讀物』平成11年/1999年3月号
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文量
連作短篇集
時代設定 場所設定
[同時代]  D県
陰の季節
章立て
「1」〜「11」
登場人物
二渡真治(D県警警務課調査官)
尾坂部道夫(県警OB、社団法人専務理事)
前島泰雄(二渡の同期、刑事部)
青木源一郎(尾坂部の運転手)
地の声
章立て
「1」〜「13」
登場人物
新堂隆義(D県警監察課監察官)
二渡真治(警務課調査官)
曾根和男(Q警察署生活安全課長)
柳一樹(Q署刑事課、新堂の元部下)
黒い線
章立て
「1」〜「10」
登場人物
七尾友子(D県警警務課婦警担当係長)
平野瑞穂(似顔絵で手柄を立てた婦警)
森島光男(鑑識課長)
二渡真治(警務課調査官)
章立て
「1」〜「10」
登場人物
柘植正樹(D県警秘書課課長補佐)
鵜飼一郎(保守派の県議)
坂庭昭一(秘書課長)




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どうき
動機』(平成12年/2000年10月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成14年/2002年11月・文藝春秋/文春文庫『動機』
>>平成18年/2006年11月・大活字/大活字文庫『動機』(1)〜(3)
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収録作品の書誌
動機
>>初出『オール讀物』平成11年/1999年4月号
>>平成12年/2000年6月・講談社刊『ザ・ベストミステリーズ2000』所収
>>平成14年/2002年11月・講談社/講談社文庫『ミステリー傑作選42 罪深き者に罰を』所収
逆転の夏
>>書き下ろし
ネタ元
>>初出『オール讀物』平成12年/2000年9月号
密室の人
>>初出『別冊文藝春秋』233号[平成12年/2000年10月]
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
田辺聖子 3 「全く新しいタイプの推理小説、と興味をもった。」
津本陽 10 「堅実な手際で、現実味のある話を語ってくれるが、どれも説得力のあるわりには、読者をひきこむ腕力を出してくれず、地味な色彩に終始しているので、出来ばえのわりに損をした感じである。」
平岩弓枝 0  
宮城谷昌光 8 「人生における貯蓄があるとおもわれる。ただしその貯蓄は感情に厚くくるまれているので、ひきだすときに性急になってしまうのではないか。保存のしかたも、小説作法のひとつである。」
黒岩重吾 8 「表題作が一番良い。それにしても読後感が薄い。」「今少し登場人物の日常生活を描き込む必要があるのではないか。」
林真理子 9 「ミステリーとしては面白いかもしれないが、小説としては欠点を幾つも持つ。」「仕掛けのうまさだけで小説は成り立たない。それを支えるのは文章の力なのである。」
阿刀田高 13 「表題作が一番楽しく読めた。が、全体としてミステリーの短編として弱点が目立った。」「無理にストーリィを創っているように感じられたり、よくあるパターンであったり、リアリティを欠いていたり、あと一息の感がいなめなかった。」
渡辺淳一 5 「お話しづくりに懸命なわりに、小説のふくらみというか、柔らかさに欠けるところが、もの足りなかった。」
北方謙三 14 「よくできた愉しめる短篇集だった。いまひとつ食い足りない感じがするのは、事件の解明、解決を主眼にした、ミステリー度がいくらか高かったからか。」「『密室の人』など、面白い題材を閉鎖的な関係性が殺してしまっている。もう少し、のびのびしたところが、私は欲しかった。」
五木寛之 15 「職業作家として十分の力量をそなえた書き手の、安定した作品である。」「その安心して読めるという点が、この賞では不利にはたらいたといえば酷だろうか。しかし、壁を破ることを期待されるということは、すでに一家を成しているということでもある。」
井上ひさし 18 「根気と努力に感心しながらも、このへんで読者にハッタリをかますような手(むろんいい意味での)を導入すべきときがきたとも思うが、いかがだろうか。」「「逆転の夏」に、かすかにその芽が感じられるが、まだまだ不十分だ。」
選評出典:『オール讀物』平成13年/2001年3月号
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文量
短篇集
動機
章立て
「1」〜「11」
時代設定 場所設定
[同時代]  J県
登場人物
貝瀬正幸(J県警警務課企画調査官、警察官の息子)
益川剛(U署刑事一課の警部補)
神谷潤一(U署警務課の巡査)
大和田徹(U署警務課主任、定年間近)
貝瀬愛子(貝瀬の妻)
逆転の夏
章立て
「1」〜「27」
時代設定 場所設定
[同時代]  東京
登場人物
山本洋司(葬儀搬送会社に勤務、元・殺人犯)
及川(シルバー連合会長)
酒井静江(山本の別れた妻)
串間信子(殺人の被害者、当時高校生)
串間義夫(信子の父)
ネタ元
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある地方県
登場人物
水島真知子(県民新聞記者)
東田(真知子の上司、警察担当キャップ)
草壁(東洋新聞勤務)
佐伯美佐子(地裁刑事部庶務係、真知子のネタ元)
密室の人
章立て
「1」〜「9」
時代設定 場所設定
[同時代]  ある地方県
登場人物
安斎利正(D地裁の裁判官)
美和(安斎の後妻)
楠木(D地裁所長)
三河(D日報の司法記者)




直木賞 128回候補  一覧へ

はんお
半落ち』(平成14年/2002年9月・講談社刊)
書誌
>>初出『小説現代』平成13年/2001年3月号〜平成14年/2002年4月号
>>平成17年/2005年9月・講談社/講談社文庫『半落ち』
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選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
井上ひさし 28 「疑問とすべき箇所も多いが、作者の新工夫は、ここでも光っている。すなわち事件を警察の内部から、たとえば言えば、総務課から描こうとする作者の発明がここでは一段と強調されている。また、呆れるほど頻繁な行替えや体言止めの多用など、これまでの小説技法では禁じられていたものを逆用して、文体を読みやすくした工夫もさらに徹底されている。」
黒岩重吾 11 「緊迫感を伴い読者を引っ張ってゆく手腕は申し分がない。ただ何時も感じることだが、これだけ活躍しているにも拘らず、登場人物に汗の臭いが感じられない。一歩踏み出し推すのをためらう理由である。」
宮城谷昌光 7 「目くばりの悪さがある。みなければならぬものをみる速度が、小説の豊かさを殺いでいる。小説の筋をふくめてきれいでありすぎることは、魅力に欠けるということでもある。」
北方謙三 22 「関係の団体に問い合わせて見解を得、主人公の警部の動きには現実性がないことを、選考の途中で報告することになった。(引用者中略)最終的には議論はそこまでには到らなかった。妻を殺しながら人を助けようとする、主人公の生命に対する考えに抵抗が多かったのだという気がする。細かいところで私はいくつかひっかかっていたが、そこは物語の流れの中で読み過し、正直、意表を衝かれた。」
渡辺淳一 35 「期待して読んだが、いささか失望した。その最大の弱点は、中心人物ともいうべき、妻殺しの警官が、つくられた人形のように存在感がなく、魅力に欠けることである。」「結末はいかにもきれいごとすぎてリアリティに欠ける。」「すべてがお話づくりのためのお話で、人間の本質を探り描こうとする姿勢が見られず、いわゆる推理小説の軽さだけが目立つ。」
林真理子 23 「今、ベストセラーを驀進のこの作品を、私はどうも評価出来ない。」「途中から結末が見えてしまう。」「席上、「犯人が歌舞伎町に行くことがそんなに悪いか。それほど大事件か」という声があがったが、私も同意見である。しかもこの作品は落ちに欠陥があることが他の委員の指摘でわかった。」「一般読者と実作家とは、こだわるポイントが違うのだろうかと考えさせられた一冊だ。」
阿刀田高 11 「推理小説としては謎が浅い。」「ヒューマニズムを訴える点では盛りあがりに欠け、加えて現実には不可能な設定があるとなると、リアリティーに欠け困ってしまう。最後に主人公の梶聡一郎の章が必要だったのではないか。」
田辺聖子 15 「今回、私は『半落ち』(横山秀夫氏)ときめて臨んだ。」「今回の作品も期待を裏切られない緻密な構成だ。」「すべてが解明されたあとの納得のあと味も爽快感あり。ただ設定上の疑問点を指摘する声もあり、魅力ある作品だが、ついに見送られて私としてはいたく残念であった。」
津本陽 7 「私が推そうと思った作品であった。ちょっと行儀がよすぎるようにも思えたが、悪くない。しかし、手続上の問題で疑義があるとのことであったので、つぎの作品を待つことにした。」
平岩弓枝 5 「作者はもう直木賞を受賞してよい実力者なのに、今回の作品には大事な部分に問題点が指摘されたのは惜しかった。」
五木寛之 10 「前半三分の一まで引き込まれて読んだが、後半の予定調和的な結果には、大いに失望した。組織と人間の悪を描くことに徹すれば、この作家は大きな存在になるかもしれない。」
選評出典:『オール讀物』平成15年/2003年3月号
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大衆選考会 128回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
ゼスギ 平成14年/2002年10月29日 次回の受賞作は横山秀夫氏の『半落ち』が有力だと思います。
前作『動機』は評判ほどに楽しめませんでしたが、今回は文句なしに面白かった!
時期的にも受賞がふさわしくもあるので、『半落ち』を推薦します。(後文=>荻原浩
けんご 平成14年/2002年12月23日 いやあ、ホントに良かったです、この本。
このミスがすごい!で1位ということで読んでみましたが、泣けます、まじに。
よく直木賞選考で言われる「人間」が良く書けてると思いますし、これで間違いないんじゃないでしょうか、今回は?
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文量
長篇
章立て
「志木和正の章」「佐瀬銛男の章」「中尾洋平の章」「植村学の章」「藤林圭吾の章」「古賀誠司の章」
時代設定 場所設定
[同時代]  W県
登場人物
梶聡一郎(W県警本部の現職警部、妻殺しの罪で自首)
志木和正(W県警本部捜査一課強行犯指導官)
佐瀬銛男(W地方検察庁の三席検事)
中尾洋平(『東洋新聞』記者)
植村学(弁護士、東京で失敗してW県在住)
藤林圭吾(W地裁の裁判官)
古賀誠司(M刑務所統括矯正処遇官)





だいさん じこう
第三の 時効』(平成15年/2003年2月・集英社刊)
書誌
>>平成18年/2006年3月・集英社/集英社文庫『第三の時効』
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収録作品
「沈黙のアリバイ」「第三の時効」「囚人のジレンマ」「密室の抜け穴」「ペルソナの微笑」「モノクロームの反転」
 
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他文学賞 山本周五郎賞 16回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
長部日出雄 45 4.5点「文章は、確かにまだ情報を伝えるというレベルかもしれません。が、それにしても贅肉を一切削いで無駄がなく、簡単に読みとばせない文章です。」「この作者の今の社会に対する強烈な批判精神は本物です。」「社会派として非常に大きな成果をあげる可能性を秘めていますね。」
北原亞以子 24 4.5点「もう、「面白い」の一言に尽きると思います。」「「モノクロームの反転」の謎解きなんかは疑問に思うところもあるんですけれど、刑事三人のそれぞれの性格が描かれ、その三人の解決の仕方が変わっていく面白さもあり、非常によくできたエンターテインメントだと思いました。」「私はひたすら面白い小説があっていいと思うんです。」
久世光彦 22 2.5点「僕のところに来る、そして自分の手元にいくつもあるテレビドラマの企画書を連想しました。」「「半落ち」もそうでしたが、僕は無理やり唐突なドンデン返しを用意するのは小説としてどうかと思いますね。文章の面でも、文芸作品とは言えないと思います。」「不用意に常套句を使う癖があるね。」
花村萬月 26 3点「この作品はとても安定していると思いましたが、新鮮さには欠けました。随所に出てくるトラウマも、書くんならきっちり書いてほしい。」「どの話も結論に合わせて人物を動かすので、なにか、小咄を聞いてるような感覚でした。」「とはいえ、この安定感は小説家としてなかなかのものだと思います。」「言い方は悪いけど、消費される小説だなと思った。」
山田詠美 29 3点「(引用者注:「あやめ横丁の人々」と)すごく似てると思うんですよ。とても面白いんですけど、昼下がりにサスペンスドラマと時代劇の再放送を続けて見たような感じ。」「エンターテインメントとしてはいいかもしれないけれど、山本賞という、文芸作品を評価する場所ではどうなのかなと思いました。」「この人は勧善懲悪を引っくり返そうとドラマティックにするより、もっと抑えて書いた方がいいと思う。」
最終投票      
選評出典:『小説新潮』平成15年/2003年7月号
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大衆選考会 129回推薦候補 一覧へ
大衆選考会での推薦
推薦者 推薦日 推薦文
yuki 平成15年/2003年4月1日 keisatukanngakakkoyokumietekuru
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『クライマーズ・ハイ』 (平成15年/2003年8月・文藝春秋刊)
書誌
>>平成18年/2006年6月・文藝春秋/文春文庫『クライマーズ・ハイ』
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他文学賞 山本周五郎賞 17回候補 一覧へ
選評の概要
選考委員 評価 行数 評言
浅田次郎 26 「もったいないの一言である。」「作者の小説はどれもそうだが、読者を魅きつけて余りある情熱を持っており、それが読みどころでもある。だが少くとも本作品においては、熱量の配分が適当ではないと感じた。」
北村薫 39 「物語の矢の向かう先はどこなのか。(引用者中略)作品の、そして作者の放った矢の先は《大きい命と小さい命》の問題に刺さったわけだ。(引用者中略)だが、その物語の流れが要求している肝腎要の部分が弱い。ここに至って、折角の長編が、座りの悪い台座に載っているのを見せられたようになる。」
小池真理子 32 「私には、主人公が生きている記者生活の現場と、息子の問題を抱えている家庭、安西という男と山に登ること……その三つがうまくつながってこなかった。」「作者が現代の毒、人間関係の刺の数々を描こうとした、その意気込みは充分、伝わってはくるものの、結局、この作品から私は、言い古された人生訓の匂いしか嗅ぎ取ることができなかった。」
重松清 51 「とても残念な作品だった。」「人間味あふれるまなざしは、残念ながら「仕事」の外の世界へは必ずしも存分には注がれなかったのではないか。」「「仕事」と拮抗しうる、いや、拮抗しなければならないはずの「家族」「友情」の物語が、言葉の密度も含めて弱い気がするのだ。」
篠田節子 28 「自分の愚かさを自覚しない主人公の視点で物語が展開していく。そのあたりは極めて小説的で、視点も題材の選択もたいへんに面白い。」「ただし登場人物の印象がどれもハイテンションだが平板。」「山や家族の問題などが、物語の本筋と並立したことも、この小説をややわかりにくくしている。」
選評出典:『小説新潮』平成16年/2004年7月号
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ブログ版 直木賞のすべて 余聞と余分
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